● 学校教育法施行規則の一部改正等について(通級指導関係) 平成5年1月28日 文初特278


平五、一、二八 文初特二七八 
各都道府県教育委員会、各都道府県知事、附属学校
を置く各国立大学長、国立久里浜養護学校長あて 
文部省初等中等教育局長通達

    学校教育法施行規則の一部改正等について

 このたび、別添一のとおり、「学校教育法施行規則の一都を改正する省令」が、平成五年一月二八日文部省令第一号をもって公布され、平成五年四月一日から施行されることとなりました。また、別添二のとおり、「学校教育法施行規則第七三条の二一第一項の規定による特別の教育課程が」が、平成五年一月二八日文部省告示第七号をもって告示され、平成五年四月一日から施行されることとなりました。
 今回の改正等の趣旨、改正等の内容及び留意事項は、左記のとおりですので、各位におかれては、事務処理上遺漏のないようお願いします。
 なお、都道府県教育委員会にあっては、その管下の市町村教育委員会に対して、都道府県知事にあっては、その所轄の私立の小・中学校又は盲・聾・養護学校(高等部のみを設置する学校を除く。)を設置する学校法人等及び当該私立学校に対して、国立大学長にあっては、その管下の学校に対して、この趣旨を徹底されるようお願いします。

          記

一 改正等の趣旨
 今回の改正等は、小学校又は中学校(以下「小学校等」という。)に在学する心身の障害の程度が比較的軽度な児童生徒に対する指導の一層の充実を図る観点から、小学校等の通常の学級に在籍する心身に軽度な障害がある児童生徒に対して心身の障害に応じて特別の指導の場で行われる特別の指導(以下「通級による指導」という。)を行う場合に、特別の教育課程によることができることとする趣旨であること。
二 改正等の内容
(一) 学校教育法施行規則の一部改正
 @ 小学校等において、次のアからオに該当する児童生徒(特殊学級の児童生徒を除く。)のうち当該心身の故障に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部大臣が別に定めるところにより、特別の教育課程によることができることとしたこと。(第七三条の二一第一項関係)
 ア 言語障害者
 イ 情緒障害者
 ウ 弱視者
 エ 難聴者
 オ その他心身に故障のある者で、特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの
 A 特別の教育課程による場合においては、当該学校の設置者は、当該特別の教育課程を、市町村立の小学校等にあっては都道府県の教育委員会に、私立の小学校等にあっては都道府県知事に、あらかじめ届け出ることとしたこと。(第七三条の二一第二項関係)
 B 特別の教育課程による場合においては、校長は、児童生徒が、当該学校の設置者の定めるところにより他の小学校、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部において受けた授業を、当該特別の教育課程に係る授業とみなすことができることとしたこと。(第七三条の二二関係)
 C この改正は、平成五年四月一日から施行すること。(附則関係)
(二) 「学校教育法施行規則第七三条の二一第一項の規定による特別の教育課程」の告示
 小学校等において、学校教育法施行親則第七三条の二一第一項各号の一に該当する児童生徒(特殊学級の児童生徒を除く。)に対し、同項の規定による特別の教育課程を編成するに当たっては、次の@及びAに定めるところにより、当該児童生徒の心身の故障に応じた特別の指導を、小学校等の教育課程に加え、又はその一部に替えることができるものとしたこと。
 @ 心身の故障に応じた特別の指導は、心身の故障の状態の改善又は克服を目的とする指導とし、特に必要があるときは、心身の故障の状態に応じて各教科の内容を補充するための特別の指導(以下「各教科の補充指導」という。)を含むものとしたこと。
 A 心身の故障に応じた特別の指導に係る授業時数は、心身の故障の状態の改善又は克服を目的とする指導については、年間三五単位時間から一〇五単位時間までを標準とし、当該指導に加え各教科の補充指導を行う場合は、おおむね合計年間二八〇単位時間以内としたこと。

三 留意事項
(一) 通級による指導の対象となる児童生徒の就学指導に当たっては、市町村の就学指導委員会等の意見を聞き、心身の障害の状態及び特性等に応じて適切に行うこと。また、児童生徒の心身の障害の状態の変化等に応じて、柔軟に教育措置の変更を行うことができるように配慮すること。なお、通級による指導の対象とすることが適当な児童生徒の判断に当たっての留意事項については、別に通知するものであること。
(二) 通級による指導を受ける児童生徒に係る週当たりの授業時数については、当該児童生徒の心身の障害の状態を十分考慮して負担過重とならないよう配慮すること。
(三) 学校教育法施行規則第七三条の二一第一項の規定により特別の教育課程を編成し、心身の障害の状態の改善又は克服を目的とする指導を行う場合には、盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領を参考として実施すること。
(四) 他の小学校、中学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部において通級による指導を受ける場合の取扱いについては、通級による指導を受ける指導生徒が在学する学校の設置者の定めに従い、適切に行うこと。
(五) 他の学校の児童生徒に対し通級による指導を行う学校にあっては、当該児童生徒を自校の児童生徒と同様に責任をもって指導するとともに、通級による指導の記録を作成し、当該児童生徒の氏名、在学している学校名、週当たりの通級による指導に係る授業時数及び指導期間等を記載し、適正に管理すること。
 また、当該児童生徒が在学する学校に対して、当該記録の写しを通知すること。
(六) 指導要録の記載に関しては、指導要録の様式二(指導に関する記録)の「指導上参考となる諸事項」の欄に、通級による指導を受ける学校名、週当たりの通級による指導の授業時数及び指導期間を記載すること。また、通級による指導の内容、指導の成果に関しては、必要に応じて、指導要録の様式二(指導に関する記録)の同欄に記載すること。なお、他の学校において通級による指導を受けている場合には、当該学校からの通知に基づき記載すること。
(七) 通級による指導の実施に当たっては、通級による指導の担当教員が、児童生徒の在籍学級(他の学校で通級による指導を受ける場合にあっては、在学している学校の在籍学級)の担任教員との間で定期的な情報交換を行ったり、助言を行ったりするなど、両者の連携協力が図られるよう十分に配慮すること。
(八) 通級による指導を受ける児童生徒が在学する小学校等の設置者は、他の設置者が設置する学校において通級による指導を行う場合には、当該児童生徒の教育について、あらかじめ通級による指導を行う学校の設置者と十分に協議を行うごと。
(九) 教員が、本務となる学校以外の学校において通級による指導を行う場合には、当該教員の身分取扱いを明確にすること。

別添〔略〕




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