● 学生・生徒に対する旅客運賃割引制度の改正について 昭和33年10月10日 国大第273号



国大第二七三号 昭和三三年一〇月一〇日
各都道府県知事・各都道府県教育委員会・各国公私立大学長・各国公私立短期大学長・各国立高等学校長あて
文部事務次官通達


    学生・生徒に対する旅客運賃割引制度の改正について

 このたび、旅客及び荷物運送規則の改正ならびに学校・救護施設取扱規程の制定に伴い、学生・生徒に対する旅客運賃割引制度のうち、主として下記事項について改正され、昭和三三年一〇月一日から実施されることになりましたのでお知らせします。
 つきましては、この趣旨を関係者に徹底するよう特に御配慮をお願いします。
 なお、昭和二七年七月一日付文福第三号の一〇文部事務次官通知「学生生徒通学定期及び学生生徒旅客運賃割引証交付範囲について(通知)」は、昭和三三年九月三〇日限り廃止いたします。
 おつて、改正の様式等の詳細については、昭和三三年九月二四日付官報号外第七一号および第七二号を御参照ください。

          記

1 旅客および荷物運送規則関係

(1) 学校学生生徒旅客運賃割引証(以下「学割証」という。)の様式が一部改正された。ただし、すでに交付してある学割証は、当分の間有効として取扱われる。(規則第二九条)

(2) 身分証明書には本人の写真を貼付することとなつた。ただし、中学校、小学校、幼稚園ならびに盲学校、ろう学校、養護学校の中学部、小学部および幼稚部の生徒、児童および幼児については貼付しないことができる。
 なお、実施時期は、昭和三四年四月一日からとされた。

(3) 通学定期乗車券の購求について、従来は通学証明書と同時に定期乗車券発行申込書の提出を必要としていたが、今後は通学証明書のみで購求できることになつた。(規則第三六条)

2 学校・救護施設指定取扱規程関係

 学校・救護施設指定取扱規程が新たに制定され、つぎの事項等について明示された。

(1) 通学定期および学割証の交付範囲(指定学校)が明示された。(規程第二条)

(2) 従来、指定を受けられなかつた高等学校の通信教育の課程は、今後、日本国有鉄道の指定を受けて、指定学校となることができるようになつた。(規程第二条)
 なお、通信教育による学生・生徒の学割証使用期間は、面接授業または試験期間の初日の一〇日前から終了日の五日後までの期間である。

(3) 学割証・通学証明書および身分証明書の発行方法および発行出納簿・発行台帳の整備等について明示された。(規程第一五条・一六条・一九条・二〇条)

(4) 日本国有鉄道において行う私立の各種学校に対する指定は、指定期間を二年と限定することになつた。ただし、年度途中で指定を受けた場合の期限は翌年度末までとされる。(規程第六条)

(5) 指定をうけた私立の各種学校は、日本国有鉄道に対し、年二回、生徒数・学割証および通学証明書の発行枚数を報告することになつた。(規程第三四条)

(6) 実習用通学定期乗車券の発売についての申請手続が明示された。(規程第一七条)


参考条文

旅客及び荷物運送規則

(通学定期乗車券の発売)

第三十六条 指定学校の学生・生徒・児童又は幼児が、鉄道営業キロ程一〇〇キロメートル以内の鉄道区間、宇野・高松間航路、宮島口・宮島間航路、大畠・小松港間航路及び下関・門司港間航路又は自動車線キロ程五〇キロメートル以内の自動車線区間並びにこれらの区間にまたがつて通学のため、常時三等によつて区間及び経路を同じくして順路によつて乗車船する場合で、その在籍する指定学校の代表者において必要事項を記入して発行した通学証明書を提出したときは、旅客の居住地もより駅と在籍指定学校もより駅との相互間について通学定期乗車券を発売する。

 2 3 4 省略

(通勤定期乗車券及び通学定期乗車券の効力)

第百七十条 通勤定期乗車券(自動車線内各駅相互発着となるものを除く。)は、勤務先又は在籍校代表者の通学定期乗車券は、その通学する指定学校の代表者のそれぞれ発行した次の各号の様式による身分証明書を携帯する場合に限つて有効とする。但し、第三十五条第四項の規定により指定学校以外の学校の学生又は生徒に発売した通勤定期乗車券を使用する場合の身分証明書は、便宜、通学定期乗車券用身分証明書によることができる。
(一) 省略
(二) 通学定期乗車券用身分証明書

(様式略)

2 官公庁・会社・学校等においてその代表者が発行した身分証明書又は学生証で、前項に規定する様式に準ずるものは、同項の身分証明書に代用することができる。

3 省略

学校・救護施設指定取扱規程

(指定学校等の定義)

第二条 この規程において「指定学校」とは、次の各号の一に該当する学校をいう。

(一) 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条の規定による小学校・中学校・高等学校・大学・盲学校・ろう学校・養護学校及び幼稚園並びに琉球教育法(一九五二年琉球列島米国民政府布令第六十六号)第四章及び第十四章の規定による幼稚園・小学校・中学校・高等学校・盲学校・ろう学校及び琉球大学。但し、通信による教育を行う学校の通信教育部にあつては、国鉄の指定を受けた学校に限る。
(二) 前号以外の国公立の学校であつて、国鉄の指定を受けた学校
(三) 学校教育法第八十三条の規定によつて設立した私立学校であつて、国鉄の指定を受けた学校

2 この規程において、「指定学校の学生・生徒・児童又は幼児」とは、指定学校に在学して、通常の教育課程の教育を受ける者をいう。

(注) 通常の教育課程には、高等学校の大学受験のために行う補習科、専攻科又は別科として認可を受けないで専攻科又は別科に準ずる教育を行う部科、新制大学の研究科(大学院の研究科を除く。)又は学則上に定めてある研究生・専攻生・聴講生・委託生等学校教育法に規定していない部科の教育課程は含めない。

(指定学校としての指定条件)

第三条 前条第一項第一号但書及び第二号の学校についての指定学校としての指定は、設立の告示があつた学校であつて、次の各号の条件を具備し、且つ、国鉄が適当と認めたものについて行う。
(一) 修業期間は、連続して十二箇月以上となつていること。
(二) 授業時数は、一年間は七〇〇時間以上を基準として定めていること。
(三) 生徒の部科別の定員は、四〇人以上となつていること。但し、特殊な教育を行う学校の部科にあつては、二〇人以上とする。
(四) 教育課程及び生徒数に応じた必要数の教員が置かれていること。但し、その最低は、三人とする。
(五) 入学期又は卒業期は、年二回以内であつて、固定していること。但し、特殊な教育を行う学校にあつては、年三回までとする。
(六) 学則に定めている入学期又は卒業期以外の月に入学させ、又は卒業させていないこと。
(七) 一週間の授業日数は五日以上、一週間の授業時数は十八時間以上となつていること。
(八) 短期修業又は一部学科の専修を認めないこと。

2 前条第一項第三号の学校についての指定学校としての指定は、監督庁の認可又は指定の日、開校の日のいずれの日からも一箇年を経過している学校であって、前項各号の条件を具備し、且つ、国鉄が適当と認めたものについて行う。

(指定期限の限定)

第六条 第二条第一項第三号に規定する指定学校としての指定は、期限を限定して行う。

(実習用通学定期乗車券の発売についての申請)

第十七条 指定学校の代表者は、学生又は生徒に学習単位を習得させるため、在籍校所在地と異なる場所にある学校の運動場・工作場・農場・実験場又は実習場に通学定期乗車券によって通わせるときは、次の各号に掲げる事項を記載した実習用通学定期乗車券発売申請書を、実習先もより駅の駅長を経由して、鉄道管理局長に提出し、その承諾を受けるものとする。
(一) 実習を必要とする事由
(二) 実習科目及び指導教員の氏名
(三) 実習先の所在地及び名称
(四) 実習期間
(五) 実習先もより駅
(六) 実習のため通学する学生又は生徒の部科・学年・氏名・年齢及び現住所

(学生・生徒数並びに学割証及び通学証明書発行枚数調の提出)

第三十四条 第二条第一項第三号の規定による指定学校の代表者は、在籍する学生・生徒数並びに学割証及び通学証明書の発行枚数を、指定部科別・月別に区分して調査した書類を、次により学校所在地もより駅を所管する鉄道管理局長に提出するものとする。

四月一日から九月三十日までのもの 十一月三十日まで
十月一日から翌年三月三十一日までのもの 五月十三日まで




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