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◆199906KHK184A3L0044CM TITLE: 鯰江中学「日の丸」裁判(大阪高裁判決1998年1月20日) AUTHOR: 編集部 SOURCE: 大阪高法研ニュース 第184号(1999年6月) WORDS: 全40字×44行
このページの内容は「日の丸」「君が代」処分事例集のページにまとめました。(2001/02)
<資料>
平成八年(ネ)第一一四三号損害賠償請求控訴事件
原審大阪地裁平八・三・二九判決平四(ワ)五七六八号
教育基本法一〇条は、教育行政機関が教育条件の整備確立のための措置を講ずるにあたって、「教育の自主性尊重の見地から、不当な支配となることのないように配慮すべき義務を課して」いるが、「許容される目的のために、必要かつ合理的な範囲であるならば、たとえ教育内容及び方法に関するものであっても、これを決定することは、必ずしも同条の禁止するところではない」。
国旗掲揚条項には「国旗についての一方的な一定の理論を生徒に教え込むことを強制するものと解することはできず、日の丸を巡る客観的な歴史的事実等を含め、教師による国旗についての創造的、かつ弾力的な教育の余地や、地方ごとの特殊性を反映した個別化の余地は十分に残されていると認められる。以上の点から考えると、国旗掲揚条項は、前記大綱的基準を逸脱するものとはいえず、教育基本法一〇条に抵触せず、法的効力を有すると解される」。
「職員会議は、法令上の根拠がなく、校務運営について最終決定をする権限は有していないのであるから、校長がその職務を行うにあたっては、職員会議の意見を十分に聴取し、これを尊重すべきことが要請されているとはいえ、その決議が、校長の職務遂行を法的に拘束するとまでは解せない」。
「これを慣習法と評価すべきか否かについては、なお検討を要するとしても、少なくとも、国旗掲揚条項にいう国旗とは、日の丸を指すことは明らか」というべきである。
「国家や地方公共団体が、教師に対し、その職務行為の一環として、日の丸の掲揚された式典の場に出席し、その式典の事務運営をする義務を課したとしても、国旗に対し敬礼をさせるなど、国旗に対する一定の観念を告白させるに等しい行為を強制する場合は格別として、そのことだけで、ただちに当該教師の思想及び良心の自由を侵害する強制行為があったとすることはできない」ものというべきである。
「入学式や卒業式の職務遂行中に、正当な理由なくマイクで式典の進行を妨げる発言や、一定の要求等を掲げるプレートを着用し、校長を含めた教職員ら、生徒、保護者らに対し、自己の信じる主義、思想等を発表することは、職務命令に違反し、かつ職務専念義務に反するもの」であり、許されない。
[鯰江中学「日の丸」裁判を支援する会「鳳仙花」(1998年9月)より]
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