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◆201303KHK241A1L1462HM TITLE: 教員のうつ病自殺と公務災害認定 AUTHOR: 羽山 健一 SOURCE: (2013年3月) WORDS: 全40字×1462行
羽 山 健 一
目 次 はじめに―― 増える教員の精神疾患と自殺 第1 うつ病自殺をめぐる公務災害認定請求事件 1.磐田市立小学校事件 2.静岡県小学校養護学級事件 3.京都市立中学校事件 4.堺市立中学校事件 5.仙台市立中学校事件 6.東加古川幼児園事件 7.茨城県立高校事件 8.釜石市立小学校事件 第2 精神疾患の公務災害認定 1.公務災害補償制度と公務災害の認定 2.精神疾患の公務起因性についての判断枠組み 3.自殺と因果関係の中断 第3 公務起因性をめぐるぐる争点 1.うつ病に罹患しているかどうか 2.業務と精神疾患の間の因果関係 3.精神疾患と自殺の間の因果関係 第4 事実認定された教育の現状 1.長時間労働 2.児童・生徒指導の困難 3.保護者対応の困難 4.教員に対する支援体制の不十分 おわりに 注釈 裁判例の出典等
国家公務員 | [根 拠 法] 国家公務員災害補償法(国公災法) [実施機関]人事院指定の各省庁 |
地方公務員 (基金制度) | [根 拠 法] 地方公務員災害補償法(地公災法) [実施機関]地方公務員災害補償基金の各支部 |
民間労働者 (保険制度) | [根 拠 法] 労働基準法・労働者災害補償保険法(労災法) [実施機関]労働基準監督署 |
[1] | 最新のものは、文部科学省「平成22年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況について」(資料・病気休職者数等の推移)平成23年12月 |
[2] | 最新のものは、内閣府自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課「平成23年中における自殺の状況」平成24年3月9日 |
[3] | 東加古川幼稚園事件(損害賠償等請求事件)最高裁第三小法廷平成12年6月27日決定、労働判例795号13頁 |
[4] | 地方公務員について、地方公務員災害補償基金理事長「公務上の災害の認定基準について」平成15年9月24日地基補第153号。国家公務員については、人事院事務総長「災害補償制度の運用について」昭和48年11月1日職厚―905(最終改正:平成24年9月19日事企法―464)。 |
[5] | 最高裁第二小法廷昭和51年11月12日判決 判例時報837号34頁 |
[6] | 最高裁第三小法廷平成8年1月23日判決 判例時報1557号58頁。同旨、最高裁第三小法廷平成8年3月5日判決 判例時報1564号137頁、仙台市立中学校事件・仙台地裁判決 |
[7] | 地方公務員災害補償法施行規則第1条の2は、「公務上の災害の範囲は、公務に起因する負傷、障害及び死亡並びに別表第一に掲げる疾病とする。」と定め、同規則の別表第1第9号には、「人の生命にかかわる事故への遭遇その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象を伴う業務に従事したため生じた精神及び行動の障害並びにこれに付随する疾病」と規定されている。そこで、「地公災基準」は要件を整理し、それらを満たしたときに、「地方公務員災害補償法施行規則別表第1第9号に該当する疾病として取り扱う。」こととした。 |
[8] | 「国際疾病分類」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)とは、WHO(世界保健機構)が疾病を分類しコード化したもので、分類されたそれぞれの疾病ごとに診断基準が記載されている。現在は第10版を重ねているので「ICD−10」と呼ばれる。 |
[9] | 日本分析化学専門学校事件・大阪地裁平成22年6月7日判決 労働判例1014号86頁。 |
[10] | 電通事件・最高裁第二小法廷平成12年3月24日判決 労働判例779号13頁 |
[11] | 愛知県市役所職員事件・名古屋高裁平成22年5月21日判決 労働判例1013号102頁 |
[12] | 厚生労働省・精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」平成23年11月8日 |
[13] | 厚生労働省・精神障害等の労災認定に係る専門検討会「精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書」平成11年7月29日 |
[14] | 日本産業精神保健学会・精神疾患と業務関連性に関する検討委員会「『過労自殺』を巡る精神医学上の問題に係る見解」平成18年12月20日。「6 性格傾向は精神障害の成因を理解する一助とはなるが、性格傾向から個体側脆弱性を評価することは誤りである。性格傾向は脆弱性を示す一つの指標に過ぎず、性格傾向以外にも、薬物・脳内物質の状態・遺伝の影響等脆弱性に関する様々な医学的意見・研究が存在し、それらの様々な要因も含めて、心理的負荷に対する個体側の脆弱性は形成されると仮定されているものであり、医学的に確立された明確な知見というものは存在しないことから、「性格傾向」のみに着目して基準にするのは誤りといわざるを得ない。」 |
[15] | 朝日新聞2013年3月1日「保護者と教師のトラブル訴訟、教諭の請求退ける」参照。「埼玉県内の市立小学校に勤務する40代の女性教諭が、担任するクラスの児童の保護者から再三クレームを受け、不眠症に陥ったなどとして慰謝料500万円を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁熊谷支部(堀禎男裁判官)は28日、教諭の請求を退けた。・・・教諭は、保護者とやり取りする連絡帳に『悪魔のような先生』などと教諭への批判を8回にわたって書かれたことを問題にしていた。」 |
[16] | 星徹「ルポ・新人女性教諭自殺 学校現場に不幸をもたらす『教育改革』」月刊『世界』2007年2月号(第761号)、朝日新聞2010年3月5日「新任教諭自殺は公務災害 『職場の支援不十分』処分覆す」 |
[17] | 東京新聞2012年3月27日「『放置違法』両親が提訴」 |
[18] | 規制改革・民間開放推進会議「文部科学省の義務教育改革に関する緊急提言 〜真に消費者(生徒・保護者)本位の多様で質の高い義務教育体系の実現に向けて〜」(平成16年11月30日) |
[19] | たとえば、池添徳明「ある新人教師の死 分断され孤立化する学校現場」月刊『世界』・2006年4月号。著者は、越谷市立小学校の新任男性教員が自殺した事件を取材し、次のように述べている。「相談に乗って愚痴を聞いてくれるのが、先輩や同僚の教師仲間だったはずだが、そうした『バックアップ体制』がおかしくなっている。教師同士で悩みを共有してフォローし合う関係が崩れてきている。」 |
[20] | 文部科学省通達「平成22年度 教育職員に係る懲戒処分等の状況、服務規律の確保及び教育職員のメンタルヘルスの保持等について」平成23年12月22日 23初初企第87号。「職場内の人間関係の希薄化が指摘されており、日頃から、教育職員が気軽に周囲に相談したり、情報交換したりすることができる職場環境を作るよう、特段の配慮を行うこと。」 |
[21] | たとえば、教員の健康や安全を守る対策として、@数年に一度は教員が担任・主任等を担当しない年度を設ける、A新任・転任教員を担任につけない、B同一年度に人事異動する人数を制限する、などのルール化が考えられる。 |
[22] | 教職員のメンタルヘルス対策検討会議「教職員のメンタルヘルス対策について(中間まとめ)」平成24年10月3日 |
[23] | 久冨善之・佐藤博『新採教師はなぜ追いつめられたのか』高文研(2010年)12頁以下 |
[24] | 産経新聞2012年10月21日「全国学力調査も学校別に公表 大阪・泉佐野市長が意向」 |
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