● 水泳プールの安全管理について 平成18年8月1日 18文科ス第187号



18文科ス第187号 平成18年8月1日
各都道府県教育委員会教育長、各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長
各国立高等専門学校長 宛
文部科学省スポーツ・青少年局長(樋口修資)


          水泳プールの安全管理について(依頼)


 水泳プールは、水の危険を十分理解できていない子どもが利用するものであり、また排(環)水口における吸引力は非常に強力であるにもかかわらず、直接視認することが困難であることなどから、水泳プールの安全管理等については、施設・設備の構造として安全を確保することが不可欠であり、日頃よりこの観点に立って対応いただいていることと存じます。
 しかしながら、昨日、埼玉県ふじみ野市の市営水泳プールにおいて児童が吸水口に吸い込まれて死亡する事故が発生したことは、誠に遺憾であります。
 文部科学省では、排(環)水口の構造及びその安全点検について、平成11年6月25日付け文体体第232号(別添1)で通知し、また毎年改めて安全確保について通知(本年度については、平成18年5月29日付け18文科ス第100号(別添2)しているところです。
 ついては、このような痛ましい事故の再発防止のため、前記通知の趣旨の徹底を改めてお願いします。また、安全確保に万全を期すため、学校内外の水泳プールの施設・設備について、安全点検及び確認を実施するとともに、別添3(略)の調査要領に基づき回答願います。
 なお、各都道府県教育委員会教育長及び各都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、所管の学校に対しても周知されるよう願います。

(文部科学省スポーツ・青少年局生涯スポーツ課企画係)



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(別添1)

文体体第232号 平成11年6月25日
各都道府県教育委員会教育長、各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学長、各国立高等専門学校長 宛
文部省体育局(遠藤昭雄)


        学校水泳プールの安全管理について(通知)


 学校水泳プールの安全管理についでは,かねてから適切な管理・指導をお願いしているところでありますが,これからの時期,プール指導の実施・夏休み中のプール開放等児童生徒の学校水泳プールの使用が増加するに当たり,下記事項に留意のうえ,引き続き,事故防止の徹底を図るとともに,各都道府県教育委員会にあっては域内の各市町村の教育委員会及び関係機関に対して,また,各都道府県知事にあっては所轄の私立学校,学校法人に対して,国立大学長にあっては管下の学校に対して,周知されるようお願いします。
 また,その際,「水泳指導の手引き〔改訂版〕(文部省)」及び「学校における水泳事故防止必携〔新訂版〕(日本体育・学校健康センター)」を参考とするよう,併せて周知願います。
 なお,平成10年12月10日付け文総審第80号「通知・通達等の見直しについて」において通知したとおり,文部省では,行政運営の明確化・効率化等を推進する観点から,同一・類似の主題に係る複数の通知・通達等の整理・統合化を行うこととしており,別紙に掲げる通知は廃止します。


                記


1 学校水泳プールの排(環)水口には,堅固な格子鉄蓋や金網を設けてネジ・ボルト等で固定させる(蓋の重量のみによる固定は不可)とともに,吸い込み防止金具等を設置すること。

2 プール使用期間中においては,浄化装置等の適正な作動状況を確認するなど,附属施設を含めてプールの施設・設備については常時安全点検を行うこととし,特に,排(環)水口については十分な点検を行うこと。

3 プールの新設及び改築に当たっても,上記1及び2が遵守されるよう配慮すること。


(別紙〉
廃止する通知
○ 昭和48年10月11日付け48体体第20号
 「学校プール施設の整備について」
○ 昭和52年8月16日付け52体体第31号
 「水泳プールの施設設備の整備点検について」
○ 昭和54年8月10日付け54体体第25号
 「水泳プールの施設設備の整備点検について」
○ 昭和60年8月28日付け60体体第32号
 「水泳プールの安全管理について」
○ 平成7年9月11日付け7体体第31号
 「水泳プールの安全管理について」
○ 平成8年5月20日付け文体体第232号
 「学校水泳プールの安全管理について」
○ 平成9年4月15日付け9体体第16号
 「学校水泳プールの排(環)水口状況調査の結果について」


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(別添2)

18文科ス第100号 平成18年5月29日
各都道府県教育委員会教育長、各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長
各国立高等専門学校長 宛
文部科学省スポーツ・青少年局長(素川富司)


        水泳等の事故防止について(通知)


 標記については、例年関係方面の御協力をいただいているところでありますが、毎年夏季を中心に、海や河川における水難事故及びプールでの水泳事故等により多くの犠牲者が出ていることは誠に遺憾であります。
 ついては、下記事項並びに別紙資料、「学校における水泳事故防止必携(新訂版)」(平成11年5月 独立行政法人日本スポーツ振興センター)及び「水泳指導の手引(二訂版)」(平成16年3月 文部科学省)を参考として関係機関・団体と密接な協力のもとに地域の実情に即した適切な措置をとり、事故防止の周知を図るとともに衛生管理について十分御配意願います。
 なお、海や河川における事故が多く発生しているので、このような場所での水遊びやスポーツ活動の安全確保に万全を期すよう御指導願います。
 おって、各都道府県教育委員会教育長及び各都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、所轄の学校に対しても周知されるよう願います。


                  記


1 プールについては、引き続き、「学校水泳プールの安全管理について」(平成11年6月25月付け文体体第232号文部省体育局長通知)における留意事項の徹底を図るとともに、学校以外のプールについても前記通知にそった対応を図ることとし、プール使用が始まるまでに、排(環)水口の蓋の設置の有無を確認し、蓋がない場合及び固定されていない場合は、早急にネジ・ボルト等で固定するなどの改善を図るほか、排(環)水口の吸い込み防止金具についても丈夫な格子金具とするなどの措置をし、いたずらなどで簡単に取り外しができない構造とすること。
 また、プール使用時においては、十分に排(環)水口等の安全点検及び確認を実施すること。

2 プールにおける事故には、スタート時に、逆さまに深く入水し、水底に頭部を打ちつけて起こるものが少なくないので、スタートの指導についてはこ個人の能力に応じた段階的な取り扱いを重視し、教師等の指示に従い、水深や水底の安全を確かめ、入水角に注意するなど、安全に配慮した慎重な指導を行うこと。
 なお、一定の技能を身につけている児童・生徒がスタート時の重大事故に遭った事例や、入水の際、無理な息こらえや必要以上に深呼吸を繰り返し行わせたことなどによる重大事故事例も報告されているので十分注意すること。

3 児童・生徒の水難事故が時に学校の夏季休業に入った直後に多発する傾向にあるので、学校においては、水泳の事故防止に関する心得を十分指導し、PTAなどを通じて家庭にも指導の趣旨を周知するよう配慮すること。

4 児童・生徒が個人やグループで水泳や水遊びに出かけるときには、必ず保護者や水泳の熟練者と同行するよう指導するとともに、事前に、行き先、帰宅の予定日時、同行者等を家庭に知らせるよう習慣づけること。

5 集団で水泳を行う場合には、引率者や指導者の責任分担を明確にして、指導・監督が周知されるようにすること。また、班の編成にあたっては、引率者の指導・監督が全員に行き届く程度の人数に編成すること。

6 児童・生徒の発達段階に応じて、水泳等に関する事故の危険を予見し、自ら回避できるよう学校、家庭、地域において適切に指導するなど安全指導の充実に努めること。

7 海、河川、湖沼池、用水堀、プールなどの水難事故発生の恐れのある場所については、防護さく、蓋、危険表示の掲示板や標識の整備、監視員の配備、巡回指導の周知など、市町村、警察署、消防署、海上保安部署、保健所等との協力により点検等を行い、事故防止について万全の措置を講ずること。
 なお、幼児の水難事故が比較的多く発生しているので、前記の事故防止措置については、幼児の行動にも配慮した万全のものとするとともに、保護者が、監督を怠ることがないように、広報等によってこの趣旨の周知を図ること。

8 水泳場の選定にあたっては、保健所その他の関係諸機関の協力を得て、農薬、油、工場廃液、その他浮遊物等による水の汚染状況、水底の状態、潮流などを必ず事前に調査して適切な場所を選定すること。また、水泳場には、水泳区域標識、監視所、救命用具など事故防止のための施設・設備等を整えるとともに、救急体制を確立するよう配慮すること。

(担当 生涯スポーツ課)






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