● 政策集2014 J−ファイル 平成26年12月1日 自由民主党



政策集2014
J−ファイル
自由民主党/政務調査会
平成26年12月1日
(抜粋 71〜83頁)



教育再生

307 世界トップの人間力と学力を実現するため
の教育投資の充実と安定的な財源確保策の検討

 『教育基本法』の理念に基づき、「自助自立する国
民」「家族、地域社会、国への帰属意識を持つ国民」
「良き歴史、伝統、文化を大切にする国民」「自ら考
え、判断し、意欲にあふれる国民」を育成します。
そのため、OECD諸国など諸外国における公財政
支出など教育投資の状況を参考とし、『教育基本法』
に則り策定した第2期教育振興基本計画や「学習指
導要領」等を着実に実行していくため教育再生など、
必要な予算を確保します。

 2020年までに、「家庭の経済状況や発達の状況
などにかかわらず、学ぶ意欲と能力のある全ての子
供・若者・社会人が質の高い教育を受けることがで
きる社会」の実現を目指します。また、教育投資の
充実を目的とする安定的な財源確保策や民間資金の
さらなる活用等を検討し、さらなる教育投資の充実
を実現します。

 全国学力・学習状況調査を全国一斉の学力テスト
(悉皆)として継続的に実施し、全ての子供の課題
把握、学校・教師の指導改善に生かします。また、
保護者への調査などを定期的に実施して学力の状況
を幅広く把握・分析し、経済的に困難を抱える子供
への支援を充実させるなどにより、学ぶ意欲と能力
のある全ての子供たちが、質の高い教育を受けられ
るようにします。さらに、土曜授業のさらなる普及
を目指します。


308 若者の夢や志を実現する学校教育への抜本
的転換

 変化が激しく先の予測が困難な時代の中で、すべ
ての若者が夢や志を抱き、チャレンジし、それを実
現していくことができるよう、学校教育の在り方を
抜本的に見直すことが必要です。このため、学習指
導要領を全面改訂し、教科・科目等の見直しを行う
とともに、より主体的・協働的な学び(「アクティブ・
ラーニング」)を重視した学習・指導方法、評価方法
への転換を図ります。あわせて、高等学校教育、大
学入学者選抜、大学教育の一体的な改革を進め、知
識・技能だけでなく、思考力・判断力・表現力や主
体性をもって多様な人々と協働する態度、リーダー
シップ、企画力や創造力、豊かな感性や優しさ、思
いやりなどを備えた人間を育成します。


309 成長戦略に資するグローバル人材の育成

 成長戦略の実現のためには、世界で活躍できる人
材の育成が急務です。実用的な英語教育やイノベー
ションを生む理数教育、ICTの積極的な活用など
グローバル人材育成に資する教育を抜本的に拡充す
るため、『グローバル人材育成推進法(仮称)』を制
定し、集中投資を行います。

 国際的共通語となっている英語のコミュニケーシ
ョン能力を身に付けることは、子供の将来のために
も、わが国の一層の発展のためにも、非常に重要な
課題です。教師の資質向上や留学支援等を通じて、
今後とも外国語教育の充実を図ります。

 小・中・高等学校における英語教育については、
小学校における英語教育実施学年の早期化、教科化
や、中学校における英語による英語授業実施、高等
学校における発表・討論・交渉などを充実します。
また、少人数英語指導を徹底するための教員配置や
指導体制の充実やイングリッシュキャンプ等を通じ
た実践的な英語教育の導入、英語を母国語とする青
年招致に関する事業(JETプログラム)を充実さ
せるなどにより、抜本的に改革・強化します。

 さらに、将来、経済界、政界、学術界等において
活躍するグローバルリーダーを高等学校段階から育
成するため、英語を使う機会を格段に増やして国際
的素養を身につける取り組みなどを行う高校を支援
する「スーパーグローバルハイスクール」を充実し
ます。

 また、日本人としてのアイデンティティ、日本の
伝統や歴史、文化に対する教養などを備え、グロー
バルに活躍できる人材を育成する教養などを備え、
グローバルに活躍できる人材を育成する観点から、
高等学校における日本史の必修化など地理歴史の扱
いや、伝統・文化に関する教育の充実を図ります。

 海外で暮らす子供たちは将来のグローバル人材と
しての活躍が期待され、そうした子供たちが安心し
て学べるよう日本からの教員派遣の拡充など教育環
境を充実させます。

 学生の実用的な英語力を向上するため、大学入試
におけるTOEFL等の外部試験の一層の活用の促
進や、一定以上の成績の卒業要件化を促進するとと
もに、英語を実践的に活用できる人材育成を目的と
した教育プログラムを開発・実施する大学への支援
を行います。また、グローバル人材の育成に有益な
国際バカロレアは、国際的に通用する大学入試資格
を取得することが可能であり一部のカリキュラムを
日本語でも実施可能にするプログラム(日本語DP)
の開発・導入や大学入試における活用を通じて国際
バカロレア認定校等を平成30年までに200校程度に
増加させます。さらに、英語での授業の実施割合の
飛躍的な向上や、外国人や海外で学位を取得した若
手の積極採用を行うなど、スピード感をもって国際
化を断行する『スーパーグローバル大学』を継続的
に重点支援します。

 理数教育については、将来、イノベーションの担
い手として世界を牽引していくリーダーとなるよう
な明確な目的意識を持つ子供の育成に向けて、子供
の多様性を尊重し、創造性を育むとともに、優れた
資質を伸ばし、育てる才能教育を強化します。理数
好きな子供を増やすため、体験活動や実験教室の充
実、理工学部の学生や企業関係者等の外部人材の活
用、さらには理数教育に携わる教師の指導力向上等、
初等中等教育段階での理数教育を大幅に充実します。
また、全国学力・学習状況調査で、国語・算数(数
学)に加え、理科の調査を定期的に実施します。

 理科専科教員の増員や理科設備の計画的整備、先
進的な理科教育を行うスーパーサイエンスハイスク
ール(SSH)や「グローバルサイエンスキャンパ
ス」を推進するとともに、学校を超えた才能教育の
場や、中学・高校生の「科学の甲子園」などの活躍
の場の充実等を推進し、国際科学オリンピックに参
加する児童生徒数の大幅な増加を促進し、国際的な
交流機会を拡大します。また、高等教育段階におい
て、入学時に必要な学力として文系においても理数
の力を重視する取り組みや、文理横断型教育プログ
ラムの開発、理工系専門職業人材を育成する職業教
育システムの構築などを支援します。

 ICT教育については、各自治体の状況に応じた
支援を展開することにより、全国各地に取組みを広
げるとともに、クラウド等の最先端技術を活用した
先導的な教育システムを開発します。また、小・中・
高・特別支援学校における1人1台のタブレットP
C、電子黒板、無線LAN等のICT環境の整備を
進めます。教員養成カリキュラム、教員採用選考、
免許更新講習等を通じて、全ての教師がICT活用
指導力を身に付けるように取り組むとともに、IC
T支援員の全学校配置を目指します。タブレットP
Cの計画的整備やデジタル教科書・教材の開発、多
様な情報端末で利用するための標準化等の技術開発
に取り組み、世界最高水準のICT教育コンテン
ツ・システムを創造します。加えて、世界最高水準
のICT教育を受ける子供に相応しい、発達段階に
応じた世界最高水準の情報リテラシー教育を徹底し
ます。


310 持続可能な社会の担い手を育成するための
持続可能な開発のための教育の推進

 本年11月に愛知県名古屋市、岡山市で開催され
た「持続可能な開発のための教育(ESD)に関す
るユネスコ世界会議」を契機として、わが国のユネ
スコ活動の活性化及び国内外における持続可能な開
発のための教育の一層の推進を図るなど、持続可能
な社会を実現するため、国際的に活躍する人材育成
に資する事業を展開します。


311 公教育における国の責任体制の確立

 義務教育については国が責任を果たすとの理念に
立ち、教育の正常化を図った上で、子供が日本のど
こで生まれ育ったとしてもふるさとで頑張っていれ
ば必ず夢が実現できる環境を整えるため、教育の地
域間格差が生じないよう、公教育の底上げを徹底的
に取り組みます。

 国際的な学力調査の結果を見ても、日本の子供の
学力はトップレベルにあります。全ての子供の能力
を最大限に伸ばし、未来を切り開いていく力を身に
付けることは公教育の使命です。このような観点か
ら、学習指導要領をはじめとした学校教育に関する
基準によって教育の質を保障するとともに、一人ひ
とりの子供にしっかりと目を行き届かせるための指
導体制を充実させます。

 経済状況をはじめとした家庭環境によって教育格
差が生じないよう、教育費負担の軽減などに取り組
むとともに、地方自治体の財政力によって教育条件
に格差が生じないよう、義務教育費国庫負担金につ
いては、国が全額負担することを含め検討します。



312 わが国を愛する心を養う教育と体験活動な
どの推進

 国旗・国歌を尊重し、わが国の将来を担う主権者
を育成する教育を推進します。不適切な性教育やジ
ェンダーフリー教育、自虐史観偏向教育等は行わせ
ません。

 中学・高校でボランティア活動やインターンシッ
プを積極的に推進し、公共心や社会性を涵養します。
キャリア教育や職業教育、また、豊かな体験に裏打
ちされた子供の力強い成長を促す農山漁村地域での
長期宿泊体験学習等を推進します。あわせて、地域
に根差した伝統・文化や、スポーツクラブ、サーク
ル活動などの地域の絆を守り、支える取り組みを支
援(「伝統文化親子教室」の充実など)します。



313 規範意識を養う教育の推進と新科目「公共」
の設置

 人が人として生きる上で必要な規範意識や社会の
ルール、マナーなどを学ぶ道徳教育については、道
徳の特性を踏まえた新たな枠組みにより教科化し、
誇るべき先人の伝記を学ぶなどわが国の伝統に根差
した指導を充実します。また、高等学校において社
会参加や消費者教育等の推進を図るため、新科目「公
共」を設置するとともに、現行の家庭科教育の単位
数をゆとり教育前に戻し、かつ、現代の家庭教育に
役立つ単元を増やします。


314 健康で元気な生活のため、食文化・食育の
推進

 知育・徳育・体育・食育・才育という「五育」そ
の中でも生きる上での基本である食育を、『食育基本
法』に基づき、より一層すべての世代に浸透させて
参ります。

 また、ユネスコの無形文化遺産にも登録された「和
食」を世界に正しく広め伝えていくため、必要な措
置を講じます。

 さらに、様々な形での食品ロスを減らす為に、消
費者などの意識向上に尽力していきます。



315 激動の時代に対応する、新たな教育改革
(平成の学制大改革)

 世界トップの教育立国とするため、結果の平等主
義から脱却し、社会状況や子供の多様な成長の実態
等に応じた、学校制度の多様化・複線化を図ります。
終戦直後に整備されて以来、現在まで変わらず続い
ている6-3-3-4制について弾力化し、6歳から15歳
までの9年間を一貫教育する「小中一貫教育学校(仮
称)」について制度化し、柔軟な学年段階の区分を可
能とするとともに、義務教育の早期化、高校の理念・
在り方等について検討を進めるなど、新時代に対応
した「平成の学制大改革」を断行します。その際、
これらの取組みを円滑に進めるため、財政的支援を
含め、先導的取組みに対する総合的支援の仕組みを
創設します。

 また、フリースクールやインターナショナルスク
ールなどの学校外教育の環境整備、夜間中学校の設
置促進、小学校5・6年生への教科担当制の導入、飛
び級・高校早期卒業の制度化など、個人の志や能力・
適性に応じ、様々な挑戦を可能とする学びの保証シ
ステムを実現します。さらに、後期中等教育の複線
化を図り、若者が自らの夢や志を考え、目的意識を
持って実践的な職業能力を身につけられるようにす
るとともに、産業構造等の変化に対応するため、専
門高校等を活用した5年一貫職業教育や専門高校の
高専化、専門高校と専門学校との連携接続の促進に
加え、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関
を制度化します。

 小学・中学校卒業時における学力評価の実施を図
り、確実に学力を身に付けさせます。あわせて、高
等学校基礎学力テスト(仮称)や大学入学希望者学
力評価テスト(仮称)の創設等、高等学校教育、大
学教育、大学入学者選抜を抜本的・一体的に改革し
ます。その際、これらの新たなテストや大学入試を
確かなものとするため、国や大学における実施体制
を整備します。

 大学生の学びの意欲と社会性の涵養等のため、大
学入学直後のギャップイヤーを活用して、大学生等
の体験活動(海外留学のほか、国とふるさと、環境
を守る仕事−例えば、海外NGO、農業・福祉体験、
自衛隊・消防団体験等)に取り組む大学をより一層
支援し、学生の体験活動やインターンシップの評
価・単位化を促し、企業の採用プロセスに活用しま
す。

 一度社会に出てからも、スキルアップ、職種転換、
子育てからの復帰等に役立つ学び直しができるよう、
意欲のある学習者への経済的支援を充実するととも
に、放送大学の機能強化や大学等の履修証明プログ
ラムの柔軟化などにより、学びやすい環境整備を推
進します。また、「専門実践教育訓練」の指定対象の
拡大を図るとともに、産業界のニーズを踏まえた実
践的な教育プログラムを提供する大学・大学院・専
修学校等や学び直す社会人への支援など、社会人が
再び大学・大学院・専修学校等で学べるシステムを
導入するほか、実践的な職業教育を行う新たな高等
教育機関の制度化により、産業構造の変化に対応し
たキャリアアップの機会保障と再チャレンジを促進
します。特に女性と高齢者については、地域におけ
る関係機関が連携し、学び直しが地域活動や就労・
起業等と連動する仕組みづくりを推進します。


316 真に教育基本法・学習指導要領に適った
教科書の作成・採択

 『教育基本法』が改正され、新しい学習指導要領
が定められてから、既に何度か教科書の採択が行わ
れましたが、多くの教科書に、いまだに自虐史観に
立つなど、偏向した記述が存在します。

 真に『教育基本法』・学習指導要領に適った、「伝
統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国
と郷土を愛する」ための教科書で、子供たちが学ぶ
ことができるよう、教科書検定基準や教科書採択の
制度を定めた教科書無償措置法を改正するとともに
教科書にわが国の領土等についてしっかりと記載さ
れるよう、学習指導要領の解説を改訂しました。

 これらによって、政府見解があるものについては
きちんと書かせ、特定の学説のみを記載して子供た
ちが誤解するといったことがないように抜本的改革
を進めるとともに、いわゆる「近隣諸国条項」に関
しては、見直します。さらに、採択した結果や理由
等の公表を各教育委員会等に徹底させることで、地
域によっては漫然と長年にわたり特定の教科書会社
の教科書が採択され続けている現状を改めます。ま
た、子供たちが偏向した補助教材を用いて学ぶこと
がないよう、補助教材の適正な取扱いを進めます。


317 子供たちの夢を徹底的に支援するための
教育費負担の軽減

 家庭の経済状況に関わらず、志ある子供たちの夢
を徹底的に支援するため、各学校段階で教育費負担
の軽減のための取り組みを強化します。小学校就学
前段階においては幼児教育の無償化に取り組み、義
務教育段階においては、就学援助の充実に取り組み
ます。高校授業料無償化については、所得制限を設
け、返還不要の給付型奨学金の創設や、私立学校の
高等学校等就学支援金の拡充、経済的に修学困難な
専門学生への支援など、低所得者支援の充実や公私
間格差の解消を図っています。引き続き、高等学校
等就学支援金制度の着実な実施や給付型奨学金の拡
充を検討するなど、低所得者支援の充実に努めてい
きます。

 高等教育段階においては、入学金や授業料免除の
対象拡大、所得連動返還型奨学金の導入や給付型奨
学金の創設、経済的に修学困難な専門学校生への支
援の充実、博士課程学生へのフェローシップ、ティ
ーチング・アシスタント及びリサーチ・アシスタン
トの充実など経済支援を検討し、学生全員が安心し
て学べる環境を整備します。


318 安心して、夢の持てる教育を受けられる
社会の実現

 質の高い教育ときめ細かい指導を行うために、わ
が党の考えを受け入れて改正された『公立義務教育
諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法
律』に基づき、教職員定数のあり方全般について検
討を行います。さらに、東日本大震災の被災地に対
する教職員の加配やスクールカウンセラーの充実等
を引き続き措置し、あわせて、被災地の教師の心の
ケアも図ります。

 いじめや不登校の解決のため、スクールカウンセ
ラーの充実等、問題を早期に発見し、適切に対応で
きる体制をつくります。小・中・高等学校で17万5
千人を超える不登校者、5万9千人を超える高校中退
者(平成25年度)を減少させるための教育を実現し
ます。

 また、『教育基本法』に定める学校・家庭・地域の
連携をさらに進め、社会総がかりで子供を支えてい
くため、放課後の学習支援を充実するとともに、学
校支援地域本部の取組みの充実やコミュニティ・ス
クールの設置の加速化、両者の一体的な設置の促進
等に必要な支援策を講じることにより、学校と地域
が連携・協働する体制を全ての学校区に構築します。
その際、豊富な知識・経験を持つ退職者など外部の
人材が、放課後や土曜日における学習、総合的学習
の時間や道徳等において、その社会体験を活かした
支援を行う体制を構築します。特に土曜日について
は、児童生徒が社会を生き抜くために必要な力を身
につけていくため、土曜日の教育活動を全国展開し、
平成27年度には12,000校での実施を目指します。
また、企業や地域の団体がその担い手になるよう、
土曜学習応援団として協力を呼びかけるなど、市町
村や学校等の取組みを支援します。



319 いじめを無くし、一人ひとりを大切に

 「いじめは絶対に許されない」との意識を日本全
体で共有し、加害者にも、被害者にも、傍観者にも
しない教育を実現します。第一に守るべきは、いじ
めの被害者です。いじめを繰り返す児童生徒への出
席停止処分や、行為が犯罪に該当する場合は警察に
通報する(いじめと犯罪の明確な区別)、道徳教育の
徹底など、今すぐできる対策を断行します。『いじめ
防止対策推進法』に基づき、統合的ないじめ対策を
行うとともに、いじめ対策に取り組む地方自治体を、
国が財政面などで強力に支援します。


320 公私間格差の是正・私学助成の拡充

 公教育において私学が果たしてきた重要性に鑑み、
私学の建学の精神を尊重しつつ、『私立学校振興助成
法』の目的の完全実現(教育条件の維持・向上、修
学上の経済的負担の軽減、経営の健全性向上)のた
め、公私間格差の解消を図ります。また、まずは2
分の1を目標に、私学助成を充実します。


321 教育の政治的中立を確保するための「新教
育三法」

 教育公務員を「教育専門職」と明確に位置付け、「教
育公務員倫理規程」(仮称)を制定して、職務規律を
確立します。『教育公務員特例法』違反者に罰則規定
を設け、教職員組合(日教組等)の政治的中立確保
及び、選挙活動・強制カンパ等の違法活動を防止し
ます。教職員組合の収支報告を義務付け、公金を原
資とした資金の透明化を図るとともに、違法活動団
体は、『地方公務員法』に定める人事委員会の登録団
体から除外します。『義務教育諸学校における教育の
政治的中立の確保に関する臨時措置法』の徹底を図
り、教育委員会等に必要な調査を義務付けるための
法改正を行います。

 北海道教職員組合による違法献金事件では、教育
委員会が行った勤務実態調査により、勤務時間中の
組合活動など数多くの違法行為の実態が明らかにな
りました。わが党は、これは給与(義務教育費国庫
負担金)の不正受給にあたると指摘して、会計検査
院による調査を実施させました。さらに、わが党の
指摘により発覚したPTA会費の不正使用について、
徹底的に全国調査を行わせ、再発を防止します。わ
が党は、今後とも、教育の政治的中立・正常化に徹
底的に取り組みます。


322 『新人材確保法』の整備(教師力の向上と
適切な教育内容の確保、チーム学校の実現)

 教育は人なり。今後、教師志望段階において多く
の優秀な人材が集まるよう、教師となった場合に奨
学金返還を免除する仕組み(「教師奨学金返還免除制
度(仮称)」)を検討します。また、多様な人材を確
保する観点から、社会人教師の採用や特別免許状の
発行の拡大などを行い、社会人から教師への登用の
倍増(教師採用数の約1割)を目指します。さらに、
教員免許更新制度の運用面での課題を是正するため、
教師大学院(教職大学院)などと連携し、研修の充
実を図ります。

 世界のリーダーとなる日本人を育成できる力があ
る教師を養成するため、「教師インターン制度」など、
採用の前又は後に学校現場で行う実習・研修を通じ
て適正を厳格に評価する仕組みの導入や、選考過程
において教職大学院での評価を活用するなど、適性
重視・人物重視の採用をさらに促します。学校は、
閉じられた世界であってはいけません。現職教員に
は、教職生活において、各キャリアステージに応じ
て適切な研修を受け、視野を広げることのできる環
境が必要です。このため、独立行政法人教員研修セ
ンターの中核的機能の強化、各地域の教員研修拠点
の機能強化、中核的指導教員の育成などについても
一体的に推進し、体系的な研修体制を整備します。
また、大学と教育委員会が協働して教師を鍛えるた
めの環境づくりの視点から、各教育委員会が教師養
成に一定の責任を持つ「教師塾」の全国展開を促進
するとともに、養成・採用・研修を通じて総合的に
教師力の向上を図るための中核的拠点を創設します。

 指導力不足教員は教壇に立たせません。「教員の長
期社会体験研修事業」のように、現職の教師を民間
企業や、社会福祉施設などに派遣して交流を図りま
す。少人数教育の更なる推進や外部人材の活用、教
師と他の教職員との職務範囲の明確化や、事務体制
の整備・充実と事務職員の資質能力の向上のための
環境整備等を検討し、学校が一つのチームとして、
学校が組織全体の総合力を高め、発揮していくため
の学校運営を確立します。アクティブ・ラーニング
による授業革新等による教育の質の向上、少人数指
導、専科指導、特別支援教育やいじめ問題への対応、
主幹教諭の配置促進等も含め、適切な教育内容が確
保され教育再生につながるよう、義務標準法の改正
による計画的な教職員等指導体制の充実を検討しま
す。教師が教育活動に専念できるようにするため、
多様な専門職の配置や活用が進むよう、制度面・財
政面の整備を行います。教師の勤務評価及び、それ
に基づく処遇が適切に行われるよう、教育長及び校
長の責務を設けます。また、教育長、指導主事、校
長、主幹、教諭等の役割と責務を法律上明記すると
ともに、チーム学校をマネジメントでき、真に頑張
っているやる気のある管理職を計画的に養成し、そ
の処遇を向上して士気を高めることで、学校ガバナ
ンス改革を進め、責任体制を確立します。教員人事
への教職員組合等の介入を排し、バランスのとれた
教員配置を実現します。任意設置となっている主幹
教諭を「必置」とし、一部の地域で教職員組合に流
用されている主任手当、及び主任制度を廃止します。

 また、教師に対する社会からの信頼感や尊敬の念
が醸成され、優秀な人材を教育現場に引き付けるた
め、人材確保法の初心に立ち返り教師の処遇を確保
します。さらに、教育活動に熱心に取り組んでいる
教師に報いるため、教員評価結果を処遇に反映する
とともに、部活動手当の増額、社会貢献活動手当の
創設などメリハリある給与形態の確立や優秀教員認
定及び教師が子供たちに没頭できる教育システムを
構築し、真に頑張っている教師を徹底的に応援しま
す。以上の内容を実行するために義務教育国庫負担
金を国が全額負担することを含めて検討し、長期的
に安定して質の高い人材確保を目的とした『新人材
確保法』の制定を目指します。


323 安全・安心な学校環境の構築

 災害からの子供の生命・身体の安全の確保に加え、
大規模地震などの災害時には地域の避難所として重
要な役割を果たしている学校施設や公立体育館等に
ついて、天井材などの非構造部材を含めた耐震化や
長寿命化を含めた老朽化対策を加速します。また、
公立に比べて遅れている私立学校の耐震化の一層の
促進を図るため、耐震補強及び耐震改築に必要な予
算を確保します。あわせて、災害時においては学校
施設が避難所となることから、独立して域外と連絡
可能な通信設備の設置や、自家発電設備、備蓄倉庫、
井戸や給水槽の設置等、学校施設の防災拠点として
の整備を進めます。さらに、地方自治体が財政上、
困窮していることに鑑み、国からの支援の強化に努
めます。

 東日本大震災の教訓を生かし、保護者が帰宅困難
になった際などに、子供を学校に留め置いて安全を
確保するなど、保護者や子供の立場に立った災害対
応体制を整備します。地震・台風・火災などの災害
を身近な危険として認識し、日頃から備え、災害の
被害を防ぐため、地域の実情にあった「防災教育」
を充実します。あわせて、通学路の安全を確保する
など、子供が安心して通学できる学校環境を整備し
ます。


324 幼児教育の質の向上充実・強化と幼児教育
の無償化

 幼児期の教育は、「教育基本法」に定めるとおり、
生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであ
り、この時期に、全ての子供に質の高い幼児教育を
補償することは極めて重要な意義を有しています。

 このため、幼児の発達や特性を踏まえつつ、小学
校教育との円滑な接続を図る観点等から幼児教育の
内容を充実するとともに、幼稚園教諭、保育士等の
処遇改善や資質能力の向上等を図り、幼児教育の質
の向上に取り組みます。

 あわせて、全ての子供に、家庭の経済状況にかか
わらず、安心して幼児教育を受ける機会を補償する
ため、幼児教育の無償化に取り組みます。



325 家庭教育の支援体制強化

 全ての教育の出発は家庭教育であり、『教育基本
法』では、保護者が子供の教育について第一義的責
任を有すること、国や地方自治体が家庭教育支援に
努めるべき事を定めています。家庭教育の自主性を
尊重しつつ、地域や学校を始めとする豊かなつなが
りの中で家庭教育が行われるよう、親子の育ちを応
援する学習機会を充実させるとともに孤立しがちな
若い親等に対し、学校等の地域の身近な場において、
家庭教育を支援する機能をきめ細かく整備する等の
支援体制を強化します。

 さらに、早寝早起きや朝食摂取などの子供の望ま
しい基本的な生活習慣を育成するために企業と連携
した生活習慣づくりや、中高生以上の世代に向けて
も普及啓発を推進します。


326 読解力を高める国語教育

 国語科は各教科等の学習の基盤であり、小・中・
高等学校を通じて国語教育の一層の充実を図ること、
特に、読解力、知識・技能の活用等、思考力・判断
力・表現力の育成を重視することが必要です。その
ため、国語科の授業について、「子供の言語能力を育
てる授業」へと改善し、具体的には、OECD/P
ISA調査で測られるような読解力の育成のため、
子供が「聴いて→考えて→つなぐ」学習を展開しま
す。


327 真に外国人との友好を築く日本語教育

 外国人の子供が公立学校に通っても、日本語が分
からない等の理由により授業についていけず、不就
学になる者が多いとの指摘があるため、日本語指導
員の配置等、学習者の日本語能力に応じたきめ細か
な受入体制を構築します。

 外国人の大人に対する日本語教育は、体制が十分
に整備されているとは言えません。外国人に対する
日本語教育の質と量を十分に確保するためには、日
本語を学習する機会の拡充が必要です。『日本語教育
推進法』の制定を含めた検討を行い、「生活者として
の外国人のための日本語教育事業」等を継続的に実
施・充実させるなど、真に外国人との友好を育むた
めの環境整備を行います。また、海外における日本
語の普及にも取り組みます。


328 一人ひとりを大切にし、充分に力を伸ばす
特別支援教育

 養護教諭の複数化の充実、特別支援教育コーディ
ネーターの機能強化、高等学校への特別支援教育支
援員の配置、発達障害のある児童生徒に必要な教育
環境の整備、ICT等の技術を活用した教材等の研
究、指導内容・方法の工夫改善、障害のある生徒に
配慮した高校入試の実施、中学・高校連携による進
路指導の充実、特別支援学校等と産業界等との連携
によるキャリア教育・就労支援の充実、就職支援コ
ーディネーターの配置、国立大学法人附属学校にお
ける特別支援教育の推進・充実等に重点的に取り組
みます。

 特別支援学校教諭免許状の取得率の向上や全ての
小・中・高等学校の教師が特別支援教育の基礎を身
に付けられるようにし、発達障害を含む障害のある
子供一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育
を推進します。


329 受験一辺倒でない多様な選択肢を持つ教育

 人材育成に関する社会の要請に応えるため、普通
高校以外に、最先端の職業教育を行う専門高校を整
備する等、多様性・専門性のある選択ができるよう
にします。また、高等教育における産学連携を強化
するとともに、専修学校において、地域企業等との
組織的な連携を進め、地域の人材ニーズに対応した
実践的な職業教育の質の向上に取り組みます。現状
の専修学校・各種学校の存在意義を十分認識して、
他の学校群との制度的格差の解消を目指し、財政的
支援や教育内容の充実に向けての公的支援等を図り
ます。

 大学、専修学校等と産業界・地域社会とのより幅
広い連携協力の下で、中核的役割を果たす専門人材
の養成に取り組みます。地域密着型のコミュニティ
カレッジ化により、技能習得と就労を支援します。


330 若者の自立・自活を促すキャリア教育と
職業教育の推進

 産業構造の変化や社会経済情勢の変化に伴い、国
民が自ら主体的に生きることができる能力及び態度
を養うことができるようにキャリア教育を推進しま
す。そのため、キャリア教育推進の理念や基本事項
などを定める「キャリア教育推進法」を議員立法で
制定します。

 国・地方公共団体において、発達段階に応じた指
導方法の確立、体験的な学習活動の促進、障害のあ
る児童生徒への配慮、ニート等の体験活動の実施な
どの措置を講じます。学校では、体験的な学習活動
の充実を図ります。大学などはインターンシップを
教育課程として位置づけ、指導方法の改善、教材の
開発が促進されるようにします。

 また、総合的、体系的かつ効果的な推進を図るた
めの連絡調整を行うために、文部科学省、厚生労働
省、経済産業省その他の関係行政機関の職員をもっ
て構成するキャリア教育推進会議を設置します。都
道府県は、区域におけるキャリア教育を推進するた
め、都道府県の関係機関、教育関係者、事業者、事
業者団等をもって構成する都道府県キャリア教育推
進協議会を設置します。

 なお、インターンシップが事実上の就職活動とな
らないように配慮します。地方や中小零細企業が受
け入れる際の負担を軽減するなどの措置を講じます。
学校現場への繁忙を取り除くための適切な配慮をし
ます。

 「キャリア教育推進法」の制定によって、わが国
全体でキャリア教育・職業教育を推進する体制を実
現します。


331 高等教育政策・大学政策の積極的な推進
(大学ビックバン)

 「大学力」は国力そのものであり、質・量両面の
充実・強化が必要です。大学の持つ教育機能を抜本
的に強化し、学生を鍛え上げ社会に送り出していく
ための教育改革を加速します。そのため、アクティ
ブラーニングの推進など授業方法を質的に転換し、
学修成果の可視化や大学教員の教育能力の向上、学
修環境の整備など、教育改革に取り組む大学や教員
への支援を強化します。

 加えて、大学教育の質の保証を徹底するための全
体的な制度(設置基準や大学評価等)を充実すると
ともに、大学教育の改革に取り組む大学への資金の
重点配分を行います。

 また、社会や学生ニーズの観点からの新規参入認
可プロセスの明確化など、大学強化のための制度の
見直しや、経営が悪化したり、質が著しく低下した
大学の改善の支援とともに、それでも成果が見込め
ないと認められる場合、退場を促す仕組みを確立し
ます。

 国立大学については、地方創生への貢献、グロー
バル化への対応やイノベーション創出等の社会から
の期待に応えるため、平成27年度までの改革加速期
間の間に、@学部・研究科等を越えた予算や人材な
どの学内資源配分の最適化、年俸制やクロスアポイ
ントメント(混合給与)の導入など人事・給与シス
テムの改革を進めるとともに、運営費交付金等を通
じた戦略的・重点的な支援を強化することで、国立
大学の有する教育研究・社会貢献の機能を強化しま
す。

 世界トップレベルの大学は特区化し、諸規制を撤
廃します。オープンラボ(開放研究型施設)、研究サ
ポートスタッフの設置を義務化します。世界トップ
レベル大学からの博士号を持つ若手研究者の大量ス
カウト、資金支援などを行います。

 また、開かれた教育と研究体制をつくり、学長の
リーダーシップを強化するため、抜本的なガバナン
ス改革を行うこととし、学長と教授会の役割の明確
化や、学長を支えるスタッフ(理事、副学長、財務
等の専門スタッフ)の抜本的強化、学長裁量経費の
充実などを行います。

 私立大学の収入の約8割は学生納付金であり受益
者負担が重いので、国公私立大学の設置形態論・経
費の受益者負担論の見直し等を行い、財政支出の仕
組みの再構築を検討します。また、多様な財源の確
保による安定的な経営を可能にするため、寄附の拡
充等、民間資金を自主的・積極的に調達するための
環境整備を推進します。大学同士だけでなく、地域
共創(大学と地方・地域社会、産業の連携)運動を
積極的に推進するとともに、大学の多様な取り組み
について情報の国内外への発信を推進します。さら
に、学生の学修時間の確保や留学等の多様な機会を
確保し、大学等が社会の要請に応える人材の育成を
行うため、就職活動時期の見直しに取り組みます。
また、地域や産業界のニーズを踏まえた実践的・創
造的技術者教育の充実やグローバルに活躍する技術
者育成の強化などの改革を進める高等専門学校を重
点的に支援します。


332 地方大学等の活性化を通じた人口減少克服

 若年層人口の東京一極集中を解消するためには、
地方の大学・高等専門学校が一層魅力ある存在とな
ることが不可欠です。このため、自治体や地方企業
等と連携し、地域の将来を担う人材を育成する「地
(知)の拠点大学」の拡大を検討するとともに、国
立大学や私立大学に対する地域の強みを活かした教
育研究の機能強化の取組み支援、公立大学を活用し
た地域活性化のための取組みの推進に取り組みます。
さらに、都市部の大学生がギャップイヤーを活用し
て、地方企業へのインターンシップ等に参加する取
組みへの新たな支援に係る検討も行うとともに、都
市部の優れた大学が行う授業を地方においても受講
できるようにするための取組みへの支援を行います。
加えて、初等中等教育段階においても、地域に愛着
と誇りを持って地域を支える人材を育てるとともに、
学校を核として、学校と地域の協働により地域力を
強化する取組みを推進します。


333 国立大学法人運営費交付金等の安定的な
確保

 わが国の基礎科学の中核を担っているのは、多様
な人材が集い、教育活動や研究活動を行っている大
学ですが、近年、その安定的な教育研究活動を支え
る基盤的経費(国立大学法人運営費交付金及び施設
整備費補助金、私学助成)が減少傾向にあります。

 これにより、教員数の維持や施設・設備の管理・
運用等で、多大な困難が生じていると指摘されてい
るので、わが国の基礎科学を強化する観点からも、
これらの基盤的経費を安定的に確保します。その上
で、「世界最高水準の教育研究拠点」「全国的な教育
研究拠点」「地域活性化の中核的拠点」などの各国立
大学の機能強化の方向性に応じた戦略的・重点的支
援を可能とするため、平成28年度からの第3期中
期目標期間において新しい運営費交付金の配分と評
価の在り方を具現化し、持続的な競争力を持ち、高
い付加価値を生み出す国立大学を生み出すことを目
指します。東日本大震災の被災地にある大学が、被
災地復興の拠点として研究やプロジェクト実践を進
められるよう、重点化して支援を行います。


334 大学院教育の抜本改革

 大学院について、研究活動のみならず教杏理等の研究支援に携わる専門職等での
活躍を促進します。公的研究機関等における、ポス
ドクなどを対象とした専門人材育成の取り組みを支
援し、活躍機会を拡大します。若手研究者が自立し
て研究に専念できるようにするための新たな研究資
金制度として、当該研究者の名前を冠した「冠プロ
ジェクト」を創設します。


336 「留学生30万人計画」と学生・研究者の国
際交流の積極的推進

 「留学生30万人計画」の実現を目指し(当面20
万人目標)、国・地域・分野等に留意しつつ、優秀な
留学生を戦略的に獲得します。世界的な外国人留学
生の獲得競争の中で、日本で学ぶ留学生や研究者が
増えるよう、海外拠点を活用した教育研究活動に関
する情報発信の強化や現地入試等を促進します。ま
た、質の高い学習環境を整備するため、国費留学生
制度等を拡充するとともに、地方自治体や大学、民
間団体、NPO等が連携した生活支援など在学時の
受け入れ環境づくり、インターンシップの実施、卒
業・修了後の就職支援など社会の受け入れの推進を
図ります。その一方で、受け入れる留学生の人数を
増やすだけではなく、真に優秀な人材を獲得するた
め、具体的な戦略を練って取り組みます。

 日本経済を再生するには、グローバルに活躍でき
る「強い」日本人の育成が必要であり、意欲と能力
に富む全ての学生に留学の機会を与える環境整備を
進めます。このため、留学促進キャンペーン「トビ
タテ!留学JAPAN」による留学機運の醸成を図るとと
もに、ギャップイヤーにおける海外での体験活動を
含め、必要な留学等の経費の支援に係る官民が協力
した海外留学支援制度の運用や就職活動への影響の
回避、語学力の向上など、留学しやすい環境を整備
し、2020年までに日本人留学生を倍増します。

 世界水準の教育研究活動を展開するためには、海
外から優れた研究者を受け入れ、協働で研究活動に
取り組むことが不可欠であり、奨学金の充実や受け
入れ機関の体制整備、周辺の生活環境の整備等を推
進し、優秀な留学生や海外からの研究者の受け入れ
を大幅に拡充します。また、秋季入学など柔軟なア
カデミック・カレンダーの導入や留学支援体制の充
実など、学生交流を促進する体制作りの取り組みや、
わが国にとって戦略的に重要な国・地域の大学との
国際教育連携の促進などを通じて、大学の徹底した
国際化を推進します。


337 『スポーツ基本法』に基づく「スポーツ
立国」の実現

 スポーツを国家戦略として推進するため、わが党
主導により議員立法で制定した『スポーツ基本法』
に基づき、「スポーツ立国」を実現するための諸施策
を強力に推進するとともに、2020年オリンピック・
パラリンピック東京大会を契機として、スポーツ・
文化・教育・科学技術による取組みの効果を全国に
波及させ、日本全国を活性化させます。スポーツを
通じた健康増進・地域社会再生・国民経済発展・国
際交流促進など、スポーツ施策を総合的に推進する
司令塔機能を果たすスポーツ庁を早期に創設します。

 オリンピック等の国際競技大会で日本人選手が活
躍できるよう、競技団体向けの選手強化費を一元化
し充実させるとともに、ナショナルトレーニングセ
ンターを拡充整備する等、国際競技力向上施策を推
進します。あわせて、わが国の国際的なプレゼンス
を高めるため、各競技団体の国際連盟の役員を倍増
することを支援します。また、2019年ラグビーワー
ルドカップ日本大会の成功に全力を尽くすとともに、
国立霞ヶ丘競技場を全面改築します。さらに、各競
技の国際競技大会の誘致に取り組みます。

 学校における体育の充実を図るとともに、運動部
活動における体罰を根絶し、運動部活動を充実しま
す。また、全国体力・運動能力、運動習慣等調査を
悉皆で行うとともに、調査結果の活用による子供の
体力向上の取り組みを推進します。さらには、子供
から高齢者、障害者までの誰もがスポーツに親しむ
ことができる環境を整備することが重要であり、国
民体育大会、全国障害者スポーツ大会、総合型地域
スポーツクラブ、指導者養成事業など各種スポーツ
振興事業の充実を図るとともに、スポーツを通じた
健康増進や、地域スポーツコミッションなどによる
スポーツを観光資源とした地域活性化の取組みを促
進します。また、地域の住民が学校のグラウンドや
体育館を利用しやすい環境の整備についても検討を
進めます。


338 スポーツ振興体制の充実・強化

 スポーツ振興に対する一層の財源を確保するため、
昨年『toto法』を改正し、独立行政法人日本スポー
ツ振興センターの実施する「スポーツ振興くじ
(toto)」の対象を欧州サッカー等にも拡大しました。
今後、助成対象団体等が申請しやすいシステム整備
や、寄付が促進されるための施策を検討します。

 地域スポーツの振興並びに競技力の向上を実現し
ていくため、スポーツ関係団体・組織の一層の充実・
活性化を目指し、プロ、アマチュアを問わないアス
リートの雇用促進やジュニア育成から引退後の選手
の生活の保障も見据えたデュアルキャリアの推進を
はじめ、優れた人材並びに財源の確保を図り、地域
スポーツ社会における人材の好循環と社会貢献を目
指します。そのために、スポーツ基本計画にあるア
スリートのスポーツキャリア形成のための支援を推
進します。


339 2020年オリンピック・パラリンピック
の東京大会の成功とレガシーの創出

 2020年東京大会の成功に向けて政府一丸となって
取り組むため、専任のオリンピック・パラリンピッ
ク担当大臣を設置するとともに、総理を本部長とす
る東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック
競技大会推進本部を設置するなど、政府内の支援体
制を整えます。

 2020年東京大会を東京だけのイベントとすること
なく日本全国の祭典となるよう、スポーツを通じた
国際交流やオリンピック・パラリンピック教育の実
施、文化プログラムの実施等を幅広く展開し、スポ
ーツボランティアの育成を図るなど、オリンピッ
ク・パラリンピック・ムーブメントを全国へ波及さ
せます。このことによって全国各地に根付くことと
なるスポーツ文化は、競技場や交通網などのインフ
ラと並ぶ2020年東京大会のレガシー(遺産)となり
ます。

 また、国際的なアンチ・ドーピングの活動の推進
支援や発展途上国における学校体育カリキュラム等
の策定支援、スポーツ指導者の派遣、スポーツ施設
の整備など、「Sport for Tomorrow」プログラムに取
り組み、スポーツ分野における国際貢献を進めてい
きます。

 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に
向けて、バス・タクシー等の交通サービスの整備や
次世代自動車(運転支援システムの高度化・燃料電
池車等)の導入の着実な推進、五輪特別ナンバープ
レートの実現等を図ります。


340 世界に誇るべき「文化芸術立国」の創出

 2020年東京大会をスポーツだけでなく、文化の祭
典としても位置付け、全国津々浦々で文化イベント
を開催し、日本各地の文化資源で世界の人々を魅了
する機会を創出します。この実現に向けて、日本の
文化力を計画的に強化するための「文化芸術の振興
に関する基本的な方針」を策定し、芸術活動への支
援や、伝統文化の継承・発展や文化財の保存・活用、
国立文化施設の改修等による機能強化や若手芸術家
等の人材の積極的育成などを通じ、世界に誇るべき
「文化芸術立国」を目指します。劇場、音楽堂等を
活性化し、実演芸術の振興を図るとともに、地方自
治体による計画的な文化事業への支援を実施し、文
化芸術を通した地域の活性化にも取り組みます。日
本文化を戦略的に海外発信するため、伝統的な文
化・芸術の継承・発展を引き続き推進するとともに、
アニメなど新たな日本ブランドとしてのメディア芸
術の振興や人材育成、制作者の待遇改善を図ります。
文化交流の相手先と内容の重点化、優れた芸術の国
際交流の推進、海外の日本語教育拠点の拡充等を行
います。

 文化芸術の創造性が産業や地域の活性化に結びつ
く取り組みを行う「文化芸術創造都市」が全国各地
に広がっていくよう支援します。また、文化芸術体
験はわが国の将来を担う子供の豊かな感性や創造力
の涵養に資するという認識の下、国として責任を持
って義務教育期間中に、全ての子供が、質の高い文
化芸術を最低2回(伝統芸能と現代舞台芸術を各1
回)は鑑賞・体験することができるようにするとと
もに、地域に伝わる伝統芸能などを、親や子供にし
っかりと伝えるための「伝統文化親子教室」の取り
組みを充実します。新たな文化や価値を創造してい
くための社会的な基盤となる文化関係資料のアーカ
イブ化の取組みを推進します。

 また、わが国の文化関係予算は高い水準にあると
言えず、「文化芸術立国」の創出に向けて、必要な文
化予算を確保します。


341 文化芸術活動の支援、文化財の後世への
継承、文化財を核として地域活性化

 文化芸術団体の円滑な活動のため、専門的人材の
育成や意欲的・先進的な活動に対して、手厚い支援
を行います。寄付文化の醸成を図るための税制上の
優遇措置を検討します。東京には国立劇場をはじめ、
多くの文化施設が存在しますが、これらと各地域の
文化施設のネットワークを強化することにより、全
国各地での鑑賞機会の充実を図ります。

 文化財を後世に継承するため適時適切な修理を行
うとともに、東日本大震災で被災した文化財の復旧
を進めるほか、地震や火災、大雨、土砂崩れ等の災
害から文化財を守るための防災対策をあわせて推進
します。貴重な民俗文化財について、後世に確実に
引き継いでいくため、映像記録(デジタルデータ)
等の作成を推進します。

 地域に点在する有形・無形の文化財をパッケージ
化し、わが国の文化・伝統を語るストーリーを「日
本遺産(Japan Heritage)」に認定する仕組みの創設
をはじめ、地域の文化財の一体的な公開活用を促進
するための情報発信、普及啓発、設備整備等の取組
みに対し支援を行い、文化財を核とした地域活性化
を図ります。


342 世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用

 本年、「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコの
「世界遺産」に登録されました。わが国は、14件の
文化遺産、4件の自然遺産があります。また、地域に
根差す伝統・慣習など文化の多様性を象徴する「無
形文化遺産」については、本年、「和紙:日本の手漉
和紙技術」が登録され、既に登録された能楽、人形
浄瑠璃文楽、歌舞伎、「和食:日本人の伝統的な食文
化」などと合わせて22件となっています。さらに、
国連食糧農業機関の「世界農業遺産」には、新潟県
佐渡市、石川県能登半島、静岡県掛川地域、熊本県
阿蘇地域及び大分県国東地域が登録されています。
これらの世界遺産・無形文化遺産などの保存・活用
を図ることによって、海外への日本文化の発信及び
諸外国との相互理解の増進や、わが国の文化を再認
識し、歴史と文化を尊ぶ心の育成、文化財の次世代
への継承などを積極的に推進します。








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