● 学齢簿および指導要録の取扱について 昭和32年2月25日 文初財第83号
文初財第八三号 昭和三二年二月二五日
各都道府県教育委員会・各都道府県知事・附属学校をもつ各国立大学長あて
文部省初等中等教育局長通達
学齢簿および指導要録の取扱について
小学校および中学校における就学の適正な実施を図るためには、学齢簿の記載、指導要録の作成等が、児童生徒の転入出あるいは入退学の実際と一致して処理される必要があるが、従来これらの取扱上明確を欠く点も見受けられるので、今後、その取扱にあたっては、左記事項に御留意の上、遺漏のないようにお願いします。
なお、貴管内関係機関に対しては、貴職からよろしく御指導願います。
記
一 学齢簿の取扱について
市町村の教育委員会が学齢簿を編製する場合における学齢児童および学齢生徒(以下「学齢児童生徒」という。)の住所の認定については、住民登録法上の住民票に基くべきことは、従来明らかにされているところであるが(昭和二十八年二月二十六日付法務省民事甲第二五二号、文初第一〇四号、法務省民事局長、文部省初等中等教育局長通達)、学齢簿の適正かつ迅速な整備をはかる上から、なお、次の要領によることとされたい。
(1) 市町村の区域内に転住してきた学齢児童生徒について、学校教育法施行令第四条の届出があった場合において、当該児童生徒につき住民票の作製が行われていないときは、住所を確認の上学齢簿に記載するとともに、当該児童生徒の保護者に対し、すみやかに住民登録手続を行うよう指導すること。
(2) 市町村の区域内に転住してきた学齢児童生徒を学齢簿に記載したときは、当該教育委員会は、その旨をすみやかに前住所地の教育委員会に通知するようにされたいこと。
(3) 学齢児童生徒が死亡したときおよび市町村の区域外に転住したことを前項の通知により確認したときは、住民票の消除前においても学齢簿の記載を消除すること。
(4) 学齢児童生徒の居所が一年以上不明であるときは、住民票が消除されるまでの間、その旨を異動事項欄に記入し、学齢簿の編製上、就学義務の猶予または免除のあった者と同様に別に簿冊を編製すること。
(5) 前記の取扱を適正、円滑に行うため、教育委員会は、学齢児童生徒の就学状況について関係学校長とじゆうぶん連絡するとともに、常に住民登録取扱機関と連絡を保ち、児童生徒の転入出の実際と学齢簿の記載とに不一致のないよう努めること。
二 指導要録の取扱について
小学校および中学校における指導要録については、常に児童生徒の在学の実際と一致して整備するため、次の要領によるよう指導されたい。
(1) 入学(転学による入学を含む。)の場合は、次により処理すること。
イ 入学後ただちに指導要録を整備することとし、少なくとも、その際当該児童生徒の氏名および住所を記入すること。
ロ 入学年月日は、公立学校にあっては教育委員会が通知した入学期日、その他の学校にあっては当該学校において通知した入学期日とすること。
ハ 入学期日に出席しない児童生徒については、校長は、すみやかに事情を調査し、他の学校に在学している場合その他当該学校に入学し難い事情があると認める場合には、当該児童生徒の住所地の教育委員会に連絡の上、入学しなかったものとして取り扱うこと。
ニ 転学してきた児童生徒については、校長は、当該児童生徒が入学した旨およびその期日を、すみやかに転学前の学校の校長に連絡すること。
(2) 退学(転学による退学を含む。)の場合は、次により処理すること。
イ 児童生徒が退学したときは、その指導要録は、ただちに別に整理して学校教育法施行規則第一五条第二項により保存するとともに、転学による退学の場合は、同規則第一二条の三第三項に定める手続をとること。
この場合において、児童生徒の退学については、次によって処理すること。
(a) 転学による退学の場合は、当該児童生徒は、転学先の学校へ入学した日の前日をもって退学したものとすること。
(b) 学齢(満一五歳に達した日の属する学年の終り)を超過している児童生徒の退学の場合は、校長が退学を認めた日をもって退学したものとすること。
ロ 学校教育法施行令第一〇条の通知は、上記イ(a)にかかわらず、当該児童生徒の保護者から退学の申出があって、校長がこれを認めた日をもって行うものとすること。
ハ 児童生徒の居所が一年以上不明であるときは、在学しないものと同様に取り扱い、その指導要録は、別に整理して保存すること。
ニ 就学義務の猶予または免除があった児童生徒については、当該認可の日をもって、当該学校に在学しないものとして取り扱い、その指導要録は、上記ハと同様の取扱とすること。
(3) 卒業の場合は、校長が卒業を認定した日(原則として三月末であることが適当である。)を卒業年月日とすること。
(4) 上記各項による指導要録の取扱については、校長は、教育委員会と密接に連絡し、学齢児童生徒に係る指導要録の処理が学齢簿の記載の加除訂正と一致して行われるよう留意すること。
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会