2012年末の衆院選での自民党の圧勝により、安倍晋三氏が政権に返り咲き、さらに、2013年7月の参院選によって「ねじれ国会」が解消された。安倍政権は自らの改革意思をストレートに実現する絶好の機会を得たといえる。それは、自民党の政権公約→(自民党)教育改革実行本部→(政府)教育改革実行会議→中央教育審議会、というラインをとおして現実化していくものとみられる。(大阪教育法研究会 編集部)

● J-ファイル2013 総合政策集 平成25年6月20日 自由民主党

 目  次
まず、復興を加速します。
さあ、経済を取り戻そう。
さあ、地域の活力を取り戻そう。
さあ、農山漁村の底力を取り戻そう。
さあ、外交・防衛を取り戻そう。
さあ、安心を取り戻そう。
さあ、教育を取り戻そう。
さあ、国民のための政治・行政改革を。
さあ、時代が求める憲法を。



(抜粋 64頁〜73頁)

さあ、教育を取り戻そう。



教育は、国家の基本。将来を担う子供たちは、日本の宝です。教育再生を断行し、世界トップレベルの学力と規範意識、歴史や文化を尊ぶ心を持つ子供たちを育みます。


292 世界トップの人間力と学力を実現するための教育投資の充実

  『教育基本法』の理念に基づき、「自助自立する国民」「家族、地域社会、国への帰属意識を持つ国民」「良き歴史、伝統、文化を大切にする国民」「自ら考え、判断し、意欲にあふれる国民」を育成します。そのため、OECD諸国など諸外国における公財政支出など教育投資の状況を参考とし、『教育基本法』に則り策定した第2期教育振興基本計画や「学習指導要領」を着実に実行していくため教育再生など、必要な予算を確保します。

  全国学力・学習状況調査を全国一斉の学力テスト(悉皆)として継続的に実施し、全ての子供の課題把握、学校・教師の指導改善に活かします。さらに、土曜授業の実現を目指します。


293 成長戦略に資するグローバル人材の育成

  成長戦略の実現のためには、世界で活躍できる人材の育成が急務です。実用的な英語教育やイノベーションを生む理数教育、ICTの積極的な活用などグローバル人材育成に資する教育を抜本的に拡充するため、『グローバル人材育成推進法(仮称)』を制定し、集中投資を行います。 国際的共通語となっている英語のコミュニケーション能力を身に付けることは、子供の将来のためにも、わが国の一層の発展のためにも、非常に重要な課題です。教師の資質向上や留学支援等を通じて、今後とも外国語教育の充実を図ります。

  小・中・高等学校における英語教育については、小学校における英語教育実施学年の早期化、教科化、指導体制のあり方や、中学校における英語による英語授業実施について検討するとともに、少人数英語指導を徹底するための教員配置の充実やイングリッシュキャンプ等を通じた実践的な英語教育の導入、英語を母国語とする青年招致に関する事業(JETプログラム)をさらに充実させるなどにより、抜本的に改革・強化します。また、将来、経済界、政界、学術界等において活躍するグローバルリーダーを高等学校段階から育成するため、英語を使う機会を格段に増やして国際的素養を身に付ける取組みなどを行う高校を支援する制度(「スーパーグローバルハイスクール(仮称)」)を整備します。

  学生の実用的な英語力を向上するため、大学入試におけるTOEFL等の外部試験の一層の活用の促進や、一定以上の成績の卒業要件化を促進するとともに、英語を実践的に活用できる人材育成を目的とした教育プログラムを開発・実施する大学への支援を行います。また、国際的に認められる大学入学資格である国際バカロレア※資格について、一部のカリキュラムを日本語でも履修可能にするプログラム(日本語DP)を開発・導入し、国際バカロレア資格を取得可能な高校等を平成30年頃までに200校程度に増加させます。さらに、英語での授業の実施割合の飛躍的な向上や、外国人や海外で学位を取得した若手の積極採用を行うなど、スピード感をもって国際化を断行する世界トップレベルの教育・研究を担う大学を30校程度指定し、重点的に支援します。

  理数教育については、将来、イノベーションの担い手として世界を牽引していくリーダーとなるような明確な目的意識を持つ子供の育成に向けて、子供の多様性を尊重し、創造性を育むとともに、優れた資質を伸ばし、育てる才能教育を強化します。理数好きな子供を増やすため、体験活動や実験教室の充実、理工学部の学生や企業関係者等の外部人材の活用、さらには理数教育に携わる教師の指導力向上等、初等中等教育段階での理数教育を大幅に充実します。また、全国学力・学習状況調査で、国語・算数(数学)に加え、理科の調査を定期的に実施します。

  理科専科教員の増員や理科設備の計画的整備、先進的な理科教育を行うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)※や「超SSH」を推進するとともに、学校を超えた才能教育の場や、中学・高校生の「科学の甲子園」などの活躍の場の充実等を推進し、国際科学オリンピックに参加する児童生徒数の大幅な増加を促進し、国際的な交流機会を拡大します。また、高等教育段階において、入学時に必要な学力として文系においても理数の力を重視する取組みや、文理横断型教育プログラムの開発などを支援します。

  ICT教育については、1人1台のタブレットPC、電子黒板、無線LAN等が整備された拠点地域を各都道府県に合計100程度指定し、先導的な教育システムを開発します。また、小・中・高等学校におけるICT環境を5年間を目途に整備します。教員養成カリキュラム、教員採用選考、免許更新講習等を通じて、全ての教師がICT活用指導力を身に付けるように取り組むとともに、ICT支援員の全学校配置を目指します。タブレットPCの計画的整備やデジタル教科書・教材の開発、多様な情報端末で利用するための標準化等の技術開発に取り組み、世界最高水準のICT教育コンテンツ・システムを創造します。加えて、世界最高水準のICT教育を受ける子供にふさわしい、世界最高水準の情報リテラシー教育、発達段階に応じた情報モラル教育を徹底します。


294 公教育における国の責任体制の確立

  義務教育については国が責任を果たすとの理念に立ち、教育の正常化を図った上で、子供が日本のどこで生まれ育ったとしてもふるさとで頑張っていれば必ず夢が実現できる環境を整えるため、教育の地域間格差が生じないよう、公教育の底上げを徹底的に取り組みます。

  国際的な学力調査の結果を見ても、日本はトップレベルの国々と比べると下位層が多い現状にあります。「落ちこぼれ」をつくらないことは公教育の使命です。このような観点から、学習指導要領をはじめとした学校教育に関する基準によって教育の質を保障するとともに、一人ひとりの子供にしっかりと目を行き届かせるための指導体制を充実させます。

  経済状況をはじめとした家庭環境によって教育格差が生じないよう、教育費負担の軽減などに取り組むとともに、地方自治体の財政力によって教育条件に格差が生じないよう、義務教育費国庫負担金については、国が全額負担することを含め検討します。

  さらに、地方自治の精神を尊重しつつ、いじめの隠ぺいなど、地方教育行政において、法令に違反している、あるいは児童生徒の「教育を受ける権利」を著しく侵害するおそれのある場合、公教育の最終責任者たる国(文部科学大臣)が責任を果たせるよう、『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』を改正します。


295 わが国を愛する心を養う教育と体験活動などの推進

  国旗・国歌を尊重し、わが国の将来を担う主権者を育成する教育を推進します。不適切な性教育やジェンダーフリー教育※、自虐史観偏向教育等は行わせません。

  中学・高校でボランティア活動やインターンシップを積極的に推進し、公共心や社会性を涵養します。キャリア教育や職業教育、また、豊かな体験に裏打ちされた子供の力強い成長を促す農山漁村地域での長期宿泊体験学習等を推進します。あわせて、地域に根差した伝統・文化や、スポーツクラブ、サークル活動などの地域の絆を守り、支える取組みを支援(「伝統文化親子教室」の充実など)します。


296 規範意識を養う教育の推進と新科目「公共」の設置

  人が人として生きる上で必要な規範意識や社会のルール、マナーなどを学ぶ道徳教育については、道徳の特性を踏まえた新たな枠組みにより教科化し、誇るべき先人の伝記を学ぶなどわが国の伝統に根差した指導を充実します。また、高等学校において社会参加や消費者教育等の推進を図るため、新科目「公共」を設置するとともに、現行の家庭科教育の単位数をゆとり教育前に戻し、かつ、現代の家庭教育に役立つ単元を増やします。


297 健康で元気な生活のため、食文化・食育の推進

  知育、徳育、体育、そして食育、才育という五育、その中でも生きる上での基本である食育を、『食育基本法』に基づき、より一層すべての世代に浸透させていきます。
  また、日本の誇るべき食文化を世界に正しく広めていくため、必要な措置を講じます。


298 激動の時代に対応する、新たな教育改革(平成の学制大改革)

  世界トップの教育立国とするため、結果の平等主義から脱却し、社会状況や子供の多様な成長の実態等に応じた、学校制度の多様化・複線化を図ります。終戦直後に整備されて以来、現在まで変わらず続いている6-3-3-4制について弾力化し、6歳から15歳までの9年間を一貫教育する「義務教育学校(仮称)」について制度化を図るとともに、小中高一貫教育や義務教育の早期化、義務教育化を含めた高校の理念・あり方等について検討を進め、4-4-4、5-4-3などの新たな学校区分に移行するなど、新時代に対応した「平成の学制大改革」を断行します。その際、これらの取組みを円滑に進めるため、財政的支援を含め、先導的取組みに対する総合的支援の仕組みを創設します。

  また、小学校5・6年生への教科担当制の導入、飛び級・高校早期卒業の制度化、放課後・土曜日等を活用した多様な学習、中学・高校における学び直しのための体制整備など、個人の能力・適性に応じた学びの保証システムを実現します。さらに、後期中等教育の複線化を図るため、専門高校等を活用した5年一貫職業教育や専門高校の高専化、専門高校と専門学校との連携接続を促進します。このような取組みにあわせて、『改正教育基本法』に対応した関係法令の見直し・改正を行います。

  小学・中学校卒業時における学力評価や高校での達成度試験の実施を図り、確実に学力を身に付けさせます。あわせて、高校在学中も何度も挑戦できる達成度テスト(日本版バカロレア)の創設や、それを前提とした論文、面接、多様な経験重視で潜在力を評価する入試改革など、大学全入時代の大学入試のあり方そのものを検討します。

  大学の秋季入学を促進し、高校卒業から入学までのギャップターム(半年間)などを活用して、大学生等の体験活動(海外留学のほか、国とふるさと、環境を守る仕事−例えば、海外NGO、農業・福祉体験、自衛隊・消防団体験等)をより一層支援し、学生の体験活動やインターンシップの評価・単位化を行い、企業の採用プロセスに活用します。

  一度社会に出てからも、スキルアップ、職種転換、子育てからの復帰等に役立つ学び直しができるよう、意欲のある学習者、学びやすい環境を構築する企業、産業界のニーズを踏まえた実践的な教育プログラムを提供する大学・専修学校等への支援など、社会人が再び大学・専修学校等で学べるシステムを導入し、産業構造の変化に対応したキャリアアップの機会保障と再チャレンジを促進します。


299 教育委員会の責任体制の確立と教育行政の権限のあり方の検討

  地方分権を受けて、地方自治体の教育政策決定や教育行政運営において、首長や地方議会の役割が高まっています。いじめ問題でも明らかになった、形骸化・名誉職化しているなどの批判がある教育委員会の責任体制を再確立し、本来の職責を果たせるよう、教育の政治的中立を確保しつつ、自治体の教育行政に民意を反映させ、効率的・迅速に運営する必要があります。

  例えば、首長が地方議会の同意を得て任命する常勤の「教育長」を教育委員会の責任者とするなど、国と地方の間や、地方教育行政における権限と責任のあり方について、抜本的な改革を行います。


300 真に教育基本法・学習指導要領に適った教科書の作成・採択

  『教育基本法』が改正され、新しい学習指導要領が定められてから、初めての教科書の採択が行われましたが、多くの教科書に、いまだに自虐史観に立つなど、偏向した記述が存在します。

  真に『教育基本法』・学習指導要領に適った、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」ための教科書で、子供たちが学ぶことができるよう、教科書検定制度や、副読本なども含めた教科書採択のあり方について、文部科学大臣が各教科書共通で記載すべき事項を具体的に定めます。

  また、研究上事実として確定していない事柄は基本的に本文では扱わない、参考資料等として提示をする場合は特定の学説のみを記載せず数値等の根拠を示す等の抜本的改革を進め、いわゆる「近隣諸国条項」に関しては、見直します。さらに、地域によっては長年にわたり特定の教科書会社の教科書が採択され続けている現状に対し、検討を加えます。


301 子供たちの夢を徹底的に支援するための教育費負担の軽減

  家庭の経済状況に関わらず、志ある子供たちの夢を徹底的に支援するため、各学校段階で教育費負担の軽減のための取組みを強化します。小学校入学前段階においては幼児教育の無償化に向けて取り組み、義務教育段階においては、就学援助の充実に取り組みます。高校授業料無償化については、所得制限を設け、低所得者のための給付型奨学金の創設を図ることや私学における低所得者の授業料無償化などの公私間格差を解消するための財源とすることを検討するなど、真に公助が必要な方々のための制度になるように見直します。

  高等教育段階においては、入学金や授業料免除の対象拡大、給付型奨学金の創設、博士課程学生へのフェローシップ、ティーチング・アシスタント※及びリサーチ・アシスタント※の充実などの経済支援を検討し、学生全員が安心して学べる環境を整備します。


302 安心して、夢の持てる教育を受けられる社会の実現

  質の高い教育ときめ細かい指導を行うために、わが党の考えを受け入れて改正された『公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律』に基づき、教職員定数のあり方全般について検討を行います。さらに、東日本大震災の被災地に対する教職員の加配やスクールカウンセラーの充実等を引き続き措置し、あわせて、被災地の教師の心のケアも図ります。

  いじめや不登校の解決のため、スクールカウンセラーの充実等、問題を早期に発見し、適切に対応できる体制をつくります。小・中・高等学校で17万4千人を超える不登校者、5万4千人を超える高校中退者(平成23年度)を減少させるための教育を実現します。

  また、『教育基本法』に定める学校・家庭・地域の連携をさらに進め、社会総がかりで子供を支えていくため、放課後の学習支援を充実するとともに、学校支援地域本部をはじめとした学校と地域が連携・協働する体制を全ての学校区に構築します。その際、豊富な知識・経験を持つ退職者など外部の人材が、放課後や土曜日における学習、総合的学習の時間や道徳等において、その社会体験を活かした支援を行うなど、外部人材30万人の参加を目指して学校サポーター制度を導入します。


303 いじめを無くし、一人ひとりを大切に

  「いじめは絶対に許されない」との意識を日本全体で共有し、加害者にも、被害者にも、傍観者にもしない教育を実現します。第一に守るべきは、いじめの被害者です。いじめを繰り返す児童生徒への出席停止処分や、行為が犯罪に該当する場合は警察に通報する(いじめと犯罪の明確な区別)、道徳教育の徹底など、今すぐできる対策を断行します。『いじめ防止対策推進法』に基づき、統合的ないじめ対策を行うとともに、いじめ対策に取り組む地方自治体を、国が財政面などで強力に支援します。


304 公私間格差の是正・私学助成の拡充

  公教育において私学が果たしてきた重要性に鑑み、私学の建学の精神を尊重しつつ、『私立学校振興助成法』の目的の完全実現(教育条件の維持・向上、修学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上)のため、公私間格差の解消を図ります。また、まずは2分の1を目標に、私学助成を充実します。


305 教育の政治的中立を確保するための「新教育三法」

  教育公務員を「教育専門職」と明確に位置付け、「教育公務員倫理規程(仮称)」を制定して、職務規律を確立します。『教育公務員特例法』違反者に罰則規定を設け、教職員組合(日教組等)の政治的中立確保及び、選挙活動・強制カンパ等の違法活動を防止します。教職員組合の収支報告を義務付け、公金を原資とした資金の透明化を図るとともに、違法活動団体は、『地方公務員法』に定める人事委員会の登録団体から除外します。『義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法』の徹底を図り、教育委員会等に必要な調査を義務付けるための法改正を行います。

  北海道教職員組合による違法献金事件では、教育委員会が行った勤務実態調査により、勤務時間中の組合活動など数多くの違法行為の実態が明らかになりました。わが党は、これは給与(義務教育費国庫負担金)の不正受給にあたると指摘して、会計検査院による調査を実施させました。さらに、わが党の指摘により発覚したPTA会費の不正使用について、徹底的に全国調査を行わせ、再発を防止します。わが党は、今後とも、教育の政治的中立・正常化に徹底的に取り組みます。


306 『新人材確保法』の整備(教師力の向上と適切な教育内容の確保)

  世界のリーダーとなる日本人を育成できる力がある教師を養成するため、大学・大学院卒業後、准免許を付与し、インターン期間を経て、採用側と本人が適性を判断し、インターン修了後、認定の上、本免許を付与して正式採用する、「教師インターン制度」を導入するなど、教師力向上のための改革を行います。その際には、公立小・中学校において新任教師は担任を持たずに1年間研修に集中・専念する仕組みを整備します。

  教育は人なり。今後、教師志望段階において多くの優秀な人材が集まるよう、教師となった場合に奨学金返還を免除する仕組み(「教師奨学金返還免除制度(仮称)」)を検討します。また、多様な人材を確保する観点から、社会人教師の採用や特別免許状の発行の拡大などを行い、社会人から教師への登用の倍増(教師採用数の約1割)を目指します。さらに、教員免許更新制度の運用面での課題を是正するため、教師大学院(教職大学院)などと連携し、研修の充実を図ります。教師の資質向上のための取組みを進めるにあたっては、大学と教育委員会が協働して教師を鍛えるための環境づくりの視点から、各教育委員会が教師養成に一定の責任を持つ「教師塾」の全国展開を促進するとともに、養成・採用・研修を通じて総合的に教師力の向上を図るための中核的拠点を創設します。

  指導力不足教員は教壇に立たせません。「教員の長期社会体験研修事業」のように、現職の教師を民間企業や、社会福祉施設などに派遣して交流を図ることなどにより、教師の視野の拡大を図るとともに、学校運営に真に頑張っているやる気のある管理職の処遇を向上し、その士気を高めます。その際、学校管理職の資格化について検討するなど、学校ガバナンス改革を進めます。

  適切な教育内容の確保のため、一人ひとりに目の行き届く授業のためのチーム教育を推進するとともに、少人数指導、専科指導、特別支援教育やいじめ問題への対応、主幹教諭の配置促進等も含め、教育再生につながる教職員等指導体制の充実を図ります。教師の勤務評価及び、それに基づく処遇が適切に行われるよう、教育長及び校長の責務を設けます。また、教育長、指導主事、校長、主幹、教諭等の役割と責務を法律上明記し、責任体制を確立します。教員人事への教職員組合等の介入を排し、バランスのとれた教員配置を実現します。任意設置となっている主幹教諭を「必置」とし、一部の地域で教職員組合に流用されている主任手当、及び主任制度を廃止します。

  また、教育活動に熱心に取り組んでいる教師に報いるため、教員評価結果を処遇に反映するとともに、部活動手当の増額、社会貢献活動手当の創設などメリハリある給与形態の確立や優秀教員認定及び教師が子どもたちに没頭できる教育システムを構築し、真に頑張っている教師を徹底的に応援します。以上の内容を実行するために義務教育国庫負担金を国が全額負担することを含めて検討し、長期的に安定して質の高い人材確保を目的とした『新人材確保法』の制定を目指します。


307 安全・安心な学校環境の構築

  災害からの子供の生命・身体の安全の確保に加え、大規模地震などの災害時には地域の避難所として重要な役割を果たしている学校施設について、天井材などの非構造部材を含めた耐震化や長寿命化を含めた老朽化対策を加速します。また、公立に比べて遅れている私立学校の耐震化の一層の促進を図るため、耐震改築の補助制度の創設を検討します。あわせて、災害時においては学校施設が避難所となることから、独立して域外と連絡可能な通信設備の設置や、自家発電設備、備蓄倉庫、井戸や給水槽の設置等、学校施設の防災拠点としての整備を進めます。さらに、地方自治体が財政上、困窮していることに鑑み、国からの支援の強化に努めます。

  東日本大震災の教訓を活かし、保護者が帰宅困難になった際などに、子供を学校に留め置いて安全を確保するなど、保護者や子供の立場に立った災害対応体制を整備します。地震・台風・火災などの災害を身近な危険として認識し、日頃から備え、災害の被害を防ぐため、地域の実情にあった「防災教育」を充実します。あわせて、通学路の安全を確保するなど、子供が安心して通学できる学校環境を整備します。


308 幼児教育の充実・強化と幼児教育の無償化

  『教育基本法』の定めの通り、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、全ての子供に質の高い幼児教育を保障します。特に、小学校入学前の多様化する教育・保育ニーズに柔軟に対応するため、幼稚園・保育所・認定こども園の教育機能の充実・強化を図ります。

  同時に、国公私立の幼稚園・保育所・認定こども園を通じ、全ての3歳から小学校入学までの幼児教育の無償化に向けて取り組みます。


309 家庭教育の支援体制強化

  全ての教育の出発は家庭教育であり、『教育基本法』では、保護者が子供の教育について第一義的責任を有すること、国や地方自治体が家庭教育支援に努めるべきことを定めています。幼児教育の前提として、安定した家庭の存在が不可欠であり、まずは保護者がその責任を果たすことが必要ですが、それが必ずしも容易ではありません。例えば、孤立しがちな若い親に対し、学校等の地域の身近な場において、家庭教育を支援する機能をきめ細かく整備する等の支援体制を強化します。


310 読解力を高める国語教育

  国語科は各教科等の学習の基盤であり、小・中・高等学校を通じて国語教育の一層の充実を図ること、特に、読解力、知識・技能の活用等、思考力・判断力・表現力の育成を重視することが必要です。そのため、国語科の授業について、「子どもの言語能力を育てる授業」へと改善し、具体的には、OECD※/PISA※調査で測られるような読解力の育成のため、子供が「聴いて→考えて→つなぐ」学習を展開します。


311 真に外国人との友好を築く日本語教育

  外国人の子供が公立学校に通っても、日本語が分からない等の理由により授業についていけず、不就学になる者が多いとの指摘があるため、日本語指導員の配置等、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受入体制を構築します。

  外国人の大人に対する日本語教育は、体制が十分に整備されているとは言えません。外国人に対する日本語教育の質と量を十分に確保するためには、日本語を学習する機会の拡充が必要です。『日本語教育推進法』の制定を含めた検討を行い、「生活者としての外国人のための日本語教育事業」等を継続的に実施・充実させるなど、真に外国人との友好を育むための環境整備を行います。また、海外における日本語の普及にも取り組みます。


312 一人ひとりを大切にし、充分に力を伸ばす特別支援教育

  養護教諭の複数化の充実、特別支援教育コーディネーターの機能強化、高等学校への支援員の配置、発達障害のある児童生徒の実態調査を検討した個々の生徒に必要な教育環境の整備、ICT等の技術を活用した教材等の研究、指導内容・方法の工夫改善、障害のある生徒に配慮した高校入試の実施、中学・高校連携による進路指導の充実、特別支援学校等と産業界との連携による実践的指導の実施、障害者就労支援コーディネーターの配置、国立大学法人附属学校における特別支援教育の推進・充実等に重点的に取り組みます。

  全ての小・中・高等学校の教師が特別支援教育の基礎を身に付けられるようにし、発達障害を含む障害のある子供一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育を推進します。


313 受験一辺倒でない多様な選択肢を持つ教育

  人材育成に関する社会の要請に応えるため、普通高校以外に、最先端の職業教育を行う専門高校を整備する等、多様性・専門性のある選択ができるようにします。また、高等教育における産学連携を強化するとともに、専門学校の果たしてきた実績に基づきさらなる質保証・向上に取り組み、また、職業教育に特化した新しい高等教育機関の創設について、『学校教育法』上の地位も含め検討します。現状の専修学校・各種学校の存在意義を十分認識して、他の学校群との制度的格差の解消を目指し、財政的支援や教育内容の充実に向けての公的支援等を図ります。

  大学、専修学校等と産業界・地域社会とのより幅広い連携協力の下で、中核的役割を果たす専門人材の養成に取り組みます。地域密着型のコミュニティカレッジ化により、技能習得と就労を支援します。


314 若者の自立・自活を促すキャリア教育と職業教育の推進

  全ての小・中・高等学校における最低3日間の職場体験(農業体験、ボランティア活動等を含む)の必修化の実現に努め、自立・自活できる若者を育てます。また、教育機関、地域企業、NPO等の力を結集し、わが国全体で学校の体験活動を推進する体制を強化します。さらに、教員研修においてキャリア教育と多くの職業について学ぶ機会を充実します。

  学生の在学中のインターンシップ参加率を50%以上に引き上げるため、大企業・地域企業が協力しやすい環境を整備し、学生が早い段階からインターンシップに参加できるようにします。また、小学校から大学まで、課題解決型授業・インターンシップ・ビジネスコンテスト等に継続的に取り組むことを通し、主体的に生き方・働き方を選択できるキャリア教育の体制を充実させます。

  ドロップアウト予防策として、ニート予備軍に対して教育機関と地域若者サポートステーションの連携などを通して働きかける「アウトリーチ型支援」を強化し、中退者等に関する情報の共有を進めるとともに、就労に向けた幅広い相談に応じる体制を整備し、ドロップアウトの初期段階への集中的な支援を行います。また、『キャリア教育・職業教育推進法(仮称)』制定の検討に取り組み、わが国全体でキャリア教育・職業教育を推進する体制を整備します。


315 高等教育政策・大学政策の積極的な推進(大学ビッグバン)

  「大学力」は国力そのものであり、質・量両面の充実・強化が必要です。学修時間の大幅な増加や学修環境整備の拡充により、大学における学生の主体的な学びを推進します。また、社会や学生ニーズの観点からの新規参入認可プロセスの明確化など、大学強化のための制度の見直しや、経営が悪化したり、質が著しく低下した大学の改善の支援とともに、それでも成果が見込めないと認められる場合、退場を促す仕組みを確立します。

  国立大学については、グローバル化推進やイノベーション人材育成等の社会からの期待に応えるため、今後3年間を改革加速期間とし、@年俸制の本格導入などの人事給与システムの改革、A大学や学部の枠を越えた資源再配分及び組織再編、大学内の資源配分の可視化、B上記の先駆的な取組みの成果を踏まえた、運営費交付金全体を戦略的・重点的に配分する仕組みの導入などの改革を推進します。

  世界トップレベルの大学は特区化し、諸規制を撤廃します。オープン・ラボ(開放型研究施設)、研究サポートスタッフの設置を義務化します。世界トップレベル大学からの博士号を持つ若手研究者の大量スカウト、資金支援などを行います。

  大学教育の質の保証を徹底するための全体的な制度(設置基準や大学評価等)を充実するとともに、大学教育の改革に取り組む大学への資金の重点配分を行います。また、開かれた教育と研究体制をつくり、学長のリーダーシップを強化するため、抜本的なガバナンス改革を行うこととし、学長と教授会の役割の明確化や、学長を支えるスタッフ(理事、副学長、財務等の専門スタッフ)の抜本的強化、学長裁量経費の充実などを行います。

  私立大学の収入の約8割は学生納付金であり受益者負担が重いので、国公私立大学の設置形態論・経費の受益者負担論の見直し等を行い、財政支出の仕組みの再構築を検討します。また、多様な財源の確保による安定的な経営を可能にするため、寄附の拡充等、民間資金を自主的・積極的に調達するための環境整備を推進します。大学同士だけでなく、地域共創(大学と地方・地域社会、産業の連携)運動を積極的に推進するとともに、大学の多様な取組みについて情報の国内外への発信を推進します。さらに、学生の学修時間の確保や留学等の多様な機会を確保し、大学等が社会の要請に応える人材の育成を行うため、就職活動時期の見直しに取り組みます。


316 国立大学法人運営費交付金等の安定的な確保

  わが国の基礎科学の中核を担っているのは、多様な人材が集い、教育活動や研究活動を行っている大学ですが、近年、その安定的な教育研究活動を支える基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設整備費補助金、私学助成金)が減少傾向にあります。

  これにより、教員数の維持や施設・設備の管理・運用等で、多大な困難が生じていると指摘されているので、わが国の基礎科学を強化する観点からも、これらの基盤的経費を安定的に確保します。その上で、国立大学の抜本的機能強化を図るため、運営費交付金の戦略配分を実現します。東日本大震災の被災地にある大学が、被災地復興の拠点として研究やプロジェクト実践を進められるよう、重点化して支援を行います。


317 大学院教育の抜本改革

  大学院について、研究活動のみならず教育活動を一層重視し、文系・理系それぞれの設置目的に応じた多様性を確保して、体系的かつ集中的な人材育成の取組みを強化します。また、社会の多様な場で活躍する人材を育成・確保するため、産業界や優れた人材育成の取組みを行っている公的研究機関等との密接な連携・協力を推進し、社会人が学べる環境を整備するなど、大学院における教育活動を強化します。

  世界をリードする大学院の形成を促進するとともに、世界水準にある大学院の層に厚みを持たせるため、世界最先端の優れた教育研究活動を行う大学や、特定分野で質の高い教育研究活動を行う大学等に対する重点的支援を強化します。また、教育研究活動の閉鎖性・排他性を排除するため、学問分野別に細分化して設けられている学協会の改革を促進します。


318 若手研究者の活躍促進

  単なる任期付ではない若手研究者のポストを大幅に増やすとともに、キャリアパス※を多様化するため、産業界の研究職や知的財産管理等の研究支援に携わる専門職等での活躍を促進します。公的研究機関等における、ポスドク※等を対象とした専門人材育成の取組みを支援し、活躍機会を拡大します。若手研究者が自立して研究に専念できるようにするための新たな研究資金制度として、当該研究者の名前を冠した「冠プロジェクト」を創設します。


319 「留学生30万人計画」と学生・研究者の国際交流の積極的推進

  「留学生30万人計画」の実現を目指し(当面20万人目標)、国・地域・分野等に留意しつつ、優秀な留学生を戦略的に獲得します。世界的な外国人留学生の獲得競争の中で、日本で学ぶ留学生や研究者が増えるよう、海外拠点を活用した教育研究活動に関する情報発信の強化や現地入試等を促進します。また、質の高い学習環境を整備するため、国費留学生制度等を拡充するとともに、地方自治体や大学、民間団体、NPO等が連携した生活支援など在学時の受け入れ環境づくり、インターンシップの実施、卒業・修了後の就職支援など社会の受け入れの推進を図ります。その一方で、受け入れる留学生の人数を増やすだけではなく、真に優秀な人材を獲得するため、具体的な戦略を練って取り組みます。

  日本経済を再生するには、グローバルに活躍できる「強い」日本人の育成が必要であり、意欲と能力に富む全ての学生に留学の機会を与える環境整備を進めます。このため、ギャップタームにおける海外での体験活動を含め、必要な留学等の経費の支援に係る民間団体等と連携した仕組みの創設や就職活動への影響の回避、語学力の向上など、留学しやすい環境を整備します。

  世界水準の教育研究活動を展開するためには、海外から優れた研究者を受け入れ、協働で研究活動に取り組むことが不可欠であり、奨学金の充実や受け入れ機関の体制整備、周辺の生活環境の整備等を推進し、優秀な留学生や海外からの研究者の受け入れを大幅に拡充します。また、秋季入学など柔軟なアカデミック・カレンダーの導入や留学支援体制の充実など、学生交流を促進する体制作りの取組みや、アジア、米国、欧州等の大学との国際教育連携の促進などを通じて、大学の徹底した国際化を推進します。


320 『スポーツ基本法』に基づく「スポーツ立国」の実現

  スポーツを国家戦略として推進するため、わが党主導により議員立法で制定した『スポーツ基本法』に基づき、「スポーツ立国」を実現するための諸施策を強力に推進するとともに、スポーツ庁、スポーツ担当大臣の新設を検討します。また、スポーツを人間の調和のとれた発育に役立てるため、文化や教育と一体として捉え、その競技的価値のみならず、教育・健康・地域社会再生・国民経済発展・国際交流促進などの観点から拡充することにより、スポーツを国民に浸透させ、その文化的・教育的価値や社会的責任を高めます。

  オリンピック等国際大会で日本人選手が活躍できるよう、ナショナルトレーニングセンター※の利用を無料化する等、国際競技力向上に向けた諸施策を推進します。また、わが国の復興を示す象徴として、2020年東京オリンピック・パラリンピックを招致するため、政府・経済界と一体となり招致活動に取り組むとともに、国立霞ヶ丘競技場を全面改築し、被災地での競技開催とキャンプ地の全国展開を実現します。あわせて、2019年ラグビーワールドカップの成功に全力を尽くします。さらに、各競技の国際大会の誘致に取り組みます。

  学校における体育の充実を図るとともに、運動部活動における体罰を根絶し、運動部活動を充実します。また、全国体力・運動能力等調査を悉皆で行うとともに、調査結果の活用による子供の体力向上の取組みを推進します。さらに、子供から高齢者までスポーツに親しむ人々の裾野を広げることが重要であり、国民体育大会、総合型地域スポーツクラブ、指導者養成事業など各種スポーツ振興事業の充実を図り、また、地域の住民が学校のグラウンドや体育館を利用しやすい環境の整備についても検討を進め、女性や高齢者、障害者を含む国民の誰もがそれぞれの体力等に応じてスポーツに親しむことを促進します。


321 スポーツ振興体制の充実・強化

  スポーツ振興に対する一層の財源を確保するため、『toto法』を改正し、独立行政法人日本スポーツ振興センターの実施する「スポーツ振興くじ(toto)※」の対象を欧州サッカー等にも拡大しました。今後、助成対象団体等が申請しやすいシステム整備や、寄附が促進されるための施策を検討します。

  生涯スポーツの振興並びに競技力の向上を実現していくため、スポーツ関係団体・組織の一層の充実・活性化を目指し、プロ、アマチュアを問わないアスリートの雇用促進や引退後の選手の生活の保障も合わせたセカンドキャリアの活用をはじめ、優れた人材並びに財源の確保を図り、地域スポーツ社会における人材の好循環と社会貢献を目指します。そのために、スポーツ基本計画にあるアスリートのスポーツキャリア形成のための支援を推進します。


322 2020年オリンピック・パラリンピックの東京招致

  総裁の直轄機関である「2020年オリンピック・パラリンピック東京招致推進本部」が司令塔となり、議員外交や知人・友人に働きかけて東京招致に向けた機運を高める「友達作戦」を展開し、党組織をあげて2020年五輪の東京招致活動を推進しています。今後も、アンチ・ドーピング機構への支援やJICAによる発展途上国へのスポーツ指導者の派遣事業を強化するとともに、スポーツ外交を展開し、平和を目指すオリンピックムーブメントへの世界各国の参画を促していきます。

  また、2020年に東京五輪の開催が実現した後には、オリンピックレガシー(遺産)として競技場や交通網などのインフラをフル活用するだけでなく、多様な価値観を学び、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てる「オリンピック教育」を学習指導要領に位置付け、スポーツを通じて子供が友情やフェアプレー精神を培い、相互に理解し合う力を高めていきます。


323 世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出

  文化が新たな国富を生み出す観点からも、日本の文化力を計画的に強化するための中期プランを策定し、芸術活動への支援や、伝統文化の継承・発展や文化財の保存・活用、文化施設の改修等による機能強化や若手芸術家等の人材の積極的育成などを通じ、世界に誇るべき「文化芸術立国」を目指します。劇場、音楽堂等を活性化し、実演芸術の振興を図るとともに、文化芸術を通した地域の活性化にも取り組みます。日本文化を戦略的に海外発信するため、伝統的な文化・芸術の継承・発展を引き続き推進するとともに、アニメなど新たな日本ブランドとしてのメディア芸術の振興や人材育成、制作者の待遇改善を図ります。文化交流の相手先と内容の重点化、優れた芸術の国際交流の推進、海外の日本語教育拠点の拡充等を行います。

  文化芸術の創造性が産業や地域の活性化に結びつく取組みを行う「文化芸術創造都市」が全国各地に形成されるよう支援します。また、文化芸術体験はわが国の将来を担う子供の豊かな感性や創造力の涵養に資するという認識の下、国として責任を持って義務教育期間中に、全ての子供が、質の高い文化芸術を最低2回(伝統芸能と現代舞台芸術を各1回)は鑑賞・体験することができるようにするとともに、地域に伝わる伝統芸能などを、親や子供にしっかりと伝えるための「伝統文化親子教室」の取組みを充実します。

  デジタル化・ネットワーク化の進展により電子書籍等の電子出版物が増加しており、インターネット上における電子出版物の海賊版対策が急務です。文字・活字文化振興のため、デジタル時代に即した『著作権法』改正を行い、現行の出版権を見直します。また、わが国の文化関係予算は高い水準にあると言えず、「文化芸術立国」の創出に向けて、必要な文化予算を確保します。


324 文化芸術活動の支援、文化財の後世への継承

  文化芸術団体の円滑な活動のため、専門的人材の育成や意欲的・先進的な活動に対して、手厚い支援を行います。寄附文化の醸成を図るための税制上の優遇措置を検討します。東京には国立劇場をはじめ、多くの文化施設が存在しますが、これらと各地域の文化施設のネットワークを強化することにより、全国各地での鑑賞機会の充実を図ります。

  東日本大震災で被災した文化財の復旧を進めるとともに、地震や火災等の災害から文化財を守るための防災対策を推進します。貴重な民俗文化財について、後世に確実に引き継いでいくため、映像記録(デジタルデータ)等の作成を推進します。


325 世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用

  本年、富士山が「世界遺産」に登録され、わが国は、13件の文化遺産、4件の自然遺産となりました。また、地域に根差す伝統・慣習など文化の多様性を象徴する「無形文化遺産」では、能楽や人形浄瑠璃文楽、歌舞伎など21件が登録されています。さらに、国連食糧農業機関の「世界農業遺産」には、新潟県佐渡市、石川県能登半島、静岡県掛川地域、熊本県阿蘇地域及び大分県国東地域が登録されています。これらの世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用を図ることによって、海外への日本文化の発信及び諸外国との相互理解の増進や、わが国の文化を再認識し、歴史と文化を尊ぶ心の育成、文化財の次世代への継承などを積極的に推進します。





  • ※バカロレア フランスにおける大学入学資格を得るための国家試験。
  • ※スーパーサイエンスハイスクール 文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度。
  • ※ジェンダーフリー教育 男らしさや女らしさなどの性差を否定したり、伝統文化を否定する教育。
  • ※ティーチング・アシスタント 大学院生に対し、学部学生等への助言や実験、演習等の教育補助業務を行わせ、大学教育の充実と大学院生のトレーニングの機会提供を図るもの。給与が支給されるため、経済的支援にもなる。
  • ※リサーチ・アシスタント 大学教員の研究補助者として大学院生が雇用されるもの。給与が支給されるため、経済的支援にもなる。
  • ※OECD 経済協力開発機構。
  • ※PISA OECDが進める国際的学習到達度調査。
  • ※キャリアパス 自分の仕事において、過去の職歴から現在の職務を通して今後の希望や予想による職歴まで一貫して俯瞰するためのキャリアプラン。
  • ※ポスドク Post-Doctoral Fellow の略。Ph.Dを取得したが常勤の研究職、教育職についていない大学等研究機関の研究員のこと。一般的には、短期契約である。
  • ※ナショナルトレーニングセンター スポーツ振興基本計画を受けて設置されている、日本のトップレベル競技者用トレーニング施設。
  • ※スポーツ振興くじ(toto) J リーグの試合結果を予想して投票し、的中すると払戻金を受けられるくじ。売り上げはスポーツ振興にあてられる。






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