■ 学校組織運営に関する指針 平成26年6月3日 大阪府教育委員会

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学校組織運営に関する指針

平成18年12月7日
改訂 平成22年12月22日
改訂 平成26年4月25日
改訂 平成26年6月3日


1 目的

(1)校長・准校長のリーダーシップのもとでの組織運営の原則を確認し、学校組織の一体性を確立する。
(2)学校教育をめぐるさまざまな課題と急速な社会の変化に対応できるように、迅速な意思決定により、学校組織の機動力を高めるとともに、絶えず効率的な業務運営を追求する。

2 組織運営に当たって

(1)中期的目標と学校経営計画
<中期的目標と組織運営>
ア 校長・准校長は、自らの権限と責任のもと、学校の現状と実態を踏まえて、めざす学校像の実現に向けて中期的目標(3か年)を確立し学校経営計画を策定する。
イ 組織運営においては、PDCAサイクルを導入し、目標管理を徹底する。
ウ 教育活動や業務は、特定の個人の力量に負うことがないよう、業務のシステム化・ICT化などによって、組織全体で取り組む。
エ 年間の業務実態や個々の教職員の業務実態を把握し、可能な限り、業務の平準化を図る。
オ 校長・准校長は校内組織について常に業務を見直し、必要に応じてスクラップ・アンド・ビルドする。
<学校経営計画と学校教育計画>
ア 学校経営計画では、中期的目標を踏まえた当該年度の重点目標、取組内容、評価指標を示す。学校教育計画は、学校経営計画に基づき、当該年度の教育活動について具体的な方針を示す。
イ 学校経営計画の策定に当たっては、可能な限り目標を数値化するなど、教職員が目標達成に向け一丸となって取り組むことができる内容になるよう努める。
ウ 学校経営計画及び学校教育計画の策定に当たっては、前年度の総括と改善計画および学校協議会の提言を踏まえる。
エ 学校教育計画の策定と総括には、すべての教職員がそれぞれの係っている分野で参画し、学校教育目標と計画・方針の共有化を図る。
オ 校長・准校長は学校経営計画を年度当初に教職員に周知し、教職員はそのもとに各学年・分掌・教科等及び各個人の目標と方策を策定する。
カ 各学年・分掌・教科等及び各個人の目標や計画の策定に当たっては、目標を数値化するなど、その到達度が客観的に評価可能な内容になるよう努める。
キ 目標の達成度や計画の進捗状況については、適宜、具体的に評価を行うこと。なお、その際学校協議会の意見や学校教育自己診断等を参考にし、必要に応じて計画と方策を修正する。
ク 年度末には、各学年・分掌・教科等および教職員個人において年度の取組みを総括し、成果と残された課題を明らかにし、次年度に向けて改善計画を策定する。

(2)校内組織と会議
 校務に関する決定は校長・准校長の権限と責任のもとに行う。
<首席等>
ア 首席及び学年・分掌等の長は、学校経営計画の円滑な達成のために指導力を発揮する。
イ 首席及び学年・分掌等の長は、所管する分野における業務の遂行に責任を持ち、必要に応じて、校長・准校長及び教頭・事務(部)長・首席に報告・連絡・相談する。
<運営委員会等>
ア 校長・准校長は学校運営の核となる組織として、教頭、事務(部)長、首席及び学年・分掌等の長からなる運営委員会等を設置する。
イ 首席及び学年・分掌の長は、校長・准校長に対し、所管する分野における業務の遂行について運営委員会等で報告する。
ウ 運営委員会等において、首席及び学年・分掌等の長は、それぞれの所管する組織の立場にこだわらず、常に学校全体の立場から意見交換を行い、もって校長・准校長が自校の課題に対する基本的な方向性を確立することに寄与する。
<職員会議>
ア 校長・准校長は職務の円滑な執行に資するため、職員会議を置くことができる。
イ 職員会議は校長・准校長が招集し主宰する。
ウ 職員会議においては、校長・准校長が必要と認める校務に関する事項について、教職員間の意思疎通、共通理解の促進、教職員の意見交換等を行う。
エ 円滑な会議運営のために校長・准校長の判断のもとで司会を置く場合も、校長・准校長の権限を制限することがあってはならない。
オ 校長・准校長が特に必要と認める場合、挙手・投票により教職員の意見を聴取することができる。ただし、教職員による挙手・投票の実施を原則としたり、教職員の意見が校長・准校長の権限を実質的に制限することがあってはならない。
カ 職員会議の記録はあらかじめ校長・准校長が定めた記録者によって作成し、発言者の確認のもと、校長・准校長の決裁を経て確定する。
キ 職員会議の案件についてはあらかじめ運営委員会等で論点を整理しておくなど、時間の短縮化を図り、効率的に運営するために、あらかじめ時間を定め、必要な資料等を事前に配付するなどの工夫をする。
<会議運営>
ア 課題に迅速に対応しつつ、児童生徒と向き合う時間を確保するため、会議は極力効率的に短時間で行う。
イ 会議の開催に当たっては、目的・時間・案件・説明者を明らかにするとともに、事前に議論の整理と資料等を配付するなどして、会議運営の円滑化と効率化を図る。
ウ 校長・准校長が決定し会議で示した事項は、全員が責任を持って実行する。

(3)人事
<人材の育成>
ア 校長・准校長は、中期的な人事計画を作成し、学校目標の達成に向け、中堅・若手教員の育成に努める。
イ 評価育成システムを活用して、校長・准校長は教職員ひとりひとりの育成課題を認識し、次代を担う人材の育成に努める。
ウ 人材を育成するに当たっては、日常の業務を組織的に遂行するとともに、校外研修の成果を校内に還元して、組織全体の力量を引き上げることに留意し、学校組織全体の活性化につながるよう努める。
エ 首席・指導教諭は日常業務でのOJTを通じて教員の育成に努める。
オ 授業観察・授業公開・研究授業および生徒による授業評価を活用して、教員の授業や生徒指導における資質向上を図る。
<主任等の校内人事>
ア 学年主任、部主事や校務分掌長、担任、各種委員会委員などの校内人事の決定及び発令は校長・准校長の権限と責任のもとに行う。
イ その権限の行使に当たって校長・准校長は、必要に応じて教頭、事務(部)長はじめ首席等から十分意見を聴取し、適材適所に人材を配置する。また、教職員の意見を聴取する場合、選挙またはこれに類する方法は取らない。
ウ 校長・准校長は、自らの指揮監督のもと、必要に応じて校内人事に関する事務を行うための校内組織を置くことができる。ただし、この校内組織は、校長・准校長を補佐するため、教頭や首席等を主たる構成員として置かれるものであり、構成員の決定、運営、意思決定等、いかなる場面においても校長・准校長から独立したものであってはならない。(当該組織が管理職以外の教職員を主たる構成員とし、人事委員会のように実質的に校内人事を決定し、校長・准校長が追認することは認められない。)

(4)予算
ア 校長・准校長は、中期的目標のもとでの年次計画を踏まえ、学校経営計画の達成のために必要な備品や教材等の確保の優先順位を明らかにした予算編成の基本方針を定め、教職員に周知する。
イ その上で、事務(部)長はじめ事務職員、学年・分掌・教科等の意見を十分聴取し、配分の重点化に配慮した予算編成を行う。
ウ 光熱水費等の節減により生じた余剰金は教育活動に活用する、また、備品については遊休化することがないよう他校とも連携し積極的な活用を図る。
エ 校長・准校長・教頭・事務(部)長等は、月単位の執行状況や予算残を把握し、計画的執行に努める。
オ 教頭・首席等のリーダーシップのもと、事務職員と教員の連携を図り、教育活動と予算との関連性についての認識を共有化し、コスト意識の涵養に努める。

(5)校長・准校長の適切なリーダーシップ発揮のために
ア 学校経営を行うに当たってPDCAサイクルを有効に機能させるためには、校長・准校長が適切にリーダーシップを発揮することが不可欠である。
イ 学校経営を行うに当たって校長・准校長は、教頭をはじめ教職員から十分意見を聴取し、教職員の学校経営への参画意欲を喚起する。
ウ 校長・准校長が適切なリーダーシップを発揮できるよう、府教育委員会としては、組織的に支援していく。




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■ 校内人事の決定について 平成27年5月20日 教育長通知

校内人事の決定について(通知)

 標記については、平成26年4月25日、「学校組織運営に関する指針」を改訂し、校長・准校長が校内人事を決定するにあたっては、「教職員の意見を聴取する場合、選挙またはこれに類する方法は取らない」としたところです。
 今般、教職員の意見聴取のためアンケートを実施した学校のうち、適任者を推薦させる方式によった学校があったことが判明しました。アンケートの実施については「選挙またはこれに類する方法」以外に教職員の意見を聴取する方法として、府教育委員会が例示したものですが、改めて、校内人事の決定に教職員が関与しているかのような疑念を招く可能性があると判断しました。
 ついては、今後、校内人事の決定の際には、アンケートの実施を含め、適任者を推薦させることは方法の如何を問わず行わないこととします。
 なお、これは、個々の教職員本人の希望や事情を把握することを妨げるものではありません。





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