● 秩序ある共生社会の実現に向けた日本語教育の充実について(通知) 令和8年8月28日 8文科教第977号


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8文科教第977号 令和8年8月28日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長、各指定都市市長、各指定都市教育委員会教育長、構造改革特別区域法第12 条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長、各文部科学大臣所轄学校法人理事長、附属学校を置く各国公立大学法人の長 殿
文部科学省総合教育政策局長(淵上孝)


    秩序ある共生社会の実現に向けた日本語教育の充実について(通知)


 日本語指導が必要な外国人等への教育につきましては、関係者において様々な努力がなされ、取組の充実を図っていただいているところです。一方で、我が国に在留する外国人は令和7年末時点で過去最高の400 万人に達するとともに、外国人児童生徒等も急激に増加し、日本語指導が必要な児童生徒も約8.5 万人(令和7年度文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(参考2))に上るなど、9年間で約2倍に増加して過去最高となっています。

 日本語教育の推進は、我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営み、秩序ある共生社会を実現する上で不可欠です。また、我が国に生活する外国人の大人や子供たちは、社会の一員として我が国の将来を担う存在であり、多様な背景を持つ一人一人の長所や強みに着目し、その能力を十分に発揮できる教育環境を整備することは重要です。同時に、このことは日本人の大人や子供たちにとっても、多様な価値観や文化的背景への理解を深め、地域や学校における多様性の包摂を進めることにつながるものと考えます。

 こうした中、文部科学省では、「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」において本年6月に取りまとめられた報告書(参考3)や、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(参考4)等を踏まえ、今後の日本語教育の充実に向けて、本日、別添の「秩序ある共生社会の実現に向けた日本語教育支援総合パッケージ」として公表しました(別添1)。文部科学省としては、本パッケージに基づき、今後、子供から大人まで切れ目なく、一気通貫した日本語教育支援を抜本的に強化するための施策を主導していきたいと考えておりますので、貴職におかれましても、下記の事項に御留意の上、取組の一層の充実に向けた御尽力をお願いします。

 都道府県知事及び都道府県教育委員会におかれては、域内の市町村、市町村教育委員会、所管又は所轄の学校及び学校法人に対して、各指定都市教育委員会におかれては、所管の学校に対して、構造改革特別区域法第12 条第1項の認定を受けた各地方公共団体におかれては、所轄の学校設置会社に対して、各文部科学大臣所轄学校法人におかれては、その設置する学校に対して、国公立大学法人の長におかれては設置する附属学校に対して、本件について周知を図るとともに、十分な指導・助言に努めていただくようお願いします。

                   記

1.就学促進の支援強化

 文部科学省が実施する「外国人の子供の就学状況等調査(令和7年度)」(参考5)の結果では、約9千人の外国人の子供が不就学の可能性があることが明らかとなっています。こうした状況を踏まえ、文部科学省では別添2のとおり、「外国人の子供の就学促進事業」の概算要求を行うこととしており、引き続きさらなる支援の強化を図ってまいります。また、文部科学省では、外国人の子供の就学促進等のために地方公共団体が講ずべき事項について、令和2年に「 外国人の子供の就学促進及び就学状況の把握等に関する指針」を策定しておりますが、この度同指針を改訂いたしましたので、改訂内容や重要事項等については、別途通知いたします。

2.プレスクール・プレクラスの支援強化

 来日直後や帰国直後の児童生徒等が、入学後に円滑な学校生活を送るためには、初期支援を行うことが重要です。プレスクール(主に学齢期以前の外国人幼児を対象として、入学後の円滑な学校生活につなげるための支援を行う取組)やプレクラス(主に学齢期の外国人児童生徒を対象として、学校就学前や就学後初期段階に、円滑な学校生活につなげるための初期日本語指導等の支援を行う取組)を実施する教育委員会からは、幼児児童生徒が初期の日本語を学べるだけでなく、緊張を和らげ安心感を得たり、学校や教師にとっての負担を軽減したりする上でも、様々な効果があることが報告されています。こうした観点も踏まえ、文部科学省では、別添3のとおり、今回新たに「プレスクール・プレクラス(初期日本語指導等)支援強化事業」の概算要求を行うこととしており、今後、これらの全国展開に向けて、地方公共団体への支援や、国主導による教材等の開発・普及を進めてまいりたいと考えております。

3.学校における日本語指導体制の充実

 全国的に、外国人児童生徒等の受入れが急増している「集住地域」と、学校等に数人程度のみ在籍する「散在地域」が同時に増加し、その母語も多様化しており、各地方公共団体において地域の実情に応じた体制整備を進めることが求められます。特に、市町村教育委員会や学校を支える観点からは、都道府県教育委員会による広域的な支援も極めて重要です。文部科学省では、「帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業」において、別添2のとおり概算要求を行うこととしており、都道府県教育委員会を経由する間接補助に加えて、市町村教育委員会への直接補助も可能とすることを検討しています。引き続き公立学校における日本語指導員や母語支援員の派遣を含めた指導体制の構築、ICTを活用した教育等、各地方公共団体が行う環境整備に向けた支援の強化を図ってまいります。
 また、公立小・中学校における日本語指導に必要な教員定数については、別添4のとおり概算要求を行うこととしており、一層の改善を進めてまいります。あわせて、登録日本語教員等の外部の専門人材の活用の促進など、指導体制の大幅な強化を図ってまいります。
 さらに、日本語指導を必要とする児童生徒が在籍する場合の指導体制について、地方公共団体や学校の判断の参考となるよう、国として学校における日本語指導体制の構築に関する基本的な考え方や目安を示すこととしています。

4.学校における日本語指導内容の充実

(1)日本語指導・内容に関するガイドラインの策定
 外国人児童生徒等の教育に初めて携わる教師を含め、全国どの学校においても全ての教師や日本語指導員等が連携して一定水準の指導を実施できるよう、年度内に生成AI やオンラインの活用を含め、指導内容・方法等に関するガイドラインを新たに作成する予定です。なお、これまで文部科学省で作成した資料等(参考1)についても、積極的に御活用ください。

(2)「特別の教育課程」の活用の推進
 特別な配慮に基づく指導を受けている児童生徒のうち、特別の教育課程による指導を受けている児童生徒は、義務教育段階においては約76%に、高等学校段階においては約16%に留まっています。今後、そのさらなる活用促進を図るため、特別の教育課程の編成・実施に係る好事例の普及を図ってまいります。また、特別の教育課程における指導体制の特例については、本年中を目途に中央教育審議会における議論等を踏まえ一定の結論を得た上で、速やかに所要の措置を講ずることとしておりますので、方針が固まり次第、別途お知らせいたします。

(3)個別の指導計画の改善
 特別の教育課程の実施に当たっては、個々の児童生徒の日本語の能力や学校生活への適応状況を含めた生活・学習の状況、学習への姿勢・態度等の多面的な把握に基づき、指導の目標及び指導内容を明確にした 「個別の指導計画」を作成する必要があります。今後、次期学習指導要領も見据え、教師の過度な負担を生じさせず、児童生徒をできる限り包括的に支援するため、現在の様式の活用状況や課題を把握した上で、参考様式の改善に向けた検討を進めていく予定です。

(4)「かすたねっと」の機能の抜本的強化
 文部科学省では、外国人児童生徒等の教育のための情報検索サイト「かすたねっと」を運営しております。今後、教師や外国人児童生徒等、保護者にとってより一層活用しやすいツールとなるよう、「日本語指導が必要な児童生徒等の教育支援基盤整備事業」において別添5のとおり概算要求を行うこととしており、機能の抜本強化や掲載教材の充実、コンテンツの拡充などを進めます。

5.教師等の養成・採用・研修による指導力の向上

(1)教員養成課程における内容の充実
 中央教育審議会では、今後の教職課程や教員免許制度の在り方について、免許状取得に必要な事項として共通で学ぶべき内容の再構造化・体系化、学びの最適化を目指したコアカリキュラムの見直し等に向けた議論が行われています。全国的に外国人児童生徒等が増加している現状を踏まえ、各大学の教員養成課程における外国人児童生徒等の教育に関する内容をさらに充実できるよう、検討を進めてまいります。

(2)教員採用選考における日本語指導経験者の積極的な採用
 学校における外国人児童生徒等教育を担う人材確保の観点から、外国人への日本語教育に関する学習歴・資格や指導に従事した経験・専門性を考慮し、一部試験免除や特別の選考などの採用選考の実施を行うことも有効と考えられます。令和6年度の公立学校教員採用選考試験において、日本語指導の資格等の専門性がある者に加点するなどの確保策を講じている教育委員会は依然として少ない状況にあり、引き続き教員採用選考における積極的な取組が期待されます。

(3)日本語指導のリーダーの育成に向けた研修の普及と研修コンテンツの充実・展開
 独立行政法人教職員支援機構(NITS)では、外国人児童生徒等の受入れ体制の整備や日本語指導の方法等について必要な知識等を習得することができる、「外国人児童生徒等への日本語指導指導者養成研修」(参考1)を実施しています。地域の日本語指導のリーダーの育成に向け、同研修成果の積極的な活用をお願いいたします。また、全国教員研修プラットフォーム「Plant」(参考1)では、文部科学省がこれまで作成した研修動画コンテンツを集約しております。今後、さらなるコンテンツの充実も図ってまいりますので、積極的に御活用ください。

6.進学・就職へのきめ細かい支援の促進

(1)高等学校入学者選抜における特別定員枠の設定や受検の際の配慮の推進
 外国人生徒が社会で自立していくためには、高等学校等における適切な教育機会の確保が重要ですが、日本語指導が必要な外国人生徒等の高等学校等への進学率は、全生徒と比較して低くなっており、令和7年度公立高等学校入学者選抜において、外国人生徒の特別定員枠が設定されているのは20都道府県にとどまっています。全都道府県において取組を進めていただけるよう、高等学校入学者選抜における帰国・外国人生徒を対象とした特別定員枠の設定や、受検に際しての配慮(試験教科の軽減、問題文の漢字へのルビ振り等)の取組の推進のため、文部科学省としても引き続き取組を進めてまいります。

(2)キャリア教育・支援の充実
 日本語指導が必要な高校生等の進路状況については、就職者における非正規就職率や、進学も就職もしていない者の割合が、全高校生と比較して高くなっているなどの課題があります。文部科学省で作成した「 高等学校における外国人生徒等へのキャリア支援等に関する実践ガイド」(令和8年4月)(参考1)等の活用の促進をはじめ、外国人生徒等へのキャリア教育・支援の取組方法や学校における実践事例の普及を図ってまいります。

7.地域日本語教育の質の向上と機会の拡充

 国内における多様な背景を持つ外国人等の増加に伴い、日本語学習ニーズが増大する一方で、地域における日本語教育の実施や学習環境については、日本語教育機関や日本語教育に従事する人材の地域的な偏在など、地域間での差が生じています。文部科学省では、令和元年度から地域日本語教育の総合的な体制づくりを促進し、総合調整会議の設置や日本語教育人材の発掘・研修・マッチングなどを通して、地方公共団体における日本語教室整備への支援を進めてきたところであり、本年度も別添6のとおり、「外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業」の概算要求を行うこととしています。地域における日本語教育の質の確保に向けて、地方公共団体等の参考となる地域日本語教育に関するガイドラインを作成するとともに、各地域の実情に応じた日本語教育が実施されるよう、引き続き地域における日本語教育環境のさらなる充実・強化に必要な取組を推進していきます。

8.地方公共団体における日本語教育センター機能整備への支援

 文部科学省では、上記「7」の取組を通して、主に外国人の大人に対する地域の日本語教育の体制整備を進めてきました。地方公共団体における日本語教育の推進については、大人の日本語教育については主に首長部局において、学校教育における子供の日本語教育については主に教育委員会において取り組まれていますが、在留外国人の日本語教育を推進していく上では、地域の日本語教育に係る人材や資源を効果的に活用し、関係部署が連携を図りながら取り組むことが重要です。そのため今後は、総合調整会議の設置や日本語教育人材の発掘・研修・マッチングなど地方公共団体における日本語教育のセンター機能の整備への支援を進める中で、子供から大人までの一貫した日本語教育支援体制の構築に向けた取組を推進していきます。

9.質の高い日本語教育体制の強化

 在留外国人の増加に伴い、日本語教育へのニーズがますます高まる中、日本語教育の質の向上を図るためには、令和6年度に新たな国家資格として創設された登録日本語教員をはじめとする日本語教育人材の質的・量的な確保を図ることが重要です。文部科学省では、別添7のとおり、「日本語教師の養成及び現職日本語教師の研修事業」の概算要求を行うこととしており、登録日本語教員等の継続的な資質・能力の向上に向け、日本語教師の役割、段階、分野等に応じた研修を実施するなど、引き続き日本語教育に従事する者の資質能力の向上に関する取組を行ってまいります。また、日本語教育人材の量的確保に向けて、日本語教員試験の受験機会の拡大を図るため、CBT(Computer Based Testing)方式による試験実施について検討を進めており、今年度内に試行試験を実施する予定です。

10.「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設

 「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(令和8年1月23 日 外国人の受入れ・秩序ある共生社会の実現に関する関係閣僚会議)に基づき、国民の安全・安心を確保するための外国人の受入れ環境整備の一環として、 「我が国に在留する外国人(帯同家族を含む。)が、日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラム」(「日本語・生活学習プログラム(仮称)」)の創設について、文部科学省も連携しつつ、入管庁等において検討が進められています。詳細については、結論が得られ次第、別途お知らせいたします。


【別添1】秩序ある共生社会の実現に向けた日本語教育支援総合パッケージ
【別添2】外国人の子供の就学促進事業、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業
【別添3】プレスクール・プレクラス(初期日本語指導等)支援強化事業
【別添4】定数改善計画(〜令和10 年度)の着実な推進等(義務教育費国庫負担金)
【別添5】日本語指導が必要な児童生徒等の教育支援基盤整備事業
【別添6】外国人材の受入れ・共生のための地域日本語教育推進事業
【別添7】日本語教師の養成及び現職日本語教師の研修事業

【参考1】学校における日本語指導に係る参考資料
【参考2】「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」結果概要
【参考3】「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」報告書概要
【参考4】経済財政運営と改革の基本方針2026(関係部分抜粋)
【参考5】「外国人の子供の就学状況等調査」結果概要






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