● 特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について 平成18年7月18日 18文科初第446号



18文科初第446号 平成18年7月18日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会、各国公私立大学長
独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長 宛
文部科学事務次官(結城章夫)


    特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について(通知)


 このたび、別添1のとおり、「学校教育法等の一部を改正する法律(平成18年法律第80号)」(以下「改正法」という。)が平成18年6月21日に公布され、平成19年4月1日から施行されることとなりました。
 今回の改正は、近年、児童生徒等の障害の重複化や多様化に伴い、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育の実施や、学校と福祉、医療、労働等の関係機関との連携がこれまで以上に求められているという状況に鑑み、児童生徒等の個々のニーズに柔軟に対応し、適切な指導及び支援を行う観点から、複数の障害種別に対応した教育を実施することができる特別支援学校の制度を創設するとともに、小中学校等における特別支援教育を推進すること等により、障害のある児童生徒等の教育の一層の充実を図るものであります。
 改正の概要及び留意事項については下記のとおりですので、関係各位におかれては、その趣旨を十分御理解の上、盲学校、聾学校及び養護学校の特別支援学校への円滑な移行を含め、適切な対応をお願いするとともに、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人に対し、速やかに周知を図るようお願いします。
 また、本改正法については、参議院文教科学委員会及び衆議院文部科学委員会において、改正法による改正後の学校教育法第71条の3に規定する特別支援学校の行う助言又は援助(センター的機能)の十全な発揮、特別支援学校の教員免許状の取得促進、就学先の指定に際しての本人・保護者の意向の十分な聴取及び相談機能の充実、障害のある児童生徒等と障害のない児童生徒等との交流及び共同学習の積極的な推進、就労のための支援に努めることなどについて、別添2及び別添3の附帯決議が付されております。特別支援教育の推進に際しては、これらの点に十分留意されるよう御配慮願います。
 なお、関係政令及び省令の改正については、追ってこれを行い、その内容については別途通知する予定ですので御承知おきください。


                   記


第1 学校教育法の一部改正関係(改正法第1条)
(1)特別支援学校制度の創設
 盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とした。(第1条、第4条第1項、第6条、第22条第1項、第39条第1項、第71条、第72条、第73条、第73条の2、第73条の3第1項、第74条、第76条及び第107条)
(2)特別支援学校の目的
 特別支援学校の目的として、「視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けること」と規定した。(第71条)
 なお、第71条に規定する視覚障害者等の障害の程度は、政令で、これを定めることとした。(第71条の4)
 また、特別支援学校においては、文部科学大臣の定めるところにより、第71条に規定する者に対する教育のうち当該学校が行うものを明らかにするものとした。(第71条の2)
(3)特別支援学校の行う助言又は援助
 特別支援学校においては、第71条の目的を実現するための教育を行うほか、幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校の要請に応じて、教育上特別の支援を必要とする児童、生徒又は幼児の教育に関し必要な助言又は援助を行うよう努めるものとした。(第71条の3)
(4)小学校等における教育上特別の支援を必要とする児童等に対する教育
 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園においては、教育上特別の支援を必要とする児童、生徒及び幼児に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うものとした。(第75条第1項)
 なお、「特殊学級」の名称を「特別支援学級」に変更するとともに、従前と同様、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校においては、これを設けることができることとした。(第75条第2項、同条第3項及び第107条)
(5)私立の盲学校、聾学校及び養護学校の設置に係る特例の廃止
 当分の間、私立の盲学校、聾学校及び養護学校は、学校法人によって設置されることを要しないとする特例を廃止した。(第102条)これに伴い、今後は、私立の幼稚園のみが当該特例の対象となる。


第2 教育職員免許法の一部改正関係(改正法第2条)
(1) 改正法による改正前の教育職員免許法第3条第3項等に規定されていた「特殊の教科」の名称を「自立教科等」に改め、定義規定を設けた。(第2条第3項)
 また、学校教育法第71条に規定する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)に関するいずれかの教育の領域を「特別支援教育領域」と称することとし、定義規定を設けた。(第2条第4項)
(2) 盲学校、聾学校及び養護学校ごとの教員の免許状を、特別支援学校の教員の免許状とした。(第3条、第3条の2及び第4条の2)
(3) 特別支援学校の教員の普通免許状及び臨時免許状の授与に当たっては、当該免許状の授与を受けようとする者の特別支援教育に関する科目の修得の状況又は教育職員検定の結果に応じて、文部科学省令で定めるところにより、一又は二以上の特別支援教育領域を定めて授与するものとした。(第5条の2第2項及び第6条第2項)
 また、この場合の、大学において修得することを要する科目及び単位数(別表第1)並びに教育職員検定に係る学力及び実務の検定の方法(別表第7)について定めた。
(4) 特別支援学校の教員の免許状の授与を受けた者が、当該免許状に定められている特別支援教育領域以外の特別支援教育領域に関する科目を修得した場合又は当該免許状を授与した授与権者が行う教育職員検定に合格した場合には、当該授与権者は、当該免許状に新教育領域を追加して定めるものとしたほか、この場合に係る所要の規定の整備を行った。(第5条の2第3項、第7条第1項、第8条第3項、第18条第2項及び第21条)
(5) 特別支援学校において専ら自立教科等の教授を担任する教員の免許状は、障害の種類に応じて文部科学省令で定める自立教科等について授与するものとし、所要の規定の整備を行った。(第4条の2及び第17条)
(6) その他所要の規定の整備を行った。(第5条の2第1項、第16条の5、第17条の2及び第17条の3、附則第2項、第9項、第14項、第15項及び第16項並びに別表第3、別表第5及び別表第8)


第3 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律の一部改正関係(改正法第3条)
 特別支援学校の建物の整備に要する経費について負担金又は交付金の対象とすることとし、所要の規定の整備を行った。(第2条、第3条第1項及び第11条第1項)
 また、新築又は増築に係る工事費の算定方法について、事業実施当該年度の5月1日を基準日(児童生徒の数が増加することが明らかな場合等には、文部科学大臣の定めるその2年以内の日)とし、同日における学級数に応ずる必要面積又は児童生徒1人当たりの基準面積から同日における保有面積を控除して得た面積を、1平方メートル当たりの建築単価に乗じて算定することとした。(第5条の3及び第6条)
 なお、改正法による改正前の義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律において規定されていた養護学校の寄宿舎に係る工事費の算定方法の特例及び都道府県が設置する養護学校の小学部及び中学部に係る国の負担割合の特例については、その対象である「養護学校」を「知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)である児童又は生徒に対する教育を主として行う特別支援学校」に改め、引き続き従前と同様の措置を講ずることとした。(第8条第2項及び附則第3項)


第4 独立行政法人国立特殊教育総合研究所法の一部改正関係(改正法第4条)
 独立行政法人国立特殊教育総合研究所の名称を独立行政法人国立特別支援教育総合研究所に改めるとともに、同研究所の目的、業務等に関し、所要の規定の整備を行った。(第1条、第2条、第3条、第9条第2項及び第12条)


第5 改正法附則関係
(1)施行期日(附則第1条)
 改正法は、平成19年4月1日から施行することとした。
(2)学校教育法の一部改正に伴う経過措置(附則第2条から第4条まで)
 改正法の施行の際現に設置されている盲学校、聾学校及び養護学校は、改正法の施行の時に特別支援学校となるものとし、盲学校、聾学校又は養護学校の設置認可は、特別支援学校の設置認可とみなすこととした。また、改正法の施行の際現に行われている盲学校、聾学校又は養護学校に係る設置廃止等の認可申請は、特別支援学校に係る認可申請とみなすこととした。
 なお、改正法の施行の際現に盲学校、聾学校又は養護学校を設置している学校法人は、改正法の施行により盲学校、聾学校及び養護学校が特別支援学校となることに伴い、寄附行為を変更する必要があるが、この場合には、私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第45条第1項の規定による都道府県知事の寄附行為の変更の認可を要しないこととし、変更した旨を遅滞なく都道府県知事に届け出なければならないこととした。
(3)教育職員免許法の一部改正に伴う経過措置(附則第5条から第8条まで)
 旧免許法の規定に基づき授与されている盲学校、聾学校及び養護学校の教員免許状(以下「旧免許状」という。)を、改正法の規定による特別支援学校の教員免許状(以下「新免許状」という。)とみなし、新免許状の授与を受けたとみなされる者については、新免許状に係る特別支援教育科目の最低単位数を修得したものとみなすこととした。また、旧免許法の規定に基づき授与されている特殊の教科の教員免許状を、改正法の規定による自立教科等の教員免許状とみなすこととした。
 なお、改正法の施行の際現に旧免許法の規定に基づく認定課程を有する大学又は指定教員養成機関に在学している者で、当該認定課程又は教員養成機関を卒業するまでに、当該認定課程又は教員養成機関において旧免許状の授与を受けるために必要とされる科目の単位を修得したものは、当該認定課程又は教員養成機関において取得予定であった旧免許状に対応する特別支援学校教諭の普通免許状に係る特別支援教育科目の最低単位数を修得したものとみなすこととした。
 また、別表第7の規定に基づき新免許状の授与を受けようとする者については、改正法の施行前の相当学校の教員としての在職年数を新免許状の授与を受けるための特別支援学校の教員としての在職年数に通算し、改正法の施行前に修得した単位数を新免許状の授与を受けるために必要な単位数に合算することができることとした。
(4)公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正(附則第31条)
 盲学校、聾学校、養護学校及び特殊教育諸学校を特別支援学校とし、特殊学級を特別支援学級とした。(第2条、第3条、第10条から第14条まで及び第18条)
 改正法による改正前の公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(以下「旧義務標準法」という。)においては、特殊教育諸学校の教職員定数の標準の算定に際し、旧義務標準法第11条第1項第4号に規定する自立活動担当教員については、盲学校、聾学校及び養護学校の種類ごとに算定することとしていたところ、盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とすることに伴い、特別支援学校を視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)のいずれに対する教育を主として行うものであるかによって区分し、当該区分ごとに算定することとした。(第11条第1項第4号)
 旧義務標準法第15条に規定する教職員定数の算定に関する特例として掲げる特別な事情について、同条第2号に規定する聾学校の小学部又は中学部において教育上特別の配慮を必要とする児童又は生徒に対する特別の指導であって政令で定めるものが行われている場合(聾学校の小学部又は中学部において小学校若しくは中学校又は中等教育学校の前期課程の児童又は生徒を対象として通級による指導が行われる場合)としていたところ、盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とすることに伴い、「聾学校」を「聴覚障害者である児童若しくは生徒に対する教育を主として行う特別支援学校」に改めた。(第15条第2号)
(5)公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部改正(附則第33条)
 特殊教育諸学校を特別支援学校とした。(第1条、第2条及び第14条から第24条まで)
 改正法による改正前の公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(以下「旧高校標準法」という。)においては、特殊教育諸学校の教職員定数の標準の算定に際し、旧高校標準法第17条第4号に規定する専門教育担当教員については、特殊教育諸学校の高等部に置かれる専門教育を主とする学科の数と養護学校の高等部(専門教育を主とする学科のみを置くものを除く。)の数との合計数に2を乗じて得た数と、養護学校の高等部で専門教育を主とする学科のみを置くものの数に1を乗じて得た数との合計数として算定することとしていたところ、盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とすることに伴い、「養護学校」を「知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)である生徒に対する教育を主として行う特別支援学校(養護特別支援学校)」に改めた。(第17条第4号)また、実習助手についても同様の取扱いとした。(第19条第2号)
 旧高校標準法においては、特殊教育諸学校の教職員定数の標準の算定に際し、旧高校標準法第17条第5号に規定する自立活動担当教員については、盲学校、聾学校及び養護学校の種類ごとに算定することとしていたところ、盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とすることに伴い、特別支援学校を視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)のいずれに対する教育を主として行うものであるかによって区分し、当該区分ごとに算定することとした。(第17条第5号)
(6)その他の関係法律の一部改正等(附則第10条から第30条まで、附則第32条及び附則第34条から第48条まで)
 盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校とすること等に伴い、関係法律について必要な規定の整備を行った。
 なお、「盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律」の名称を「特別支援学校への就学奨励に関する法律」に(附則第26条)、「盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律」の名称を「特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律」に(附則第30条)、それぞれ改めた。


第6 留意事項
(1) 特別支援学校の設置については、公立学校は設置条例において、私立学校は寄附行為において、当該学校が学校教育法上の特別支援学校として設置されている旨を明確に規定する必要があること。その上で、現に設置されている盲学校、聾学校又は養護学校を特定の障害種別に対応した教育を専ら行う特別支援学校とする場合には、「盲学校」、「聾学校」又は「養護学校」の名称を用いることも可能であること。
 なお、国立大学附属の特別支援学校については、追って国立大学法人法施行規則(平成十五年文部科学省令第五十七号)の改正を行うこととしている。
(2) 各特別支援学校においていずれの障害種別に対応した教育を行うこととするかについては、当該学校の設置者がそれぞれの地域の実情に応じて判断することとなること。
 その際には、児童生徒等ができる限り地域の身近な特別支援学校に就学できるようにすること、同一の障害のある児童生徒等による一定規模の集団が学校教育の中で確保され、障害種別ごとの専門的指導により児童生徒等の能力を可能な限り発揮できるようにすること等を勘案しつつ、児童生徒等の障害の重複化への対応という今般の制度改正の趣旨を踏まえ、可能な限り複数の障害種別に対応した教育を行う方向で検討されることが望ましいこと。
(3) 特別支援学校の行う助言又は援助に関しては、第71条の3に「幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校」が列記され、これらの要請に応じて助言又は援助を行うよう努めるものとする旨規定しているが、これらの機関のみならず、保育所をはじめとする保育施設(認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第3条第1項又は第2項 の認定を受けた施設及び同条第3項の規定による公示がされた施設をいう。)を含む。)などの他の機関等に対しても同様に助言又は援助に努めることとされたいこと。
(4) 教育職員免許法附則第16項において、小学校、中学校、高等学校又は幼稚園の教諭の免許状を有する者は、当分の間、特別支援学校の教員免許状を有さなくとも、特別支援学校の相当する各部の教諭又は講師となることができる旨を規定しているが、各大学においては、特別支援教育のための教員養成の充実、各特別支援学校の設置者及び任命権者においては、採用時における特別支援学校の教員免許状保有者の確保及び現職教員の特別支援学校の教員免許状の取得を促進し、特別支援学校の教員免許状の保有状況の改善に努められたいこと。
(5) 今回の制度改正により、小中学校等における特別支援教育が明確に位置付けられたことを踏まえ、すべての教員の特別支援教育に関する理解を促進するため、各大学においては、教職課程における特別支援教育に関する内容の充実及び適切な単位認定、各学校の設置者及び任命権者においては、特別支援教育についての現職研修の充実及び教員採用における内容の適切な取扱いにより一層努められたいこと。なお、大学における教員養成について発達障害に関する内容を取扱うことを求めている「発達障害のある児童生徒等への支援について」(平成17年4月1日付17文科初第211号初等中等教育局長、高等教育局長、スポーツ・青少年局長通知)の記の第3の1も併せて参照されたいこと。
(6) 各地方公共団体においては、特別支援学校の適切な施設整備が推進されるよう、予算の確保及びその適切な執行に努めていただきたいこと。
(7) 以下の規定の適用に当たっては、各特別支援学校を、当該特別支援学校の学級数(重複障害学級については、当該重複する障害種別のうちより手厚い条件整備を要する障害種別の学級とみなす。)が最も多い障害種別に区分すること。
 この場合において、学級数が最も多い障害種別が複数となる場合は、これらのうちより手厚い条件整備を要する障害種別に区分することとし、これらの取扱いにより疑義のある場合には文部科学省に確認されたいこと。
・ 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第8条第2項及び附則第3項
・ 公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律第11条第1項第4号及び第15条第2号
・ 公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律第17条第4号及び同条第5号並びに第19条第2号
 なお、公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律に基づく教職員定数の標準は、教職員の配置の適正化を図り、教育水準の維持向上のために定められていることを踏まえ、各都道府県において適切に教職員配置がなされることが必要であること。


(初等中等教育局特別支援教育課)


別添1 学校教育法等の一部を改正する法律要綱(略)
別添2 参議院文教科学委員会 学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
別添3 衆議院文部科学委員会 学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

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平成18年4月25日
参議院文教科学委員会

      学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府及び関係者は、国際的な障害者施策の潮流となっているノーマライゼーションやインクルージョンの理念を踏まえ、特別支援教育の定着・発展を図り、障害のある子ども一人一人のニーズに適切に対応した教育を保障するために、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一、 特別支援教育が、就学前から高等教育までのすべての学校において取り組まれるべきものであることから、すべての教職員の人権意識の高揚と資質能力の向上に努めること。特に、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校においては、必要な教職員定数の確保や支援体制の確立、学校のバリアフリー化の促進を始めとした施設設備の整備等教育諸条件の維持・向上に努めること。

二、 特別支援学校のセンター的機能が十全に発揮されるよう努めること。特に、幼稚園とともに保育所などの児童福祉施設、保護者等に対する支援にも万全を期するとともに、医療・福祉・労働等関係諸機関との連携にも努めること。

三、 特別支援学校の教員免許状の取得促進を図るとともに、特別支援学校の教員免許状の在り方、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教員免許状における特別支援教育の扱いなどについても更に検討を進めること。

四、 特別支援教育の開始により、新たに教育上の特別な支援の対象となる子どもについては、支援の場や方法などについて本人・保護者の意向を十分に聴取し、配慮するよう努めること。

五、 就学先を指定するに際しては、事前に本人・保護者の意向を十分に聴取し、各学校の状況等を説明して理解が得られるよう努めることなど、相談機能の充実を図ること。また、就学先の指定について、手続の在り方を含め検討すること。

六、 教材・教具の研究開発とその普及に努めること。特に視覚障害者への拡大教科書の普及充実を図ること。

七、 就学奨励費等、障害のある子どもへの支援措置に関しては、高等学校の拡大教科書の自己負担軽減など、必要な具体的支援を把握しつつ、総合的な検討を進めること。

八、 障害者基本法に基づき、障害のある子どもとない子どもの交流及び共同学習を更に積極的に進めること。また、特別支援学級に関しては、対象となる子どもの増加、教育の困難性などに十分配慮した施設設備に努めるとともに、特別支援教室にできるだけ早く移行するよう十分に検討を行うこと。

九、 障害をもつ生徒の卒業後の就労を促進するため、厚生労働省との連携を強化するとともに、職業体験教育や就労のための個別指導及び卒業後も継続した就労支援に努めること。

十、 各般の施策の進捗状況を確実に把握し、政策評価を適切に行い、引き続き制度の改善に努めること。また、政省令の改正に当たっては、国会における審議や障害者団体等の要望、専門家の意見などを踏まえるとともに、パブリックコメントなど適正な手続に従って見直しに努めること。

十一、障害に対する理解の促進と認識の共有を図るため、教職員、子ども、保護者、就労先、その他社会全体に対する普及啓発活動に努めること。

 右決議する。


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平成18年6月14日
衆議院文部科学委員会

      学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府及び関係者は、本法の施行に当たって、次の事項について特段の配慮をすべきである。

一 障害のある子ども一人一人に十分な教育を受ける権利を保障することは政府及び関係者の重要なる責務であることを踏まえ、施策等の検討・決定・実施を行なうこと。また、それぞれの施策の進捗状況を確実に把握、評価し、制度の改善に努めるとともに、子ども、保護者、専門家や一般国民からの意見に耳を傾け、考慮すること。

二 障害者基本法に基づき、また、国際的な障害者施策の潮流であるノーマライゼーションやインクルージョンの理念を踏まえつつ、障害のある子ども達が、生涯にわたって健康で文化的な生活を営むためにも、障害のない子どもとの交流及び共同学習が一層推進されるよう努めること。

三 特別支援教育が、就学前教育から高等教育までのすべての学校において取り組まれるべきものであることに鑑み、厚生労働省との連携も強化し、障害をもつ子どもの就労支援まで含めた長期的な学習機会、適切な教育環境及び支援の享受が、居住する地域に係わらず可能となるよう配慮すること。

四 特に小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校においては、障害のある児童生徒一人一人のニーズを踏まえた教育の実現に必要な教職員の確保、バリアフリー化の促進などの適切な学校の施設整備等、教育諸条件の継続的な向上に努めること。

五 教職員の意識の高揚、資質の向上及び特別支援教育への理解を深めるよう教職員研修の充実に努めること。また、教員免許状については、特別支援学校の教員免許状の在り方の検討、及び他の各種教員免許状における特別支援教育の扱いについての研究を更に進めること。

六 障害のある子どもの学ぶ機会を阻害することのないように、一人一人のニーズに対応した教科書をはじめ、教材、教具の研究と開発に努めること。また、その自己負担の軽減に努めるとともに、特に拡大教科書等の普及充実を図ること。

七 就学先の決定に際しては、事前に本人や、第一義的責任者である保護者の意向を十分に聴取し、各学校の情報提供など積極的に行い、十分な相互理解の上でより適切な就学先の決定がなされるよう、相談体制や手続きの在り方等を検討し、改善に努めること。

八 特別支援学校のセンター的機能が、地域にある諸学校並びに子どもが利用する施設等のみならず、医療・福祉・労働関係の諸機関及び保護者のネットワーク構築と連携に役立つものとなるよう努めること。





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