■ 学校組織運営に関する指針 平成１８年１２月７日 大阪府教育委員会
学校組織運営に関する指針
（平成１８年１２月７日）
１ 目的
○ 校長のリーダーシップのもとでの組織運営の原則を確認し、学校組織の一体性を確立する。
○ 学校教育をめぐるさまざまな課題と急速な社会の変化に対応できるように、学校組織において、迅速な意思決定や効率的な業務運営を通じて、学校組織の機動力を高める。
２ 組織運営にあたって
（１）中期ビジョンと学校教育計画
＜中期ビジョンと組織運営＞
① 校長は、学校経営の視点に立って、学校の現状と実態を踏まえて、中期的なビジョン（近未来の学校像）を確立し、実現に向けて学校教育計画（年次計画）を策定し、学校内外に示す。
② 組織運営においては、PDCAサイクルを導入し、目標管理を徹底する。
③ 教育活動や業務は、特定の個人の力量に負うことがないよう、業務のシステム化・IT化などによって、組織全体で取組む。
④ 年間の業務実態や個々の教職員の業務実態を把握し、可能な限り、業務の平準化を図る。
＜学校教育計画＞
① 学校教育計画の策定に当たっては、前年度の総括と改善計画および学校協議会の提言を踏まえる。
② 学校教育計画の策定と総括には、すべての教職員がそれぞれの係っている分野で参画し、学校教育目標と計画・方針の共有化を図る。
③ 校長は学校教育目標と計画を年度当初に教職員に周知し、教職員はそのもとに各学年・分掌・教科等及び各個人の目標と方策を策定する。
④ 各学年・分掌・教科等及び各個人の目標や計画の策定に当たっては、目標を数値化するなど、その到達度が客観的に評価可能な内容になるよう努める。
⑤ 目標の達成度や計画の進捗状況については、適宜、具体的に評価を行うこと。なお、その際学校協議会の意見や学校教育自己診断等を参考にし、必要に応じて計画と方策を修正する。
⑥ 年度末には、各学年・分掌・教科等および教職員個人において年度の取組みを総括し、成果と残された課題を明らかにし、次年度に向けて改善計画を策定する。
（２）校内組織と会議
校内組織は常に業務を見直し、必要に応じてスクラップ・アンド・ビルドする。
＜首席等＞
① 首席および学年・分掌等の長は、学校教育計画の円滑な達成のために指導力を発揮する。
② 首席および学年・分掌等の長は、所管する分野における業務の遂行に責任を持ち、必要に応じて、校長および教頭・事務（部）長・首席に報告・連絡・相談する。
＜運営委員会等＞
① 校長は学校運営の核となる組織として、教頭、事務（部）長、首席および学年・分掌等の長からなる運営委員会等を設置する。
② 首席および学年・分掌の長は、所管する分野における業務の遂行について運営委員会等で報告する。
③ 運営委員会等において、首席および学年・分掌等の長は、それぞれの所管する組織の立場にこだわらず、常に学校全体の立場から意見交換を行い、もって校長が自校の課題に対する基本的な方向性を確立することに寄与する。
＜職員会議＞
① 職員会議は、校長の職務の円滑な執行に資するため、必要に応じて開催する。
② 職員会議においては、校務に関する事項について教職員間の意思疎通、共通理解の促進、教職員の意見交換等を行う。
③ 職員会議は校長が招集し主宰する。
④ 円滑な議事運営のために校長の判断のもとで司会を置く場合も、校長の決裁権を制限することがあってはならない。
⑤ 職員会議の記録はあらかじめ校長が定めた記録者によって作成し、発言者の確認のもと、校長の決裁を経て確定する。
⑥ 職員会議の議案はあらかじめ運営委員会等で論点を整理しておくなど、時間の短縮化を図り、効率的に運営するために、予め時間を定め、必要な資料等を事前に配布するなどの工夫をする。
＜会議運営＞
① 課題に迅速に対応しつつ、児童生徒と向き合う時間を確保するため、会議は極力効率的に短時間で行う。
② 会議の開催に当たっては、目的・時間・議題・原案提起者を明らかにするとともに、事前に議論の整理と資料等を配布するなどして、会議運営の円滑化と効率化を図る。
③ 会議で得た行動方針は、全員が責任を持って実行する。
（３）人事
＜人材の育成＞
① 校長は、中期的な人事計画を作成し、学校目標の達成に向け、中堅・若手教員の育成に努める。
② 評価育成システムを活用して、校長は教職員ひとりひとりの育成課題を認識し、次代を担う人材の育成に努める。
③ 人材を育成するにあたっては、日常の業務を組織的に遂行するとともに、校外研修の成果を校内に還元して、組織全体の力量を引き上げることに留意し、学校組織全体の活性化につながるよう努める。
④ 首席・指導教諭は日常業務でのOJTを通じて教員の育成に努める。
⑤ 授業観察・授業公開・研究授業および生徒による授業評価を活用して、教員の授業や生徒指導における資質向上を図る。
＜主任等の校内人事＞
① 学年主任、部主事や校務分掌長、担任、各種委員会委員などの校内人事の発令は校長の責任と権限のもとに行う。
② 校長は、その権限の行使に当たっては、必要に応じて教頭、事務（部）長はじめ首席等から十分意見を聴取し、適材適所に人材を配置する。
③ 主任等の発令にあたって、教職員の意見を参考として聴取する場合にも、最終的には校長が決裁し、任命する。なお、その結果については、辞令を交付したり、決裁後の人事について職員会議で公表したりするなどして、教職員に周知する。
（４）予算
① 校長は、中期的なビジョンのもとでの年次計画を踏まえ、学校教育計画の達成のために必要な備品や教材等の確保の優先順位を明らかにした予算編成の基本方針を定め、教職員に周知する。
② その上で、事務（部）長はじめ事務職員、学年・分掌・教科等の意見を十分聴取し、配分の重点化に配慮した予算編成を行う。
③ 光熱水費等の節減により生じた余剰金は教育活動に活用する、また、備品については遊休化することがないよう他校とも連携し積極的な活用を図る。
④ 校長・教頭・事務（部）長等は、月単位の執行状況や予算残を把握し、計画的執行に努める。
⑤ 教頭・首席等のリーダーシップのもと、事務職員と教員の連携を図り、教育活動と予算との関連性についての認識を共有化し、コスト意識の涵養に努める。
（５）校長の適切なリーダーシップ発揮のために
① 学校経営を行うにあたってPDCAサイクルを有効に機能させるためには、校長が適切にリーダーシップを発揮することが不可欠である。
② 校長は、学校経営を行うに当たっては、学校の現状と実態を踏まえて、中期的なビジョン（近未来の学校像）を確立し、実現に向けて学校教育計画（年次計画）を策定するとともに、教頭をはじめ教職員から十分意見を聴取し、教職員の学校経営への参画意欲を喚起する。
③ 校長が適切なリーダーシップを発揮出来るよう、府教育委員会としては、組織的に支援していく。
Copyright© 執筆者，大阪教育法研究会