● 学校教育法施行規則の一部改正等について(大学、大学院への飛び入学) 平成13年12月27日 13文科高第1396号 13文科高第一三九六号 平成一三年一二月二七日 各国公私立大学長、各国立短期大学部学長、各国公私立高等専門学校長、国立久里浜養護学校長、放送大学長、独立行政法人大学入試センター理事長、各都道府県知事、各都道府県教育委員会あて 文部科学省高等教育局長、文部科学省生涯学習政策局長通知     学校教育法施行規則の一部改正等について  このたび、別添のとおり「学校教育法施行規則の一部を改正する省令(平成一三年文部科学省令第八〇号。以下「改正規則」という。)」並びに「大学通信教育設置基準の一部を改正する省令(平成一三年文部科学省令第八一号)」、「平成一三年文部科学省告示第一六七号(高等学校に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者を定める件)」及び「平成一三年文部科学省告示第一六八号(学校教育法施行規則第六九条第五号の要件を定める件を廃止する件)」が平成一三年一一月二七日に公布されました。  これらの省令及び告示の概要並びに留意すべき事項は下記のとおりですので、十分に御了知の上、その運用に当たって遺憾のないようにお取り計らい下さい。  各都道府県知事及び都道府県教育委員会におかれては、所管又は所轄の学校、学校法人及び準学校法人並びに関係市町村教育委員会へ周知いただくようお願いします。           記 第一 学校教育法施行規則の一部改正について 一 改正の趣旨  今回の改正は、第一五一回国会において学校教育法の一部を改正する法律(平成一三年法律第一〇五号)が成立し、大学及び大学院への飛び入学に係る改正が行われたこと(同法第五六条第二項及び第六七条第二項関係)を受けて行ったものであること。 二 大学への飛び入学関係 (一) 改正の概要及び留意点 ア 飛び入学により入学した学生の転学等について(学校教育法施行規則第六九条第五号関係) (ア) 大学へ飛び入学により入学した学生については、飛び入学を実施した大学において責任をもって指導することが基本であるが、やむを得ない事情等により他大学へ転学等する場合には、当該者を転学等により受け入れる大学において、大学における教育を受けるにふさわしい学力があると認めた場合には、大学入学資格を認めること。 (イ) 飛び入学により入学した学生を転学等により受け入れる大学が大学における教育を受けるにふさわしい学力があるか否かを判断するに当たっては、当該学生の大学における学習の実績を評価し、その学力を判断することが基本となると考えられること。なお、当該学力は、飛び入学の際に求められる特定の分野における特に優れた資質ではないこと。 イ 飛び入学制度の適切な運用について(学校教育法施行規則第六九条の二関係) (ア) 飛び入学を実施する大学は、出願者が特に優れた資質を有するか否かを判断するに当たっては、当該出願者が在学する高等学校等の校長、あるいは学校以外の場で活躍している出願者についてはその指導者など出願者の資質を知り得る者からの推薦を求めるなど、特に優れた資質を有するか否かを適切に判断すること。 (イ) 推薦は、出願者本人の同意の下に、大学が定める分野における特に優れた資質に関して行われるものであり、推薦に当たっては、大学関係者と高等学校関係者等との積極的な意見交換又は連携に努めること。その際、高等学校の校長等が外部の専門家等の助言又は協力を得て推薦を行う等、多様な工夫があり得ること。 (ウ) この他、飛び入学を実施する大学は、出願者が特に優れた資質を有するか否かを判断するに当たっては、通常の学力試験によらず、面接、小論文等を組み合わせるなどの適切かつ丁寧な方法によるなど、制度が適切に運用されるように工夫すること。 ウ 飛び入学についての自己点検・評価について(学校教育法施行規則第六九条の三関係)  大学の教育研究活動等の状況について自己点検・評価及びその結果の公表が義務づけられている(大学設置基準(昭和三一年文部省令第二八号)第二条)が、制度の透明性を高め、その適切な運用を確保する観点から、飛び入学制度の運用状況についても、各大学が自己点検・評価を行い、その結果を公表しなければならないことを明確化したこと。 エ 学校教育法第五六条第二項に規定する文部科学大臣の定める年数について(学校教育法施行規則第六九条の四関係)  大学への飛び入学の要件は、高等学校に二年以上在学したこととすること。 オ 高等学校に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者について(学校教育法施行規則第六九条の五関係) (ア) 学校教育法第五六条第二項の規定により、高等学校に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者を、次のように定めること。 @ 中等教育学校の後期課程、高等専門学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の高等部に二年以上在学した者(第一号関係) A 外国において、学校教育における九年の課程に引き続く学校教育の課程に二年以上在学した者(第二号関係) B 文部科学大臣が高等学校の課程と同等の課程を有するものとして認定した在外教育施設(高等学校の課程に相当する課程を有するものとして指定したものを含む。)の当該課程に二年以上在学した者(第三号関係) C 文部科学大臣が指定した者(第四号関係) D 大学入学資格検定規程(昭和二六年文部省令第一三号)第四条に定める受検科目(資格検定の一部免除を受けた者については、その免除を受けた科目を除く。)のすべてについて合格点を得た者で、一七歳に達したもの(第五号関係) (イ) 配慮事項 @ 文部科学大臣が認定した在外教育施設については、文部事務次官通知(平成三年一一月一四日文教海第一五五号)を参照されたいこと。 A 大学入学資格検定に関しては、改正後の学校教育法第五六条第二項及び同法施行規則第六九条の五第五号により大学に入学が認められる者について、大学入学資格検定規程第八条における取扱いに変更を加えるものではないこと。 カ 飛び入学により入学した学生が専修学校の専門課程に入学することについて(学校教育法施行規則第七七条の五関係) (ア) 大学へ飛び入学により入学した学生について、当該者が専修学校の専門課程に入学する場合に、当該者を受け入れる専修学校において、高等学校を卒業した者に準ずる学力があると認めた場合には、専修学校の専門課程の入学資格を認めること。 (イ) 飛び入学により入学した学生を受け入れる専修学校が高等学校を卒業した者に準ずる学力を有するか否かを判断するに当たっては、当該学生の高等学校等における単位の取得状況や成績、大学における学習の実績等により判断すること。 (二) 留意事項 ア 適切な運用の確保について  飛び入学は、一人一人の能力・適性に応じた教育を進める観点から特定の分野で特に優れた資質を有する者に早期に大学入学の機会を与え、その才能の一層の伸長を図ろうとする制度であること。  したがって、各大学においては、学生の早期確保のための単なる手段として飛び入学制度を利用することのないよう、また受験競争の激化などを引き起こすことがないよう制度の趣旨に沿った適切な運用に努めること。 イ 特に優れた資質について(学校教育法第五六条第二項関係)  「特に優れた資質」とは、特定の分野で他に抜きん出て優れた才能であること。これは、分野により異なるが、例えば、総合化する思考力、構想力、斬新な発想や独創的な考えを提起する力、理解の早さ又は意欲の強さなどの点において極めて高い能力を有することなどが考えられること。 ウ 大学の定める分野について(学校教育法第五六条第二項関係)  飛び入学の対象分野については、各大学ごとにその教育研究上の理念、実績及び指導体制等を考慮して適切に判断すること。 エ 飛び入学の対象分野に関する教育研究が行われている大学院について(学校教育法第五六条第二項関係)  飛び入学を実施する大学においては、飛び入学の対象分野に関する教育研究が行われている大学院が置かれていることが必要であり、募集を行う学部等と当該対象分野に関する教育研究を行う大学院研究科等とは、教育研究上又は教員組織上の密接な連携関係を有していること。 オ 教育研究上の実績及び指導体制について(学校教育法第五六条第二項関係)  飛び入学を実施する大学は、教育研究上の実績及び指導体制を有することが必要であり、以下のような実績及び体制を有していること。 @ 特定の分野における特に優れた資質を伸長するため、適切なカリキュラムを編成するとともに、必要な教員が確保されており、十分な指導体制が整っていること。 A 飛び入学により入学した学生が、様々な分野での基礎的な内容を必要に応じ学習することが可能であるようなカリキュラム及び指導体制が整っていること。 B 学生に対する助言体制又は相談体制が整備されていること。 C 円滑に学位が授与されているなど充実した教育研究活動が行われていること。 D 募集を行う学部等から大学院への進学の実績があること。 カ 受入体制の整備について  飛び入学を実施する大学においては、入学後の履修方法及び他学部等へ転学部等をさせる上で必要と考えられる事項などについての所要の規程整備等を含めた学内の受入体制の整備をあらかじめ図ること。 キ 学生の募集について  毎年度、募集要項等において、対象者、選抜方法、実施時期、募集人員等について公表すること。なお、募集人員については、既存の定員の内数とし、募集区分を明示した上で、具体的な人員を明記せず、若干名などとして募集を行うことが適当であること。その際、制度の趣旨にふさわしい該当者がいない場合には、募集人員を充足することを要しないものであること。  なお、選抜の実施時期については、高等学校等の教育に及ぼす影響に配慮して、入学願書の受付を一一月一日以降とすること。 ク 大学と高等学校等との連携について  飛び入学を実施する大学においては、飛び入学制度の運用の在り方について、大学関係者や高等学校関係者等による意見交換の場を設けるなどして、その在り方の見直しに努めること。  また、一人一人の多様で特色ある能力や個性の伸長を図る観点からも、公開講座の開設や科目等履修生制度の活用など、大学と高等学校等との連携の促進に努めること。 ケ 飛び入学により入学した学生の取扱いの周知について  飛び入学により入学した学生は、高等学校等を中途退学して大学に入学するという取扱いとなるものであり、飛び入学を実施する大学において、あらかじめこのことについて出願者に周知するなど適切に配慮すること。 (三) 実施計画及び実施状況の報告について  飛び入学を実施する大学は、毎年度、当該年度入学者選抜における飛び入学の実施状況を別紙一の様式により四月末日までに、翌年度の飛び入学の実施計画を別紙二の様式により九月末日までに、文部科学省高等教育局大学課に提出されたいこと(一〇月以降に飛び入学を新たに実施することを決定した大学は、速やかに別紙二の様式により、同課に提出されたいこと)。  なお、提出された報告書は、文部科学省において一般に公表することを予定しており、したがって、プライバシーに十分配慮して記述されたいこと。 三 大学院への飛び入学関係 (一) 改正の概要及び留意点 ア 飛び入学により入学した学生の転学等について(学校教育法施行規則第七〇条第五号関係)  大学院へ飛び入学により入学した学生について、当該者が他の大学院へ転学等をする場合には、当該者を転学等により受け入れる大学院において、大学院における教育を受けるにふさわしい学力があると認めた場合には、大学院入学資格を認めること。 イ 飛び入学制度の適切な運用について(学校教育法施行規則第七〇条の三関係)  飛び入学を実施する大学は、出願者が修得しなければならない単位その他必要な事項をあらかじめ公表するなど、制度が適切に運用されるように配慮すること。特に、他大学出身者等についても広く出願の機会が与えられるように配慮すること。 ウ 飛び入学についての自己点検・評価について(学校教育法施行規則第七〇条の四関係)  大学院の教育研究活動等の状況について自己点検・評価及びその結果の公表が義務づけられている(大学院設置基準(昭和四九年文部省令第二八号)第一条の二)が、制度の透明性を高め、その適切な運用を確保する観点から、飛び入学制度の運用状況についても、各大学が自己点検・評価を行い、その結果を公表しなければならないことを明確化したこと。 エ 学校教育法第六七条第二項に規定する文部科学大臣の定める年数について(学校教育法施行規則第七〇条の五関係)  大学院への飛び入学の要件は、大学に三年(医学、歯学又は獣医学を履修する博士課程への入学については、医学、歯学又は獣医学を履修する課程に四年)以上在学したこととすること。 オ 大学に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者について(学校教育法施行規則第七〇条の六関係)  学校教育法第六七条第二項の規定により、大学に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者を、次のように定めること。 @ 外国において学校教育における一五年(医学、歯学又は獣医学を履修する博士課程への入学については、一六年)の課程を修了した者 A 外国の学校が行う通信教育における授業科目を我が国において履修することにより当該外国の学校教育における一五年(医学、歯学又は獣医学を履修する博士課程への入学については、一六年)の課程を修了した者 (二) 留意事項  飛び入学により入学した学生は、大学を中途退学して大学院に入学するという取扱いとなるものであり、飛び入学を実施する大学院において、あらかじめこのことについて出願者に周知するなど適切に配慮すること。 四 改正規則附則関係 (一) 施行期日(改正規則附則第一条関係) 改正規則は、平成一四年四月一日から施行するものであること。 (二) 経過措置(改正規則附則第二条及び第三条関係) ア 改正前の学校教育法施行規則第六九条第五号の規定により大学へ飛び入学により入学した学生の大学入学資格に関する取扱いについては、なお従前の例によること。 イ 改正前の学校教育法施行規則第七〇条第五号及び同条第六号の規定により大学院へ飛び入学により入学した学生の大学院入学資格に関する取扱いについては、なお従前の例によること。 (三) その他 その他所要の規定の整備を行うこと。 第二 大学通信教育設置基準の一部改正について  学校教育法の一部改正に伴い、通信による教育を行う学部に関し、所要の規定の整備を行うこと。 第三 高等学校に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者を定める件について ア 概要  学校教育法施行規則第六九条の五第四号の規定により、高等学校に文部科学大臣が定める年数以上在学した者に準ずる者を、次のように指定したこと。 @ 文部科学大臣が別に指定する専修学校の高等課程の修業年限三年以上の課程に文部科学大臣が定める日以後において二年以上在学した者(第一号関係) A 高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の高等部等に通算して二年以上在学した者(第二号関係) B 外国において、学校教育における一二年の課程を修了した者と同等以上の学力があるかどうかに関する認定試験であると認められる当該国の検定(国の検定に準ずるものを含む。)に合格した者で、一七歳に達したもの(第三号関係) C 国際バカロレア資格、アビトゥア資格及びバカロレア資格を有する者で、一七歳に達したもの(第四号、第五号及び第六号関係) イ 配慮事項 @ 外国において一二年の学校教育の課程を修了した者と同等以上の学力があるかどうかに関する認定試験であると認められる当該国の検定に準ずるものについては、文部省大学局長通知(昭和五六年一〇月三日文大大第二一三号)を参照されたいこと。 A 文部科学大臣が別に指定する専修学校の高等課程については、文部省高等教育局長通知(昭和六〇年一〇月二八日文高大第二六一号)を参照されたいこと。 第四 学校教育法施行規則第六九条第五号の要件を定める件を廃止する件について 「平成九年文部省告示第一四三号(学校教育法施行規則第六九条第五号の要件を定める件)」を廃止すること。 別添(略) (別紙1様式) (別紙2様式)