● 学校における携帯電話の取扱い等について(通知) 令和2年7月31日 2文科初第670号



2文科初第670号 令和2年7月31日
各都道府県教育委員会教育長、各指定都市教育委員会教育長、各都道府県知事、各指定都市長、附属学校を置く各国立大学法人学長、附属学校を置く各公立大学法人学長、小中高等学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 宛
文部科学省初等中等教育局長(瀧本寛)


        学校における携帯電話の取扱い等について(通知)


 児童生徒の学校における携帯電話の取扱いに関する方針等については、「児童生徒が利用する携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底について(通知)」(平成20年7月25日付け20文科初第49号初等中等教育局長、スポーツ・青少年局長通知)及び「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)」(平成21年1月30日付け20文科初第1156号初等中等教育局長通知)により既に通知したところですが、今般の「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」における審議の結果(別添2参照)を踏まえて、学校及び教育委員会の取組の基本とすべき事項を示しましたので、貴職におかれては、下記の事項に十分ご留意の上、関係部署、関係機関と連携しつつ、学校における携帯電話の取扱い、情報モラル教育の充実等について、これまでの施策や方針の検証・見直しを行うなど、各地域の実情に応じて更なる取組の充実を図るようお願いします。
 なお、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して、都道府県・指定都市にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対して、附属学校を置く国立大学法人及び附属学校を置く公立大学法人にあっては附属学校に対して、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対して、この趣旨について周知を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。


                   記


1 学校における携帯電話の取扱いについて
 学校及び教育委員会においては、学校における携帯電話の取扱いに関して、各学校や地域の実態を踏まえた上で、次に示す指針に沿って、基本的な指導方針を定め、児童生徒及び保護者に周知するとともに、児童生徒へ指導を行っていくこと。
 指導方針の作成及び実施に当たっては、あらかじめ児童生徒や保護者等に対し、指導方針と併せて携帯電話の学校への持込みの問題点について周知を行うなど、学校の取組に対する理解を得つつ、協力体制を構築すること。

(1)小学校
@ 携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物であることから、小学校においては、学校への児童の携帯電話の持込みについては、原則禁止とすべきであること。
A 携帯電話を緊急の連絡手段とせざるを得ない場合その他やむを得ない事情(例えば、登下校時の児童の安全確保や遠距離通学、公共交通機関を利用した通学のためなど)も想定されることから、そのような場合には、保護者から学校長に対し、児童による携帯電話(例えば、子供向け携帯電話やフィルタリングによる機能の制限を設けた携帯電話など)の学校への持込みの許可を申請させるなど、例外的に持込みを認めることも考えられること。このような場合には、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮すること。

(2)中学校
@ 携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物であることから、中学校においては、学校への生徒の携帯電話の持込みについては、原則禁止とすべきであること。なお、その際、上記(1)小学校のAに示したように、個別の状況に応じて、例外的に持込みを認めることも考えられること。あるいは、学校又は教育委員会として持込みを認める場合には、下記(2)のAに示すように、一定の条件のもとで持込みを認めるべきであること。
A 学校又は教育委員会として持込みを認める場合には、一定の条件として、学校と生徒・保護者との間で以下の事項について合意がなされ、必要な環境の整備や措置が講じられている場合に限って、持込みを認めるべきであること。このような場合には、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないよう配慮すること。また、登下校時においても、マナー違反の増加等のトラブルが生じないよう、家庭や地域と連携しつつ、配慮すること。
 (1) 生徒が自らを律することができるようなルールを、学校のほか、生徒や保護者が主体的に考え、協力して作る機会を設けること
 (2) 学校における管理方法や、紛失等のトラブルが発生した場合の責任の所在が明確にされていること
 (3) フィルタリングが保護者の責任のもとで適切に設定されていること
 (4) 携帯電話の危険性や正しい使い方に関する指導が学校及び家庭において適切に行われていること

(3)高等学校
@ 携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物であることから、授業中の生徒による携帯電話の使用を禁止したり、学校内での生徒による携帯電話の使用を一律に禁止したりするなど、学校及び地域の実態を踏まえ、学校での教育活動に支障が生じないよう校内における生徒の携帯電話の使用を制限すべきであること。
A 学校が学校及び地域の実態を踏まえて生徒による携帯電話の学校への持込みを禁止することも考えられること。

(4)特別支援学校
 学校への児童生徒の携帯電話の持込みについては、各学校及び教育委員会において、学校及び地域の実態を踏まえて判断すること。その際、学校での教育活動に支障がないよう配慮すること。

(5)教育委員会
 教育委員会においては、各学校における携帯電話の取扱いが適切になされるよう、上記(1)から(4)までに関する基本的指導方針を定めて学校に対して示すなどして、所管の学校に対する指導を徹底すること。

2 学校における情報モラル教育の取組について
 携帯電話・スマートフォンやSNSが児童生徒にも急速に普及する中で、児童生徒が、自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任をもつとともに、犯罪被害を含む危険を回避し、情報を正しく安全に利用できるようにするなど、学校における情報モラル教育は極めて重要である。そのため、学習指導要領に基づき、文部科学省や各種団体が作成している教材等を利用するなど、より一層情報モラル教育の充実に取り組むこと。

3 「ネット上のいじめ」等に関する取組の徹底について
 各学校及び教育委員会においては、「いじめ防止対策推進法」(平成25年法律第71号)及び「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定 最終改定平成29年3月14日)等を踏まえ、「ネット上のいじめ」を含むいじめ等に対する取組の更なる徹底を進めていくこと。

4 家庭や地域に対する働きかけについて
 「ネット上のいじめ」等は学校外でも行われており、学校だけでなく、家庭や地域における取組も重要である。携帯電話を児童生徒に持たせるかどうかについては、まずは保護者がその利便性や危険性について十分に理解した上で、各家庭において必要性を判断するとともに、携帯電話を持たせる場合には、家庭で携帯電話利用に関するルールづくりを行うなど、児童生徒の利用の状況を把握し、学校・家庭・地域が連携し、身近な大人が児童生徒を見守る体制づくりを行う必要があること。
 学校及び教育委員会等は、児童生徒を「ネット上のいじめ」や犯罪被害から守るために、引き続き、保護者を始めとする関係者に対し、効果的な説明の機会を捉えて携帯電話等を通じた有害情報の危険性や対応策についての啓発活動を積極的に行い、家庭における携帯電話利用に関するルールづくりやフィルタリングの利用促進に努めること。


○別添1:学校における携帯電話の取扱い等の見直しについて(令和2年7月)
(概要)---略
○別添2:文部科学省「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議
のまとめ---略


【本件担当】
文部科学省初等中等教育局児童生徒課生徒指導室 生徒指導企画係





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