● 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて 平成18年12月28日 18文科高第536号



18文科高第536号 平成18年12月28日
文部科学大臣所轄各学校法人理事長、各国公私立大学長、
各公私立短期大学長、各国公私立高等専門学校長、
各都道府県知事、各都道府県教育委員会 宛
文部科学省高等教育局長(清水潔)
文部科学省生涯学習政策局長(田中壮一郎)


      大学、短期大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の
      入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて(通知)


 私立大学等の授業料、施設設備費等の納付期限や入学辞退に伴う納付金の返還申出期限については、少なくとも国公立大学の後期日程の合格発表日(平成18年度は3月24日まで)より後にするなどの配慮をお願いしてきたところです(「私立大学等の平成17年度入学者に係る学生納付金等調査結果について(通知)」(平成18年2月14日文部科学省高等教育局私学部長通知)。
 入学辞退者に対する授業料等(授業料のほか、実験実習費、施設設備費、教育充実費などの費目の金員を指す。以下同じ。)及び諸会費等(学生自治会費、同窓会費、父母会費、傷害保険料などを指す。以下同じ。)の取扱いについては、従来の下級審判決において判断が分かれていましたが、平成18年11月27日に「3月31日までに入学を辞退した者については、原則として大学は返還する義務を負う」旨の最高裁判所判決が下されました。また、12月22日には、各種学校に関し、同趣旨の最高裁判所判決が下されました。
 これらの最高裁判所判決はそれぞれ私立の大学及び各種学校に関するものでありますが、授業料、諸会費等については、国公私立の大学、短期大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校を通じて、今後司法上同様の判断がなされる蓋然性が高くなると考えられます。つきましては、各大学等におかれては、今後の入学者選抜に当たって以下の点について受験生及び保護者に対して明確にしていただくようお願いいたします。
 また、各都道府県知事及び都道府県教育委員会におかれては、所管の専修学校及び各種学校に対し、この旨周知くださるようお願いいたします。


                   記


1. 3月31日までに入学辞退の意思表示をした者(専願又は推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に合格して大学等と在学契約を締結した学生等を除く。)については、原則として、学生等が納付した授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。

2. 1.にかかわらず、入学試験要項、入学手続要項等に、「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」、「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」などと記載している場合には、入学式の日までに学生等が明示又は黙示に在学契約を解除したときは、授業料等及び諸会費等の返還に応じることを明確にすること。

3. 平成20年度以降の入学者選抜に当たっては、例えば、あらかじめ入学試験要項、入学手続要項等に記載するなどにより、上記1.及び2.について明確にすること。なお、平成19年度の入学者選抜については、既に入学試験要項等を配付しているなどの事情のある場合には、各大学の判断により、他の方法によって受験生及び保護者に対して明確にすること。


 参考:平成18年11月27日の最高裁判所判決の概要

@ 授業料・施設設備費等について
 3月31日までに入学を辞退した場合には、原則として大学は返還する義務を負う。但し、専願、推薦入学試験等の場合は、他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り、返還に応じる義務はない。入学辞退の意思表示が口頭によるものであっても、原則として有効な在学契約の解除の意思表示と認めるのが相当である。
 4月1日以降に入学を辞退した場合には、原則として返還に応じる義務はない。但し、要項等に「入学式を無断欠席した場合には、入学を辞退したものとみなす」等の記述がある場合には、入学式の日までに明示又は黙示により入学辞退したときは、返還しなければならない。

A 入学金について
 入学金は、その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものである。学生は、入学金の納付をもって大学に入学し得る地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負わない。

※ 平成18年12月22日の最高裁判所判決も、上記と同様の内容。


(高等教育局私学部私学助成課)





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