● 教育職員免許法の一部を改正する法律等の施行について(専科担任、特別免許状、失効等) 平成14年6月28日 14文科初430



                             14文科初第430号
                             平成14年6月28日
各国公私立大学長
各国立短期大学部学長
各国公私立高等専門学校長
国立久里浜養護学校長
放送大学長                殿
各都道府県教育委員会
各指定都市教育委員会
各都道府県知事
独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長
各指定教員養成機関の長
                        文部科学事務次官
                              小 野 元 之


     教育職員免許法の一部を改正する法律等の施行について(通知)


 このたび,別添のとおり,「教育職員免許法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が,平成14年5月31日法律第55号をもって公布され,平成14年7月1日(一部平成15年1月1日)から施行されることとなりました。
 また,「教育公務員特例法施行令の一部を改正する政令」が平成14年6月28日政令第240号をもって,「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」(以下「改正省令」という。)が平成14年6月24日文部科学省令第31号をもって公布され,それぞれ平成14年7月1日から施行されることとなりました。
 今回の改正の趣旨,要点及び留意事項は,下記のとおりですので,各位におかれては,事務処理上遺漏のないように願います。
 各都道府県教育委員会,指定都市教育委員会及び都道府県知事におかれては,域内の市町村教育委員会,所管又は所轄の学校及び学校法人等に対して,今回の改正の趣旨について周知を図るとともに,必要な指導,助言又は援助をお願いします。


                   記


第一 教育職員免許法の一部を改正する法律について

1 趣旨
 幼稚園,小学校,中学校及び高等学校の各学校段階間の連携の促進並びに小学校における専科指導の充実等を図るため,教員免許制度上の弾力的措置を講じるとともに,学校教育への社会人の活用を促進するため所要の措置を講ずるものであること。また,教員に対する信頼を確保するため,教員免許状の失効及び取上げに係る措置を強化するものであること。

2 要点
(1)他校種免許状による専科担任制度の拡充
 @ 中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校(盲学校,聾学校又は養護学校の小学部を含む。)の相当する教料及びその他教科に関する事項で文部科学省令で定めるものの教授又は実習を担任することができることとしたこと。(第16条の5第1項関係)
 A 高等学校の専門教科等(工芸,書道,看護,情報,農業,工業,商業,水産,福祉若しくは商船又は看護実習,情報実習,農業実習,工業実習,商業実習,水産実習,福祉実習若しくは商船実習の教科又は第16条の4第1項に規定する文部科学省令で定める教科の領域の一部に係る事項)の教諭の免許状を有する者が中学校(中等教育学校の前期課程及び盲学校,聾学校又は養護学校の中学部を含む。)の相当する教科及びその他教科に関する事項で文部科学省令で定めるものの教授又は実習を担任することができることとしたこと。(第16条の5第2項関係)
(2)隣接校種免許状の取得を促進する制度の創設
 @ 普通免許状を有する者が,3年の教職経験により,要修得単位数を軽減して,隣接校種の普通免許状を取得できることとしたこと。(別表第8関係)
 A 隣接校種免許状の取得のための単位を免許法認定講習,免許法認定公開講座等で修得できることとしたこと。(第6条別表第3備考第6号関係)
(3)特別免許状の授与要件の見直し等
 @ 特別免許状の授与要件のうち,「学士の学位を有する者又は文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認めた者」を撤廃するとともに,「専門的な知識又は技能を有する者」としていた規定を「専門的な知識経験又は技能を有する者」としたこと。(第5条第3項関係)
 A 5年以上10年以内において都道府県の教育委員会規則で定める特別免許状の有効期間を撤廃することとしたこと。(第9条第2項関係)
(4)免許状の失効及び取上げに係る措置の強化
 @ 懲戒免職の処分を受け免許状が失効した日から3年を経過しない者を免許状授与の欠格事由とするとともに,免許状取上げの処分を受けた者について免許状を授与しないこととする期間を2年から3年に延長したこと。(第5条第1項関係)
 A 国立又は公立の学校の教員が,懲戒免職の処分を受けたときは,その免許状は失効することとしたこと。(第10条第1項関係)
 B 私立学校の教員が,国立又は公立の学校の教員の場合における懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときは,免許管理者(当該免許状を有する者が教育職員である場合にあってはその者の勤務する学校の所在する都道府県の教育委員会,当該者が教育職員以外の者である場合にあってはその者の住所地の都道府県の教育委員会をいう。)は,その免許状を取り上げなければならないこととしたこと。(第11条第1項関係)
 C 免許状が失効した者又は取上げの処分を受けた者は,すみやかに,その免許状を免許管理者に返納しなければならないこととしたこと。(第10条第2項及び第11条第4項関係)
 D 学校法人は,その設置する私立学校の教員について,免許状の失効又は取上げ事由に該当すると認めたときは,すみやかにその旨を所轄庁に報告しなければならないこととしたこと。(第14条の2関係)
 E 免許状が失効した者又は取上げの処分を受けた者が免許管理者に免許状を返納しなかった場合は,10万円以下の過料に処することとしたこと。(第23条関係)
(5)施行日等
 @ 免許状の失効及び取上げに係る改正規定については,平成15年1月1日から施行すること。その他の改正規定については,平成14年7月1日から施行すること。(改正法附則第1条関係)
 A 改正法の施行前にした行為並びに施行前に免許状取上げの処分を受け2年を経過しない者及び施行前に懲戒免職の処分を受けたことにより施行後に免許状の取上げの処分を受け2年を経過しない者への免許状の授与等に対する罰則の通用については,なお従前の例によることとしたこと。(改正法附則第2条,第4条,第6条,第9条)
 B 施行の際現に特別免許状の授与を受けている者の当該特別免許状の有効期間については,なお従前の例によることとしたこと。(改正法附則第3条)
 C 免許状授与の欠格事由の改正に伴い,学校教育法上の校長及び教員の欠格事由を改正したこと。(改正法附則第10条関係)
 D その他所要の経過措置を設けたこと。(改正法附則第5条,第7条,第8条,第11条)

3 留意事項
(1)他校種免許状による専科担任制度関係
 @ 他校種免許状による専科担任の任用にあたっては,適切な転任,兼職等の手続きを行うとともに,兼職する場合にあっては,当該教員にとって過度の負担とならないよう,また児童生徒の指導等に支障が生ずることのないよう,校務分掌を適切に整える等の配慮を行うこと。
 A 他校種免許状による専科担任の任用にあたっては,学校種間の連携の促進及び教科指導の充実という専科担任制度の目的を十分に踏まえるとともに,児童生徒の心身の発達段階を考慮し,当該学校種において教授することについての適性等を個々に判断すること。
 B 高等学校の専門教科等を有する教員が小学校又は中学校の専科担任を行う場合には,教科の領域の一部を担当することが想定されることから,指導内容等に応じて個々に専科担任の適否を判断すること。
 C 盲学校,聾学校又は養護学校において他校種免許状による専科担任を行う際には,附則第16項(旧附則第19項)の規定の通用は受けず,それぞれ盲学校,聾学校又は養護学校の免許状を有することが必要であること。
(2)隣接校種免許状の取得促進関係
 @ 別表第8における要修得単位数及び在職年数については,改正法施行日前の免許状取得後の単位数の合算及び在職期間の通算をすることができること。
 A 別表第8に係る免許法認定講習及び免許法認定公開講座の開設については,別途通知すること。
(3)特別免許状関係
 @ 都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会においては,改正法の趣旨を踏まえ,教員採用選考試験における社会人特別選考の実施の中で,免許状を保有していることを必ずしも受験資格としないこととするなどにより,特別免許状制度の活用を促進することについても検討願いたいこと。
 A 都道府県教育委員会は,特別免許状の申請手続き等が一層適切に行われるよう,また私立学校においても適切に活用がなされるよう,必要に応じ教育委員会規則の規定の見直しを図り,その周知に努めること。
 B 教育委員会及び学校は,特別免許状を有する者に対する研修の機会の提供に努めるとともに,教職に関する科目の学修を積極的に促すこと。
(4)免許状の失効及び取上げ関係
 @ 免許状が失効した者又は取上げの処分を受けた者については,新たに免許状の返納義務が課せられるとともに,当該義務に違反した者については罰則が通用されることとなったことから,各都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては,域内又は管下の学校の教員に対し適切な周知に努めること。
 A 免許状の取上げ処分に不服がある場合には,行政手続法の聴聞及び教育職員免許法の聴聞の方法の特例に関する規定の通用を受けること。また,行政事件訴訟法上の取消訴訟を提起することが可能となっていること。
 B 懲戒免職処分が取消し又は無効になった場合は,一旦失効した免許状の効力は処分の日にさかのぼって有効となること。


第二 教育公務員特例法施行令の一部を改正する政令について

1 趣旨
 改正法において,特別免許状の有効期限が撤廃されることとなったことに伴い,教育公務員特例法施行令第1条の3における大学院修学休業をすることができない者に係る規定の整備を行うものであること。

2 要点
(1)内容
 大学院修学休業をすることができない者に係る規定中,その有する特別免許状の有効期間が休業期間の満了すべき日前に満了する者を除く等の規定の整備を行うこと。
(2)施行日
 平成14年7月1日から施行すること。

3 留意事項
 施行日前に特別免許状の授与を受けた者については,なお従前の例によること。


第三 教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令について

1 趣旨
 改正法の施行に伴う所要の規定を整備するとともに,専修免許状が示す専門性を明確にする観点から,その免許状の記載事項に係る改正を行うこと。

2 要点
(1)隣接校種免許状取得の際の単位の修得方法等の規定の整備
 @ 別表第8に規定する小学校教諭二種免許状,中学校教諭二種免許状,高等学校教諭一種免許状,幼稚園教諭二種免許状の授与を受ける場合の単位の修得方法を定めたこと。(第18条の2関係)
 A 中学校免許状を有する者が高等学校教論の一種免許状の授与を受けようとする場合又は高等学校教諭の免許状を有する者が中学校教論の二種免許状を受けようとする場合の免許状に係る教科については,同一の免許教科において取得を可能としたこと。
 ただし,「中学校の社会と高等学校の公民又は地理歴史」及び「中学校の技術と高等学校の情報又は工業」の教科についても,それぞれ隣接校種の免許状の取得を可能としたこと。
(2)国語,社会等の教科のほかに,その他教科に関する事項として,総合的な学習の時間について専科担任ができることとしたこと。(第66条の3関係)
(3)専修免許状には,大学院での専攻を記入するものとし,改正省令で例示した特定の分野又は授与権者が適当と認めた分野に関する単位を12単位以上修得した場合は,さらに当該分野を記入することができることとしたこと。(第72条第2項関係)
(4)その他
 @ 特別免許状の学士要件が撤廃されたことに伴い,文部科学大臣が学士の学位を有する者と同等以上の資格を有すると認めた者に係る規定を削除したこと。(第65条の4関係)
 A 他校種免許状による専科担任制度が法律の附則から本則に規定されたこと等に伴い,別表第3及び別表第5の在職年数に係る教育の職に係る規定の整備を行ったこと。(第68条及び第69条関係)
(5)施行日
 平成14年7月1日から施行すること。

3 留意事項
 専修免許状の改正省令で示した特定分野については,あくまで例示であるとともに,本改正が教員の得意分野を明記し,もって特色ある学校づくりに生かすことを目的としたものであることを十分に踏まえ,その積極的な活用が期待されること。



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