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TITLE:  「PTA寄付金」問題について − 座談会の記録から (2) −
AUTHOR: 編集部
SOURCE: 大阪高法研ニュース 第184号(1999年6月)
WORDS:  全40字×29行

 

「PTA寄付金」問題について

−座談会の記録からA−

(文責:羽山)

 

  文部省が全国の教育委員会を通じて調査し、その集計を発表している「地方教育費の調査報告」には、国の補助金や市町村の支出金などの公費とならんで、「PTA寄付金」、「その他の寄付金」の項目がある。この調査は、公立学校が教育にどれだけの費用を使ったかを調べるもので、毎年度、各学校の記入した「地方教育費調査票」が、市町村教育委員会、都道府県教育員会、国へと報告される。ところが、寝屋川市内の公立小中学校が報告した1997年度の「PTA寄付金」の総額が、各校のPTA決算書で寄付と考えられる費目の合計額と比べて、約3千万円少なくなっていることが判明した。これは、市民団体が寝屋川市に情報公開を請求し公開された「地方教育費調査票」をもとに独自に調査して分かったことである。

  PTAの支出費目のうち、いづれを寄付金と判断するかは、各校に任せられているため、金額に差が出ることは、あながち不思議とはいえない。しかし問題は、各校が寄付を受けることに充分な問題認識がなく、寄付金について、明確な定義を持っていないことである。そのため、本来、寄付金に分類されるべき費目を、寄付金として理解してしないのである。その結果、文部省の調査には過小に報告し、実態との間に大きな差が出ているのである。このような問題意識の欠如は、各校の「公費が削減されるなか、PTAから支出することは当然だ」という認識を生みだしている。寄付に頼ることに何の疑問も持たない、あるいは、寄付に頼っていること自体にも気付かない体質は改められなければならない。

  同様の情報公開請求に対し、堺市の教育委員会は「統計報告を統計上の目的以外に使用してはならない」とする統計法15条を根拠に非公開とした。そこで、請求者が意義申し立てをしたため、市教委が堺市公文書公開審査会に諮問をした。この件について審査会は非公開とした市教委の決定を取り消し、全面公開の答申を市教委に提出した(1999年3月)。

 


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