■ 学校教育に関する要望 1962年4月26日 防衛庁

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    学校教育に関する要望
    1962年4月26日 防衛庁


一 現状
 高等学校及び中、小学校における社会科の教育の現状をみると、国民に正しい愛国心を説いて国民的自覚をうながし、国の防衛の必要を教えるための教育は、はなはだ貧弱で、まったく等閑視されているといっても過言ではない。
 すなわち
1 小学校社会科教科書7種類のうち
 ア 愛国心、国旗等について積極的に書いてあるもの
 イ 愛国心について書いてあるもの
 ウ 国旗について書いてあるもの
 エ まったく書いてないもの
2 中学校社会科教科書13種類のうち
 ア 国防および自衛隊について、積極的に書いてあるもの
 イ 自衛隊の存在について書いてあるもの
 ウ 自衛隊には賛否両論あるとして客観的に書いてあるもの
 エ 行政組織の中に防衛庁があるということだけを書いてあるもの
 オ まったく書いてないもの
であり、高等学校の社会科においては、25種類の教科書のうち、愛国心、防衛等について書いてあるものは、はなはだ少ない実情である。

二 要望
 右のような現情にかんがみ、青少年に対し、世界の政治、外交の現情に対して正しい知識を与えるとともに、このような情勢下における国防のあり方を教え、国力国情に応じて自らの手によって自らの国を守ることが、世界の平和維持に帰与するゆえんであり、独立国家の責務である旨を教育することが、最も緊要であると考える。このような教育は、自由諸国はもとより、共産諸国においても、それぞれの国情に応じて現に実施されており、ひとり日本のみが等閑視を許される問題ではない。
 したがって、この際、わが国の教育全般の改善の問題とも関連して、青少年に、正しい国民的自覚をうながし、国の防衛について積極的関心を助長するような、教科内容の早急な実現を、強く要望するものである。




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