● 平成19年度全国学力・学習状況調査の結果の活用について 平成19年10月24日 19文科初第809号



19文科初第809号 平成19年10月24日
各都道府県教育委員会、各指定都市教育委員会、
各都道府県知事、附属学校を置く各国立大学法人学長 宛
文部科学省初等中等教育局長(金森越哉)


      平成19年度全国学力・学習状況調査の結果の活用について(通知)


 平成19年度全国学力・学習状況調査の結果(以下「調査結果」という。)については,「平成19年度全国学力・学習状況調査の実施について」(平成18年6月20日付け18文科初第317号文部科学事務次官通知)において示した「平成19年度全国学力・学習状況調査に関する実施要領」(以下「実施要領」という。)に基づき,本日,公表するとともに,各教育委員会,学校法人,国立大学法人及び学校(以下「各教育委員会,学校等」という。)に対して提供を行ったところです。
 提供された調査結果の取扱いについては,実施要領及び「全国学力・学習状況調査の調査結果の取扱いについて」(平成19年8月23日付け19文科初第616号初等中等教育局長通知)に基づき適切に行うとともに,調査結果については,本調査により測定できるのは学力の特定の一部分であることや,学校における教育活動の一側面に過ぎないことなどを踏まえ,序列化や過度な競争につながらないよう十分配慮して取り扱うようお願いします。
 各教育委員会,学校等においては,今後,調査結果を十分活用して,自らの教育及び教育施策の成果や課題等を把握・検証し,その改善を図り,児童生徒一人一人の学習改善や学習意欲の向上につなげるとともに,これらを通じて継続的な検証改善サイクルを確立することが重要です。
 ついては,都道府県・指定都市教育委員会においては,下記に示す留意事項を参考にして,調査結果の活用に努めるとともに,所管の学校に対して,調査結果の適切な活用について指導・助言及び周知を行うようお願いします。
 また,都道府県教育委員会においては,域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)に対して,調査結果の適切な活用について指導・助言及び周知を行うようお願いします。
 都道府県知事においては調査に関係する域内の私立学校及びそれを設置する学校法人に対して,国立大学法人学長においては調査に関係する附属学校に対して,調査結果の適切な活用について周知をお願いします。
 なお,文部科学省としては,各教育委員会,学校等における,調査結果を活用した改善の取組を支援するため,別添に示す取組を行うこととしていますので,併せてお知らせいたします。

                   記

1.児童生徒の学力・学習状況等の分析・検証について
 各教育委員会,学校等においては,調査結果を十分活用して自らの教育及び教育施策の成果や課題等を具体的に把握・検証するため,次の視点も参考にしながら,児童生徒の学力・学習状況等について多面的な分析を行うことが重要であること。

(1)教科に関する調査結果の分析・検証について
 児童生徒の学力の状況や課題等を的確に把握・検証するため,平均正答数,平均正答率,中央値等の数値による分析だけではなく,児童生徒の正答数の分布の形状等から全体的な状況を把握したり,設問別や解答類型別の結果から個々の設問における誤答や無解答の状況を分析するなど,それぞれの状況に即し,多面的な分析を行い,指導上の課題等を明らかにすること。

(2)質問紙調査の結果の分析・検証について
 児童生徒及び学校に対する質問紙調査の結果の検証・分析においては,児童生徒の学習意欲・学習環境・生活習慣等,学校の指導方法に関する取組や教育条件の整備の状況等の具体的な状況を把握・検証をすること。また,これらの状況と学力との相関関係等について分析を行うことにより,取り組むべき課題等を明らかにすること。

2.学校における改善に向けた取組の推進について
(1)各学校においては,調査結果の分析・検証の結果を踏まえ,指導計画等に適切に反映させるなど,教育指導等の改善に向けて計画的に取り組むこと。その際には,調査対象の学年や教科だけではなく,全学年,全教科等を対象として,学校の教育活動全体を見渡した幅広い観点から取り組むべき課題や改善に向けた取組について検討すること。
(2)各学校においては,教育指導等の改善に向け,具体的には,次の事項について取り組むことが考えられること。
 @ 習熟度別指導や少人数指導,発展的な学習,補充的な学習などの個に応じた指導を適切に実施したり,家庭学習の課題を適切に与えるなど,各児童生徒の調査結果を適切に活用しながら,具体的な指導内容や指導方法等の改善に向けた取組を行うこと。特に,課題が見られた児童生徒に対しては,学習の改善や学習意欲の向上につなげていくという観点を十分考慮しながら,それぞれの課題に応じて,補充学習等の教育指導を適切に行うことなどにより,基礎的・基本的な学力の定着に努めること。
 A 保護者や地域等の理解と協力のもとに十分に連携をとりながら,家庭における学習習慣や生活習慣等の改善に向けた取組を行うこと。
 B 調査結果において課題の見られた点を中心に,指導内容や指導方法等の改善を図るため,校内研修等を適切に実施すること。

3.教育委員会における改善に向けた取組の推進
(1)各教育委員会においては,調査結果の分析・検証の結果等を踏まえ,それぞれの役割と責任に応じて,改善計画等を作成するなど,域内の教育や教育施策の改善に向けて総合的かつ計画的な取組を進めること。その際,都道府県・指定都市教育委員会においては,「学力調査の結果に基づく検証改善サイクルの確立に向けた実践研究」(平成19年度文部科学省委託事業)において作成する「学校改善支援プラン」を適切に活用することが考えられること。
(2)各教育委員会においては,作成した改善計画等に基づき,具体的には,次の事項について取り組むことが考えられること。
 @ 学校における具体的な改善の計画や取組に対し,学校の状況等に応じて,必要な指導・助言や支援等を行うこと。その際,特に課題が見られる学校における意欲的な改善の取組について配慮すること。
 A 指導内容や指導方法等の改善を推進するため,指導資料の作成や教職員研修,教職員配置への配慮など,教育施策の改善に適切に反映させること。
 B 優れた取組を行っている学校の事例,調査結果の検証・分析手法等の周知に努めるなど,域内における教育指導等の改善に向けた取組を推進すること。

4.教育における検証改善サイクルの確立等
 各教育委員会,学校等においては,上記の取組等を通じて,教育における継続的な検証改善サイクルを確立することが求められること。そのため,調査結果及びこれを踏まえた改善の取組については,次年度以降の教育や教育施策に適切に反映させることが重要であること。


別添 文部科学省における全国学力・学習状況調査の結果を活用した平成19年度の取組 (略)

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