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◆200406KHK214A1L0373CH TITLE: 学習指導要領に基づく高校「政治・経済」の授業・教育内容の特徴と課題(その2) AUTHOR: 羽山 健一 SOURCE: 大阪教法研ニュース 第214号(2004年6月) WORDS: 全40字×373行
羽 山 健 一
第三 政治的教養の教育に関する指導上の留意事項
(一) 現実の具体的な政治的事象は、内容が複雑であり、評価の定まっていないものも多く、現実の利害の関連等もあって国民の中に種々の見解があるので、指導にあたっては、客観的かつ公正な指導資料に基づくとともに、教師の個人的な主義主張を避けて公正な態度で指導するよう留意すること。
なお、現実の具体的な政治的事象には教師自身も教材としてじゅうぶん理解し、消化して客観的に取り扱うことに困難なものがあり、ともすれば教師の個人的な見解や主義主張がはいりこむおそれがあるので、慎重に取り扱うこと。
(二) 上述したように現実の具体的な政治的事象については、種々の見解があり、一つの見解が絶対的に正しく、他のものは誤りであると断定することは困難であるばかりでなく、また議会制民主主義のもとにおいては、国民のひとりひとりが、種々の政策の中から自ら適当と思うものを選択するところに政治の原理があるので、学校における政治的事象の指導においては、一つの結論をだすよりも結論に至るまでの過程の理解がたいせつであることを生徒に納得させること。
なお、教師の見解そのものも種々の見解の中の一つであることをじゅうぶん認識して教師の見解が生徒に特定の影響を与えてしまうことのないよう注意すること。
[10] | 文部省『高等学校学習指導要領解説 総則編』(1989年12月)6頁 |
[11] | 上田薫「社会科の運命と教育の行方」季刊教育法66号12頁(1986年) |
[12] | 「小学校,中学校,高等学校等の学習指導要領の一部改正等について」2003年12月26日、15文科初第923 |
[13] | 福岡高裁1983年12月24日判決、判例時報1101号3頁 |
[14] | 文部省『高等学校学習指導要領解説・公民編』81頁(1999年12月) |
[15] | 伊藤公一『教育法の研究』308頁、315頁(1981年)法律文化社 |
[16] | 有倉遼吉「教育の中立性と政治教育の自由」永井憲一編『教育基本法文献選集7 政治教育・宗教教育』79頁(1978年) |
[17] | 田中耕太郎『教育基本法の理論』605頁、608頁(1961年)有斐閣 |
[18] | 教育公務員特例法の一部を改正する法律 |
[19] | 義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法 |
[20] | 永田照夫『教育基本法第8条(政治教育)小史―教育法社会学的考察序説―』83頁(1985年)西村信天堂。同様に、大田尭は「法の存在自体が教師にたいする無言の圧力となり、教師の自由を抑圧する働きを示したことはたしかであった。」と指摘する。(大田尭『戦後日本教育史』218頁(1978年)岩波書店) |
[21] | 出版労連教科書対策委員会『教科書レポート’94』64頁 |
[22] | 朝日新聞2004年2月3日 |
[23] | 第159回国会、参議院イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会、2004年2月5日 |
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