● 学校保健法施行規則の一部を改正する省令の施行について(検査の弾力化、感染症予防等) 平成10年12月21日 文体学第168号



文体学第一六八号 平成一〇年一二月二一日
各国公私立大学長、各国公私立高等専門学校長、国立久里浜養護学校長、各都道府県知事、都道府県教育委員会教育長あて
文部省体育局長通知


    学校保健法施行規則の一部を改正する省令の施行について


 このたび、別添のとおり、「学校保健法施行規則の一部を改正する省令」(平成一〇年文部省令第四六号)が平成一〇年一二月二一日に公布され、職員の健康診断に係る改正規定は平成一一年一月一日から、伝染病の予防に係る改正規定は平成一一年四月一日から施行されることとなりました。
 今回の改正の趣旨、概要及び留意事項については左記のとおりですので、十分にご了知の上、学校における職員の健康診断及び伝染病の予防について適正な実施を図られるようお願いします。
 また、各都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会等に対し、各都道府県知事におかれては所轄の学校法人等に対して本件につき周知されるようお願いします。

          記

I 改正の趣旨

 今回の改正は、労働安全衛生規則の一部が改正(平成一〇年六月二四日公布、平成一一年一月一日施行)され、脳・心臓疾患に関連して必要な項目を一般健康診断に加えるとともに、医師の判断による検査の弾力化が図られることとなったこと、及び総合的な感染症予防対策の推進を図るために、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成一〇年一〇月二日公布、平成一一年四月一日施行)が制定され、感染症の類型に応じて入院等の措置が講じられることとなったことを踏まえ、学校においても、職員の健康診断及び伝染病の予防に係る所要の措置の見直しを行うものであること。

II 改正の概要

一 職員の健康診断について

(一) 検査項目について

@ 検査項目に「血糖検査」を加え、四〇歳未満の職員(三五歳の職員を除く。)においては、これを除くことができるものであること。(改正後の学校保健法施行規則(以下「新規則」という。)第一〇条第一項第一〇号及び第三項関係)

A 「身長」の検査について、二〇歳以上の職員においては、これを除くことができるものとしたこと。(改正前の学校保健法施行規則(以下「旧規則」という。)第一〇条第三項の削除及び新規則第一〇条第三項関係)

B 「体重」の検査について、検査項目から除くことができないこととしたこと。(旧規則第一〇条第三項の削除関係)

(二) 方法及び技術的基準について

@ 「聴力」の検査について、四五歳未満の職員(三五歳及び四〇歳の職員を除く。)においては、医師が適当と認める方法によって行うことができるものとしたこと。(新規則第一一条第二項関係)

A 「尿」の糖の検査について、「血糖検査」を受けた職員においては、これを除くことができるものとしたこと。(新規則第一一条第五項関係)

B 「血中脂質検査」について、高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)の量の検査を加えたこと。(新規則第一一条第九項関係)

(三) 職員健康診断票について

 職員健康診断票の様式について、BMI(Body Mass Index)の欄を設けるなど所要の改正を行ったこと。(新規則第四号様式)

二 伝染病の予防について

(一) 伝染病の種類について

 学校において予防すべき伝染病の種類については、最近の保健医療及び児童生徒の伝染病の罹患の実態に応じ、「第一種」の伝染病を、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成一〇年法律第一一四号)第六条に規定する「一類感染症」及び「二類感染症」とし、「第二種」の伝染病を、伝染病のうち飛沫感染するもので、児童生徒の罹患が多く、学校において流行を広げる可能性が高いものとし、「第三種」の伝染病を、伝染病のうち学校教育活動を通じ、学校において流行を広げる可能性があるものとしたこと。(新規則第一九条関係)

(二) 出席停止の期間の基準について

@ 第一種の伝染病にかかった者については、治癒するまでとしたこと。(新規則第二〇条第一号関係)

A 第二種の伝染病(結核を除く。)にかかった者については、それぞれの伝染病ごとに定めた出席停止の期間であるが、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めたときは、この限りではないとしたこと。(新規則第二〇条第二号関係)

B 結核及び第三種の伝染病にかかった者については、病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまでとしたこと。(旧規則第二〇条第三号のただし書の削除及び新規則第二〇条第三号関係)

(三) 伝染病の予防に関する細目について

患者の使用する座席等の消毒等の予防措置を削除したこと。(旧規則第二二条第三項の削除関係)

三 施行期日について

新規則は、平成一一年四月一日から施行すること。ただし、第一〇条及び第一一条並びに第四号様式の規定は、平成一一年一月一日から施行すること。(学校保健法施行規則の一部を改正する省令附則関係)

III 留意事項

一 学校における伝染病の予防の実施に当たっては、それに係る処置によって差別や偏見が生じることのないよう十分に配慮する必要があること。

二 学校における伝染病の予防の適切な実施の確保を図るため、「学校で予防すべき伝染病等に関する解説書(仮称)」を作成することとしており、追って送付すること。




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