● 学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(大学の教育情報の公表) 平成22年6月16日 22文科高第236号



22文科高第236号 平成22年6月16日
各国公私立大学長、各国公私立高等専門学校長、独立行政法人大学評価・学位授与機構長、独立行政法人日本学生支援機構理事長、独立行政法人大学入試センター理事長、独立行政法人国立高等専門学校機構理事長、大学又は高等専門学校を設置する各地方公共団体の長、各公立大学法人の理事長、大学又は高等専門学校を設置する各学校法人の理事長、大学を設置する各学校設置会社の代表取締役、放送大学学園理事長 宛
文部科学大臣政務官(高井美穂)


    学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(通知)


 このたび,別添のとおり,学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(平成22年文部科学省令第15号)が平成22年6月15日に公布され,平成23年4月1日から施行されることとなりました。
 大学等が公的な教育機関として,社会に対する説明責任を果たすとともに,その教育の質を向上させる観点から,公表すべき情報を法令上明確にし,教育情報の一層の公表を促進することが,今回の改正の趣旨です。
 今回の改正の概要及び留意すべき事項等は下記のとおりですので,十分御了知いただき,その運用に当たっては遺漏なきようにお取り計らいください。

                   記


第一 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)の改正の概要と留意点

(1)大学(短期大学,大学院を含む。)は,次の教育研究活動等の状況についての情報を公表するものとすること。(第172条の2第1項関係)

 【1】 大学の教育研究上の目的に関すること。(第1号関係)
 これは,大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)第2条(本省令による改正前の第2条の2)等に規定されているものであること。その際,大学であれば学部,学科又は課程等ごとに,大学院であれば研究科又は専攻ごとに,短期大学であれば学科又は専攻課程ごとに,それぞれ定めた目的を公表することや,平成19年7月31日付け文部科学省高等教育局長通知「大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行について」で示した事項に留意すること。

 【2】 教育研究上の基本組織に関すること。(第2号関係)
 その際,大学であれば学部,学科又は課程等の,大学院であれば研究科又は専攻等の,短期大学であれば学科又は専攻課程等の名称を明らかにすることに留意すること。

 【3】 教員組織,教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること。(第3号関係)
 その際,教員組織に関する情報については,組織内の役割分担や年齢構成等を明らかにし,効果的な教育を行うため組織的な連携を図っていることを積極的に明らかにすることに留意すること。
 教員の数については,学校基本調査における大学の回答に準じて公表することが考えられること。また,法令上必要な専任教員数を確保していることや,男女別,職別の人数等の詳細をできるだけ明らかにすることに留意すること。
 各教員の業績については,研究業績等にとどまらず,各教員の多様な業績を積極的に明らかにすることにより,教育上の能力に関する事項や職務上の実績に関する事項など,当該教員の専門性と提供できる教育内容に関することを確認できるという点に留意すること。

 【4】 入学者に関する受入方針及び入学者の数,収容定員及び在学する学生の数,卒業又は修了した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関すること。(第4号関係)
 その際,これらの情報は,学校基本調査における大学の回答に準じて公表することが考えられること。
 就職状況については,働き方が多様となっている状況を踏まえた公表を,各大学の判断で行うことも考えられること。編入学を実施している場合には,大学設置基準第18条第1項の規定を踏まえつつ,編入学定員や実際の編入学者数を明らかにすることに留意すること。

 【5】 授業科目,授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること。(第5号関係)
 これらは,大学設置基準第25条の2第1項等において,学生に明示することとされているものであること。その際,教育課程の体系性を明らかにする観点に留意すること。年間の授業計画については,シラバスや年間授業計画の概要を活用することが考えられること。

 【6】 学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たっての基準に関すること。(第6号関係)
 これらは,大学設置基準第25条の2第2項等において,学生に明示することとされているものであること。その際,必修科目,選択科目及び自由科目の別の必要単位修得数を明らかにし,取得可能な学位に関する情報を明らかにすることに留意すること。

 【7】 校地,校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること。(第7号関係)
 その際,学生生活の中心であるキャンパスの概要のほか,運動施設の概要,課外活動の状況及びそのために用いる施設,休息を行う環境その他の学習環境,主な交通手段等の状況をできるだけ明らかにすることに留意すること。

 【8】 授業料,入学料その他の大学が徴収する費用に関すること。(第8号関係)
 その際,寄宿舎や学生寮等の宿舎に関する費用,教材購入費,施設利用料等の費用に関することをできるだけ明らかにすることに留意すること。

 【9】 大学が行う学生の修学,進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること。(第9号関係)
 その際,留学生支援や障害者支援など大学が取り組む様々な学生支援の状況をできるだけ明らかにすることに留意すること。

(2)大学は,教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報を積極的に公表するよう努めるものとすること。その際,大学の教育力の向上の観点から,学生がどのようなカリキュラムに基づき,何を学ぶことができるのかという観点が明確になるよう留意すること。(第172条の2第2項関係)

(3)(1)による教育情報の公表は,そのための適切な体制を整えた上で,刊行物への掲載,インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によって行うものとすること。(第172条の2第3項関係)

(4)大学の教育情報の公表に関する(1)〜(3)について,高等専門学校に準用すること。(第179条関係)


第二 大学設置基準,高等専門学校設置基準(昭和36年文部省令第23号),大学院設置基準(昭和49年文部省令第28号)及び短期大学設置基準(昭和50年文部省令第21号)の改正の概要

 教育情報の公表に関する規定が学校教育法施行規則上整備されることに伴い,情報の積極的な提供に関する規定の削除など,所要の整理を行うこと。


第三 学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令(平成16年文部科学省令第7号)の改正の概要

 大学の総合的な状況に係る認証評価の大学評価基準に,教育研究活動等の状況に係る情報の公表に関することが含まれるものとすること。その際,上記第一の改正を踏まえ,大学評価基準が学校教育法施行規則に適合することとすること。(第1条第1項第1号及び同条第2項関係)


第四 施行について

 平成23年4月1日施行とすること。


別紙1 文部科学省令第十五号(略)
別紙2 学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(平成二十二年文部科学省令第十五号)新旧対照表(略)




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