SUGIMOTO.TXTについて

1 SUGIMNOTO. TXTは、いわゆる杉本判決の全文です。杉本判決は、家永三郎氏
を原告とする教科書訴訟の第二次訴訟(家永氏の訴訟は第三次まである)の一審
判決です。この事件が係属した東京地裁民事第二部の裁判長の杉本良吉氏の名を
とって「杉本判決」などと呼ばれています。
2 このSUGIMOTO.TXTの底本としたのは、この判決直後に「教科書検定訴訟を支
援する全国連絡会」を編者とし労働旬報社から発行された小冊子『勝利した教科
書裁判 教師と国民の手による教育創造をめざして』に掲載された判決全文です
(裁判所からもらう判決謄本そのものではありません)。判決文自体には著作権
の問題はないと思いますが、転載にあたって上記全国連絡会事務局の了承は得て
います。
3 底本のなかで、あきらかに誤植と思われるものは、ごく少数ですが、訂正し
ました。「日本書紀」が「日本書記」になっていたなどです。底本では、丸数字
などの機種依存文字、ワープロソフトでは外字作成で作成される文字(括弧で囲
んだ数字など)が使われていますが、これらは普通の括弧で数字(算用数字や漢
数字)を囲む形に改めました。終わりの方に罫線を使用した対照表で示されたも
のが三つありますが、罫線を用いず、普通のテキストファイルとしましたが、わ
かると思います。
4 1行40字(80桁)で入力しましたが、各行末に改行コードは入れていません。
行頭の大部分が1字下げ、2字下げなどになっており、1行の文字数が40字でな
い場合は読みにくいかと思いますが、あしからず。
5 この訴訟は、行政事件訴訟で、原告は家永三郎氏、被告は坂田道太文部大臣
で、教科書検定不合格処分の取消を求めたものです。甲号証は原告側提出の証拠
物、乙号証は被告側提出のものです。
6 この判決は控訴審でくつがえされましたが、それにもかかわらず、大きな歴
史的意義をもつものといえます。判決は、個別の各検定不合格処分を違憲(憲法
21条の禁じる検閲)違法(教育基本法第10条違反)としましたが、その結論
にいたる理由づけはなかなか複雑です。教科書検定一般を違憲としないばかりか、
本件処分当時の教科書検定制度自体も違憲とはいえないとし、個別の本件処分が
いわば行き過ぎて違憲違法だという判断になっています。しかし、そういうもの
であっても違憲違法という判断が出る前提として、子どもの学習権、発達権を出
発点とする教育権という考え方(憲法26条関係)、そのための教育の自由(教
授の自由)の保障(憲法23条関係)、教育行政の責務と教育内容への介入のき
びしい限界(教育基本法10条関係)などの点で、教育運動が主張してきたこと
と基本的に同じ判断をくだしています。下級審ではあれ公権力の一部がこういう
判断をくだしたという点で、画期的だといえましょう。
  1995年9月   OLDCAT(PFE02270)

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