● 学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令等の整備について(特別支援教育関係) 平成19年3月30日 18文科初1290号



18文科初1290号 平成19年3月30日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会、各国公私立大学長、
独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長 宛
文部科学事務次官(結城章夫)


        学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う
        関係政令等の整備について(通知)


 このたび、別添1のとおり「学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成19年政令第55号)」(以下「改正政令」という。)が平成19年3月22日に公布され、また別添2のとおり「学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備等に関する省令(平成19年文部科学省令第5号)」(以下「改正省令」という。)が、別添3のとおり「あん摩マツサージ指圧師、はり師及びきゅう師に係る学校養成施設認定規則及び柔道整復師学校養成施設指定規則の一部を改正する省令」(平成19年文部科学省・厚生労働省令第1号)が、及び別添4のとおり「学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係告示の整備に関する告示」(平成19年文部科学省告示第46号)」(以下「改正告示」という。)がそれぞれ3月30日に公布され、いずれも4月1日から施行されることとなりました。
 今回の改正は、近年の児童生徒等の障害の重複化や多様化に適切に対応するため、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な教育を行う特別支援教育を推進するために制定された「学校教育法等の一部を改正する法律(平成18年法律第80号)」(以下「改正法」という。)の施行に伴う整備等を行うものであり、加えて改正法についての国会審議における議論及び衆・参両院による附帯決議等を踏まえた改正も行うものです。
 改正の概要及び留意事項については下記のとおりですので、関係各位におかれては、その趣旨を十分御理解の上、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の特別支援学校への円滑な移行のための適切な対応をお願いするとともに、各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人に対し、速やかに周知を図るようお願いします。


                   記


第1  改正政令の主な概要

(1)障害のある児童の就学先の決定に際する保護者の意見聴取の義務付け(学校教育法施行令第18条の2)
 障害のある児童を小学校に認定就学制度により就学させる場合及び盲学校等の小学部に就学させる場合、その決定に際しては、現行規定上、専門的知識を有する者の意見を聴くものとされている。これに加え、日常生活上の状況等をよく把握している保護者の意見を聴取することにより、当該児童の教育的ニーズを的確に把握できることが期待されることから、保護者からの意見聴取の義務付けを新たに規定した。

(2)特別支援学校が対象とする児童生徒等の障害の程度についての規定の見直し(学校教育法施行令第22条の3)
 特別支援学校が対象とする児童生徒等の障害の程度について、本条は、改正法による改正後の学校教育法(以下「改正学校教育法」という。)第71条の4の委任を受けて、「盲学校、聾(ろう)学校又は養護学校に就学させるべき(中略)心身の故障の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」と規定していた。しかし、本条に規定する障害の程度に該当する者であっても認定就学制度により小学校等に就学する場合があること等を踏まえ、「法第七十一条の四の政令で定める(中略)障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」との規定ぶりに改めた。

(3)特別支援学校の小学部及び中学部に係る建物の整備に対する国庫負担に関する規定の整備(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令第7条及び第8条)
 特別支援学校の小学部及び中学部に係る建物の整備に対する国庫負担を行う際の学級数に応ずる必要面積又は児童生徒1人当たりの基準面積について、従前の制度と同様の取扱いとするため、各特別支援学校が教育の対象とする障害種別に応じて規定するとともに、従前の制度では想定し得なかった、視覚障害者又は聴覚障害者である児童等と他の障害種別の児童等に対する教育を行う特別支援学校については、文部科学大臣が財務大臣と協議して定める面積(運用細目において面積按分するものと規定する予定)によることとした。

第2  改正省令の主な概要

(1)学校教育法施行規則の一部改正
 @特別支援学校が行う教育の明示の方法等(新設第73条の2)
 改正学校教育法においては盲・聾(ろう)・養護学校の区分がなくなるが、特別支援学校という学校名からは個々の学校がどの障害種別を扱う学校かが明らかでなくなるため、障害のある児童生徒等の就学を円滑にする必要性や、設置者が当該学校の教育についての対外的な説明責任を果たす観点から、各特別支援学校の扱う障害種別を明らかにする必要がある。
 このため改正学校教育法第71条の2の規定により、各特別支援学校は教育の対象とする障害種別を明らかにすることとしているところであり、これを受けた本省令において、当該学校の施設設備や当該学校所在地域における障害のある児童生徒等の状況等を考慮しつつこれを学則その他の設置者の定める規則において明らかにするとともに、その情報を積極的に提供すべきこととした(改正学校教育法第71条の2参照)。
 A特別支援学校の設置認可に係る学則記載事項の追加(第4条新設第3項)
 各特別支援学校が教育の対象とする障害種別は、地域におけるそれぞれの障害種別に関する教育の機会に関わる事柄であるため、地域における学校教育の適正な実施の観点から、設置認可を行う者が了知することができるよう、当該特別支援学校が教育の対象とする障害の種類を学則の記載事項とした(学校教育法第4条及び学校教育法施行令第28条参照)。
 なお、学則の変更は、学校教育法施行令第26条又は第27条の2の規定により、設置認可を行う者に対して届出の義務がある。
 B特別支援学校における学級編制方法(新設第73条の2の3)
 特別支援学校においては、異なる障害種別の児童生徒等を受け入れることが可能となるが、障害の状態に応じた教育活動を確保するため、学習の基本的な単位である学級については、障害の種類ごとに編制することを基本とする旨を定めた(学校教育法第3条参照)。

(2)教育職員免許法施行規則の一部改正
 改正法による改正後の教育職員免許法(以下「改正免許法」という。)においては、盲・聾(ろう)・養護学校ごとの教員免許状が特別支援学校の教員免許状となることから、必要な経過措置を定めるとともに、改正免許法第4条の2第2項に規定する自立教科等の免許状の名称及び授与資格等に関し必要な事項を定める。なお、大学等の認定課程を開始するために必要となる事前の手続きに関係する事項は平成18年8月に改正済み(教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令(平成18年8月7日文部科学省令第31号。以下「8月省令」という。))であり、今回の改正は、それ以外の事項について改正を行うものである。 @自立教科等の免許状の名称及び授与資格(第64条)
 改正免許法第4条の2第2項に規定する自立教科等の免許状のうち、これまでの「特殊教科教員免許状」を「自立教科教員免許状」とし、そのうち理学療法の自立教科教員免許状の授与要件について定めた。自立教科教員免許状のうち、理学療法以外の免許状の取得方法については、これまでと同様とする。(改正免許法第4条の2及び第17条参照)
 なお、各欄の単位の修得方法の細目は、特別支援学校の教員免許状と同様とする。
 A既に授与されている特殊の教科の教員免許状の自立教科等免許状へのみなし(附則第3条第1項及び第2項関係)
 改正法の施行の際現に授与されている盲学校、聾(ろう)学校又は養護学校の特殊の教科の教授を担任する教員免許状を有する者は、それぞれ相当する特別支援学校の自立教科等の教授を担任する教員免許状を受けたものとみなすこととした(改正法附則第6条参照)。
 B盲・聾(ろう)・養護学校における勤務経験を、特別支援学校における勤務経験に通算するための方法(附則第3条第3項〜第5項、第9項及び第12項関係)
 改正免許法別表第7の規定により免許状の授与を受けようとする場合における最低在職年数について、従来の学校種において勤務した経験年数については、特別支援学校において相当する教育領域を担任した勤務経験年数として通算することができることとした(改正法附則第8条第1項参照)。
 C既に大学及び認定講習等で修得した単位の合算(8月省令附則新設第4項及び第5項関係)
 改正免許法別表第7の規定により免許状を受けようとする場合における最低単位数について、8月省令による改正前の教育職員免許法施行規則に基づく旧カリキュラムにおいて修得した科目の単位数については、8月省令による改正後の教育職員免許法施行規則に基づく新カリキュラムにおいて修得した科目の単位数として合算することができることとした(改正法附則第8条第2項及び第3項参照)。

(3)国立大学法人法施行規則の一部改正
 国立大学に附属して設置される盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校を特別支援学校とした(国立大学法人法施行規則第4条並びに別表第2及び第3関係)。

第3  改正告示の主な概要

 「盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部教育要領」「盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領」「盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校高等部学習指導要領」をはじめとする関係告示における用語の整理を行った。

第4  留意事項

(1)以下の規定の適用に当たっては、各特別支援学校の障害種別を、その学級数が最も多い障害種別に区分すること等を定める「特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について」(平成18年7月18日付文科初第446号文部科学事務次官通知)の記の第6の(7)を参照されたいこと。
 ・理科教育振興法施行令附則第2項、別表第三
 ・公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律施行令第5条第2項第5号
 ・公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律施行令第3条第2項の表二の項
 ・理科教育のための設備の基準に関する細目を定める省令第2項各号

(2)学校教育法第71条の2規定を実施するための学校教育法施行規則73条の2第1項にいう「学則その他の設置者の定める規則」については、国立大学に附属して設置される学校にあっては国立大学法人の規則を、公立学校にあっては教育委員会規則又は条例を、私立学校にあっては学校法人の定める規則をいうものとすること。


(初等中等教育局特別支援教育課)



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別添1

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令について

1  学校教育法施行令の一部改正
 学校教育法等の一部を改正する法律案の国会審議における指摘等を踏まえ(1)及び(2)の改正を行い、その他学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴い必要な整備を行う。

(1)障害のある児童の就学先決定時における保護者からの意見聴取の義務付け(第18条の2)
 障害のある児童を小学校に認定就学制度により就学させる場合及び盲学校等の小学部に就学させる場合、その決定に際しては、現行規定上、専門的知識を有する者の意見を聴くものとされている。
これに加え、日常生活上の状況等をよく把握している保護者の意見を聴取することにより、当該児童の教育的ニーズを的確に把握できることが期待されることから、保護者からの意見聴取の義務付けを新たに規定する。

(2)特別支援学校が対象とする児童生徒等の障害の程度についての規定(第22条の3)の見直し
 特別支援学校が対象とする児童生徒等の障害の程度について、本条は改正学校教育法第71条の4の委任を受けて、「盲学校、聾(ろう)学校又は養護学校に就学させるべき(中略)心身の故障の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」と規定している。
 しかし、本条に規定する障害の程度に該当する者であっても認定就学制度により小学校等に就学する場合があること等を踏まえ、「法第七十一条の四の政令で定める(中略)障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」との規定ぶりに改める。

(3)用語の整理
 ・ 盲学校、聾学校、養護学校から特別支援学校
 ・ 盲者から視覚障害者
 ・ 聾者から聴覚障害者
 ・ 心身の故障から障害

2  その他関係政令の一部改正
 盲学校、聾学校及び養護学校を特別支援学校に一本化すること等に伴い、関係政令について所要の規定の整備を行う。

3  施行期日
 平成19年4月1日

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