● 栄養教諭制度の創設に係る学校教育法等の一部を改正する法律等の施行について 平成16年6月30日 16文科ス142 16文科ス第142号 平成16年6月30日 各都道府県教育委員会、各都道府県知事、各指定都市教育委員会、 各指定都市市長、各国公私立大学長、放送大学長 あて 文部科学省スポーツ・青少年局長(田中壮一郎) 文部科学省初等中等教育局長(近藤信司)     栄養教諭制度の創設に係る学校教育法等の     一部を改正する法律等の施行について(通知)  このたび、別添1のとおり、「学校教育法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が、平成16年5月21日に法律第49号として公布され、平成17年4月1日(教育職員免許法の改正に係る部分については平成16年7月1日)から施行されることとなりました。また、これに伴い、別添2のとおり、「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」(以下「改正規則」という。)が、平成16年6月30日に文部科学省令第36号として公布され、平成16年7月1日から施行されることとなりました。  今回の改正は、児童生徒の食生活の乱れが深刻化する中で、学校における食に関する指導を充実し、児童生徒が望ましい食習慣を身に付けることができるよう、新たに栄養教諭制度を設けるものです。この栄養教諭は、栄養に関する専門性と教育に関する資質を併せ有する教育職員として、その専門性を十分に発揮し、特に学校給食を生きた教材として有効に活用することなどによって、食に関する指導を充実していくことが期待されています。  改正の概要については下記のとおりですので、関係各位におかれましては、その趣旨を十分ご理解の上、学校栄養職員の栄養教諭への円滑な移行を含め、適切な対応をお願いするとともに、各都道府県教育委員会及び各都道府県知事におかれては、併せて域内の各市町村及び所管又は所轄の学校及び学校法人に対する周知を図るようお願いします。  なお、教育職員免許法施行規則を除く関係政省令の改正については、追ってこれを行い、その内容については別途通知する予定ですのでご承知おき下さい。また、今回の改正においては、大学における薬学教育の修業年限の延長も併せて措置していますが、これについても別途通知する予定としています。           記 第1 学校教育法の一部改正関係(改正法第1条関係) (1) 栄養教諭の設置に関する事項  義務教育諸学校に栄養教諭を置くことができることを明示したこと(第28条第2項及び第51条の8第2項関係)。なお、中学校については第40条において第28条の規定が準用され、盲学校、聾学校及び養護学校の小学部及び中学部については第76条において第28条(第40条において準用する場合を含む。)の規定が準用されること。  また、幼稚園及び高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部については、栄養教諭を置くことができる旨は明示されていないが、第50条第2項及び第81条第2項(第76条において準用する場合を含む。)に規定するその他必要な職員として栄養教諭の設置は可能であること。 (2) 栄養教諭の職務に関する事項  栄養教諭の職務として、「児童の栄養に関する指導及び管理をつかさどる」(小学校以外の学校については準用規定)と規定したこと(第28条第8項、第51条、第51条の9及び第82条関係)。なお、中学校については、第40条において第28条の規定が、盲学校、聾学校及び養護学校については、第76条において第28条(第40条、第51条及び第82条において準用する場合を含む。)の規定が準用されること。  栄養に関する指導及び管理のうち、指導には、児童生徒に対する栄養に関する個別的な相談指導や、学級担任、教科担任等と連携して関連教科や特別活動等において食に関する指導を行うこと、食に関する指導に係る全体的な計画の策定等への参画などが含まれること。また、管理については、学校給食を教材として活用することを前提とした給食管理、児童生徒の栄養状態等の把握、食に関する社会的問題等に関する情報の把握などが含まれること。 第2 市町村立学校職員給与負担法の一部改正関係(改正法第2条関係)  都道府県が給与費を負担する市町村立学校職員(以下「県費負担教職員」という。)に栄養教諭を追加したこと。これに伴い、同法における学校栄養職員の定義を「学校給食法第5条の3に規定する職員」から「学校給食法第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者」に変更したこと。 第3 教育公務員特例法の一部改正関係(改正法第3条関係)  第2条の「教員」の定義に栄養教諭を加えたこと。これにより、第11条(採用及び昇任の方法)、第13条(校長及び教員の給与)、第14条(休職の期間及び効果)、第17条(兼職及び他の事業等の従事)、第18条(公立学校の教育公務員の政治的行為の制限)、第21条(研修)及び第22条(研修の機会)の規定が栄養教諭にも適用されることとなること。大学院修学休業に係る規定(第26条から第28条まで)の適用対象に栄養教諭を加えたこと。なお、初任者研修(第23条)及びそれに伴う条件附任用期間の特例(第12条)並びに十年経験者研修(第24条)の規定については、養護教諭と同様に栄養教諭には適用されないこと。 第4 教育職員免許法の一部改正関係(改正法第4条関係)及び教育職員免許法施行規則の一部改正関係 (1) 新たに栄養教諭の免許状として普通免許状を設けたこと。(改正法による改正後の教育職員免許法(以下「新免許法」という。)第2条、第3条及び第4条関係) (2) 栄養教諭の普通免許状の授与を受ける場合の基礎資格、修得が必要な科目及び単位数、それらの単位の修得方法について定めたこと。  栄養教諭の普通免許状の授与を受けるための基礎資格、大学において修得することを要する科目及び単位数を定めたこと。(新免許法第5条、別表第1及び別表第2の2関係)  新免許法別表第2の2に規定する栄養教諭の普通免許状の授与を受ける場合の栄養に係る教育に関する科目の単位の修得方法を定めたこと。(改正規則による改正後の教育職員免許法施行規則(以下「新規則」という。)第10条の3関係)  新免許法別表第2の2に規定する栄養教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教職に関する科目の単位の修得方法を定めたこと。(新規則第10条の4関係)  新免許法別表第2の2に規定する栄養教諭の普通免許状の授与を受ける場合の栄養に係る教育又は教職に関する科目の単位の修得方法を定めたこと。(新規則第10条の5関係) (3) 教育職員検定により栄養教諭の普通免許状の授与を受ける場合の学力及び実務の検定の方法について定めたこと。(新免許法第6条、別表第3及び別表第6の2並びに新規則第17条の2及び第70条関係) (4) 教育職員免許法別表第1備考第5号イの規定に基づき文部科学大臣が栄養教諭の免許状授与の所要資格を得させるために適当と認める大学の課程に関する所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第20条及び第22条関係) (5) 新法別表第2の2備考第2号に規定する栄養教諭の教員養成機関に関する所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第27条、第28条及び第32条関係) (6) 免許法認定講習に関する所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第36条及び第37条関係) (7) 栄養教諭の一種免許状の授与の基礎資格について、学士の学位を有することには文部科学大臣がこれと同等以上の資格を有すると認めた場合を含むものとし、学校教育法第67条第2項の規定により大学院への入学を認められる場合又は栄養教諭の指定教員養成機関に4年以上在学し、124単位以上を修得し卒業した場合が該当することとしたこと。(新免許法別表第2の2備考第1号及び新規則第66条の9関係) (8) 養護教諭及び栄養教諭の専修免許状に記入することができる分野に関する所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第72条関係) (9) 改正法による改正後の学校給食法(以下「新給食法」という。)第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者に対して教育職員検定により栄養教諭の普通免許状を授与する場合における学力及び実務の検定の方法について定めたこと。(新免許法附則第18項並びに新規則附則第6項、第22項及び第26項関係) (10) その他所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第6条、第10条、第10条の6、第10条の7、第21条、第48条、第64条及び第66条関係) (11) 改正法のうち教育職員免許法の改正に係る部分及び改正規則については、平成16年7月1日から施行すること。なお、この施行に伴い留意すべき事項については以下のとおりであること。 [留意事項] (イ) 新免許法附則第18項の表及び別表第2の2に規定する栄養教諭の一種免許状の授与の基礎資格の「栄養士法(昭和22年法律第245号)第5条の3第4号の規定により指定された管理栄養士養成施設の課程を修了し」ていることの確認には、管理栄養士学校指定規則別表第1に掲げる教育内容に該当する関係科目の単位修得証明をもって行うことが想定されること。  このため、各大学等においては、当該証明書類についてあらかじめ書類様式を整え、当該大学等における授業科目と管理栄養士学校指定規則別表第1に掲げる教育内容との対応について、免許状の授与の申請がなされる際に授与権者に対して文書で示すなど、授与権者が円滑に確認できるように協力されたいこと。 (ロ) 新免許法別表第2の2に規定する「栄養に係る教育に関する科目」及び「教職に関する科目」の単位の修得方法について  各大学等では、栄養に係る教育に関する科目について、新規則第10条の3に定める各事項を含んだ授業科目を開設すること。なお、各事項の具体的な内容としては別紙1のものが想定されること。  栄養に係る教育に関する科目に係る授業科目の名称については、その内容が明らかになるように配慮しつつ、各大学等において適切に定めるとともに、各大学等は、当該大学等における授業科目と新規則第10条の3に定める栄養に係る教育に関する科目に含めることが必要な事項との対応について、免許状の授与の申請がなされる際に授与権者に対して文書で示すこと。  新規則第10条の4の表に掲げる教職に関する科目に係る授業科目の名称については、その内容が明らかになるように配慮しつつ、各大学等において適切に定めるとともに、各大学等は、当該大学等における授業科目と同表に掲げる教職に関する科目及び各科目に含めることが必要な事項との対応について、免許状の授与の申請がなされる際に授与権者に対して文書で示すこと。  栄養教育実習の具体的な内容としては別紙2のものが想定されること。  栄養教育実習を行う学生の円滑な受入れの確保については、各都道府県・市町村教育委員会及び各学校の関係者に協力を願いたいこと。 (ハ) 新規則第10条の5に定める「大学が加えるこれに準ずる科目」は、大学院において開設されるもので、管理栄養士学校指定規則別表第1に掲げる教育内容に係るものであるとともに、栄養に係る教育に関する科目と相当の関係にあるものとすること。 (ニ) 各都道府県・市町村教育委員会等におかれては、新給食法第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者が新免許法附則第18項の第4欄の単位を修得する場合の環境の確保に配慮されたいこと。  また、新規則附則第6項備考第3号に基づいて栄養教育実習を行う者の円滑な実習実施のため、指導体制、実施時期、実施方法などについての必要な配慮、弾力的な実施等に努められたいこと。 第5 学校給食法の一部改正関係(改正法第5条関係)  第5条の3に規定する学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員になることができる者として、栄養教諭の免許状を有する者を追加したこと。これに伴い、同条の見出しを「学校栄養職員」から「学校給食栄養管理者」に変更したこと。 第6 女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律の一部改正関係(改正法第6条関係)  第2条の「教職員」の定義に栄養教諭を追加したこと。これにより、女子である栄養教諭が出産することとなる場合、補助教職員の臨時的任用等の規定が適用されることとなること。また、同法の適用対象に栄養教諭を加えることに伴い、学校栄養職員の定義を「栄養士法第2条第1項の規定による栄養士の免許を有する者で学校給食の実施に必要な知識又は経験を有し、かつ、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどるもの」から「学校給食法第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者」に変更したこと。 第7 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正関係(改正法第7条関係)  県費負担教職員である栄養教諭について、第47条の2の県費負担教職員の免職及び都道府県の職への採用の規定の適用対象に追加したこと。 第8 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(改正法第7条関係)  第2条第2項の「教育職員」の定義に栄養教諭を追加したこと。これにより、教職調整額の支給等の規定(第3条から第6条まで)が栄養教諭に適用されることとなること。 第9 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正関係(改正法第8条関係) (1) 定義規定に関する事項  第2条第3項の「教職員」の定義に栄養教諭を追加し、学校栄養職員の定義を「学校給食法第5条の3に規定する職員」から「学校給食法第5条の3に規定する職員のうち栄養教諭以外の者」に変更したこと。 (2) 栄養教諭及び学校栄養職員の標準定数の算定方法に関する事項  栄養教諭と学校栄養職員の標準定数を合わせて算定することとしたこと。これに伴い、学校栄養職員の標準定数を栄養教諭及び学校栄養職員の標準定数に変更したこと。 (3) 教職員定数の短時間勤務の職を占める者等の数への換算に関する事項  教職員定数の短時間勤務の職を占める者等の数への換算の規定の適用対象に栄養教諭を追加したこと。