○大阪府教育行政基本条例
平成二十四年三月二十八日
大阪府条例第八十八号
大阪府教育行政基本条例を公布する。
大阪府教育行政基本条例
目次
前文
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 教育振興基本計画(第三条・第四条)
第三章 開かれた教育行政(第五条―第七条)
第四章 市町村との関係(第八条―第十条)
附則
 
教育は、社会の礎を形作る営みであり、子どもたちが自らの力や個性を最大限に発揮して豊かな未来を切り開いていくことは、府民全ての願いである。
そのためには、大阪が大切にしてきた、違いを認め合い、子ども一人ひとりの力を伸ばす教育を更に発展させるとともに、グローバル化の進展など、これからの大きく変化する社会経済情勢や国際社会の中で、子どもたちが育った地域と大阪に誇りを持ち、力強く生き抜き、次代の社会を担う自立した大人となっていけるよう、確かな学力や豊かな人間性、健やかな体を育んでいかなければならない。
これまで、社会経済情勢の変化や住民の声が教育に十分に反映されてきたかを問い直し、より確かな教育行政を推進するためには、選挙を通じて民意を代表する議会及び首長と教育委員会及び学校組織とが、法令に従って、ともに役割を担い、協力し、補完し合うことが必要である。
教育に求められる役割や保護者及び地域住民のニーズが、これまでにも増して大きく、かつ、多様になっていることを踏まえ、教育に関与する全ての者が大阪の教育の振興に一層の努力を尽くすことを決意し、この条例を制定する。
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、府の教育行政に関し基本となる事項を定め、大阪府教育委員会(以下「委員会」という。)及び知事が相互に協力しながら、それぞれの責任を果たし、保護者及び地域住民その他の関係者(以下「保護者等」という。)のニーズを踏まえつつ、子どもたちにとって将来にわたって必要となる力を育む教育の振興に資することを目的とする。
(委員会と知事との役割分担)
第二条 委員会及び知事は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号。以下「地方教育行政法」という。)第二十三条及び第二十四条に規定する職務権限に基づき、適切な役割分担の下に、府における教育の振興に関する施策の充実を図らなければならない。
第二章 教育振興基本計画
(教育振興基本計画の策定義務)
第三条 府は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第十七条第二項に規定する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
(教育振興基本計画の策定手続)
第四条 知事は、委員会と協議して、基本計画の案を作成するものとする。
2 基本計画は、大阪府議会の議決を経なければならない。
3 知事は、第一項の規定による協議が調わなかったときは、委員会の意見を付して大阪府議会に提出するものとする。
4 基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 府における教育の振興に関する基本的な目標及び施策の大綱
二 前号に掲げるもののほか、府における教育の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
5 知事及び委員会は、基本計画の案を作成するに当たっては、その基本的な事項についてあらかじめ学識経験を有する者の意見を聴くとともに、府民の意見を反映するための適切な措置を講ずるものとする。
6 知事は、第二項の議決があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
第三章 開かれた教育行政
(府民との連携協力)
第五条 府は、府民に対し、教育に関する施策について説明する責任を果たすとともに、保護者等との連携及び協力による教育の振興に資するため、府における教育の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
2 府は、府民の意向を的確に把握し、教育行政に適切に反映させるよう努めなければならない。
(教育行政の点検及び評価)
第六条 知事及び委員会は、基本計画の進捗を管理するため、毎年、共同してその点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを大阪府議会に提出するとともに、公表しなければならない。
2 委員会は、地方教育行政法第二十七条の点検及び評価に当たり、前項の点検及び評価を含めるものとする。
3 第一項の点検及び評価に当たっては、基本計画に定めた目標を達成するために教育委員が行った取組、活動の状況等について、教育委員が自ら点検及び評価を行わなければならない。
(点検及び評価の結果に係る措置)
第七条 知事及び委員会は、前条第一項の点検及び評価の結果に基づき、基本計画に定めた目標の達成のために必要な措置を講ずるものとする。
2 知事は、前条第三項の教育委員の点検及び評価の結果に基づいて、地方教育行政法第七条第一項に規定する罷免事由に該当するかどうかを判断するものとする。
第四章 市町村との関係
(市町村教育委員会に対する指導等)
第八条 委員会は、義務教育について、市町村が主体となって行うものであることを踏まえ、市町村教育委員会の自主性を尊重するものとする。
2 委員会は、基本計画を踏まえ、市町村に共通する教育の基本方針を定め、市町村教育委員会に対し、指導、助言又は援助を行うものとする。
3 委員会は、市町村教育委員会が保護者等に対し当該市町村の教育の状況について説明する責任を果たせるよう、必要に応じ、情報の提供について、市町村教育委員会に対し、指導又は助言を行うものとする。
4 委員会は、前二項の指導、助言又は援助の内容について、原則として公表するものとする。
(府費負担教職員の資質及び能力の向上等)
第九条 委員会は、保護者等のニーズを踏まえつつ、幼児、児童及び生徒にとって将来にわたって必要となる力を育んでいくための教職員の資質及び能力の向上について、市町村教育委員会と連携し、必要な施策を講ずるものとする。
2 委員会は、府費負担教職員(市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条及び第二条に規定する職員をいう。以下同じ。)の適切な人事管理について、市町村教育委員会に対し、指導、助言又は援助を行うものとする。
3 委員会は、幼児、児童又は生徒に対する指導が不適切な教員(府費負担教職員であって教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、助教諭、養護教諭、養護助教諭、栄養教諭及び講師であるものをいう。以下同じ。)について、市町村教育委員会と連携し、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)第二十五条の二第一項に規定する指導改善研修その他の指導の改善を図る措置を講ずるものとする。
4 委員会は、教育公務員特例法第二十五条の二第四項の認定その他の判定において指導の改善が不十分でなお幼児、児童又は生徒に対する指導を適切に行うことができないと認める教員に対して、免職その他の必要な措置を厳正に講じなければならない。
(府費負担教職員の任命権の移譲)
第十条 府は、自主的な市町村の教育行政の推進に資するため、地方教育行政法第五十五条第六項の規定による要請に基づき、市町村に対する府費負担教職員の任命権の移譲を行うものとする。
2 前項の府費負担教職員の任命権の移譲は、府内の教職員の適正な配置と円滑な交流による教育水準の維持向上の趣旨及び目的が損なわれない範囲において行うものとする。
附 則
この条例は、平成二十四年四月一日から施行する。