● 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の施行について 昭和33年7月31日 文初財第428号



文初財第四二八号 昭和三三年七月三一日
各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて
文部事務次官通達


  公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の施行について


 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三三年法律第一一六号。以下「法」という。)が、本年五月一日公布即日施行され、引き続き同法施行令(昭和三三年六月三〇日政令第二〇二号。以下「政令」という。)および同法施行規則(昭和三三年七月三一日文部省令第一九号。以下「省令」という。)もそれぞれ施行されました。
 この法律は、公立の義務教育諸学校に関し、学級規模と教職員の配置の適正化を図るため、学級編制と教職員定数の標準を明定し、もつて義務教育水準の維持向上に資することを目的としておりますので、その目的達成のために格段の御努力をお願いします。
 法および政令等は、別添のとおりであり、その概要および留意すべき事項は、下記のとおりでありますから、事務処理上遺憾のないようにしてください。
 なお、貴管下各市町村当局に対してこのことを通知し、法および政令等の趣旨を徹底させるよう御配慮願います。

          記

一 概要

(1) 法制定の趣旨

 義務教育諸学校の学級の編制および教職員数の標準については、従来、学校教育法施行規則において、概括的に規定されていたが、今回、公立の義務教育諸学校について、これを法律によつて詳細に規定した概旨は、都道府県が、学級編制の基準を定め教職員定数を確保するに当つてよるべき基本的な標準を法定し、学級規模と教職員の配置の適正化を図り、もつて義務教育水準の維持向上に寄与しようとするものであること。したがつて、各都道府県においては、今後、この趣旨にそつて、学級規模の適正化と教職員定数の確保につとめなければならないこと。

(2) 学級編制に関する事項

(イ) 学級編制の標準

 各都道府県ごとの、公立の義務教育諸学校(小学校、中学校、盲学校・聾学校の小学部、中学部)の一学級の児童または生徒の数の基準は、法第三条(同学年の児童または生徒を四以下の学級に編制する場合にあつては政令第一条)に定める編制の原則ならびに学校種類および学級編制の区分に応ずる数(以下「標準数」という。)を標準として、都道府県の教育委員会が定めるものであること。ただし、小学校および中学校について法施行の際現にこの標準数をこえる数を基準としている都道府県にあつては、そのこえる期間に限り、暫定的に標準となるべき数(政令附則第二項、附則第三項、附則第五項および附則第六項による数。以下「暫定標準数」という。)が、標準数に代るものとして、適用されること。(法第二条第一項、第三条、附則第二項、政令第一条、附則第二項、附則第三項、附則第五項、附則第六項)

(ロ) 学級編制およびその認可

 公立義務教育諸学校の学級編制は、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が、都道府県の教育委員会の定める基準に従つて行うものとし、市町村の教育委員会にあつては、毎学年、あらかじめ、学級編制について、都道府県の教育委員会の認可を受けなければならないこと。学級編制の変更についても、同様に認可を受けなければならないこと。(法第五条、第六条)

(ハ) 文部大臣の意見の聴取

 都道府県の教育委員会が、学級編制の基準を定めるに当り、標準数に五人を加えた数(同学年の児童または生徒を四以下の学級に編制する場合にあつては五五人)をこえる数によろうとするときは、毎学年の初めから二カ月前までに、学級編制の基準に関する意見申請書を文部大臣に提出し、その意見をきかなければならないこと。ただし、昭和三三年度においては、小学校の同学年の児童で編制する学級の一学級の児童の数の基準を六〇人をこえる数によつて定めている都道府県は、政令の施行の後すみやかに意見を求めなければならないこと。(法第四条、政令第二条、第三条、附則第四項、附則第七項)

(3) 教職員定数に関する事項

(イ) 教職員定数の標準

 各都道府県ごとの、公立義務教育諸学校に置くべき教職員(校長、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、常勤の講師、寮母および事務職員)の総数(以下「定数」という。)は、法(小学校の同学年の児童で編制する学級で一学級の児童の数が五五人をこえるものについては政令の規定による補正を含む。)の規定により、学校の種類別に算定した数をそれぞれ標準とすること。ただし、法施行の際、現に小学校または中学校におかれている教職員の総数(以下「現員」という。)が、定数に満たない都道府県については、その満たない間に限り、政令で定める暫定的に標準となるべき数(以下「暫定定数」という。)が定数に代るものとして適用されること。この定数、暫定定数および現員には、休職者および産前産後の休暇のため臨時的に任用される者(以下「産休代員」という。)を含まないものとすること。(法第二条、第七条、第八条、第九条、第一〇条、附則第三項、附則第四項、政令附則第八項、附則第九項)

(ロ) 文部大臣の勧告

 現員が定数を著しく下る都道府県に対しては、文部大臣は、あらかじめ自治庁長官に通知して、教職員の増員について必要な勧告をすることができること。(法第一一条)

(ハ) 現員が定数をこえる場合の経過措置

 法施行の際、現員が定数をこえ、かつ、現に小学校または中学校の学級編制の基準が、標準数をこえている都道府県にあつては、現員が定数をこえる範囲まで、学級規模の適正化を行うものとすること。(法附則第五項)

二 留意すべき事項

(1) 学級編制に関する事項

(イ) 学級編制の標準の意義

 法に定める学級編制の標準は、およそ都道府県が学級編制の認可のための基準を定めるに当つて守るべき標準であり、標準数をこえて基準を定めている都道府県ができるだけ早くこれに達するよう、学級規模の適正化を図るための目標であること。

(ロ) 同学年の児童生徒を四以下の学級に編制する場合の標準

 同学年の児童または生徒を四以下の学級に編制する場合の標準数が、政令において幅をもつて定められているのは、特に、小規模な不経済学級の発生を防止する趣旨であるから、基準を定めるに当つては、この点についてじゆうぶん考慮されたいこと。

(ハ) 暫定標準数

 小学校および中学校の暫定標準数については、おおむね五年計画で標準数に達するよう、毎年度、改訂を加えてゆく予定であるから、暫定標準数の適用を受ける都道府県にあつては、この計画に準じおおむね五年以内に、漸次標準数に達することができるよう、年次計画を樹て、学級編制の基準の適正化を図ることが必要であること。また、政令附則第三項および第六項の暫定標準数の適用を受ける都道府県にあつては、文部大臣の意見を求める必要はないが、来年度以降において、現在の基準をこえる基準を定めることは許されないので、逐次、標準数に達するようにつとめなければならないものであること。

(ニ) 昭和三十三年度における文部大臣に対する意見申請

 小学校の同学年の児童で編制する一学級の児童の数の基準を六〇人をこえる数によつて定めている都道府県にあつては、すみやかに、省令に規定する意見申請書を提出するものとすること。小学校の同学年の児童で編制する場合以外の学級編制にあつてはそれぞれの編制区分に応ずる標準数に五を加えた数、中学校において同学年の生徒を一学級に編制する場合にあつては五五人、同学年の生徒で編制する場合以外の学級編制にあつてはそれぞれの編制区分に応ずる標準数に五を加えた数をこえる数によって基準を定めている都道府県にあっても、上記の場合に準じて、意見申請書を提出されたいこと。

(ホ) 学級編制の認可

 都道府県の行う学級編制の認可は、各学校ごとの学級数およびその一学級当りの収容予定定員の上限の数(一学級の基準児童生徒数)について行うものとし、変更の認可もこの部分に係るものについて行うものとすること。
 従来行われた学級編制の認可は、教職員定数配分の基礎という見地に重点がおかれがちであり、また認可学級数と実学級数が必らずしも一致しない場合もみられたが、今後、認可に際しては、学級規模適正化の見地からの配慮を加え、認可学級と実学級の内容が一致するように留意されたいこと。

(2) 教職員定数に関する事項

(イ) 定数の意義

 法に定める定数は、各学校ごとまたは職種ごとの教職員の数ではなく、都道府県単位の学校の種類ごとの標準的な教職員の総数であること。また、この定数は、年間を通じて固定されたものでなく、学校の設置廃止、学級数および児童生徒数の増減等に応じて常時確保されるべき教職員の総数であること。したがって、冬期分校を置く場合には、当該期間の定数が、当該分校の数および学級の数に応じて増加するものであること。

(ロ) 定数の範囲

 この定数には、休職者および産休代員等の予備定員が含まれていないので、これらについては、別途予算上の定員が確保されるよう措置されたいこと。充て指導主事、組合専従者および長期研修生等の教職員は、この定数に含まれるものであること。

(ハ) 定数算定の基準

 定数の算定に当っては、学校数は、本校および分校をそれぞれ一の学校として取り扱い、学級数は実学級の数によること。

(ニ) 暫定定数

 小学校および中学校の教職員の暫定定数については、おおむね五年計画で定数に達するよう、毎年度、改訂を加えてゆく予定であるので、暫定定数の適用を受ける都道府県にあっては、この計画に準じおおむね五年以内に、定数に達することができるよう、年次計画を樹て教職員数の確保を図ることが必要であること。

(ホ) 定数に対する財政上の保障

 この定数または暫定定数は、地方交付税法の一部を改正する法律(昭和三三年法律第一一七号)により、都道府県教育費の小学校費および中学校費の測定単位として用いられること。また、定数の枠外とされている休職者および産休代員については、二%割高に単位費用が定められることによってその給与費相当の分が基準財政需要額に見込まれていること。


別表(略)



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