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◆200210KHK204A1L0559AJ TITLE: 高槻南高校廃校問題と府教委文書等の情報公開請求―無際限な行政裁量と侵害される市民の権利― AUTHOR: 加藤 憲雄 SOURCE: 大阪教法研ニュース 第204号(2002年10月) WORDS: 全40字×559行
高南応援団事務局書記
高校教育インス.代表
加 藤 憲 雄
1.第1期廃校反対運動から第2期廃校反対運動への軌跡
@統廃合案の突然の発表と決定の強行
2001年(平成13年)8月30日、大阪府教育委員会『府立高校再編整備第1期実施計画、第3年次対象校案』を発表し、高槻南高校と島上高校を統廃合し、高槻南高校を廃校とする案を発表。同年11月16日、廃校案を府教育委員会議で正式決定。
A「3ヶ月で16万筆」に象徴される第1期の廃校反対運動
廃校案への想像を超える高揚、生徒・生徒会、PTA・保護者、同窓生、現旧職員、市民(府民)が一つになった急速な運動の発展。生徒たちによる連日の街頭(駅頭)宣伝行動。数度にわたる集会やデモ行進。3度にわたる府教委事務局の来校を要求しての説明会での追及。バス3台で150名の生徒が駆けつけた府教委への11・15要請行動(10・26にも生徒75名)。11・9 PTA要望書、高槻市議会意見書採択、11・13高槻市長要望書。
B行政不服審査法に基づく「異議申し立て」と情報公開請求、12月府議会での
廃校条例凍結を求める高南応援団を中心とする第2期反対運動
「異議申し立て」(02・1・10)を契機に父母を中心に高南応援団(高南の存続と発展をめざす)を35名で結成。4・13「第1回高南応援団のつどい」、8・31「第2回つどい」を父母・教師・市民・生徒の参加で成功させ、現在約( )名の会員を擁し、12月の廃校条例案凍結をめざした運動を多彩に展開している。
2.存続と発展をめざす高南応援団の運動
府立高校の統廃合―府教委いうところの再編整備―が始まって3年次を迎えたが、府教育委員会会議で、廃校決定案が決定した後にも、運動をねばりづよく展開しているのは高南応援団だけ。廃校決定後の運動は、府立高校再編では、新しい分野。「運動は終わった」「よく闘った」「あとはよい総括を」のムードの中で、孤立無援の中で始まった運動。国民の主権的教育権を守り、回復するために。(以下に運動の履歴)
1月10日(木) 高南の保護者35名が行政不服審査法に基づく「異議申し立て」 2月22日(金) 府教委、「行政不服審査法に基づく処分にあたらない」として「異議申し立て却下の決定」通知―「運動の転換点」⇒応援団の拡充・連帯 4月13日(土) 「第1回高南応援団のつどい」(父母・教師・生徒など百名参加) 4月30日(日) 「4・13つどい」アピールを全府議と教育関係者に郵送 5月11日(土) 高南応援団運営委員会 5月13日(月) 大阪府教育委員会と全府教育委員宛てに「公開質問状」発送 5月19日(日) 高南応援団事務局会合 6月01日(土) 高南応援団運営委員会 6月13日(金) 応援団駅頭ビラ宣伝行動(JR高槻・JR摂津富田・阪急茨木市駅頭) 6月27日(木) 高槻市議会意見書採択傍聴(*20日、応援団の要望書、市に提出) 6月28日(金) 府教委教育長より公開質問状への回答 7月13日(土) 高南応援団運営委員会(*7月7日―事務局会合) 7月17日(水) 第1次府教委文書等、情報公開請求 7月24日(水) 高槻市当局への申し入れと協議(対助役、議長仲介) 8月03日(土) 高南応援団運営委員会 8月04日(日) 高槻市民まつりー宣伝行動 8月07日(木) 府議会各会派申し知れ、教育記者クラブ申し入れ行動 8月08日(金) 府教委公文書、情報公開請求開示第1回立会い(府情報センター・双方各5名) 8月10日(土) 高南応援団運営委員会 8月19日(月) 府教委公文書、情報公開請求開示第2回立会い(府情報センター・双方各3名) 8月29日(木) 高南応援団運営委員会 8月31日(土) 「第2回高南応援団のつどい」(父母・教師・生徒など80名参加) 9月12日(木) 第2次府教委文書等、情報公開請求 9月28日(土) 高南応援団運営委員会 9月30日(月) 府教委行政文書、公開・非公開決定通知書送付(10月2日郵送着)
3.親と生徒、教師と市民をこの運動に駆り立てるもの
@ | はじめて知った時の想いと衝撃 「なぜだ!?」「高南がなぜ?」の持続と拡大・増幅 |
A | 府教委による統廃合理由の説明を聞いて不信と怒り 「全く理由にならない」「理不尽だ」「合理的説明がない」「客観的条件を無視している」「何度聞いても、最初に聞いた無内容な説明の繰り返しばかりの官僚説明(答弁)だ」「全く誠意がない」「質問や、批判を全て無視するか、すりかえて答弁している」の不信と怒り、不満の沈殿 |
B | 「高南は素晴らしい学校、教育改革でめざすべき学校」−WE LOVE 高南!への突きぬける生徒と保護者、OB、教職員の想いと無念さ 「こんな高校は、つくろうとしてもつくれない」「不本意入学や中途退学が最も少ない府立高校の一つ」「本校の最大の特徴は生徒の愛校心」「生徒の教師に対する信頼のこれほど厚い学校も珍しい」「公立高校として、どんな教師でも目指すひとつの理想像ではないのでしょうか」「このような学校が廃校になるのなら、一体教師はどんな学校をめざして教育活動を行えばよいのでしょうか」「高南が廃校にふさわしいという理由をご存知の方がおられたら、どうぞご一報ください。どんな学校をめざしたらよいのか。私に教えてください」 |
C | 廃校案の決定を闇討ちでしかできなかった権力の横暴への怒り、市民の権利回復への強い主張 「廃校を巡る政治家の圧力疑惑」「府教委確定案逆転での異常な決定」「統廃合理由の欺瞞と虚偽」「圧倒的市民意思の完璧な無視」「教職員組合の関りと統廃合問題の検証」 |
1.高南応援団公開質問状
平成14年5月11日、大阪府教育委員会教育委員長と教育長宛てに、高南応援団が行った公開質問状の概要は以下の通りです。これへの回答(6・28)が、続きに下記に掲載されています。
第1の質問内容
11月16日の廃校処分決定が、行政不服審査法に基づく処分ではない」としていますが、これは国民の権利制限や府民財産の処分を目的とした「廃校処分決定」に他ならず、事実、今年12月の府条例による正式決定の前に、廃校を前提とした準備が着々と進められ高槻南高校の関係者は、大きな不利益を受けています。改めて貴教育委員会の明確な回答を求めます。
第2の質問内容
貴教育委員会は第2学区の各行政区ごとの平均募集学級数(平成13年度と平成15年度)を資料としてあげ、それを理由として「学校の小規模化が進む高槻市において統合・整備を実施する」と、それが客観的であるかのように述べています。しかし、府立高校の全日制普通科の募集は、学区ごとに行われており行政区ごとに行われているわけではありません。制度を無視した廃校理由と処分は、きわめて不当なものです。この問題に明確な回答と見解を求めます。
第3の質問内容
貴教育委員会は、廃校とする理由の説明の中で、「生徒減少に伴って学校規模が小さくなる場合は、統合により一定の『適正規模』の確保を行う」とし、この「適正規模」について「普通科高校については8学級、特色ある学校については6〜7学級が適正な規模と判断している」としています。しかし、大阪の公立高校の1校あたりの平均学級数は6.4学級です。貴教育委員会の判断はこの現実からみて誤りです。「適正規模」論の説明根拠を明確にされたい。(東京都の標準学級数は6学級)
第4の質問内容
府教育委員自身も言うような「府立高校にとってかけがえのない学校」である高槻南高校をつぶす論拠を、府教委自身が教育改革プログラム関連で実施した府民世論調査の結果に基づく府民意思にかかわって、明確、かつ具体的に述べられたい。逆の結果が出ているではありませんか?また府有の教育財産処分の合理性、廃校処分と新校準備に伴う財政収支のバランスについても貴教育委員会が持っている財政計画と見通しを、近い将来の30人学級実現の展望も踏まえ明確に示されたい。
第5の質問内容
貴教育委員会は、これまで「全日制単位高校への統合は高槻南高校の発展です」と繰り返し説明してきましたが、その根拠となった「総合学科とならぶ(全日制)単位制」は、府教育改革プログラムのどこにもその位置づけがありません。あるのは、定時制・通信制の課程の適正配置のあり方」と連動して「全日制単位制高校」という学校が、別の役割をもつ学校として位置づけられているだけです。こういった事実経過と論拠を踏まえ、それでも「高南廃校決定が発展です」という論拠と展望、具体的な計画を自らの責任で明確に示し回答されたい。
第6の質問内容
この決定は、高槻南高校関係者等への理解とコンセンサスを得ていない決定であるという点で不当な決定です。11月13日に高槻市長よりの要望書の中では、「一度の事前協議も無かったことにつきましては、誠に残念で極めて遺憾に存ずる次第であります。」とあります。関係者・住民とのコンセンサスにも欠けた状態にありながら8月30日、高槻南高校廃校案を提出し、正式の案として確定したということが、致命的な判断ミスとそれに伴う大きな混乱を生じさせたのです。このような事態を生んだ背景と理由、責任を明確にされたい。
第7の質問内容
11月16日の大阪府教育委員会議を前に、高槻南高校のPTA及び生徒会は府教育委員に対して「学校にきてほしい」と言う要望をだしていましたが、この要望は、「行けば情が移る」といったまったく理由にならない理由で拒否されました。府教育委員のこのような閉鎖的な対応は、府民の税金から多額の報酬を得ている教育委員としての姿勢としては大変不誠実です。今回とった府教育委員の施策決定に臨む基本的姿勢への疑義に関し釈明と見解を求めます。
第8の質問内容
貴教育委員会の再編統合案(高槻南高校廃校処分)に対し、きわめて短時日で集約された16万人分にも上る高槻市及び茨木市を中心とする大阪府民の明確な反対意思を全く無視し、最終決定の府教育委員会会議においてこれらを考慮し、尊重しようとしませんでした。これだけの圧倒的な反対意思を無視してまで誰の眼から見ても不合理な決定を強行した背景と論拠は何か?「外務省における政治圧力現象」と同様のことが起こった為に、このような横車のような決定が行われたのではないかという批判があります。統廃合決定に至る、関係団体や政治家等との事前協議の経過とその内容についても、明確な回答を求めます。以 上(02・5・11付け公開質問状)
2.高南応援団に対する府教育長よりの回答(02・6・28)
先に、教育委員長、教育委員並びに教育長あてに送付されました標記について、教育委員会としての考え方は下記のとおりです。 記 大阪府教育委員会では「今、教育は大きな曲がり角に立っている」と考え、大阪の伝統を生かし、元気で独創的な学校と教育を創造するため「教育改革」を進めています。 学校教育が多くの課題を抱えている中にあって、とりわけ府立高等学校が生徒一人ひとりの興味・関心、能力・適性、進路希望等に対応する教育を充実して、生徒の個性を大きく伸ばしていける学校となるよう、府立高等学校の「特色づくり」を進めています。府内公立中学校卒業者数は、昭和62年の14万8千人をピークに減少に転じ、平成20年にはおよそ7万人とピーク時の半分以下になると予測されています。このまま、生徒数の減少により、学校の小規模化が進みますと、クラブ活動や学校行事、生徒会活動等が十分に行えないなど、学校の活力の低下をもたらしたり、生徒の興味・関心等に対応した多様な科目展開が困難になるなど、教育活動に支障が出ることが懸念されます。 このため、生徒減少期を教育環境・教育条件など教育の質的向上を図る好機として捉え、府立高等学校の特色づくりとあわせて適正な規模の確保、適正な配置の観点から再編整備を進めることが必要です。 このような中、大阪府教育委員会では、広く府民の皆様の意見を伺いながら平成11年4月に「教育改革プログラム」を策定し、この考え方を基本として「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備計画第1期実施計画」を平成11年11月に策定しました。 府立高等学校の再編整備は同計画に基づき進めているものであり、今回の高槻南高等学校と島上高等学校の統合整備につきましては、「第3年次実施対象校」の内容のとおりであり、これらは8月に教育委員会会議に(案)として諮り、府議会等での議論を経た上で11月に決定したものです。この選定にあたっては、教育委員会の責任において案を策定し、それを広く府民にお示しし、各界のご意見を伺って決定するという手順で進めております。 高槻地域におきましても、広く学校関係者や地元市等を対象に説明を行い、意見を伺う機会を持たせていただいたところです。 再編整備はいずれの学校もそれぞれ歴史と伝統を有しておりますので、高槻南高等学校及び島上高等学校のどちらか一方の学校を廃校とするものではなく、両校のよき取り組みを結合し、新たな学校づくりに活かしていくものです。このため、両校と教育委員会事務局関係各課からなる「新高校整備推進プロジェクトチーム」を設置し、教育課程や教育内容・方法をはじめ必要となる施設設備などについて検討し、新高校づくりを進めております。 大阪府教育委員会といたしましては、皆様方の高槻南高等学校に対する思いは理解できるものですが、その思いを魅力ある新校づくりに役立てていただきたいと考えております。 なお、平成14年1月10日に提出のありました高槻南高等学校と島上高等学校の再編整備実施対象枝の決定に対する異議申立てにつきましては、その決定の中で述べているとおり、行政不服審査法による不服申立できる処分ではありませんので却下決定をしたものです。 いただきましたご質問に対する回答につきましては上記の記載内容から、ご理解いただきますようお願いします。 府教育委員会におきましては、教育の改革に停滞は許されないとの信念のもと、今後とも「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備計画」を着実に推進してまいります。 |
―以上、府教委回答全文
1.理由にならない府教委の統廃合「理由」
(1)府教委の統合整備の考え方−その説明資料より
●統合整備は、高槻南高校も島上高校も廃校にするものではありません。両校の伝統、教育実践を持ち寄って新校(全日制単位制高校普通科)をつくります。
●統合により、より良い学校をつくるためには、対象とする学校で、新しい学校の特色づくりに発展できる取組みが行なわれていること、取組みを進めていく活力が期待できることが重要です。
●高槻市内7校の府立高校の特色づくりに対する取組み状況を検討し、次の3校が相応しいと判断しました。
・島上高校:総合的な学習の時間や福祉などの体験学習を実施。多くの選択科目を取り入れ、生徒一人ひとりの意欲を引き出すきめ細かな指導に取り組んでいる。単位制に向けた検討もすすめている。
・高槻南高校:国際理解教育を推進するとともに、わかる授業の実践を通して、生徒一人ひとりの学力の向上と個性の伸長を図り、進路実現の力を身につける指導の充実に取り組んでいる。
・阿武野高校:選択科目を多く実施し、生徒の興味・関心、進路希望に応じてきめ細かな学習指導を行なっている。国際交流や地域の養護学校、作業所との交流授業や介護実習を実施している。
その上で、両校のプラス面を共に発展させる「統合」という方式をとるため、できるだけ接近していることが重要であることなどを判断しました。
その結果、島上高校と高槻南高校を対象校とすることで主体的に学習する姿勢や創造的な個性、進路実現の力を育て、国際社会でも活躍できるなど、多様な能力をもった地域の人材を育てる新しいタイプの普通科の全日制単位制高校を設置できると判断したものです
(2)教育内容等の受け継ぎ
●新校の教育内容、教育課程等はプロジェクトチームで検討
高槻南高校と島上高校それぞれの、校長・教頭・事務長・教員3名及び府教育委員会関係課員が参カロするプロジェクトチームで、新しい学校の教育課程や開設科目、学;佼行事、部活動等について検討していきます。
●高槻南高校でこれまで取り組んできた教育活動の成果を、さらに発展させながら、確実に受け継いでいきます。
●検討状況については中間まとめ等で適宜発表し、さまざまなご意見もいただきます。
(3)全日制単位制高校
●今回できる単位制は全日制の「普通科」です。毎日6時間の授業、3年間での卒業などは、学年制の高校と変わりありません。学校行事、ホームルーム活動、部活動や生徒会活動なども、実施していきます。
●単位制高校では、国語、数学などの必修科目はもちろん、多くの選択科目が用意されます。生徒は自分の興味・ 関心、能力・適性、将来の在り方などさまざまな進路意識に基づき、主体的に自分のニーズに適した教科・科目を選択して学習することにより、「個性を伸ばす」「主体性を育てる」「進路希望を達成し易くする」などのメリットがあります。
●学年制では、学年ごとに学習する科目が指定されており、生徒が主体的に科目選択をする余地があまりありません。単位制高校では、年次毎に学習するよう指定される科目の取決めが緩やかで、生徒は自分の主体性を生かしながら、多くの科目選択をすることができます。
【参考】―府教委の「統合整備による特色づくり」の基本方針 i.生徒減少の進行により、募集学級数が、基準学級数を下回る割合の大きい通学 区域(市町村)から統合整備に着手。 ii.同一年度に、同一地域、二組の統廃合はしない。 iii.対象校は、同一市町村の学校を組み合わせる。 iv.普通科の府立高校の設置数が1ないし2校の市町村は対象としない。 v.生徒のニーズや交通の利便性を勘案して、当該通学区域の広範囲な地域から生 徒が入学している市町村は、後順位とする。
(4)廃校決定から1年、反故にされる府教委の約束(説明・方針)
@ 「新しい学校は,島上・高槻南とは,全く異なります」*統廃合関係2校の管理職が作成した「高槻地域地域新校説明資料」を参照
2.市民(府民)の権利への無知と傲慢―府教育委員会会議
@ | 権力の情報独占―「案の公表前に、意見聴取するとかえって地元に混乱を招く。(事前に説明しない)今の手法がベターだ」(10・25府教育委員会会議、佐藤副理事) |
A | 地域の行政当局さえも無視―「事前に一切の相談がなかった―奥本高槻市長答弁」 『高槻南校をつくる時は、用地買収に際しても、朝な夕な、地権者との話し合いをし、また水路、道路との接続、墓地移転等、色々な問題で相当の努力をしてつくってきた。それを廃校にする時には、一切の相談もなく、やめるということはどういうことかと厳しく申し上げた』(12月市議会答弁) |
B | 学校関係者も、校長以外の事前打診は一切ない。 |
C | 南廃校を事前に知っていたのは、府教委、府議会議員、府段階の教職員組合(複数)、その下部組織の一部活動家、高槻市教委・市教組関係者、その他。 |
3.圧倒的市民意思の完璧な無視
―「開かれた教育行政」「学校・地域・行政一体の開かれた教育改革」のお題目化
4.間違いを正す勇気のない官僚的気風に侵害される子どもと市民の権利
@ | 生徒に愛され、どこよりも生き生きと存在している学校が、廃校を前提とした府教委の指導で潰されていく事態に、そこで学び生活している生徒や教職員、父母、地域住民が、主権者としての権利を発揮して、学校の存続と発展に貢献するということのできないもどかしさ。 |
A | 府立高校の象徴のような存在」といいつつ、「だから統合で」と、廃校を合理化する府教育委員。深刻な問題を知りつつ、官僚の習性で見直し、改める見識と気迫のない、無責任な官僚群。 |
B | 「要望書」を出しても、「異議申し立て」を出しても、公開質問状を出しても、はじめと同じ「統廃合理由」を壊れたレコードのように繰り返す府教委の答え。業を煮やして、府教委文書等の情報公開へ。 |
C | 教育行政にかかわる教育情報公開の重要性 ―教育行政の強権化、教育改革の美名のもとでの「改革」の波、一部の行政官僚による教育現場と学校教育の引き回しと混乱のなかで。 |
●教育情報公開を、指導要録、個人成績、内申書、中退率などにとどまらず、教育行政の施策そのものの透明性と公正さを問いなおしていくことが重要である。
●行政が、主権者としての子ども、親・市民(国民)の意思や意見をよく聞き、尊重して、教育諸課題に共に立ち向かっていくという、本来の姿をこのとりくみを通じて、追求していきたい。
●行政文書=府教委情報を公開させ、自分達の学校・地域の学校を、共同してつくっていくという教育改革本来のあり方、教育行政における民主主義の在り方を追及していきたい。施策対象の関係者や府民がみんなで議論し考えて結論を出していくことが大切である。
1.2回にわたる情報開示決定と情報開示
7月17日に、下記28件の文書の公開を請求し、8月6日、開示決定、8日午後2時、文書の引渡しという段取りとなり、高南応援団から5名が参加、府教委側から高校改革課2名、総務企画課2名。情報センターの主査が対応した。8日は、1から13までの開示となりました。8月18日、第2回目の開示は14の項目に関連したもので、応援団から3名が参加、府教委側から2名。情報センターの主査が対応しました。
2.情報公開請求の意義
情報公開請求の意義は、情報をどれだけ公開するかが、どれだけ国民が政治や行政に参加できるかということにつながることから、民主主義の成熟度をはかり、発展させることにつながります。府教委が、高槻地域府立高校の統廃合について、廃校理由とその決定経過を明らかにすることを事実上拒否している中で、府教委自身の関係情報を公開させて、決定理由と経過を府民の前に、明らかにさせようとする行政の主人公である府民としての当然の行為であり権利です。府教委自身、合理的な決定理由と根拠が、関係文書・メモ等で明らかにできないなら、自らの決定の誤りを証明する結果となります。逆に、高南応援団にとって、廃校決定の不当性・不合理性を明らかにすることになります。したがって、この取り組みは、団にとって、もっとも基本的で、最も重要な取り組みのひとつです。府教委決定の不当性を広く府民的に証明できないなら、相手を追い込むことができません。府民的共感と支持を得て、相手の譲歩も得ることができません。
3.情報公開請求の開示決定状況
●開示請求した文書の決定状況は、28件の開示請求中、「不存在による非開示決定」7件(うち1件は、幹部職員動静表など、15人分)、部分開示2件(1件は、幹部職員管内出張関係15人分)、全面開示5件だった。
●この決定では、府教委側が、高槻地域の府立高校再編にかかわって存在するはずの重要な文書を「不存在」という理由で、非公開としている。これは、次回、具体的に存在を明示して請求する予定。
●更に、廃校決定の経過の中で「政治家や関係者・関係団体への説明し、折衝した結果などをまとめた文書・資料」の請求に対して「その際に府教委側が持っていった資料」をすりかえて開示し、事実上、明らかにすることを拒否している。
●No.4からNo.6に関係する文書は、間違いなく存在している。これがないと決定できない。高南PTAの質問状への回答に「関係者からのヒヤリングなどを行った」と答えているのに、今回の開示決定では、「作成していないか、管理していないため、不存在で開示できない」と、決定過程の明示を拒否している。自らの決定に自信がもてないことを証明している。
●府教委の教育振興室の中でも、「新高校第1グループ」と「第2グループ」が高南廃校に深く関与していることが開示資料の中から読み取れる。これを画策した人物としては、各グループの参事2名の関与が浮き彫りになっている。教育ではズブの素人である。
●府教委幹部、とりわけトップの教育長ら3役の行動予定表、動静表を「破棄した」とか「作成していない」とか、「個人的に作成する」とか言って、公開を非開示としている。責任ある行政機関として、スケジュール表もないなんて事は到底考えられないことである。
●高南廃校決定の起案文書が、作成されたのは平成13年11月5日、決済が行われたのは、11月12日であることが判明した。起案者は、教育振興室学事課高校改革担当課長補佐名。次年度の募集学級数決定の府教育委員会議開催は、例年11月末だが、高南の運動を押さえるためと思われるが、2週間も早めて決定した。
引き続き、これらの非開示とされた文書も含めて、廃校決定経過の糾明、廃校に伴う跡地利用問題と税金の無駄遣いについて、事実に即した追及を行うために、さらに必要な文書・資料については、公開を審請求し、府教委に迫っていくことが必要である。以下に、開示の決定状況を記す。
(第1次開示決定状況)
(1) | 府立高校再編整備計画検討用資料「各年度・各学校の施設・設備の状況一覧表」(平成11年・12年・13年の各年度高校教育課・教育振興室担当課関係文書)―【不存在で非公開】 |
(2) | 対象高校選定のための検討指標等についての一覧表(平成11年・12年・13年の各年度高校教育課・教育振興室担当課関係文書)―【不存在で非公開】 |
(3) | 高校再編整備計画(検討用)(平成11年、高校教育課文書)―【すりかえて別文書を公開】 |
(4) | 再編整備第1期実施計画第1年次対象校決定に至る平成10年から11年8月にかけての対象校の感触・反響(サウンド)に関するヒヤリングと決定手続きにいたる一覧表(高校教育課文書)―【不存在で非公開】 |
(5) | 再編整備第1期実施計画第2年次対象校決定に至る平成11年から12年8月にかけての対象校の感触・反響(サウンド)に関するヒヤリングと決定手続きにいたる一覧表(A3-教育振興室高校教育改革担当課関係文書)−【不存在で非公開】 |
(6) | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定に至る平成12年から13年8月にかけての対象校の感触・反響(サウンド)に関するヒヤリングと決定手続きにいたる一覧表(A3-教育振興室高校教育改革担当課関係文書)―【不存在で非公開】 |
(7) | 平成13年度教育振興室「新高校第2グループ」再編整備第1期実施計画第3年次対象校に関する関係資料と文書一切―【公開】 |
(8) | 平成13年1月から平成14年6月までの大阪府教育委員会議開催時の府教育委員への事前レクチャー関係報告資料・文書一切(再編整備関連)−【部分公開】 |
(9) | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定における府教委事務局決定資料、及び文書の一切(高校教育課高校改革担当等)−【決定】 |
(10) | 大阪府教育委員の経歴と報酬(日当、旅費規定を含む)、身分に関する一切の資料と文書、任用以来の各教育委員ごとの府教育委員会議への出席状況、府教育委員会議出席以外の府教育委員の勤務実績を示す資料一切。―【決定】 |
(11) | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定における府教委事務局による平成13年1月から8月30日までのすべての2学区関係者(政治家を含む)と関係団体・機関への事前折衝・打診・説明を報告しまとめたもので、府教委理事・副理事、高校教育改革担当課がかかわった一切の資料と文書(説明相手の氏名と役職・所属機関名も含む、およびメモも含む)―【すりかえて公開】 |
(12) | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定における府教委事務局による平成13年1月から11月15日までの大阪府議会議員への事前折衝・打診・説明(9月府会文教常任委員会質問予定議員への折衝・説明の内容を含む)を、報告しまとめた府教委理事・副理事、高校教育改革担当幹部・職員がかかわった一切の資料と文書(説明相手の氏名と役職・所属政党名、およびメモも含む)―【すりかえて公開】 |
(13) | 昨年10月、高校教育改革室関係から、府立高校管理職、および2学区内、教育委員会に対して、高槻南高校PTAおよび生徒関係者の、他校生徒およびPTAの働きかけに対してこれを規制するよう指示した際の、指示文書(連絡メモ等)、及び下部よりの報告文書(メモも含む)。―【不存在で非公開】 |
(14) | 以下の●印の府教委幹部職員についての各年度ごとの「動静表」(「詳細」スケジュール表・日課表等)を情報公開請求する。―【15幹部職員×2件=30件(うち15件は不存在で開示、15件は部分開示の決定)】 |
(第1次分以上)
以上、第1次開示要求では、70点の文書を公開したが、殆どがこれまで公開されたか、未公開でも施策決定の透明度を高める文書は、公開されず秘匿されている可能性があると推測できる。
第1次情報公開請求とその開示(不開示)決定を受け、第2次請求をこのほど行った。以下の1から6までは第1次において、「不開示」とされたもので、これらについてはについては、具体的な日時を明示して改めて請求。また府教委が、「すりかえて開示」したものについて、言い逃れできないような表現で改めて請求した。なお行政不服審査法に基づく不服申し立てはしなかった。この請求については、9月30日付での開示・非開示の決定がなされた。以下は、その請求文書と決定状況である。
1. | 2学区における府立高校再編整備計画を検討・立案する際に、決定に至る客観的な基礎となった教育・施設・設備・国費償還等の、全ての指標・条件を比較、もしくは記載したところの全ての資料。(高校教育課・教育振興室担当課関係文書) ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
2. | 府立高校再編整備計画(検討用)(平成11年6月5日作成のもの、高校教育課文書) ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
3. | 府立高校再編整備計画(平成11年12月7日作成のもの、高校教育課文書) ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
4. | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校(高槻地域新高校)決定に至る(の基礎となった)平成12年12月から平成13年8月にかけて対象校の校長より行ったヒヤリングの結果をまとめたもの。*平成13年11月3日に、高槻南高校PTAの質問への回答4で記している事実をまとめたもの。(教育振興室高校教育改革担当(課)関係文書) ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
5. | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定(高槻地域新高校)における府教委事務局による平成13年1月から8月30日までのすべての2学区関係者と関係団体・機関に対して行った事前折衝・打診・説明の結果をまとめた一切の文書。なお、関係者とは、対象校地域府議会議員、高槻市当局、高槻市教委関係、府、及び市の職員団体関係、全ての学校関係者、該当地域進路保障協議会関係者、関係地域団体をいう。 ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
6. | 再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定(高槻地域新高校)における府教委事務局による平成13年1月から11月15日までの大阪府議会議員への事前折衝・打診・説明(9月府会文教常任委員会質問予定議員への折衝・説明の内容を含む)の結果について、報告しまとめた一切の資料と文書(説明相手の氏名と役職・所属政党名、およびメモも含む) ―非開示「作成していないため、管理していない」 |
7. | 大阪府教育委員会教育振興室が高校改革関係で有する公文書一覧 ―公開「写しの交付―郵便為替30円分、切手80円分で郵送する」 |
8. | 以下の府教委幹部職員が平成13年1月〜平成13年8月31日までに行った『高校改革用務』名目の管内出張(主として高槻地域を中心とした2学区地域)の具体的な目的と訪問先(個人・団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書・資料・メモ一切。 |
@ 開かれた教育行政に程遠い。「肝腎なものは全て隠す」という姿勢にみえる。
平成14年9月30日付、行政文書不開示決定通知書(教委高改第34号)による不開示決定処分に対して、行政不服審査法第6条により、非公開決定を取り消し、申請に係る全ての文書を開示するとの決定を求める異議申立てを、高南応援団は、同年10月21日行った。以下は異議申立てを行う理由である。
@本計画策定(決定)のプロセスで、当然準備され、検討されなければならない基礎的資料や検討経過(職務上、作成されなければならない行政文書)が、当該実施機関によって「不存在」として一切明らかにされないのは、行政施策の決定自体の正当性・客観性・公益性の判断を不能にするものである。存在して当然の文書等が「作成されていない」「取得していない」「管理されていない」と言う口実で、非公開とする決定は、当該実施機関の職務の実態に照らして、著しく合理性を欠き不当であり、かつ信じがたい。
A府教委の府立高校再編整備計画を計画立案・実施する上で、府教委関係者が、職務上、作成した一切の文書・メモ等は、公文書である。府情報公開条例では、「行政文書」の定義として、「実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図面、写真及びスライド並びに電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものをいう。」としている。府立高校再編整備計画は、現在、いまだ第1期第3次にとどまり、その途上にある。実施機関の職員が、「職務上作成し、又は取得した文書等」で、かつ今後の計画実施の上で、「実施機関の職員が組織的に用いるもの」として位置付けられるべき文書の適切な管理は同計画実施にとって不可欠なものである。その計画立案上の基礎的討議をまとめた行政文書・比較検討関係文書等を、当該実施機関が「作成していない」ということは、本来、結果として府有財産処分にかかわる施策決定関係の行政文書として適正に管理されていなければならない公文書をあえて「作成、ないし取得せず」、かつ「管理していない」ことの職務上の怠慢を自認するものである。これらは、大阪府と府民に甚大な損害を与えるおそれのつよい行為と判断せざるを得ない。これによって、行政による政策決定過程を不透明なものとし、府情報公開条例の趣旨を著しく阻害し、これまでの統合再編整備計画、及び今後の同計画決定にかかわる行政行為の正当性・客観性・公益性を疑わしめていると言っても過言ではない。
B実際に、高南応援団が行った第1次公開請求と第2次請求において、「不存在」とされたいくつかの行政文書を、議会、及び教育団体関係者より、当時、極秘裏に見せられたという関係者もおり、「その行政文書は府教委の府立高校再編整備計画策定にとって欠かせないものである」と証言している。さらにまた、府教育委員会自身が、高槻南高校PTAの公開質問状への回答(01・11)の中で、その存在を認めている事実にかかわる文書まで、「作成していない」としているのは、余りに不自然で信用できない。
@ 廃校理由で虚偽ないし、事実をゆがめて、廃校を執行したときの法的問題
以 上
(本稿では、9月14日の例会で報告した第2次情報公開請求その後の経過も含めてまとめている。)トップページ | 研究会のプロフィール | 全文検索 | 戻る | このページの先頭 |