■ 府立学校における学校協議会の設置・運営の指針 平成14年3月 大阪府教育委員会〕



      府立学校における学校協議会の設置・運営の指針

                      〔平成14年3月 大阪府教育委員会〕


1.学校協議会の設置

(趣旨・目的)
(1)保護者や地域住民の意向を把握し、学校運営に反映させる。
(2)教職員の意識改革を進め、学校運営と学校教育活動の改善を図る。
(3)学校教育活動に対する保護者・地域住民からの協力を求めるための、組織的・恒常的な協議の場とする。

(規程の整備)
 各学校は、自校の教育目標、教育計画、生徒地域の実態を踏まえ「学校協議会設置要項」を作成し各学校毎に協議会を設置する。

(役割)
(1)校長の求める事項について協議する。
(2)各学校が学校の自主性・自律性を確保しつつ、責任をもって学校教育活動の改善や特色づくりに役立てられる、意見交換や提言を行う。

(委員の構成と役割)
(1)委員の人選にあたっては、自校の課題について幅広い視野から意見・提言が受けられるよう、広く学校外の人材を確保する
(2)柔軟な選任規程を設け、自らの異動後に次期校長が裁量を発揮し易くなるよう配慮しておく。
(3)委員は可能な限り人物本位で選任することとし、関係機関、団体の長などの充て職が多数とならないように配慮し各分野からバランスよく選任するとともに男女の一方の性に偏らないようにする。
(4)当該学校の教職員、児童生徒の選任はその趣旨から適当でない。
(5)委員は、校長の求めに応じて、学校を支援する立場から積極的な意見発表や提言を行う。
(6)委員は、個人情報等職務上知り得た情報に関する趣旨義務を負う。

(委員の委嘱と任期)
(1)校長が委員を委嘱し、府教育委員会に報告する。
(2)委員の任期は原則1年とし再任を妨げないが固定化防止に努める。
(協議事項)
(1)校長の求めに応じて学校運営全般について協議する。
(2)学校教育自己診断の診断結果及び分析、並びにこれに伴う学校運営改善方策を中心的な事項とする。
(3)校長は協議事項の趣旨及び内容について、教職員の理解の徹底に努める。
(4)学校評価の反映として学校教育自己診断を積極的に活用する。


2.協議会の運営

(1)会長は委員の互選により選出する。
(2)会長は校長の求めに応じ、協議会を招集する。
(3)会長は、委員から出された意見をとりまとめ、校長に提言する。
(4)校長及び教職員は協議会運営の事務局を担い、校長は事務局機能を校務分掌に位置付ける。
(5)協議会委員に授業参観や、学校行事への参加を働きかけ、学校の実情を理解してもらえる機会を設ける。
(6)外部意見(協議会での意見)を教職員に直接触れさせるため、教職員が協議会運営に参画できる工夫をするとともに、協議会での意見や提言を教職員に示す。
(7)協議会の協議内容を学校便りやPTA広報誌等を通じて生徒・保護者に知らせるだけでなく意見や提言に基づく改善への取組や、学校の見解を地域にも発信し、説明責任を果たす。
(8)協議の内容によっては、生徒の意見を求めるための場と機会を確保する。

(教育委員会への報告)
 校長は学校協議会の設置及び運営について府教育委員会に報告する。



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○ 府立学校における「学校協議会」の設置・運営の基本的考え方

〔大阪府教育委員会「学校の自主性・自律性の確立と開かれた学校づくり
−地域住民の学校運営の参画の在り方に関する調査研究−」平成13年3月〕

(1)学校協議会設置の趣旨・目的
○学校においては、保護者や地域住民の意向を把握し、学校運営に反映させることにより、教職員の意識改革をより一層進め、学校運営と学校教育活動の改善を図ることが求められている。そのため、開かれた学校づくりの推進が重要な課題となっている。
○学校教育活動に対する保護者・地域住民からの協力を求めるためには、学校運営の透明性を高め、その説明責任を果たすことを通じ、学校に対する理解と信頼を得る必要があり、そのため各学校に組織的・恒常的な協議の場として学校協議会を整備することが求められている。
○その際、学校改善について適切な意見や提言を受けるためには、校長及び教職員が自ら学校運営の点検を行い、加えて児童・生徒や保護者からも評価を得ることを内容とする「学校教育自己診断」結果を積極的に活用することとする。

(2)学校協議会設置に必要な規程の整備
○学校協議会は、各学校毎に設置する。
○府教育委員会は学校協議会を位置づけるため、学校管理運営規則の一部を改正する。(今後の検討課題)
○学校協議会を設置する学校は、学校協議会の設置及び運営を円滑に進めるため、 府教育委員会が示す「設置・運営の基本的考え方」に基づき、教育目標、教育計画、生徒や地域の実態等を踏まえながら「学校協議会設置要項」をはじめ必要な事項を定める。(今後、公立小中学校の基本的考え方をとりまとめる予定)

(3)学校協議会の役割
○校長の求める事項について協議し、学校改善のための意見交換や提言を行う。
○各学校が学校の自主性・自律性を確保しつつ、責任をもって学校教育活動の改善や特色ある学校づくりに役立てられるよう、意見交換や提言を行う。
○各学校が「学校教育自己診断」診断結果を学校運営の改善に反映させられるよう、意見交換や提言を行う。

(4)委 員
〔役 割〕
○委員は、学校運営全般に関して、学校改善を進める立場から積極的に協議に参加し、意見や提言のとりまとめに協力する。
・委員には、公教育に関わる者としての見識と学校教育を充実しようとする自覚が必要である。
・委員は、校長の求めに応じて、学校を支援する立場から積極的な意見発表や提言を行う。
○委員は、個人情報等職務上知り得た情報に関する守秘義務を負う。
・校長は、委員を委嘱する際、委員として知り得た個人情報等に関し守秘義務があることについて説明し、理解を求める。
・校長は、資料の配付などに際しては適切な情報管理に努める。
○校長は、学校教育の現状と課題、自校の実態等について協議会委員の理解が深まるよう努める。
〔委員構成〕
○委員の委嘱に当たっては、自校の課題について幅広い視野から意見・提言が受けられるよう、広く学校外の人材を確保する。
・学校協議会は、学校の外部から学校運営に関する意見・提言を求めるものであるため、教職員が委員の意見を直接聴く機会を設けることが望ましい。
・生徒は委員としないが、生徒が、学校協議会に対し直接意見等を表明する場と機会を設ける工夫を図ることが望ましい。
・PTAは全保護者を対象とする唯一の組織という観点から、関係者を委員とすることにより、PTA活動との連絡連携を図っていくなどの運営上の工夫を図る必要がある。
・自由な立場からの幅広い協議が求められるため、委員は可能な限り人物本位で選任することとし、関係機関、団体の長などの充て職が多数とならないように配慮するとともに、各分野からのバランスある選任が必要である。
・委員の男女比率や年齢構成について配慮する。
・公募により委員を委嘱する場合には、選考規程を設けるなど開かれた選考を工夫する必要がある。
〔委 嘱〕
○校長が委員を委嘱し、府教育委員会に報告する。委員数は、実効ある協議とするために一定の範囲内に留めることが望ましい。
○府教育委員会は、委員に対し交通費実費程度等の謝礼を支給する。
〔任 期〕
○委員の任期は原則1年とし再任を妨げないが、最長年限を規定するなど委員の固定化の防止に努める。
・委嘱期間内において、委員に特別な事情が生じた場合は、校長は任期満了前に委員の辞任許可及び解任をすることができる。
・委嘱期間内に委員に欠員が生じた場合は、委員を補充することができることとし、その任期は、前任者の残任期間とする。

(5)協議事項
○校長の求めに応じて学校運営全般について協議する。特に学校教育自己診断の診断結果及び分析、並びにこれに伴う学校運営改善方策を中心的な事項とする。
・校長は協議事項の趣旨及び内容について、教職員の理解の徹底に努める。
・校長は協議会において具体的な意見や提言が出されるよう、説明責任を果たすとともに、適切な情報提供に努める。

(6)協議会の運営
○会長は委員の互選により選出する。
○会長は校長の求めに応じ、協議会を召集する。
○会長は、委員から出された意見をとりまとめ、校長に提言する。
・協議の内容に照らし、校長が必要と認める場合は、生徒の意見を求めるための場と機会を確保するよう努める。
・必要に応じ、委員以外の関係者から意見を聴取する。
○校長は、意見等を求めた事項についての委員の共通理解と協議の活性化に資するため、必要に応じ説明を行うとともに意見を述べ、協議会運営の円滑化に努める。
・校長及び教職員は協議会運営の事務局を担い、校長は事務局機能を校務分掌に位置付ける。
・事務局は、事前の資料配付や委員の意向の聴取などを行い、協議会の効果的な運営に努める。
・協議会から提出された意見や提言については、校長は学校内で責任をもって検討し、その検討結果を協議会及び生徒、保護者、地域に対して説明する。
○協議会の開催は公開を原則とするが、学校運営への支障やプライバシーの侵害のおそれがあるなどの場合は、非公開とすることができる。
・公開の対象は、学校教育の当事者である生徒、保護者はもとより、地域住民全体とするのが妥当である。
・傍聴については、その手続き等を規定し、周知しておく必要がある。
・学校は年度当初に年間実施計画を立案し、開催時期や協議内容などを保護者、地域住民等に周知しておくことが望ましい。
・学校は、協議内容や提言等を保護者や地域社会に提供するため、情報提供機能の充実に努める。

(7)教育委員会への報告
○校長は学校協議会の設置及び運営について府教育委員会に報告する。報告書は、協議を求めた事項及び委員が述べた意見や提言、学校運営に反映できた事項等を記した「府立○○学校学校協議会に係る報告書」とする。
・年度当初(実施計画)、第1回目実施後及び年度末に、別に定める様式により報告する。

(8)府教育委員会の役割
○府教育委員会は学校協議会の活性化のために、各学校における事例の紹介を行う等情報提供機能を充実する。
○各校の協議会相互の実情を情報交換する場を設け、各校が相互に情報の収集・発信を行えるようにする。
○府教育委員会は、委員の委嘱や協議会の運営について、必要に応じて校長に指導 ・助言を行う。


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「学校協議会」と「地域教育協議会(すこやかネット)」

        学校協議会             地域教育協議会

設置趣旨 ○保護者や地域住民の意向を把握し、○学校と家庭・地域の連携による総
     学校運営に反映させることにより、 合的な教育力の再構築をめざし、地
     学校改善を図るために協議する学校 域住民が地域の教育課題について話
     支援組織。            し合い、協働した取組みを進めるよ
                      う、教育コミュニティづくりの中核
                      となる推進組織。各中学校区に設置。

委  員 ○学校の課題について、様々な観点 ○小・中学校、幼稚園、保育所、養
     から意見・提言ができる学校外の幅 護教育諸学校、PTA、青少年育成
     広い人材。保護者、地域住民、地域 団体、福祉協議会、自治会、子育て
     の関係機関・企業等の関係者など。 グループ、NPO、企業、行政機関
                      等の関係者など

活動内容 ○校長の求めに応じて、学校の諸課 ○地域教育力活性化機能
     題や学校運営全般について、委員相  教育コミュニティづくりにむけた
     互で意見交換を行い、協議会として  意識啓発
     の意見や提言をとりまとめる。    家庭教育への支援
     ○学校に対する理解と信頼を得るた  子どもの諸活動や健全育成の取り
     め、学校運営の透明性を高め、その  組みにかかる企画・実施など
     説明責任を果たす。        ○情報センター機能
                      ○連絡調整(コーディネーター)機能
                       学校・地域・家庭との連絡調整など
                      ○学校支援機能
                       学校と地域の連携の促進
                       職場体験等の体験学習の実施に関
                       する協力体制づくり
                       学校における地域の社会人活用の
                       促進など

学校協議 ○学校協議会は各学校に設置される、学校運営の改善のための意見や提言
会と地域 を行う協議組織である。学校運営に地域住民の意見を反映したり、学校教
教育協議 育活動に対して協力を行う場合、地域教育協議会との連携が必要となる。
会との関 ○地域教育協議会は地域に設置され、教育コミュニティづくりに向けた、
係・連携 連絡調整や諸事業を行う組織である。活動内容の一つに「学校支援」が含
     まれており、学校協議会と連携を図り、学校教育活動への協力体制をつく
     りあげることが望ましい。
     ○両組織の設置趣旨・目的と機能はそれぞれ異なっているが、学校協議会
     と地域教育協議会とが有機的に連携して学校を支援するとともに、学校、
     家庭、地域が協働して、子どもを育んでいく総合的な体制づくりが必要で
     ある。



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■ 府立学校学校協議会設置要項(参考例) 平成13年3月 大阪府教育委員会


          府立○○学校学校協議会設置要項


(設置)
第1条 大阪府立○○学校に学校協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
(趣旨及び目的)
第2条 協議会は、保護者や地域住民の意向を把握し、学校運営に反映させることにより開かれた学校づくりを進めるために設置するものである。
 また、協議会は、校長の求めに応じて、保護者や地域住民等が参加して多様な観点から意見交換や提言を行うことにより、保護者や地域住民等の学校に対する理解と信頼を深めるとともに、学校運営の改善に資することを目的とする。

(役割)
第3条 協議会は、校長の求めに応じて、次の事項について意見交換や提言を行う。
  一 学校運営全般に関すること
  二 学校教育自己診断及び診断結果に基づく学校運営の改善の方策等に関すること
  三 その他、前条の趣旨を実現するために必要なこと

(委嘱)
第4条 協議会は、学校教育に対する理解と識見のある保護者や地域住民、有識者等から校長が委嘱した委員をもって構成する。
2 委員の人数は、○名以内とする。

(任期等)
第5条 委員の任期は1年とし、再任は妨げない。ただし、別に最長年限を定める。
2 特別の事情がある場合、校長は任期の途中で委員を解任することができる。
3 校長は、委員に欠員が生じたとき、新たな委員を委嘱することができる。この場合、任期は前任者の残任期間とする。

(会議の運営等)
第6条 委員の中から会長を互選する。
2 会長は、校長の求めに応じて協議会を召集する。
3 会長は、校長の提示した協議議題について、意見交換や提言を行うために会議を運営する。
4 校長は、協議事項について説明し、必要に応じて意見を述べる。
5 協議会は必要に応じ、校長の同意を得て、委員以外から意見を聴取することができる。
6 校長は、協議会で出された意見や提言について校内で検討し、その結果を協議会に説明する。
7 学校は、協議事項や協議会で出された意見・提言について、保護者や地域社会に広く情報提供を行う。
8 協議会は、少なくとも各学期に1回以上開催する。
9 協議会は原則として公開とする。ただし、学校運営への支障やプライバシーの侵害のおそれがあるなどの場合は、非公開とすることができる。
10 校長は、委員の委嘱や協議会の運営について、必要に応じ教育委員会と協議を行う。

(守秘義務等)
第7条 校長は、委員に対して、協議会において知り得たことについて守秘義務を課すことができる。

(事務局)
第8条 協議会の事務局を本校に置き、協議会に関する庶務を行う。

(その他)
第9条 この要項に定めるもののほか、学校協議会に関して必要な事項は、校長が定めるものとする。

附則 この要項は、平成13年○月○日から施行する。




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