◆201612KHK245A1L0530M
TITLE:  注目の教育裁判例(2016年12月)
AUTHOR: 羽山 健一
SOURCE: 大阪教法研ニュース 第244号(2016年12月)
WORDS:  全40字×530行



注目の教育裁判例(2016年12月)



羽 山 健 一



  ここでは、公刊されている判例集などに掲載されている入手しやすい裁判例の中から、先例として教育活動の実務に参考になるものを選んでその概要を紹介する。詳細については「出典」に示した判例集等から全文を参照されたい。

判例タイムズ 1418号−1428号
判例時報 2274号−2304号
労働判例 1123号−1141号
判例地方自治 401号−412号



  1. 大分県公立中学校バレーボールネット事件
    大分地裁判決 平成26年6月30日
  2. 久留米市立高校柔道部いじめ暴行事件
    福岡地裁判決 平成26年9月4日
  3. 神奈川県大和市幼稚園プール水死事故(刑事)事件
    横浜地裁判決 平成27年3月31日
  4. 堺市立小学校教諭校内自動車事故事件
    大阪高裁判決 平成27年8月6日
  5. 天使学園大学入試ミス減給処分事件
    札幌高裁判決 平成27年10月2日
  6. 東京都立高校不適切メール免職処分事件
    東京地裁判決 平成27年10月26日
  7. 出水市立中学校自殺アンケート結果開示請求事件
    鹿児島地裁判決 平成27年12月15日
  8. 津市立中学校バレー部顧問暴力暴言事件
    津地裁判決 平成28年2月4日
  9. 熊本市立小学校PTA事件
    熊本地裁判決 平成28年2月25日
  10. 私立小学校担任の受験指導義務違反事件
    東京地裁判決 平成28年3月7日
  11. 東日本大震災・東松島市立小学校津波事件
    仙台地裁判決 平成28年3月24日
  12. 西条市幼稚園児遊泳中死亡事故(刑事)事件
    松山地裁判決 平成28年5月30日
  13. 東日本大震災・石巻市立大川小学校津波事件
    仙台地裁 平成28年10月26日






◆ 大分県公立中学校バレーボールネット事件

【事件名】損害賠償請求事件
【裁判所】大分地裁判決
【事件番号】平成25年(ワ)第347号
【年月日】平成26年6月30日
【結 果】認容
【経 過】
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

  原告は、中学1年生の女子生徒であったところ、平成23年10月2日午前7時39分頃、本件中学校体育館内のバレーボール用支柱に設置されたステンレス製ネット巻き器を使用してバレーボールネットを張る作業をしていた際、当該ネット巻き器が急激に跳ね上がって顔面を直撃し、傷害を負った。本件は、原告が、本件中学校を設置する地方公共団体である被告に対し、損害賠償を請求する事案である。

  被告は、本件中学校を設置する地方公共団体である。被告は、平成18年6月8日ころ、本件中学校のバレー用ネット締め金具として、本件ネット巻き器を購入した。被告補助参加人は、ステンレス鋳鋼業等を目的とする株式会社であり、本件ネット巻き器の製造業者である。被告補助参加人は、平成18年12月ころ、本件ネット巻き器と同型のネット巻き器について、従来の取扱説明書に加えて、新たに取付時の注意として、「本製品を安全にご使用して頂くために、ネット巻きを取り付ける際、支柱のストッパーをネット巻き本体の穴に入れて、お取付けください。」、「ネットを強く巻き過ぎると、ネット巻きがズレ上がる恐れがあります。」などと記載した書面を同封する措置を講じるようになったが、・・・事故当時、本件ネット巻き器については、上記書面記載のようなずれ上がり防止のための措置は講じられていなかった。
  本件ネット巻き器の販売会社Bの従業員は、被告との委託契約に基づき、平成23年7月4日、本件中学校において、規定の仕様書等に従い、本件支柱及び本件ネット巻き器を含む各体育器具の安全点検(定期点検)を行ったが、同従業員は、本件支柱に異常を認めず、本件ネット巻き器についても、摩耗、外形上の亀裂・破損等は認めず、締付けの緩みを認めなかった。
  独立行政法人製品評価技術基盤機構(「NITE」)は、本件事故後の平成24年12月14日、本件事故の現場となった本件中学校の体育館において、本件中学校や警察署と合同で、本件ネット巻き器及びこれと同等品を用いて、バレーボールネットを張る再現テストを行った。・・・支柱からストッパーを外した状態で、本件ネット巻き器を支柱に取り付け、張力を測定しながらバレーボールネットを張ったところ、本件ネット巻き器は、張力が1960ニュートン(200キログラム重)となった時点から支柱をずれ上がり始め、その後も巻上げを続けた結果、急激に跳ね上がった。最終的な張力は、2450ニュートン(250キログラム重)であった。

判決の要旨:

(1) ネット巻き器の設置又は管理に瑕疵があったか
  事故当時、2450ニュートン程度の張力が本件ネット巻き器にかかると、ネット巻き器が、急激に跳ね上がる状態になっていた。したがって、本件ネット巻き器は、通常有すべき安全性を有しておらず、その設置又は管理に瑕疵があったものと認められる。

(2) 過失相殺について
  原告が本件事故の際に本件ネット巻き器のハンドルをゆっくり慎重に回転させず、力任せに急激に回転させたのであり、過失相殺を行うべき旨主張する。しかし、この点につき、事故当時、本件ネット巻き器が、急激に跳ね上がる状態になっていたと認められること、中学生の生徒が、バレーボールネットを張るに際し、張力につき、通常にバレーボールネットを張るより、多少強く2450ニュートンの張力がかかる程度に、本件ネット巻き器のハンドルを回すことがあることは十分に想定されるところであること、本件中学校が、本件ネット巻き器の使用方法につき、原告に対して、どのような指導をしたのかは証拠によっても明らかではないことなどからすると、過失相殺をするのは不当である。

備考:

 事故の捜査に当たった警察は、NITEに送った事故通知書の中で、事故の原因として、「ネット巻きには、支柱に直接ボルトをねじ込むズレ上がり防止措置が導入されているものの、本機器(本件ネット巻き器)には同措置が取り付けられていない。このことが直接的原因と思料されるが、ズレ上がり防止措置を講じるべき法規制も存在しない。」と記述している。



◆ 久留米市立高校柔道部いじめ暴行事件

【事件名】損害賠償請求事件
【裁判所】福岡地裁判決
【事件番号】平成24年(ワ)第3043号
【年月日】平成26年9月4日
【結 果】棄却(控訴、後和解)
【経 過】
【出 典】判例地方自治403号39頁


事実関係の概要:

  被告(久留米市)が設置運営するD高等学校に在学し、同校柔道部に所属していた原告が、同校柔道部に所属していた生徒らから暴行を受けたものであるところ、被告及び同校の職員である柔道部の顧問Gは、上記暴行を事前に防止するための適切な措置を講じるべき安全配慮義務(事前措置義務)を怠ったなどと主張し損害賠償を求めた事案。

  D高校の柔道部は、全国大会の団体戦等において複数回の優勝経験を有しており、柔道部の強豪校として知られていた。
  2年生のE及びFは、下級生である原告に対して、練習面や洗濯、掃除等原告に割り当てられていた仕事の仕方に関して指導を行うことがあったが、練習時間外で、E及びFにより行き過ぎた指導が行われることもあり、Fは指導の際に原告の頭を拳骨で殴ったり、蹴ったりしたこともあった。
 平成23年3月23日、Eは原告が十分な練習を行えていないと考え、柔道部の練習後、Fに対して「俺コイツ落とすけん」と伝え、タオルで原告の首を持ち上げて絞めたところ、原告は7秒ないし8秒で気を失った。同月24日の柔道部の練習後、Eはタオルで原告の首を強く締め上げ、原告は10秒程度で気を失って倒れたが、その後Eは原告の腹部を踏みつけて起こし、さらに原告の襟元を握って立ち上がらせ、原告の腹部に10発程度膝蹴りをし、背中にも3、4発肘打ちをした。その後、原告が指示とおりの練習をできなかったところ、Eはストップウォッチの紐を回してストップウォッチを原告の額にぶつける等し、その後、Eは、タオルで原告の首を絞めて気を失わせた。(3月23日及び3月24日の行為を「本件行為」という)

判決の要旨:

(1) 事前措置義務違反について
  原告は、顧問Gは本件暴行について予見し得たにもかかわらず、かかる暴行の兆候を見逃し、これに対する適切な対応を行わず、これを防止することができなかったことについて、被告及び顧問Gには安全配慮義務違反があると主張する。これについて、@ 本件行為等は、柔道部の活動時間外に行われたものであり、その場所に顧問Gはいなかったこと、A 顧問Gは、部員間で暴力行為が行われた事実を確認したことはなく、アンケートを行っていたが、原告に対するいじめ等をうかがわせる事実が申告されたこともなかったこと、B 原告は、柔道部に入部後、Eと練習帰りに一緒に食事に行くなどその関係は良好であり、これらの事実に照らせば、顧問Gにおいて、E及びFによる原告に対する本件行為等やその兆候を予見し得たとは認められない。

(2) 事後措置義務違反について
 @ 調査義務について
  地方公共団体が在学関係における義務として、学校において生徒の生命、身体、精神、財産等に対する危害が発生した場合に、その被害の内容や原因について調査する義務を負うとしても、その調査の内容及び方法については、学校の設置者である地方公共団体又は教師の合理的な裁量に委ねられている。そして、被告及びD高校の教師らが行った調査が不十分であったとはいえない。
 A 再発防止のための教育的指導義務について
  仮に被告又はD高校の教師らが原告との関係で再発防止のためにE及びFに対する何らかの指導を行うべき義務を負うと解したとしても、いかなる方法により教育を行うかという点については、地方公共団体又は教師の合理的な裁量に委ねられるというべきである。顧問Gは、EおよびFに対して厳しく叱責した上、両名に対して自宅謹慎処分及び学校謹慎処分が行われていること等に照らせば、再発防止を図るための措置が講じられたものというべきである。
 B 被害回避義務について
  E及びFは数度にわたり謝罪のために原告の自宅に赴き、謝罪の意思を示していることや、学校側からE及びFによる報復がないように配慮する意向が示されたこと、原告が希望すればいつでも柔道部に復帰することが可能である意向も伝えられていたこと等に照らせば、さらに原告の柔道部への復帰に向けた具体的措置を講じるべき義務があるとは認められない。




◆ 神奈川県大和市幼稚園プール水死事故(刑事)事件

【事件名】業務上過失致死被告事件
【裁判所】横浜地裁判決
【事件番号】平成25年(わ)第1470号
【年月日】平成27年3月31日
【結 果】無罪
【経 過】
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

  幼稚園のプール活動に際し、担任教諭Bが遊具の片付け作業等に気を取られて溺れた被害児童を見落としたまま放置し、同人が死亡した事故について、被告人園長は、担任教諭Bをして、プール活動を実施させるに当たっては、(1)新任である担任教諭Bに対して遊具の片付け等の際にも園児の行動を注視できる方法などの具体的注意事項等を十分に教示し、(2)あるいは、担任教諭B以外に園児を監視する者を配置するなど複数の者によって園児の行動を監視する体制をとるなどして水難事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、担任教諭Bに対して何らの教示をせず、漫然と同人をして、単独で前記プール活動を実施させ、よって、被害児童を溺水吸引により溺死させたとして、業務上過失致死罪に問われた事案。なお、担任教諭Bは同罪ですでに罰金50万円が確定している。

判決の要旨:

(1) 教示懈怠の過失につて
  具体的注意事項の教示とは、「プール活動終了時の遊具の片付けをする際には、プール内の園児が見渡せるように、プールの壁際に背を向けてプールの中央側に顔を向ける体勢で立った上、遊具を片付ける籠を体の前に持ってくる方法又はこれに類する方法」を教示することであるが、被告人が担任教諭Bに対し、これらの具体的注意事項を教示したからといって、これによって事故発生という結果が回避できたとはいえない。加えて、担任教諭Bに対して、他の教諭から、プール活動全般に関し、「プール内の園児全体が見渡せるよう、教諭は本件プール内に入り、円形の壁に体の背を向けて壁に沿って歩いて見るようにする」旨の指導は既になされていた。以上からすると、検察官が主張する教示義務については、結果回避可能性を肯定することができず、被告人に教示懈怠の過失は成立しない。

(2) 複数監視体制構築懈怠の過失について
  プール活動の指導を行わず監視に専念する者を配置して複数の者によって園児の行動を監視する体制をとるべき刑事法上の注意義務があったかを検討する。
  プールの施設面、管理・運営面で配慮すべき基本的事項等について示した「プールの安全標準指針」(平成19年3月文部科学省・国土交通省。以下「安全標準指針」という。)には、遊泳利用に供することを目的としたプールについて「プール全体がくまなく監視できるよう施設の規模に見合う十分な数の監視員を配置すること」が必要である旨記載され、これは水遊び用プールについても参考として活用されることが期待されていた。
  本件プールの規模は直径4.15ないし4.57mのほぼ円形、事故当時のプール活動中の園児の人数は11人、当時の水深は約0.21mであって、園児が水に潜ってしまうことによって、その姿が監視しにくくなるなどということも想定されない。このような具体的状況を前提にすると、本件プールにおけるプール活動を1名の教諭が担当することによっても、プール全体をくまなく監視することができるということができ、担任教諭1名によるプール活動の実施が安全標準指針に照らして不十分であったということはできない。
  したがって、被告人が複数監視体制を構築していなかったことが、刑事法上幼稚園の園長として要求される行動基準を逸脱するものであったとまでいうことはできない。

備考:

  検察は、幼稚園のプール活動においても、園児の指導を行わず、指導教諭とは別に監視に専念する者を置くべきであると主張したが、本判決は、そのような監視体制をとるべきことを定める安全管理の指針や手引等が存在しておらず、また、そのようにすることが当時の幼稚園におけるプール活動における平均的、標準的な安全管理体制であった旨の立証がないとして、検察の主張を退けた。




◆ 堺市立小学校教諭校内自動車事故事件

【事件名】自動車運転過失傷害、保護責任者遺棄被告事件
【裁判所】大阪高裁判決
【事件番号】平成26年(う)第522号
【年月日】平成27年8月6日
【結 果】破棄自判(有罪、罰金30万円)
【経 過】一審大阪地裁堺支部平成26年3月5日判決
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

  市立小学校の教員が勤務先の小学校駐車場で男子児童を車ではねて置き去りにしたとして、自動車運転過失傷害、保護責任者遺棄両罪に問われた事案。原審は、児童の供述以外に、事故を客観的に裏付ける証拠がないと判断し被告人に無罪を言い渡した。

(1)平成22年12月22日当時、被告人は、小学校の教員であり、被害者は、同校の2年生に在籍する児童で、当日は、授業終了後、同校の空き教室を利用した学童保育施設(のびのびルーム)に預けられていた。
(2)被告人は、同日午後4時40分頃、帰宅するため、校舎敷地内の土面の職員用駐車場に北向きに駐車させていた被告人運転車両に乗ろうとした際、同車のすぐ前方(北方)に東西方向に設けられた幅約3mの舗装通路の北端付近にしゃがみ、同通路北側の土面にできた水溜まりをのぞき込んでいる被害者を認め、同児に「水溜まりで遊んでいるの」と一声かけてから同車に乗り込んだが、同車に乗り込んだ後は、被害者の動静を確認しなかった。なお、同通路北側の土面は舗装通路よりも若干低くなっており、その間には段差があった。
(3)被告人は、ハンドルを左に切りながら被告人運転車両を発進進行させたところ、被害者の「わーん」という叫び声を聞き、同車を停止させて降車すると、被害者は、前記水溜まり内に落ちていた。被告人は、上下服が濡れ、泥も付いており、立ち上がれない状態の被害者の両脇を抱えて、約34.5m離れた学童保育施設の入り口である校舎西側出入口付近まで引きずって行き、同施設職員に声をかけるなどすることなくその場に放置し、再び被告人運転車両に乗って走り去った。
(4)被害者は、間もなく前記出入口から校舎内に数m入った前記学童保育施設のある空き教室前の廊下付近で同施設職員に発見された。連絡を受けた同施設職員のHが駆け付けたところ、被害者は、全身ずぶ濡れで、髪や顔に泥がついており、「車に轢かれた」、「腰が痛い」、「骨が折れてたらどうしよう」と泣きながら言い、着替えのため服を脱がせると、背中から腹部中央付近にかけて赤い帯状の擦り傷様の怪我があった。
(5)被害者は、堺市内の病院へ搬送されて当日夕方に医師の診察を受け、腹部打撲、擦過創、骨盤部打撲、擦過創、右肘擦過創、左前腕擦過創、右大腿部打撲、擦過創の傷害を負っており、受傷日から約5日間の局所安静、創傷処置が必要であると診断された。被害者の腹部及び腰部の打撲・擦過創は、主に体幹の周囲を広く巻くように生じていた。

判決の要旨:

(1) 自動車運転過失傷害について
  検察官の用語例に従って、車両のタイヤが被害者の身体の上に乗り上げる事故態様を「轢過」、被告人運転車両のタイヤではなく、その車底部のみが被害者の身体の上に乗り上げる事故態様を「轢圧」と表現する。
  被害者が腹部を轢過されたとした場合、被害者の腹部には、少なくとも約453kgを大きく下回ることのない荷重が加わったものと認定するほかはない。そして、このような荷重が掛かれば、被害者が、「苦しくて、おなかの辺りが押された感じがした」という程度の感覚を抱くにとどまることは、およそ考え難いところである。したがって、被害者が被告人運転車両に轢過されたとの事実を認めることはできない。また、轢圧の可能性については、なお合理的な疑いが残るのであり、同事実は認められないというほかはない。
  証拠上、被告人運転車両が被害者に衝突したことまでは認められるところ、事故後被害者に認められた骨盤部の打撲は、衝突部位に合致するもので、被告人運転車両の衝突によって生じたこと、すなわち、本件事故との因果関係が認められる。また、その他の負傷原因の存在は、被告人運転車両の衝突と骨盤部の打撲との因果関係に合理的な疑いを生じさせるものとはいえない。したがって、被告人について、自動車運転過失傷害の事実を認めることができる。

(2) 保護責任者遺棄罪について
  被告人が自ら交通事故により負傷させた児童を抱えて事故現場から校舎出入口付近まで引きずっていって放置した行為は、被害者の生命・身体の安全に配慮しない無責任で極めて不適切なものであるが、被害者の容態が比較的軽微であり、被害者が放置されたのが学童保育施設職員から容易に発見されて保護され得る場所であったなどの事実関係の下では、刑法218条にいう「遺棄」に当たらない。

備考:

  堺市教育委員会は平成23年3月、教諭が書類送検されたことを受けて懲戒免職処分にしていた。警察は「公道であれば道路交通法違反容疑にあたる」とコメントした。同法第72条には交通事故の加害者に、負傷者を救護するなどの緊急措置義務と警察への報告義務が規定されている。




◆ 天使学園大学入試ミス減給処分事件

【事件名】懲戒処分無効確認等請求控訴事件
【裁判所】札幌高裁判決
【事件番号】平成27年(ネ)第22号
【年月日】平成27年10月2日
【結 果】取消(確定)
【経 過】一審札幌地裁平成26年12月12日判決(判例時報2286号129頁)
【出 典】判例時報2286号127頁、労働判例1132号35頁


事実関係の概要:

  大学の入試委員会の委員長であった原告Xが、入試ミスがあったこと等を懲戒事由として、被告学校法人Yから減給1割1か月の懲戒処分を受けたことにつき、処分の無効確認等を求めた事案。

  大学の2011年度の学部の一般入学試験の入試委員会の委員長であったXが、入試ミス(解答例の作成ミス)があったこと等を懲戒事由として、Yから減給1割1か月(5万8520円)の懲戒処分を受けたことについて、Yに対して本件処分の無効確認を求めるとともに、減給された給与の支払いを求めた。なお、Yは労働審判事件で制裁の1回の額は平均賃金の1日の半額を超えてはならない(労基法91条前段)との指摘を受け、Xに対し前記減額分のうち2万4603円を支払った。
  原判決は、まず、懲戒事由のうち、入試問題のミスは認められるが、ウェブサイト上での合格発表の遅延と、当該入試問題のミスが外部から指摘されてから迅速な報告を怠ったことは認められないとする。そのうえで、判決は、入試問題のミスについてXに故意や重過失は認められず、本件ミスについては主として出題者の責任が大きいものであるところ、その処分が戒告にとどまっていることに比し、Xに減給の懲戒処分をすることは、明らかに均衡を失するものであり、また、Xの職務懈怠の内容自体をみても、直ちに減給を相当とするものとはいえないし、・・・Xにのみ厳しい処分で責任を問うことは公平とはいえないことから、本件処分を無効とし、Xの請求を容認した。

判決の要旨:

  Xは、入試委員会の総括責任者の立場にあり、本件文科省通知で留意事項とされていた入試開始後における試験問題の点検を、ガイドラインなどに定めて実施することが容易であったのにこれを怠り、また、出題者が作成したチェック表のチェックがなかった項目について、出題者と第三者点検者に確認して注意喚起するなどの、初歩的かつ重要であり、容易に実施できることを怠った。
本件ミスそのものの責任は主に出題者にあるとしても、Xの地位や職務懈怠の内容に照らせば、その責任は問題作成者よりも軽いとはいえず、したがって、減給1割1か月の懲戒処分は、X以外に懲戒処分を受けたものが戒告であることとの均衡に照らしても、重すぎるとはいえず、有効である。

備考:

  本件は、地裁と高裁とで、事実認定は変わらないものの、考慮要素に対する評価の仕方が異なり、懲戒権濫用審査の結論が異なった事案である。
  原告Xは、数学出題者に、個別に注意喚起を行い、チェック表に基づいてチェックを行うことを指示していた。そのチェックを行った第三者点検者が、チェックできていない項目があり、チェック表が不完全な状態にあったのに、そのことを委員長であるXに報告しなかったのは何故か、疑問の残るところである。




◆ 東京都立高校不適切メール免職処分事件

【事件名】懲戒処分取消等請求事件
【裁判所】東京地裁判決
【事件番号】平成26年(行ウ)第595号
【年月日】平成27年10月26日
【結 果】一部認容(控訴)
【経 過】東京地裁平成27年1月21日決定(執行停止)(労働判例1123号153頁)、二審東京高裁平成28年3月24日判決(棄却)(裁判所ウェブサイト)
【出 典】判例時報2297号22頁、判例タイムズ1422号153頁


事実関係の概要:

  都立高校の男性教員であるXが、女子生徒Aに対し、わいせつな内容を含む多数のメールを送信したなどとして、懲戒免職処分を受けたことにつき、処分の取消しを求めるとともに、都教委の実施した事情聴取等に違法があるとして国賠法に基づき慰謝料の支払を求めた事案。

(1)原告は、平成22年4月に都立高校の教員に任命されて授業を担当した生徒Aとメールのやり取りをするようになり、平成23年4月に第2学年の生徒Aの担任となった。同年11月までに原告から生徒Aに対し送られたメールは総計845通に上るが、そのうち829通は平成23年10月20日から11月14日までの約3週間の間に送信され、生徒Aから原告に対しても、相当数のメールが返信された。原告から生徒Aに送られたメールには、「付き合ってほしい」、「結婚してほしい」など恋愛感情に基づくと認められるもの、「抱く」の意味、「キス」の種類、「愛撫」など性行為の方法を教示しているもの、生徒Aを原告の自宅に滞在させたと読める内容や原告と生徒Aがキスしたと読める内容、生徒Aが作成すべき修学旅行の感想文の文案などが含まれている。メールの送信は勤務時間中にも行われた。メール送信の外にも、原告は生徒Aに対し、ネックレス等を買い与え、現金1万円を与えるなどしている。
(2)原告は平成24年4月から第3学年となった生徒Aの担任を続けていたが、同年12月に生徒Aの両親が生徒Aの携帯電話を確認し、原告から生徒Aに送信されたメールが発覚した。
(3)メール送信が発覚した後、原告は担任を外れ、平成25年3月に生徒Aは卒業した。原告は平成26年5月に研修命令の発令を受け、研修期間中の同年7月14日付けで懲戒免職処分となった。
(4)懲戒免職処分の理由とされたのは、上記メール、金品の授与のほか、生徒Aとの交際の噂が広がり保護者に不信感を与えたこと、事情聴取で虚偽の供述を行ったことである。生徒Aとキスその他の性的な関係を持ったことや交際関係にあったことは認定されておらず、処分理由ともなっていない。
  なお、都教委は「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」(以下「処分量定」)を策定しているが、これには、処分の量定として「わいせつな内容のメール送信・電話等」に対して「停職」を、「性行為を行った場合(未遂を含む、同意の有無を問わない)」、「キスをした場合」に対して「免職」を、それぞれ示している。

判決の要旨:

(1) 懲戒免職処分理由の存否について
  原告はメールの意味やメール以外の行為などを種々争っているが、懲戒免職処分の理由とされた事実はすべて認められる。
(2) 裁量権の範囲の逸脱又はその濫用について
  都教委が定めている処分量定に照らして、処分量定と異なる処分として免職を選択するときはその客観的・合理的な根拠の有無について慎重に吟味する必要がある。そして、本件では処分量定では「停職」に相当する事案であり、これを特に重く処分すべき事情があるとはいえない。よって、本件免職処分は裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものとして違法である。
(3) 損害賠償請求の成否について
  違法な実質的取調べなどが主張されたが、事実が認められない、又は違法性があるとはいえない。

備考:

  本件は、処分量定に定めた標準的な処分よりも加重した処分をすることにつき、処分量定上の加重事由の有無について詳細な検討を加えた上、そのような事情は認められないとした。
  事前に処分量定を定めておくことは、懲戒権者の判断が恣意に流れることのないように判断の基準を示しているものであり、同時に、職員の予見可能性を高め、住民に対する説明にも資するものと解されている。処分量定に対して、事案毎に加重又は軽減した処分をすることが予定されているものの、処分量定で定められた処分と異なる処分、特に加重して免職処分をするような場合には、その加重事由について慎重に検討することが求められる。本判決はこうした処分量定の意義や機能をふまえて、懲戒権濫用の審査を行ったものといえよう。




◆ 出水市立中学校自殺アンケート結果開示請求事件

【事件名】不開示処分取消等請求事件
【裁判所】鹿児島地裁判決
【事件番号】平成26年(行ウ)第3号
【年月日】平成27年12月15日
【結 果】一部認容・一部棄却(確定)
【経 過】
【出 典】判例時報2298号28頁


事実関係の概要:

  鹿児島県出水市内の市立中学校に通っていた生徒の祖父であるXが、本件生徒が自殺したとされる事件に関し、出水市教育委員会が組織した事故調査委員会が同中学校の全校生徒を対象としたいじめに関するアンケート調査について、出水市情報公開条例に基づき、実施機関である出水市教育委員会に対して、本件アンケートの回答用紙(「本件回答用紙」)及び本件アンケートの結果をまとめたもの(「本件アンケートまとめ」)の各写し(いずれも固有名詞をマスキング処理したもの。併せて「本件文書」)の開示請求したところ、全部不開示とする本件処分が行われたため、本件処分の取消し及び本件文書の開示決定の義務付けを求めた事案。

[請求文書目録]
1 中学校において平成23年9月7日に実施された全校生徒対象のアンケートの回答用紙の写し(ただし、固有名詞をマスキングしたもの)
2 中学校において平成23年9月7日に実施された全校生徒対象のアンケートの結果をまとめたものの写し(ただし、固有名詞をマスキング処理したもの)

[本件回答用紙の様式]
 (冒頭)
  去る9月1日に亡くなられた、2年生の甲野花子さんのことについて、アンケートに協力してください。このアンケートは、甲野さんのつらさを無駄にせず、二度とこのような悲しい出来事が起きないようにするための手がかりを得ることと、自分の子どもに何があったのか、真実を知りたいという家族の願いにこたえるために実施するものです。みなさんがこのことを真剣に受け止め、知っていることを正しく誠実に答えてくれるよう願っています。
 (質問文)
一 以前に、甲野さんのことで気になったことがあれば、どんなことであったか(いつ頃・どこで・何を・誰と)書いて下さい。
二 最近の様子で、特に変わったことがありましたか。気がついたことがあれば、どんなことか書いて下さい。
三 友達から聞いたこと いつ頃・どんなことを聞きましたか。
○ あなた自身について何か伝えたいことや相談したいことがありますか。
 (末尾)
  記入したことやそれ以外のことで、直接話したいことがあれば、遠慮せず先生やスクール・カウンセラー、あなたを支えている周りの方々に相談して下さい。
  氏名を書いても構わない人は書いてください。

判決の要旨:

(1) 本件回答用紙の写しについて
  本件回答用紙に記載された情報は、個人情報であって、筆跡に関する他の資料と本件回答用紙のそれとを比較対照することによって回答者を特定することができることから本件条例7条1号前段(不開示情報)に該当し、部分開示の余地もないことから、本件処分のうち本件回答用紙を開示しなかった部分が違法であるとはいえない。

(2) 本件アンケートまとめの写しについて
  回答者の学年、学級及び氏名の記載部分については本件条例7条1号前段(不開示情報)に該当し、「あなた自身について何か伝えたいことや相談したいことがありますか。」という質問に対する回答部分については、回答者自身の気持ちや悩みが記載されていて、当該記載は回答者自身の人格権に密接に関連する情報であるから本件条例7条1号後段(不開示情報)に該当する。
  他の質問に対する回答部分については、本件回答用紙の回答を転記したものであるから本件生徒及び他の生徒(回答者を含む。)の個人情報であり、・・・特定の生徒個人を識別させることから本件条例に7条1号前段に該当するものの、別紙不開示部分目録一の部分を除けば、公にしても特定の個人を識別することはできなくなるから、別紙不開示部分目録一の部分を除いた部分については本件条例7条1号前段の不開示情報に含まれないものとみなす部分開示の規定を適用すべきである。
  以上から、本件処分のうち、本件アンケートのまとめの写し中の別紙不開示部分目録一の部分及び同二の部分を開示しなかったのは違法ではないが、その余の部分を開示しなかったのは違法である。

 [別紙不開示部分目録]
一 固有名詞のほか、性別、学年、学級、委員会名、部活動名、学級・委員会・部活動における役職(例えば、委員長、部長)・担当(例えば、係、ポジション、パート)、委員会・部活動で用いる器具・道具が記載されている部分
二 「○あなた自身について何か伝えたいことや相談したいことがありますか。」という質問に対する回答が記載されている部分

備考:

 本件はいじめ防止対策推進法(平成25年9月28日施行)が施行される前の事例であるが、同法第28条2項には、重大事故が発生した場合の、遺族への調査結果の情報提供義務が規定されている。さらに、同法に基づき、その具体的な実施方法について、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10 月11日)、「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針(改訂版)」(平成26年7月1日)などが策定されいる。したがって、現在では、これらの方針・指針に従って、調査結果の遺族への提供が適切に行われなければならないことになっている。



◆ 津市立中学校バレー部顧問暴力暴言事件

【事件名】損害賠償請求事件
【裁判所】津地裁判決
【事件番号】平成26年(ワ)第397号
【年月日】平成28年2月4日
【結 果】一部認容・一部棄却(控訴)
【経 過】名古屋高裁平成28年9月30日判決(変更・慰謝料減額)
【出 典】判例時報2303号90頁


事実関係の概要:

  本件は、X1が市立中学校に在学中、所属していた女子バレーボール部の顧問であるY1教諭から暴力及び暴言を受けたことに関し、X1及びその両親であるX2、X3が、Y1教諭に対しては不法行為(民法709条)に基づき、中学校を設置しているY2市に対しては国賠法1条1項に基づき損害賠償請求をした事案。

  X1は、平成23年4月、本件中学校に入学し女子バレーボール部に入部した。Y1教諭は、X1に対し、1年の2学期以降、期待するようなプレーができないときには、「おまえは論外」と発言することが度々あった。また、Y1教諭は、平成23年11月以降は、X1が期待するようなプレーができないときには、X1に対し、拳骨や平手でたたく等の暴力に及んだ。また、平成24年12月22日からの女子バレーボール部の合宿において、Y1教諭は、X1のプレーが消極的であると感じ、保護者のいる前で、軍手をした手でX1の頬を2回たたき、X1は少しふらつき、その頬は赤くなった(「本件平手打ち事件」)。
  X1の父であるX3は、平成25年2月、本件中学校の校長に、Y1教諭の暴力に対処するように求め、校長はX3に謝罪した。Y1教諭は、本件平手打ち事件以降、X1に対し、暴力を振るうことはなくなったが、暴言はなくならなかった。例えば、平成25年5月3日からの合宿中、Y1教諭はX1に対し、「手首が痛いのを理由にするな」、「お前は使い物にならない」等発言し、X1をコートから出した。
  このため、X1は、中学2年の夏、女子バレー部を退部し、同年8月頃、児童精神科に3日間通院した。

判決の要旨:

(1) Y1教諭の暴言、暴力の違法性について
  体罰ないし正当な懲戒権の範囲を逸脱した行為は違法であるところ、これを判断するには、生徒の年齢、性別、性格、成育過程、身体的状況、非行等の内容、懲戒の趣旨、有形力行使の態様・程度、教育的効果、身体的侵害の大小・結果等を総合考慮して、社会通念に則り判断すべきである。
  Y1教諭の暴力は、@非違行為に対するものではないこと、AY1教諭が自制できず、その感情(怒り)をX1にぶつけたものであること、B本件暴力は身体に対する直接的な有形力の行使であること、C本件暴力により教育的効果は認められないこと等を考慮すると、本件暴力は体罰ないし正当な懲戒権の範囲を逸脱した違法な行為である。
  Y1教諭の各発言のうち「お前は論外」、「使い物にならない」との発言は、単に生徒を侮辱し、人格を傷つけ、自尊心を害するものであり、結局、暴力と同様、Y1教諭において自制できないそのままの感情(怒り)をそのままぶつけた面が大きく、教育目的をもった懲戒行為とは言い難い。したがって上記各発言(暴言)は違法行為であった。

(2) 校長らの安全配慮義務違反について
  本件中学校は、学校における教育活動及びこれに密接に関連する生活関係における生徒の安全を確保すべき義務を負っているところ、同校の校長はY1による違法な暴力等を認識し又は認識し得たにもかかわらず、再発防止に向けた行動を取らなかったので、平成24年7月以降は、同校長には安全配慮義務違反がある。
  Y1教諭については、公務員個人は直接被害者に対し損害賠償責任を負わないと解するのが相当である。

備考:

  本件は、教師の児童・生徒に対する懲戒権の行使をめぐって、有形力の行使が体罰に該当するかが問われただけでなく、教師の一連の言動の違法性についても問題とされ、そのいずれについても違法性を認めた事例である。
  体罰とは別に、児童・生徒に対する教師の言動・発言の違法性を認めた事例として、@入間市立中学校事件(浦和地裁平成2年3月26日判決、判例時報1364号71頁、欠席・遅刻・早退を繰り返す生徒に対する担任の指導)、A岐阜県立高校陸上部事件(岐阜地裁平成5年9月6日判決、判例時報1487号90頁、顧問教諭の体罰、屈辱的発言等に誘発されて女子部員が自殺するに至った事例)、B唐津市立中学校事件(佐賀地裁平成25年12月13日判決、いじめの加害者と疑われ、事情聴取を受けた女子生徒が解離性障害等に罹患した事例)。
  違法性を否定した事例として、C大田区立小学校事件(東京地裁昭和57年2月16日判決、判例時報1051号114頁、民家のガラスを割った児童が教師の事情聴取後、自殺を図った事例)、D横浜市立小学校事件(東京地裁平成8年1月26日判決、判例時報1568号80頁、精神面での発達が遅れているかのような印象を与える担任教諭による発言)、E横浜市立中学校事件(東京高裁平成17年12月22日判決、判例タイムズ1237号285頁、授業中などの不適切な言辞)、F群馬県立高校バレーボール部事件(前橋地裁平成24年2月17日判決、判例時報2192号86頁、部活動指導中の侮辱的発言)。




◆ 熊本市立小学校PTA事件

【事件名】慰謝料等請求事件
【裁判所】熊本地裁判決
【事件番号】平成26年(ワ)第992号
【年月日】平成28年2月25日
【結 果】棄却(控訴)
【経 過】
【出 典】http://blog.pta-school-thinking.org/article/434577930.html


事実関係の概要:

  本件は、原告がA小学校PTAである被告に入会した事実がないにもかかわらず、被告が原告から会費を徴収したことが不法行為に当たり、仮に不法行為が成立しないとしても支払済み会費は被告の不当利得に当たると主張して、被告に対し、主位的に不法行為、予備的に不当利得に基づき、支払済みの会費9750円及び慰謝料19万0250円の合計20万円の支払を求めた事案である。

  原告は、平成21年8月、長男及び長女が熊本市立A小学校に転入した後、平成23年3月までの間に、被告が学校を介して配布する会費納入袋を用いて会費合計9750円を支払った。
  原告は、平成23年2月ないし3月ころ、被告における会費の使途等に疑問を抱き、その後PTAのことを調べているうちに、PTAが入退会自由の団体であることを明確に認識した。原告は、平成23年4月以降、会費の納入を停止し、平成24年2月6日付けで、被告に対し「PTA退会のお願い」と題する書面を差し入れて退会の意思表示をした。
  原告からの退会の意思表示に対し、被告代表者は、平成24年3月9日ころ、原告に対し、「PTA会費納入のお願い」と題する書面を交付した。同書面において、被告代表者は、原告がA小学校転入時に被告の会則を受領した以上、子どもがA小学校に在籍する限り退会することはできないので会費を納入してほしいと述べた。ところが、被告代表者は、平成26年2月12日付け書面により、原告に対し、PTAが任意団体であり、入退会自由の団体であることを認め、上記の文書のうち、子どもがA小学校に在籍する限り原告は退会できないと記載した部分につき謝罪して撤回した。
  原告は、@被告が原告に対し入会の申込みをしておらず、原告も入会を承諾していないから、原告は被告に入会していない、A原告は被告に対し会費を納入したが、学校から会費納入袋が配布されたことから支払わなければならないと誤信して支払ったもので、会費の納入は黙示的な入会の承認には当らない、B原告はPTAを学校の一部と理解しており、平成23年2月ないし3月ころまで学校とは別組織であることを認識していなかった、などと主張し、被告に対し、支払済みの会費及び慰謝料の支払を請求した。

判決の要旨:

 「原告が被告に入会したか」について
  原告は長男及び長女がA小学校に転入した当初、PTAが入退会自由の団体であること認識しておらず、したがって、PTAには必ず入会しなければならない、あるいは、子どもが小学校に在籍することにより当然に会員となっているものと認識して会費を納入していたと認めるのが相当であり、遅くとも転入後、最初に会費を納入した時点において、原告は被告の会員となり、また、原告自身も自らが会員であるとの認識を有していたというべきである。
  これに対し、原告は、被告に会費を納入した時点において、PTAが学校とは別組織という認織がなく、会費は教材費等の校納金と同趣旨のものと認識していたと主張する。しかし、被告の会費納入袋には「PTA会費納入袋」と明記されており、PTAという団体の会費であることは明白であって、原告の上記供述は、要するにPTAが当然こ入会しなければならない団体であり、会費は必ず支払わなければならないと誤信していたということを表しているに過ぎないというべきである。そして、仮に原告が上記のように誤信していたとしても、原告が会員となっていなかったということにはならない。したがって、原告は被告に入会していたと認めるのが相当である。

備考:

  PTAの役割や性格についての議論が散見されるようになった現在においても、PTAが強制加入の団体であると信じて入会しているという例は多い。本件における主な争点は、「原告が会員であったか」ということであったが、それとは別に、そもそも、「原告の入会は有効であったのか」が問われなければならない。つまり、「必ず入会しなければならない」「入会しない自由は認められない」と思いこんで会費を納入したという場合、会費を納入した時点において入会の契約が有効に成立したと認めることが妥当であるかどうかについて、検討されなければならない。




◆ 私立小学校担任の受験指導義務違反事件

【事件名】慰謝料等請求(本訴)、損害賠償請求(反訴)事件
【裁判所】東京地裁判決
【事件番号】平成27年(ワ)第10830号、平成27年(ワ)第18443号
【年月日】平成28年3月7日
【結 果】本訴棄却、反訴棄却(確定)
【経 過】
【出 典】判例時報2296号112頁


事実関係の概要:

  私立小学校6年生の児童が系列の中学校への進学に際し、単願受験で不合格となり、さらに、一般受験でも不合格となったところ、児童の両親が、担任教師の受験指導義務違反によって、他の中学校の入試を受ける機会を失い、精神的苦痛を被ったと主張して、小学校を経営する学校法人に対し損害賠償等を請求した事案。

  Yは幼稚園2校、小学校1校、中学校3校、高等学校3校、大学1校等を経営する学校法人である。XはYが経営する小学校に通学する小学生であり、平成26年4月に6年生となった。同校の児童においては中学受験をする者が多く、これを受けて、同校においては、6年生の担任教諭が、中学受験を考える6年生の児童及び保護者に対して個人面談を行い、その中で持ちかけられた受験に関する相談に対して助言を行ったり、基本的な受験の仕方や第1志望校の決め方などについて文書や口頭で説明したりしていたところ、XはYが経営する中学校の単願受験を希望し、平成26年12月に試験を受けたが、不合格となった。その後、Xは平成27年2月1日から3日までの3日間実施された3回の一般入試をすべて受験したが、いずれも不合格であった。
  そこで、XはYの被用者である担任教諭が適切な受験指導を行う義務(具体的には、特定の中学校の合格可能性が極めて少ないことを説明すべき義務)を怠り、その結果、Xは自分の偏差値に見合う他の中学校を受験する機会を逸し、精神的苦痛を被ったと主張して、Yに対して、不法行為に基づき慰謝料等の賠償を請求した。

判決の要旨:

(1) 担任教諭の適切な受験指導義務の存否
  あくまでも中学校までは義務教育であって、受験を必要とする中学校に進学するかどうか、受験するとしてどの中学校を受験するかは児童及び保護者のみが決定する事項であって、小学校側と児童側との間に別段の合意等がない限り、児童及び保護者のこれに係る決定に際し、小学校側に何らかの指導義務ないし助言義務が発生すると認めることはできない。
  仮に、担任教諭において、児童や保護者の進路に関する希望を聞き、児童や保護者が中学受験をするかどうか、受験するとしてどの中学校を選択するかを決定するに当たって、参考となる事項を説明したり、助言したりすることがあったとしても、決してそれは児童や保護者に対する義務として行っているものではない。
  別段の合意等が認められない本件では、担当教諭に指導義務ないし助言義務を認めることはできない。

(2)受験指導義務違反の有無(補足的に括弧書きで判示)
  なお、仮に、担任教諭にXの主張するような義務があったとしても、@Xの学業成績が芳しくないことは、X及びXの両親に伝わっていること、AXは、最も有利な単願受験で不合格となっており、その直後にXの母が担任教諭と面談し、その際、担任教諭はこれ以外の中学校も含めた入試スケジュール表を交付しているという事実からすれば、担任教諭は、Xが一般入試受験でYが経営する中学校に合格することは難しいと思われる旨を説明していたと認められる。

備考:

  義務教育諸学校において、受験に関する個人面談を行い、進学について話し合う場が設けられているのに、児童及び保護者から相談や質問を受けても、担任教諭にはそれに応答し説明する義務がないなどと考えることは不自然であり、何らかの説明義務があると考えるのが妥当であろう。
  受験指導に際し、児童及び保護者が受験校を適切に選択できるよう、担任教諭が、受験に関わる一般的・個別的情報を提供し、説明し教示することは、担任教諭の職務上の義務であると考えられる(とりあえず説明義務と呼んでおく)。しかし、問題はその説明義務の根拠を何に求めるかである。これがやっかいな問題であるため、本判決はそれを検討せず、こうした義務は存在しないという判断を下したものと考えられる。
  しかし、この説明義務は、教育活動の一つとして、学校教育法(義務教育の目標(21条)「将来の進路を選択する能力を養うこと」)や、小学校学習指導要領(「将来の生き方や進路などを考えたりする指導」)などの法令の文言から導き出すことも可能であると考えられるし、また、それも困難な場合には、その根拠を条理に求めることも検討すべきであろう。
  社会保障関連の給付をめぐる窓口での相談において、行政による情報提供義務あるいは教示義務が問題となった事例として、大阪高裁判決平成26年11月27日判決(判例時報2247号32頁、特別児童扶養手当について)、東京高裁平成21年9月30日判決(判例時報2059号68頁、介護者運賃割引制度について)などがある。




◆ 東日本大震災・東松島市立小学校津波事件

【事件名】損害賠償請求事件
【裁判所】仙台地裁判決
【事件番号】平成25年(ワ)第822号
【年月日】平成28年3月24日
【結 果】一部認容・一部棄却
【経 過】
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

 東日本大震災の地震が発生し、市である被告が設置し運営するとともに災害時の避難場所に指定していた小学校の体育館へ避難した同校在籍の児童が、同校の校長により同級生の親に引き渡されて同児童の保護者不在の自宅に帰された後、津波に巻き込まれて死亡した事案。(同時に争われた、小学校の体育館へ避難した住民らが津波に巻き込まれて死亡した事案については省略する。)

  午後2時46分、本件地震が発生し、校長は、地震後にも大きな余震が続いていたことなどから、児童らを避難場所に指定されていた体育館に避難させた。死亡した児童Fは本件小学校の3年生に在籍し、地震当時9歳であった。Fは、地震発生時、下校してそろばん教室にいたが、同教室にいた他の児童らとともに体育館に避難した。
  校長は、午後3時20分頃、本件体育館内にいた教諭らに対し、災害時児童引取責任者を記載した災害時児童引渡し用の名簿をその保管場所である職員室から取り寄せて使用させることなく、児童らの引渡しを受ける者の名前と関係が確認できれば児童らを引き渡してよい旨の指示を出し、この指示を受けた各教諭らが児童らの引渡しを開始した。
  Fの担任教諭は、午後3時30分頃、Fの同級生の父であるKから、Fを同人の自宅に送り届ける旨の申出を受けた。KはFの災害時児童引取責任者ではなかったが、J教諭は、本件体育館に留め置くよりも自宅に送ってもらうほうがよいと考え、FをKに引き渡した。その後Fは、Kの運転する自動車で、本件小学校よりも海側の土地にあり、かつ津波浸水予測図上の津波浸水域及び要避難区域に四方を囲まれているFの自宅まで送り届けられ、従兄弟であるLに引き渡されたが、10分程度後に本件津波に巻き込まれ、その直後に溺死した。
  体育館には、午後3時52分頃、地盤から高さ約3.5メートルの津波が到達し、その水位は、体育館の2階のギャラリー直下まで到達した。体育館に避難していた者の多くは、ギャラリーに上って助かったり、教諭らに救助されたりしたが、救助できず、溺死した者もいた。

判決の要旨:

  主な争点は、校長がFを災害時児童引取責任者として登録されていた者以外の者に、引き渡したことについての過失の有無である。
  本件地震発生後に指定避難場所である小学校に避難した同校の児童を小学校から移動させる際には、安全とされている避難場所から移動させても当該児童に危険がないかを確認し、危険を回避する適切な措置を採るべき注意義務を負っていたというべきである。
  したがって、校長が、地震の発生後、地震や本件津波に関する情報を迅速かつ適切に収集することを怠ったため、収集することができた情報等からFを災害時児童引取責任者ではないKに引き渡すと津波に巻き込まれるという結果を予見し得たにもかかわらずこれを予見せず、そのため、Fの安全を確認しないままKにFを引き渡した結果、Fが津波に巻き込まれ、その生命又は身体に危険が及んだ場合には、校長に国家賠償法1条1項にいう過失が認められ、違法なものとして、被告は、これによってFに生じた損害を賠償する義務を負うものと解される。




◆ 西条市幼稚園児遊泳中死亡事故(刑事)事件

【事件名】各業務上過失致死傷被告事件
【裁判所】松山地裁判決
【事件番号】平成26年(わ)第81号
【年月日】平成28年5月30日
【結 果】園長:有罪、教諭2人:無罪
【経 過】
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

 愛媛県西条市の増水した加茂川で、幼稚園のお泊まり保育の川遊びで園の男児が流されて死亡し、園児2人がけがをした事故で、園長と教諭2人が業務上過失致死傷罪に問われた事案

  被告人aは、幼稚園の園長であり、同幼稚園の園務全体を統括する責任者として他の教諭を指揮監督する立場にあり、被告人bは、幼稚園の主任教諭として、他の教諭に対して指導・助言し、園長を補佐する立場、被告人cは、年長組の担任教諭であった。
  被告人らは、平成24年7月20日、愛媛県西条市内所在の宿泊施設「乙」において、本件幼稚園の活動として、被告人らを含めて同園の教諭8名で、5歳から6歳の年長園児31名を引率してお泊まり保育を実施し、当該行事の中で、付近を流れる河川である加茂川内で同園児らを遊泳させることを予定していた。お泊り保育の準備については、例年、年長園児の担任教諭が担当しており、平成24年度は被告人cが担当となった。
  7月20日、松山地方気象台により県内全域に雷注意報が発令されていた。また、同日の東予地方の天気について、午前5時発表の天気予報では「曇り時々雨ところにより雷を伴う」と予報されていた。
  当日の午前中、西条市内にある本件幼稚園付近において十数分程度の降雨があったほか、昼前頃には乙付近においてもまとまった降雨があったが、その後、被告人らが本件幼稚園から乙に移動する間を通じて晴れており、遊泳当時、遊泳場所上空は晴れていた。
  当日午後3時頃、遊泳場所で遊泳(川遊び)を開始し、被告人ら8名の教諭が監視をしていた。午後3時38分頃、折からの上流における降雨等により加茂川の水位が突如上昇したことにより、同河川内を移動中であったA(当時5歳)は増水した濁流により流され溺死した。

判決の要旨:

(1) 増水等の予見可能性の有無及び内容について
  お泊まり保育開始前の計画準備段階において、被告人らと同様の立場にある一般人であれば、本件遊泳場所付近において、同所付近が晴れていても、上流域の降雨によっては、遊泳場所付近において増水するなどの河川の変化(増水等危難)が生じ、水量・流速が増す類型的危険性があることを予見することができた。
  被告人らは、上流域の天候を調査すれば、遊泳開始時までに、遊泳場所の上流域において、少なくとも降雨があったことを知ることができたと認められる。また、被告人らは、お泊り保育の計画準備段階から、遊泳場所の上流域における天候について調査し、増水等が発生する危険性を予見すべき義務を負っていた。

(2) 結果回避義務について
  幼稚園としては、計画準備のための予見可能性がある以上、増水による危険を防止できる措置として、ライフジャケットを準備し、その予見可能性がより高まっていた以上、遊泳を実施するに際し、ライフジャケットを園児らに適切に装着させる義務を負っていたというべきである。
  被告人aは、安全配慮義務を負っており、お泊り保育や遊泳を中止する際の決定は被告人aが判断していた。被告人aは、安全配慮義務の職務、権限を教諭らに委ねていなかったから、被告人cには例年の安全配慮とは異なる安全面の検討を行うべき職務は分担されていなかったし、被告人bには、被告人cに対する助言等の義務はなかった。

備考:

  検察が、二度と同様の事故を起こさせないためには、被告人を厳しく非難することが必要であると主張するのに対して、本判決は、量刑の理由の中で、「様々な配慮をしつつ保育に臨むことを義務付けられる幼稚園教諭の個々の能力や判断に即してみると、園児の安全確保にとって、必ずしも教諭個人に対する厳しい刑罰が効果的であるとはいえず、幼稚園における保育の実態を踏まえた園外活動の種々のガイドライン等の作成や事故事例に関する情報を容易に利用できるような仕組み作り等といった、個々の教諭の努力を超えた部分での安全対策がなければ十分な安全確保とならない」場合もあるとして、殊更に教師を厳罰に処することで事故防止が可能であるとする短絡的な発想を退けている。




◆ 東日本大震災・石巻市立大川小学校津波事件

【事件名】国家賠償等請求事件
【裁判所】仙台地裁
【事件番号】平成26年(ワ)第301号
【年月日】平成28年10月26日
【結 果】一部認容
【経 過】
【出 典】裁判所ウェブサイト


事実関係の概要:

  東日本大震災の地震発生を受け、市立小学校の教員が、児童の下校を見合わせて校庭で避難を継続した後、大規模な津波襲来を予見して別の場所に向け移動を始めたが、移動中に襲来した津波により多数の児童が死亡したことについて、教員が学校の裏山に児童を避難させるべき注意義務に違反して避難場所として不適当な場所に向けて移動したことには過失があるとして、遺族らが学校設置者である市及び県に対して損害賠償を請求した事案。

  大川小の教員ら11人は地震直後、児童を校庭へ避難誘導し、保護者らが迎えに来た児童以外の下校を見合わせた。学校は海岸から約4キロ離れ、県の浸水予測では津波は及ばないとされていて、地区の避難所にも指定されていた。教員らは集まってきた地域住民の対応をしながら、ラジオ放送で情報を収集。午後3時半ごろまでに、従来と格段に規模の異なる大きな津波が三陸沿岸に到来し、大津波警報の対象範囲が拡大されたことを認識した。
  石巻市の広報車は、遅くとも午後3時半ごろまでに「津波が北上川河口付近の松林を越えた」などと津波の接近を知らせ、高台への避難を拡声器で呼び掛け、学校前の県道を通過。教員らはこれを聞いていた。
  教員らはこの直後ごろ、大川小から西に約150メートル離れた河川堤防近くの県道と国道の交差点付近(三角地帯)に向け、校庭にいた70人余りの児童とともに移動を決め、同35分ごろまでに出発した。大川小には同37分ごろ津波が到来。教職員と児童は歩いている間に津波にのまれ、裏山に逃れた教員1人と児童4人が生き残った以外、全員が死亡した。

判決の要旨:

(1) 注意義務について
  広報車による避難呼び掛けを聞く前は、学校に津波が到来し、児童に具体的な危険が及ぶ事態を教員らが予見可能だったということは困難である。この段階では県内に津波が襲来するという情報しか得ていない。裏山も土砂災害の危険はあった。
  しかし、広報車の呼び掛けを聞いた段階では、程なく津波が襲来すると予見、認識できた。地震は経験したことがない規模で、ラジオで伝えられた予想津波高は6〜10メートル。大川小の標高は1〜1.5メートルしかなく、教員らは遅くともこの時点で、可能な限り津波を回避できる場所に児童を避難させる注意義務を負った。

(2) 結果回避義務違反について
  移動先として目指した三角地帯は標高7メートル余りしかなく、津波到達時にさらに避難する場所がない。現実に大津波到来が予期される中、避難場所として不適当だった。
  一方、裏山は津波から逃れる十分な高さの標高10メートル付近に達するまで、校庭から百数十メートル移動する必要があったが、原告らの実験では、移動は徒歩で2分程度、小走りで1分程度だった。斜面の傾斜が20度を上回る場所はあるが、児童はシイタケ栽培の学習などで登っていた。避難場所とする支障は認められない。
  被災が回避できる可能性が高い裏山ではなく、三角地帯に移動しようとした結果、児童らが死亡した。教員らには結果回避義務違反の過失がある。







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