● 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の公布について(通知) 令和7年6月18日 文科初第793号


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公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正
する法律が成立し、公布されましたので、お知らせします。

7文科初第793号 令和7年6月18日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長、各指定都市・中核市市長、各指定都
市教育委員会教育長、附属学校を置く各国公立大学法人の長、各文部科学大臣所轄学
校法人理事長、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長 宛
文部科学事務次官


    公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
    等の一部を改正する法律の公布について(通知)


 このたび、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
一部を改正する法律(令和7年法律第68号。以下「給特法等一部改正法」という。)
が、本年6月18日に公布され、令和8年4月1日(一部の規定については、公布の
日又は令和8年1月1日)から施行されることとなりました。
 この法律は、学校教育の質の向上に向けて、教師に優れた人材を確保する必要が
あることに鑑み、学校における働き方改革の更なる加速化、組織的な学校運営及び
指導の促進並びに教師の処遇改善を一体的総合的に進めるため、

 ・教育職員の服務を監督する教育委員会に対する「業務量管理・健康確保措置
  実施計画」の策定及び当該計画の実施状況の公表等の義務付け
 ・学校の教育活動に関し、教職員間の総合的な調整を担う「主務教諭」の職の
  創設
 ・教職調整額の基準となる額について、給料月額の4%から10%への引上げ
 ・教師の職務や勤務の状況に応じた義務教育等教員特別手当の支給を実現する
  ための規定の整備
などの措置を一括して講ずるものです。

 給特法等一部改正法の内容、施行期日等は下記のとおりですので、十分に御了知
の上、施行期日に向けて必要な準備を進めていただくなど、適切に御対応ください
ますようお願いします。なお、この法律に関しては、衆議院文部科学委員会及び参
議院文教科学委員会において、それぞれ附帯決議が付されておりますので、併せて
お知らせします。
 各都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会におかれては、所管の学校に対し
て、特法等一部改正法の趣旨及び内容を周知していただくとともに、首長部局に
も共有いただき、連携して学校における働き方改革の一層の推進、主務教諭の適切
な配置及び教師の処遇改善等に努めていただくようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市(指定都市を除く。以下同
じ。)区町村教育委員会に対して、給特法等一部改正法の趣旨及び内容を周知して
いただくよう配慮願います。その際、市区町村教育委員会に対しても、給特法等一
部改正法の趣旨及び内容を当該市区町村の首長部局にも共有することを促していた
だくようお願いします。
 加えて、同法第2条の規定による主務教諭の職の創設については、各都道府県知
事におかれては、所轄の学校及び学校法人並びに城内の市区町村認定こども園所管
部局、所轄の認定こども園及び認定こども園の設置者に対して、附属学校を設置す
国公立大学法人の長におかれては、その管下の学校に対して、小中高等学校を設
置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12
条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては、所轄の学校及び学校設置
会社に対して、本改正の趣旨及び内容を周知していただくよう配慮願います。
 なお、特法等一部改正法については、関係資料とともに文部科学省のホームペ
ージに掲載しておりますので、併せて御参照ください。


                   記

第1 給特法等一部改正法(本則)の内容

1 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和46年法
 律第77号)の一部改正

(1)学校における働き方改革の更なる加速化に向けて教育委員会が講ずべき措置
@ 教育委員会は、文部科学大臣が定める指針に即して、当該教育委員会が服務
 を監督する教育職員の業務の量の適切な管理その他健康及び福祉の確保を図る
 ために講ずべき措置(以下「業務量管理・健康確保措置」という。)の実施に
 関する計画(以下「業務量管理・健康確保措置実施計画」という。)を定める
 ものとすること。(第8条第1項関係)
A 業務量管理・健康確保措置実施計画においては、業務量管理・健康確保措置
 の実施により達成しようとする目標、業務量管理・健康確保措置の内容、その
 他業務量管理・健康確保措置の実施に関し必要な事項について定めるものとす
 ること。(第8条第2項関係)
B 教育委員会は、業務量管理・健康確保措置実施計画を定め、又は変更したと
 きは、遅滞なく、これを公表するとともに、総合教育会議に報告するものとす
 ること。(第8条第3項関係)
C 教育委員会は、毎年度、文部科学省令で定めるところにより、業務量管理・
 健康確保措置実施計画の実施状況を公表するとともに、総合教育会議に報告す
 るものとすること。(第8条第4項関係)
D 都道府県の教育委員会は、市町村(特別区を含み、指定都市を除く。)の教
 育委員会に対し、業務量管理・健康確保措置実施計画(県費負担教職員に係る
 部分に限る。)の策定及びその円滑かつ確実な実施に関し必要な指導、助言そ
 の他の援助を行うよう努めるものとすること。(第8条第5項関係)

(2)教師の処遇改善
@ 公立の義務教育諸学校等の教育職員に支給される教職調整額の基準となる額
 について、幼稚園の教育職員を除き、教育職員の給料月額の100分の4に相当
 する額から、100分の10に相当する額に引き上げること。この引上げは、令和
 8年1月1日から毎年100分の1ずつ段階的に行うこと。(第3条第1項及び
 附則第2項関係)
A 指導改善研修被認定者(教育公務員特例法第25条第1項の規定による認定を
 受けた者であって、当該認定の日から同条第4項の認定の日までの間にあるも
 のをいう。以下同じ。)について、教職調整額を支給しないこととするととも
 に、地方公務員法第58条第3項の規定の適用について必要な読替規定を定める
 こと。(第3条第1項及び第5条関係)

2 学校教育法(昭和22年法律第26号)の一部改正

(1)学校における働き方改革の更なる加速化に向けて学校が講ずべき措置
 公立の義務教育諸学校等は、学校教育法第42条第1項の規定により、当該学校
の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校
運営の改善を図るため必要な措置を講ずるに当たっては、当該措置が業務量管理
・健康確保措置実施計画に適合するものとなるようにしなければならないものと
すること。(第42条第2項関係)

(2)組織的な学校運営及び指導の促進に向けた主務教諭の職の創設
 主務教諭を幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校
及び特別支援学校に置くことができるものとし、その職務は、児童の教育等をつ
かさどり、及び命を受けて学校の教育活動に関し教諭その他の職員間における総
合的な調整を行うこととすること。(第27条、第37条、第60条及び第69条関
係)

3 教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)の一部改正
 義務教育等教員特別手当について、文部科学省令で定める基準を参酌して条例
で定める、校長及び教員が分掌する校務類型に応じて支給することとし、その額
は校務類型に係る業務の困難性その他の事情を考慮して条例で定めることとする
こと。(第13条第2項関係)

4 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)の一部改正
 学校運営協議会が置かれている公立の義務教育諸学校等において、校長が学校
運営協議会の承認を得ることとなっている学校運営に関する基本的な方針につい
て、業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めるものとすること。
(第47条の5第4項関係)

5 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平
 成18年法律第77号)の一部改正
 主務保育教諭等を幼保連携型認定こども園に置くことができるものとし、その
職務は、園児の教育及び保育等をつかさどり、及び命を受けて幼保連携型認定こ
ども園の教育及び保育の活動に関し保育教諭その他の職員間における総合的な調
整を行うこととすること。(第14条関係)

6 その他関係法律の一部改正
 主務教諭及び主務保育教諭等の職の創設に伴い、下表の左欄に掲げる各法律の
下表の中欄に掲げる各条項について、下表の右欄を内容とする改正を行うこと。
  (下表 略)


第2 給特法等一部改正法(附則)の内容

1 施行期日(給特法等一部改正法附則第1条関係)
 給特法等一部改正法は、令和8年4月1日から施行すること。ただし、以下の
規定については、それぞれ以下に示す期日から施行すること。

(1)公布の日(令和7年6月18日)
 給特法等一部改正法附則第3条から附則第5条まで

(2)令和8年1月1日
・公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第3条第1項、
 第5条、第6条、附則第2項
・市町村立学校職員給与負担法第1条(「時間外勤務手当(」の下に「公立の義
 務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(昭和四十六年法律第
 七十七号)第三条第一項に規定する指導改善研修被認定者、」を加える部分に
 限る。)
・教育公務員特例法第13条第2項
・給特法等一部改正法附則第2条、附則第6条及び附則第7条

2 経過措置(特法等一部改正法附則第2条関係)
 給特法等一部改正法の施行の際に、現に指導改善研修被認定者に該当している
者については、教育公務員特例法第25条第4項の認定を受けるまでの間、給特法
等一部改正法による改正前の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関す
る特別措置法(以下「給特法」という。)第3条第1項の規定に基づき、引き続
き、当該指導改善研修被認定者の給料月額の100分の4に相当する額の教職調整
額を支給するものとすること。
 また、当該指導改善研修被認定者に係る労働基準法の規定の適用については、
給特法第5条第1項が適用されるものとすること。

3 政府の措置

(1)時間外在校等時間の削減に関する措置(給特法等一部改正法附則第3条関係)
 政府は、令和11年度までに、公立の義務教育諸学校等の教育職員について、
「一箇月時間外在校等時間」を平均30時間程度に削減することを目標とし、以下
の措置を講ずるものとすること。
@ 公立の義務教育諸学校等の教育職員一人当たりの担当する授業時数を削減
 すること
A 教育課程の編成の在り方について検討を行うこと
B 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に規定
 する教職員定数の標準を改定すること
C 公立の義務教育諸学校等の教育職員以外の学校の教育活動を支援する人材
を増員すること
D 不当な要求等を行う保護者等への対応について支援を行うこと
E 部活動の地域における展開等を円滑に進めるための財政的な援助を行うこ
F @〜Eに掲げるもののほか、公立の義務教育諸学校等の教育職員の業務の
 量の削減のために必要な措置

 また、「一箇月時間外在校等時間」とは、以下の@に掲げる時間からAに掲げ
る時間を除いた時間として、給特法第7条第1項に規定する指針で定める時間を
いうものであること。
@ 1か月の学校の教育活動に関する業務を行っている時間として外形上把握
 することができる時間
A 給特法第6条第3項各号に掲げる日(※)(一般職の職員の勤務時間、休
 暇等に関する法律(平成6年法律第33号)第15条の規定に相当する条例の規
 定による代休日が指定された場合における同項各号に掲げる日を除く。)以
 外の日における正規の勤務時間(給特法第6条第1項に規定する正規の勤務
 時間をいう。)
 (※)国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日
 (以下「祝日法による休日」という。)や年末年始の休日(12月29日か
 ら翌年の1月3日までの日(祝日法による休日を除く。)をいう。

(2)公立の中学校における35人学級の実現に関する措置(給特法等一部改正法附
 則第4条関係)
 政府は、公立の中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程
を含む。)の同学年の生徒で編制する学級に係る一学級の生徒の数の標準につい
て、令和8年度から35人に引き下げるよう、法制上の措置その他の必要な措置を
講ずるものとすること。

4 検討規定
(1)教育職員の業務の管理の実効性の向上のための措置(給特法等一部改正法附
則第5条関係)
 政府は、公立の義務教育諸学校等において、その学校全体の教育職員の仕事と
生活の調和を実現する上で、その管理職手当を受ける教育職員(以下「公立学校
の管理職員」という。)が重要な役割を果たすことに鑑み、公立学校の管理職員
及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の服務を監督する教育委員会による当該
教育職員のそれぞれ担当する業務についての見直しに係る措置その他の当該教育
職員の業務の管理の実効性の向上のための措置について検討を行い、その結果に
基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

(2)教育職員の勤務条件の更なる改善のための措置(給特法等一部改正法附則第
6条関係)
 政府は、この法律(令和8年1月1日施行の規定に限る。)の施行後2年を目
途として、公立の義務教育諸学校等(幼稚園を除く。)の教育職員の勤務の状況
について調査を行い、その結果に基づく勤労環境その他の勤務条件に関する状況、
人材確保の動向並びに給与及び報酬等に要する経費についての財源の確保の状況
その他の事情を勘案し、当該教育職員の勤務条件の更なる改善のための措置につ
いて検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、教職調整額
に係る率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずるものとすること。

(3)幼稚園の教育職員の処遇の在り方(給特法等一部改正法附則第7条関係)
政府は、公立の幼稚園の教育職員については、給特法に定める給与その他の勤
務条件に関する特例の適用を受けるとともに、保育所及び幼保連携型認定こども
園の職員と同様に、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に基づいて処
遇の改善に資するための措置が講じられていることに鑑み、その処遇の在り方に
関し、他の公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与その他の勤務条件の特例に
関する制度との整合性を確保しつつ保育所及び幼保連携型認定こども園の職員の
処遇との均衡を図る観点から検討を加え、必要があると認めるときは、その結果
に基づいて必要な措置を講ずるものとすること


第3 留意事項

 この法律の施行に当たって留意すべき事項については、別途通知すること。
 教師の処遇改善については、各都道府県・指定都市において、令和8年1月1
日からの施行に向け、給与条例の改正や給与システムの改修等が必要になるため、
所要の準備を進めていただきたいこと。また、文部科学省としては、今後、教育
公務員特例法第13条第2項の規定に基づく文部科学省令の制定等を予定している
こと。
 学校における働き方改革の加速化については、各教育委員会において、令和8
年4月1日からの関連規定の施行に向け、業務量管理・健康確保措置実施計画の
策定に係る準備を進めていただきたいこと。また、文部科学省としては、今後、
給特法第8条第4項の規定に基づく文部科学省令の制定や、同法第7条第1項の
規定に基づき文部科学大臣が定める指針(公立学校の教育職員の業務量の適切な
管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確
保を図るために講ずべき措置に関する指針)の改訂等を予定していること。


【別添1】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律概要
【別添2】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律案に対する衆議院の修正概要
【別添3】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律条文
【別添4】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律新旧対照表
【別添5】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法第5
    条第2項による地方公務員法の読替表、公立の義務教育諸学校等の教育
    職員の給与等に関する特別措置法第5条第2項により読み替えられた地
    方公務員法第58条第3項による労働基準法の読替表
【別添6】文部科学大臣メッセージ〜給特法等改正法の成立に当たり、国民の
    皆様へ〜(令和7年6月11日)
【別添7】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和7年5月14日衆議院文部
    科学委員会)
【別添8】公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の
    一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和7年6月10日参議院文教
    科学委員会)


(文部科学省ホームページ:教師を取り巻く環境整備について(学校における働き
方改革、指導運営体制の充実、教師の処遇改善)

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