● 高等学校の卒業期日について 昭和28年3月12日 文部省初等中等教育局長


昭二八、三、一二
広島県教育委員会教育長あて
文部省初等中等教育局長回答


 照 会
 単位不足のため高等学校を卒業し得ない生徒の取扱については別紙案を考慮中でありますが、これに関連して照会いたします。
一 通常の課程の卒業期日は三月でなければならないとする法的根拠
 学校教育法施行規則(以下「規則」という。)第二八条は、卒業に必要な単位を充足した期日をもつて卒業日とするようには解釈できないか(単位保留のため卒業し得ない生徒の場合。)
二 四年制の定時制の課程で単位保留のため四年以上を要する生徒の場合、規則第六五条を準用して九月卒業を認めることができるか。

 (別紙案)
通常の課程
一 六月末までに単位追認により卒業に必要な単位を充足した場合は、前年度三月にさかのばり卒業させることができる。
 この場合、単位充足の月までの授業料は返却しないものとする。
二 七月以降において単位追認により卒業に必要な単位を充足した場合は、その月までの授業料を徴収し、翌年三月に卒業させるものとする。
 この場合、単位充足の日の翌日から休学の措置をとることができるものとする。
定時制の課程
一∧八月末までに単位の追認を受けて卒業に必要な単位を充足した場合は、九月に卒業させることができる。
二 九月以降単位の追認を受けて卒業に必要な単位を充足した場合は、翌年三月に卒業させるものとする。
三 前二項においては、単位充足の月までの授業料を徴収し、単位充足の日の翌日から休学の措置をとることができるものとする。

 回 答
一 学校の教育計画は学年の区分にもとづいて構成され、学年は学校教育法施行規則第四四条(第六五条により高等学校の通常の課程に準用)により、四月一日に始まり翌年三月三一日に終る。よつて生徒が全課程を修了する時期は、学年末期でなければならないものと解する。同施行規則第二八条は卒業証書を授与すべきことを規定したものであつて、授与すべき時期について規定したものではない。
二 学校教育法施行規則第六五条但書で定時制の課程について九月末で終了学年が認められているが、これは、修業年限が四年をこえる定時制の課程についての規定であるから、修業年限四年の課程のみをおく場合には適用されない。
 高等学校においても小・中学校の場合と同じようにその教育課程は学習指導要領の基準によることとなつているが(施行規則第六五条による第二五条の準用)、学習指導要領一般編によれば科目合格の単位は、学年の始から終まで引続きその科目を履修した場合のみ与えられ、学年の中途では与えられないこととされている(参照学習指導要領一般編の「U教育課程」中「3高等学校の教科と時間配当および単位数」)。(未修了者が学年の終にその科目の単位の一部(例えば国語甲の三単位中の二単位)を得て、次の学年の中途でその残りの単位(三単位中の一単位)を得るというようなことは起らない。)。
 したがつて、卒業に必要な全単位の修得は学年の終にしかありえず、卒業ということも学年の終にしかありえない。そして一般には、学年は四月に始まり三月に終る(施行規則第六五条による第四四条の準用)ので、卒業期は三月末でなければ.ならないこととなる。ただし、四年をこえる修業年限の定時制課程で最後の学年が九月に終る場合(施行規則第六五条)には、卒業期は九月末ということになる。



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