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TITLE:  BBS運動の現状と展望(4)− BBSの史的展開と今日的課題
AUTHOR: 吉田 卓司
SOURCE: 関西非行問題研究10号(1985年)
WORDS:  全40字×319行


BBS運動の現状と展望(4・完)
 ― BBSの史的展開と今日的課題 ― 


神戸 須磨地区BBS  吉田卓司



 はじめに

  今回は、この四回のシリーズの総括も含めて、BBS運動の歴史からみたその基本的性格、および現在かかえている課題をまとめてみたいと思う。BBSについて考える上での一資料となれば望外の幸せである。
  なお、本稿においては、できる限りBBS運動の実態をとらえて検討をしていこうと考えている。しかし、各地区におけるBBS運動は、実に多様な展開をみせており、この小稿で、そのすべてをフォローすることは難しい。そこで、本稿では、具体的検証の素材として、主に近畿地方のBBSについて考えてみたい。この地域は、わが国のBBS発祥の地でもあり、有意義な資料を提示しているように思う。


1.BBSの史的展開

(1) BBS運動の萌芽
  わが国のBBS運動は、後述のようにアメリカにおけるボランティア活動を移入したものといえるが、その経過と、アメリカのそれとの異同を明らかにすることは、わが国のBBS運動を理解する上で有益であろう。
  1904年、アメリカにおいて、少年裁判所書記であったアーネスト・K・クールター(Ernest K. Coulter)の提唱によって、ニューヨーク市のセントラル・プレズビテリアン教会(中央長老教会派)の男子クラブ員、約40人が牧師宅に集まり、「非行防止には少年一人一人についての個別的処遇が大切であり、そのため一人一人が非行少年と友達になって、ワンマン・ワンボーイ(One Man to One Boy)方式で更生を助けよう」と話し合った。これがBBS運動の第一歩である。その後、1909年10月1日には、ビッグ・プラザーの集まりは、ニューヨーク市において法人組織となり、マンハッタンなど他地区にも事務所が開設された。1946年には、アメリカ・ビッグ・プラザー運動という全米的社団法人が成立し、一方、カナダなど外国へもこの運動は広がっていった(1)、とされている。
  すなわち、アメリカにおけるBBS運動は、@真に青年自らの自発的運動として成立したこと、Aキリスト教という宗教的グループを母体としたこと、B初期から法人組織として自立していたことが指摘できよう。
  これに対して、わが国のBBS運動は、昭和22年少年審判所の指導の下で発足。昭和24年7月の行政機構改革によって、少年審判所の裁判機能と行政機能が分離され、各都道府県の地方裁判所所在地に家庭裁判所と保護観察所が設置されることになり、機構改革以後BBS運動は、この保護観察所の指導の下で活動を展開していくこととなった(2)。したがって、わが国のBBS運動については、@政府機関の指導下にあり、A宗教的基盤を持たず、BBBS運動の法人化等の組織的自立が遅れている(3)。これらの点でアメリカのBBS運動との基本的相違点をもちつつ、今日まで活動を続けてきたといえる。

(2) 法務省保護局および保護観察所によるBBS育成施策
  昭和22年から昭和24年にかけての少年審判所によるBBS育成は、学生を主体としていた。そのため、卒業、就職によるBBS会員の急減が生じ、少年審判所の廃止後、京都では昭和25年から昭和28年の3年間で会員数2名となるなど(4)、少年審判所時代のBBS組織は、解散ないし再編を余儀なくされた(8)。一方で昭和25年から昭和30年頃にかけて、各都道府県に新たに設けられた保護観察所を中心としたBBSの再編がおこなわれた。すなわち、各地区保護司会が、その地域の青年をBBS会員として、地区BBS会を結成するとともに、保護観察所が、各都道府県下のいくつかの地区BBS会を都道府県BBS会として組織化していったのである。
  大阪府下については、たとえば、青年団、4Hクラブなど地域に密着した既存青年グループを核としながら、各地区保護司会の指導の下で、組織の再編が進められた。そして昭和33年には、それまで保護観察保護区とは関係なく組織されていた大阪BBS会についても、地区中心の地域組織に改組するため、大阪BBS会を発展的に解消して市内の保護区毎に再編成され、地区会単位からなる連盟組織へと移行していった(6)。

(3) BBSの活動方針
  こういった、各地域におけるBBSの再編と同時に、日本BBS連盟では、昭和32年に「BBS会員綱領」を制定し、翌33年には、その会員綱領に基づいた「BBS運動−その基本的考え方−」が公けにされた。その基本的内容は、全国のBBS運動を統一する基本方針として、「ともだち活動中心主義」と「更生保護機関への協力主義」の二大方針の宣言であった(7)。この昭和30年代初めにおいて、わが国のBBS運動が方向づけられたといえよう。
  さらに、昭和36年4月には、法務省保護局長から地方更生保護委員会委員長と保護観察所長宛に「BBS運動の育成指導について」の通達が出された。この通達においては、BBSを、「保護司の協力者」として保護観察対象者の更生保護に資するものとして位置づけられ、BBSの健全な育成と活用をはかるよう指示されていた。このようにして、昭和30年代から昭和40年代初めにかけてBBS会は、全国各地で結成され、会員数も飛躍的に増加した(図−1、図−2)。

(4) BBS運動の停滞
  BBS運動の展開は、各地域において実に多様な形で活動が続けられてきているが、全般的には、主務官庁の援助なしには成り立たないような状況であることは否めない(8)。前記関係機関のBBS運動への助力は続けられているにもかかわらず、昭和40年後半から、BBS運動の活動規模・内容について一進一退の状況であり、会員数について見ても漸減傾向にあることは、明らかであろう。
  このような事態に対して、昭和46年4月には、法務省保護局長から「BBS運動育成指導について」の通達が出され、@BBS運動の自主性尊重、A会員の計画的研鑽、B関係機関・団体とBBSの連携促進、などを育成指導の方針としてかかげ、ともだち活動の活用、非行防止活動の助長をはかることとしていた。そして、昭和49年12月から昭和52年12月の間、芸術振興国会議員懇談会からの寄付金を活用して、各都府県にモデル地区会を設置するなどの試みもおこなわれた(9)。しかし、一定程度の成果はみられたものの(10)、長期的凋落傾向の歯止めとはならなかった。
  このような状況の生じた背景としては、青少年の社会意識の変化(図−3)があったこと、地域社会の変容などを挙げることができよう。けれども、現代においてこそ、ますますBBS運動のもつ価値は高まってきていることも事実であろう。そこで、今日のBBS運動の課題と展望について、次節でさらに検討を加えてみたい。


2.BBSの今日的課題 −まとめにかえて

  わが国のBBS運動は、発足時から今日に到るまで少年審判所および保護観察所の指導をうけ、地域においても保護司会の強力なイニシアティブのもとで運営されてきた経過がある。そういう政府機関および地域関係団体などの取り組みが、BBSという青年ボランティア組織を全国に形成してきたことは、高く評価しうる側面をもっている。まず第一に、非行少年の更生保護に民間の青年が自ら参加すること自体、更生保護施策の真の理解者を育成することにつながることである。少年院や教護院など処遇施設についての偏見がなお一般には根強い現状から考えれば、青年の参加そのものに意味があるといえよう(11)。そして第二に、BBSのワンマン・ワンボーイによるケース活動が、個々の対象少年の更生の一つの足がかりを与えているケースも少なくないことである。この連載のなかでも三つのケースワーク活動を紹介したが、保護観察所から依頼されたもの以外にも、多方面でケースワークがおこなわれてきており(図−4)、非行克服に係わる機関が、BBSに期待するものは大きいといってよい(12)。
  しかし、以上の長所は、単に更生保護に青少年ボランティアが協力しさえすれば、それでBBS運動の目的が達成されることを示すものではない。前述の法務省昭和46年通達が示しているように、官製ボランティアとして創出されたBBS運動が、本当の意味でボランティアになるためには自主的・自発的活動が展開されなくてはならないが、この面でなお十分な運営を確立するには到っていない(13)。その要因として、BBS会員の努力不足を指摘することは容易であるが、BBS会員の自発的活動が継続性をもったものとして定着しにくい原因は、さらに検討の余地があるように思われる。
  まず、第一点は、財政的基盤の弱さである。「ボランティア活動である以上、活動経費自己負担は当然で、他方国家財政から見れば、ボランティア活用は、経済的メリットがある」とのボランティア・メリット論は、潜在的にもせよ、極めて根強く存在しているように思われる。更生保護における地域ボランティア(わがBBSのみならず、保護司・更生保護婦人会も含めて)は、保護観察等のケースワーク対象者と同一の地域社会の中でくらしていることによって、対象者の日常生活の把握、問題発生時の即座の対応、地域の多角的な社会資源の活用等の面で、公務員たる専門ケースワーカーには得がたい利点のあるからこそ篤志家の積極的活用に意義があるといえよう(14)。真にこの理念を実現するためには、BBS会員が保護観察対象少年に接する以上、たとえ補助的とはいえ、より充実した計画的・継続的研鑽が必要である。特に更生保護ケースワークは、対象少年の人権保障の面でも極めて、その活動に慎重さが要求されるものであって、BBSの研鑽活動への財政的裏付けの強化は国家的責務である。その面では、ケース活動自体についての援助金制度も徐々に進展しており、例えば兵庫県下は、1件1ヵ月につき金1,000円が、更生保護婦人連盟・更生保護同友会から県BBS連盟を通してケース担当BBS会員に支給されることになっている。しかし、こういった援助制度についても、金額の多少は別としても、なお問題点がある。
  具体的に言えば、こういった更生保護団体からの「ともだち活動促進援助金」は、ケース担当BBS会員が、所属する地区BBS会をとおして、県BBS連盟に提出する「ともだち活動報告書」にもとづいて支給される。そして、支給の基準は、その実績に応じて、地区BBS会長に支給され、地区BBS会長は、支給された援助金を原則として、ケース担当会員の実費弁償金として担当会員本人に交付されることとなっている(15)。兵庫BBSの昭和57年の調査によれば、BBS会員の42.4%の者が、ともだち活動助成金の支給が必要と考えており、これを「望ましい」とする者も含めれば、会員の66.3%にも達している(16)。こういったBBS会員の要望が実現されたことは、大変大きな意義がある。
  けれども一方では、同調査によると、ケース活動をおこなった会員の月平均出費額をみると、1,000円未満と答えている者が大半を占め、他方で相当の出費をしているケースも少なくないという格差がある(17)。調査対象のBBS会員がどういう基準をもとにケース活動の経費を算出したかの検証も必要であろうが、概していえば、ケース担当BBS会員の中でも、対象少年との接触が十分図られていないような場合も少なくないし、逆に、対象少年との接触が頻繁なケースなどでは、交通費・交際費などが相当な負担になるのも当然で、こういったケースどとの格差が大きいだけに、1件1ヵ月1,000円という一律支給については、助成基準の具体化・明確化と合わせてケース活動の実態に添った支給方法の改善が期待される。
  また、この「ともだち活動促進援助金」の支給審査は、「県BBS連盟会長が保護観察所調査連絡課長の助言を得て審査」することとなっている(18)。BBSの育成が保護観察所および関係更生保護団体の援助なしに考えられないほど大きいものであることは、繰返し述べてきたことであるが、BBSの自主性伸長という面で、これらの援助が必ずしも有効性を発揮していない側面のあることを指摘しておく必要がある。
  なぜならば、前述の「ともだち活動援助金」について考察すると、その資金源が更生保護団体であり、支給審査に保護観察所が関与しているとの手続をみれば、この援助が、BBSが保護司の協力者としての役割をはたしていることへの援助であることは明らかであろう。一方で、BBSのケース活動は、図−4にみられるように、ケース活動の約40%は保護観察対象者以外とのともだち活動をおこなっているのである。BBSの沿革からも知られるように、BBSが自発的活動をおこなうということは、保護観察ケース以外のケース活動を開拓し、多様な非行防止活動を展開することとなろうが、その際、保護観察ケースについての援助金は支給されるが、その他の機関から依頼されたケースについては助成がおこなわれないという事態は当然考えられることである。こういった問題の解決には、BBSへの援助をおこなう関係機関・団体が、行政と司法、福祉と教育等の分野の別を問わず、幅広い視点でBBSの育成を援助していこうという支援体制をつくらねばならない。
  そして、児童相談所、学校、家庭裁判所、警察、補導センター、教護院、少年院など、現実にBBSとの連携を保っている関係機関およびその主務管庁および部局においても、法務省保護局・保護観察所とともに、BBS育成と活用について組織的取組みがおこなわれてよいように思う。現在BBSを活用し、成果が認められた分野の各機関からの継続性ある支援を得てはじめて、BBS本来の自発的運動が展開され、ボランティアの理念を生かしたワンマン・ワンボーイによるケースワーク活動が生かされていくように思われる。
  さらに、各方面からの多角的支援を受け、それに答えうる組織となるためには、やはり特定官庁への依存を克服しなければならないが、そのためにも、公益法人として独立した組織運営を目指すことはもとより、他の青少年団体・ボランティアとともに地域の活動拠点となるコミュニティーセンターを建設できるよう働きかけていくことも重要ではないかと思う。各地方自治体にとっても、地域のなかでこういった活力が伸長することは、種々の面で多くのメリットが存することと思われる。地方自治体においても、従来から種々の方途で地域社会の活力化を図ってきており、BBSもその恩恵を受けてきてはいるけれども(19)、一時的助成金支給や単発式の委託事業をおこなうだけでは、地域の活力となるボランティア組織の育成にはつながらないのではないかと思われる。
  最後に、BBS運動がボランティア運動として自立することは、どういうことをさすのか、その展望について考えてみたい。BBS運動の活動の三本柱として、@ともだち活動、A非行防止活動、B研鑽活動が掲げられているが、これらの活動は、奉仕活動であるとともに、究極的にはBBS運動に参加した青少年ボランティアが人間的に成長することであろう。逆にいえば、BBS会員の人間的成長なくして、BBS運動の進展もなく、その成果もあげられない。図−5にみられるようにBBS会員の多くは、そのことを意識としてもっているといえよう。そのためにも、BBS運動が、単に政府機関の手足として利用されるだけの無償サービス団体に陥いることなく、ボランティア活動をとおしてBBS会員の人間的成長とケース活動対象少年の成長を共生させていくという指針を常に堅持していく必要がある。BBS運動の育成施策はそういう意味でBBS会員自身の自立的成長を目指すべきものである。BBS運動に参加する者自身が、BBS運動の発展の方向性を自覚し、個々の活動の場面においても「自分が人間的に成長するのだ」との気概をもって意欲的に活動に取組むことが、重要ではなかろうか。だからこそ、BBS運動の組織的自立も求められているのである。


( 注 )
(1) 日本BBS連盟:『ともだち活動−BBS運動の解説−』、1941,3〜4頁。
(2) 当時の状況につき、「京都市の学生が中心となってBBS運動を起こした」(法務省保護局『改訂BBS運動の手引き』1976,13頁)とされてはいるが、その背景としては、「当時大阪地方裁判所の判事、宇田川潤四郎氏は、かねてから、今日の日本では少年問題が焦眉の問題であると着眼され、BBS運動に類したものを考えられていた。たまたま、同氏が、昭和20年暮に京都少年審判所の所長として、京都に赴任されることになり、東京で、当時東京地方検事正であった柳川真文氏や池田浩三氏と話し合われた際、少年問題については、アメリカにあるBBS運動がまことに好ましい運動であるとの話から、宇田川氏は、この運動を京都で実現しようとされた」(日本BBS連盟:前注(1)掲書、4〜5頁)ことがある。そして、この宇田川氏の元へ、少年保護グループの設立準備の気運を新聞で知った立命館大学の一学生から、「私は、近頃の不良少年の問題に深く関心をもつ一人として、我等学生の手によって、これ等少年のよき相談相手、良き友としてなんとか正しい道に導きたい」との手紙が寄せられ、当時同志社大学教授(京都少年審判所上席少年保護司)徳武義氏らの指導の下、昭和22年2月22日、東山女専(現、京都女子大)において、第1回創立大会がもたれ、京都9大学の学生が参加、約150名の会員によって京都少年保護学生連盟が結成された(近畿地方BBS連盟:『30周年記念あゆみ』1977,35頁)。これがBBS運動の端緒である。したがって、BBS運動には政府主導の側面のみならず、青年の自発的社会改良運動という側面もあることは確かであるが、京都とはぼ時を同じくして、大阪府下でも、豊中市を中心に、「北摂兄姉会」の運動が展開され、やはり、少年審判所を中心にアメリカのBBS運動が、日本に移入された。昭和23年11月には、早くも東京において少年保護全国学生代表協議会(第1回BBS大会)が、東京、大阪、京都など9地区の代表19名、関係中央官庁代表、およびGHQ代表の参加によって開催された(日本BBS連盟:前注(1)掲書6頁)。
(3) 日本BBS連盟『日B連事務局だより』1978年7月25日号によれば、昭和53年に承認された『BBS運動強化五ヵ年計画』の内容として「……特に資金造成について検討をすすめ、一本立ちしたBBS運動へともっていく。最終的には事務局の会員による自主的運営を確立し、組織の法人化を達成」していくとされているが、現在もなおこれらの目標は実現していない。
(4) 近畿地方BBS連盟:『30周年記念あゆみ』1977,35頁。
(5) 兵庫県下でも昭和22年8月京都大学、関西学院大学の学生有志が、神戸少年審判所の援助のもとに兵庫県青少年グループ「青い鳥」を結成したが、卒業、県外への就職の影響をうけ、かつ活動資金の脆弱さから僅か2年余りで解散した(神戸保護観察所編:『明日への歩み−兵庫県における更生保護の四半世紀−』1974,82頁)。
(6) 近畿地方BBS連盟:前注(3)掲書9〜34頁および追録参照
(7) 宮川満:「BBS運動の現状と対策」『犯罪と非行』42号、1979,100頁。「BBS綱領」制定以前においても、BBSの性格の明確化は、論議の対象とされていた。この点について昭和31年7月のBBS全国大会での協議結果として「BBSが保護観察機関と密接な連携を保ち、保護観察対象少年の更生に寄与するとの原則に狂いを生じない限り、余力を地域浄化活動あるいは保護観察以外の少年のケースを担当するなど派生的、副次的な方向への発展されることは認められるが、派生的な事が主になることは大きな誤りである」(日本BBS連盟機関紙『ともだち』昭和31年7月25日号)とされていた。当時、兵庫県BBS連盟委員長をされていた佐伯三郎氏の「昭和31年全国大会参加報告」によれば、「ワンマン・ワンボーイによるケースワーク中心主義は結構であるが、BBS運動は個人・地域の活発な活動が大切。それを全国的に統一することは間違いで、地区、府県単位をもっと尊重すべきである」との論議もおこなわれたとされる。
(8) 植松正:「更生保護活動管見」『犯罪と非行』42号、1979,8〜9頁。
(9) 法務省保調第394号「寄付金の配分とBBS運動の充実強化について」、1974年12月27日
(10) 宮川:前注(7)掲論文102〜103頁。
(11) 本連載第1回 中安圭子:「播磨少年院訪問活動」関西非行問題研究7号、1982,19頁参照
(12) たとえば、裁判所の立場からBBSの活用を期待する主張としては、野田裕子「試験観察におけるBBS活動とのかかわりについて」調研紀要43号、1983,41〜52頁がある。また現実に兵庫県においては、県BBS連盟主催のBBS大会に家裁調査官の方々が複数参加されるなどBBSとの連携に積極的な姿勢がみられる。
(13) 現在、日本BBS連盟は、昭和53年からの五ヵ年計画の中で、会員増強、ともだち活動増強とならんで組織の法人化を三本柱の一つとして掲げ、日本BBS連盟の事務局長を保護観察官からBBS会員自身へとバトンタッチし、事務局も法務省から日本青年会館へ移し、さらに、昭和59年4月からはフルタイムの専従職員を入れるという形で、この10年たらずの間に事務局体制の強化がはかられてきていることは事実である(日本BBS連盟機関紙『ともだち』99号、1984,4頁)。
(14) 関西非行問題研究会編:『非行克服の現場と理論』1980年、178〜181頁。
(15) 兵庫県BBS連盟「ともだち活動促進援助金支給要領」参照
(16) 近畿地方BBS基礎調査報告書『BBSのともだち活動に関する意識と実態』(1983年3月)96頁。
(17) 上掲書 58貢。
(18) 前注(15)掲要領。
(19) 兵庫県BBSでは、昭和50年に兵庫県知事の委託事業として「兵庫県中学生の意識調査」をおこない17万円の委託金を受けたり、昭和57年、神戸市BBS連合会では神戸市の助成を得て市民を対象とした「非行問題研修講座」を3ヵ月間に10回実施した。この講座実施については、本連載第2回島村聡「非行問題研修講座を聞いて」関西非行問題研究8号、1983,55〜57頁で取り上げたことがある。しかし、個々の成果としては、得たものは大きいが、一時的助成は継続的な活動の進展にはつながりにくく、地方自治体の助成策として、その有効性をどう持続するかが問われているのではないだろうか。前述の昭和49年、モデル地区BBS会の設置も、兵庫県下、西宮BBSなどでは、持続的な成果を得ることができなかったといわれている。



図1 BBS会員数の推移
図2 地区会数の推移
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図3 青年の理想とする生きかた(20〜23歳)
    文部省統計数理研究所の調査による

1953年19581963196819731978
金や名誉を考えずに、自分の趣味にあったくらしかたをする212730323939
その日その日を,のんきにくよくよしないでくらす111819202322
一生懸命にはたらき,金もちになる151717171414
世の中の正しくないことをおしのけて,どこまでも清く正しくくらす292318171111
自分の一身のことを考えずに,社会のためにすべてをささげてくらす10
まじめに勉強して名をあげる
わからない



図4 近畿地方B B Sにおける対象ケース220件の依頼機関
『近畿地方BBS基礎調査報告書』(1983年3月近畿地方BBS連盟・近畿地方更生保護委員会発行)53頁より
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図5
  あなたはこれからのBBS活動で何を見いだしていきたいと思いますか。
  次の中からあなたの考えに近いものを2つまで選んでください。

1.住みよい地域づくりをしていきたい 164 24.5
2.活動をともにする中で、会員相互の友情を深めていきたい 198 29.6
3.後輩の指導、組織の運営などを通じBBS会を育てていきたい 134 20.0
4.少年とかかわる中で自らが人間的に成長していきたい 309 46.1
5.非行問題に関する知識、経験を豊富にしていきたい 114 17.0
6.ともだち活動により少年の将来のためにいくらかでも役にたちたい 189 28.2
7.これからのBBS活動の方向について考え、リードしていきたい 41 6.1
8.その他 13 1.9
9.特になし 33 4.9
  総 数1195178.3
N=670
前掲近畿地方BBS調査 87頁より





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