● 水泳等の事故防止について 平成18年5月29日 18文科ス第100号


18文科ス第100号 平成18年5月29日
各都道府県教育委員会教育長、各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長
各国立高等専門学校長 宛
文部科学省スポーツ・青少年局長


        水泳等の事故防止について(通知)


 標記については、例年関係方面の御協力をいただいているところでありますが、毎年夏季を中心に、海や河川における水難事故及びプールでの水泳事故等により多くの犠牲者が出ていることは誠に遺憾であります。
 ついては、下記事項並びに別紙資料、「学校における水泳事故防止必携(新訂版)」(平成11年5月 独立行政法人日本スポーツ振興センター)及び「水泳指導の手引(二訂版)」(平成16年3月 文部科学省)を参考として関係機関・団体と密接な協力のもとに地域の実情に即した適切な措置をとり、事故防止の周知を図るとともに衛生管理について十分御配意願います。
 なお、海や河川における事故が多く発生しているので、このような場所での水遊びやスポーツ活動の安全確保に万全を期すよう御指導願います。
 おって、各都道府県教育委員会教育長及び各都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、所轄の学校に対しても周知されるよう願います。

                   記

1 プールについては、引き続き、「学校水泳プールの安全管理について」(平成11年6月25日付け文体体第232号文部省体育局長通知)における留意事項の徹底を図るとともに、学校以外のプールについても前記通知にそった対応を図ることとし、プール使用が始まるまでに、排(環)水口の蓋の設置の有無を確認し、蓋がない場合及び固定されていない場合は、早急にネジ・ボルト等で固定するなどの改善を図るほか、排(環)水口の吸い込み防止金具についても丈夫な格子金具とするなどの措置をし、いたずらなどで簡単に取り外しができない構造とすること。
 また、プール使用時においては、十分に排(環)水口等の安全点検及び確認を実施すること。

2 プールにおける事故には、スタート時に、逆さまに深く入水し、水底に頭部を打ちつけて起こるものが少なくないので、スタートの指導については、個人の能力に応じた段階的な取り扱いを重視し、教師等の指示に従い、水深や水底の安全を確かめ、入水角に注意するなど、安全に配慮した慎重な指導を行うこと。
 なお、一定の技能を身につけている児童・生徒がスタート時の重大事故に遭った事例や、入水の際、無理な息こらえや必要以上に深呼吸を繰り返し行わせたことなどによる重大事故事例も報告されているので十分注意すること。

3 児童・生徒の水難事故が特に学校の夏季休業に入った直後に多発する傾向にあるので、学校においては、水泳の事故防止に関する心得を十分指導し、PTAなどを通じて家庭にも指導の趣旨を周知するよう配慮すること。

4 児童・生徒が個人やグループで水泳や水遊びに出かけるときには、必ず保護者や水泳の熟練者と同行するよう指導するとともに、事前に、行き先、帰宅の予定日時、同行者等を家庭に知らせるよう習慣づけること。

5 集団で水泳を行う場合には、引率者や指導者の責任分担を明確にして、指導・監督が周知されるようにすること。また、班の編成にあたっては、引率者の指導・監督が全員に行き届く程度の人数に編成すること。

6 児童・生徒の発達段階に応じて、水泳等に関する事故の危険を予見し、自ら回避できるよう学校、家庭、地域において適切に指導するなど安全指導の充実に努めること。

7 海、河川、湖沼池、用水堀、プールなどの水難事故発生の恐れのある場所については、防護さく、蓋、危険表示の掲示板や標識の整備、監視員の配備、巡回指導の周知など、市町村、警察署、消防署、海上保安部署、保健所等との協力により点検等を行い、事故防止について万全の措置を講ずること。
 なお、幼児の水難事故が比較的多く発生しているので、前記の事故防止措置については、幼児の行動にも配慮した万全のものとするとともに、保護者が、監督を怠ることがないように、広報等によってこの趣旨の周知を図ること。

8 水泳場の選定にあたっては、保健所その他の関係諸機関の協力を得て、農薬、油、工場廃液、その他浮遊物等による水の汚染状況、水底の状態、潮流などを必ず事前に調査して適切な場所を選定すること。また、水泳場には、水泳区域標識、監視所、救命用具など事故防止のための施設・設備等を整えるとともに、救急体制を確立するよう配慮すること。




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