● 学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(学校選択、教頭の資格要件、技能審査関係) 平成18年3月30日 17文科初第1138号



17文科初第1138号 平成18年3月30日
各都道府県・指定都市教育委員会、
各都道府県知事、各指定都市市長
附属学校を置く各国立大学法人学長 宛
文部科学省初等中等教育局長(銭谷眞美)


      学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校教育法施行令
      第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(通知)


 このたび、別添のとおり、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」(平成18年文部科学省令第5号)が平成18年3月30日に公布されるとともに、関連する告示が公示され、平成18年4月1日から施行されることとなりました。
 今回の改正は、
@ 市町村の教育委員会は、就学校の指定に係る通知において、その指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示すものとすること(就学校の指定に係る通知関係)
A 教頭の資格要件を緩和し、校長と同様に、民間人等の教頭への登用を可能とすること(教頭の資格要件の緩和関係)
B 国又は民法第34条の規定による法人等が実施する知識・技能審査に合格した場合の学修のみならず、合格・不合格の形式に限定されずに受検者の知識・技能の程度を判定する型の審査の成果において相当程度の成果を収めた学修についても高等学校において単位認定ができるようにすること(技能審査における成果に係る学修の単位認定関係)
に係るものです。

 これらの改正の趣旨、内容、留意点及び就学校の変更の取扱いについては、下記のとおりですので、十分御了知いただくようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市町村に、各都道府県知事等におかれては、所轄の学校及び学校法人に対して、このことを十分周知されるようお願いします。


                   記


第1 就学校の指定に係る通知関係及び就学校の変更の取扱いについて

1.改正の趣旨
 学校教育法施行令第8条により、市町村の教育委員会は、就学校の指定を行う場合において、相当と認めるときは、保護者の申立により、指定した就学校を変更することができることとされているが、この制度が保護者に対し確実に周知され、その適切な活用が一層進むよう、市町村の教育委員会が就学校の指定に係る通知において、その指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示すものとすること。

2.改正の内容
 市町村の教育委員会は、学校教育法施行令第5条第2項(同令第6条において準用する場合を含む。)の規定による就学校の指定に係る通知において、その指定の変更について同令第8条に規定する保護者の申立ができる旨を示すものとすること。(学校教育法施行規則(以下「施行規則」という。)第32条第2項関係)

3.今回の改正及び就学校の変更の取扱いに係る留意事項
(1) 市町村の教育委員会は、指定した就学校を変更することができる場合の要件及び手続に関する事項を定め、公表するものとされている(施行規則第33条)が、市町村の教育委員会が、今回の改正後の規定に基づき、就学校の指定に係る通知において、就学校の指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示す場合には、当該要件及び手続に関する事項についても併せて示すことが望ましいこと。

(2) 市町村の教育委員会が上記の要件及び手続に関する事項を定める際には、当該手続に関する事項として、保護者の申立に係る申立先、申立を受け付ける期間等を具体的に定めるとともに、当該要件に関する事項として、当該教育委員会が就学校の変更を相当と認める具体的な事由を予め明確に定めておくことが望ましいこと。

(3) 就学校を変更する場合としては、例えば、いじめへの対応、通学の利便性、部活動等学校独自の活動等を理由とする場合が考えられるが、市町村の教育委員会が就学校の変更を相当と認める具体的な事由については、別途送付している「公立小学校・中学校における学校選択制等についての事例集」等も参考にしつつ、各教育委員会において、地域の実情等に応じ適切に判断すべきものであること。

(4) 学年の途中において保護者が就学校の変更を求めた場合においても、市町村の教育委員会は、相当と認めるときは、就学校の変更を適切に行うこと。


第2 教頭の資格要件の緩和関係

1.改正の趣旨
 現在、校長については、民間人等(原則として、教諭の免許状を有さず、「教育に関する職」に就いた経験がない者をいう。以下同じ。)の登用が可能となっているところであるが、教頭についても、地域や学校の実情に応じ、優れた知識や社会経験を有する学校外の多様な人材の登用を図る観点から、その資格要件を緩和し、校長と同様に、民間人等を登用できるようにすること。

2.改正の内容
 教頭の資格要件として、施行規則第10条において、第8条に加え、第9条及び第9条の2を教頭に準用することとし、国公立の学校の教頭の任命権者又は私立学校の設置者は、学校の運営上特に必要がある場合には、施行規則第8条各号に掲げる資格を有する者と同等の資質を有すると認める者を教頭として任命し又は採用すること等ができるようにすること。(施行規則第10条関係)

3.留意事項
(1) 今回の改正は、学校の管理職であり、校長を補佐する教頭に、幅広く人材を確保する観点から行うものであり、これにより、学校において、優れた資質能力を有する校長や教頭を中心に全職員が一致協力して、個性や特色ある教育活動が展開されることを期待するものであること。

(2) 今回の改正により、民間人等を教頭に登用することが可能となるが、教頭が児童生徒の教育をつかさどる場合には、各相当学校の相当教科の教諭の免許状が必要であるとの従来の解釈及び運用が変更されるものではないこと。


第3 技能審査における成果に係る学修の単位認定関係

1.改正の趣旨
 高等学校の生徒の能力・適性、興味・関心等の多様化の実態を踏まえ、選択の幅を広げる観点から、生徒の在学する高等学校での学習の成果に加えて、生徒の在学する高等学校以外の場における学修の成果について、より幅広く評価できるようにすることを通じて、高等学校教育の一層の充実を図ること。

2.改正の内容
 施行規則第63条の4第2号に基づいて、一定の要件を満たす知識・技能審査に合格した場合には、その合格に係る学修について、当該生徒の在学する高等学校の科目の履修とみなし単位を与えることができることとされているが、これに加え、合格・不合格の形式に限定されずに受検者の知識・技能の程度を判定する型(例えばTOEFL(トーフル)及びTOEIC(トーイック)等)の審査において相当程度の成果を収めた学修についても単位認定ができるようにすること。併せて文部省告示において同様の改正を行うこと。(施行規則第63条の4第2号及び平成10年文部省告示第41号第2第2号(以下「告示」という。)関係)

3.留意事項
(1) 当該制度の活用に当たっては、各学校長において、当該高等学校の教育課程の全体からみて、当該学修が教育上有益と認められるか、当該科目の単位を与えることが適切であるか等について判断する必要があること。

(2) 告示中の「その他の団体」については、国又は民法第34条法人のほか、団体の趣旨、目的、事業の種類、運営の健全性と継続性、及び過去の実績等から、これらに準ずると考えられる団体が含まれること。

(3) 告示中の「十分な社会的信用を得ていること」については、学生・生徒や社会人等の多数の受検者が継続的に存在しているなどの状況が考えられること。

(4) 告示中の「審査の実施の方法が、適切かつ公正であること」については、審査の実施の方法等に関する規定が整備されていること、全国的に同一条件で行われていること、審査問題の管理及び審査の実施が厳格かつ公正に行われていることなどの状況が考えられること。






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