● 道徳の読み物資料について 昭和40年1月30日 文初初85
昭四〇、一、三〇 文初初八五
各都道府県教育委員会教育長、都道府県知事あて
文部省初等中等教育局長通知
道徳の読み物資料について
児童生徒の道徳的な判断力や心情を養い、実践的な意欲をつちかうために、学校における道徳の時間において、適切な読み物資料が使用されることが望ましいと思います。
そこで、現在、小学校および中学校の道徳の時間に使用されている各種の道徳の読み物資料について、その内容の改善、充実をはかり、より適切なものが使用されるようにするため、文部省においては、かねてから学識経験者などの協力を得て調査研究を進めてきましたが、このたび、別紙のように道徳の読み物資料の具備すべき要件をまとめましたのでお知らせします。
ついては、各都道府県教育委員会におかれては、公立の小学校または中学校の道徳の時間において使用される道徳の読み物資料について、各小学校または中学校を所管する市町村教育委員会が承認を与える場合に、この要件を参考として確認するなど、適切な読み物資料が選択使用されるよう、貴管下の市町村教育委員会に対して御指導くださるようお願いします。
また、各都道府県知事におかれては、管下の私立の小学校および中学校に対して、この要件を参考とし、道徳の時間において適切な読み物資料が選択使用されるよう、その周知方についてよろしくお取り計らい願います。
文初初第八五号
昭和四〇年一月三〇日
付属小学校および中学校を置く
各国立大学長 殿
文部省初等中等教育局長
福 田 繋
道徳の読み物資料について(通知)
児童生徒の道徳的な判断力や心情を養い、実践的な意欲をつちかうために、学校における道徳の時間において、適切な読み物資料が使用されることが望ましいと思います。
そこで、現在、小学校および中学校の道徳の時間に使用されている各種の道徳の読み物資料について、その内容の改善、充実をはかり、より適切なものが使用されるようにするため、文部省においては、かねてから学識経験者などの協力を得て調査研究を進めてきましたが、このたび、別紙のように道徳の読み物資料の具備すべき要件をまとめましたのでお知らせします。
ついては、貴大学付属の小学校および中学校において、この要件を参考とし、道徳の時間において適切な読み物資料が選択使用されるようお取り計らい願います。
別紙
道徳の読み物資料の具備すべき要件
1 道徳の読み物資料は、小学校学習指導要領または中学校学習指導要領に示されている道徳の「目標」および「内容」を達成するように、適切に編集されていなければならない。
2 道徳の読み物資料の題材の内容としては、特定の編集方針によつて編集されたもの (たとえば、郷土の偉人に関する読み物など)を除き、一般的には、児童生徒の日常生活の中からの具体的な事例や、古今東西にわたる物語、童話、伝記などから、児童生徒にとつて興味があり、感銘を与えるとともに、その思考を深め、豊かな情操を育てるものが選ばれていなければならない。また、それらの題材においては、わが国の文化、伝統に根ざしたものが含まれていることが必要である。
3 道徳の読み物資料は、上記のほか、次の諸点に適合するよう編集されていることが必要である。
(1) 個々の題材について、指導のねらいである道徳的価値が、明確にとらえられるものであること。
(2) 題材の内容および表現が、学年段階に即しており、児童生徒の生活経験からみて適切であること。
(3) 一面的な見方、考え方だけにかたよつた内容や、望ましくない心情、行動を誘発するおそれのある内容を含んでいないこと。
(4) 教訓的な結論を安易に与えるものではなく、児童生徒の思考をいつそう発展させたり、感動を深めたりするものであること。
(5) 誤りや不正確な内容がなく、また、特定の営利企業や商品などの宣伝となるようなおそれのないものであること。
(6) 指導の効果をいつそう高めるためのさし絵、写真、図表などが必要に応じて用いられていること。
(7) 表記が正確であり、印刷、造本などが適切であること。
(備考) 道徳の時間の指導にあたつては、読み物資料を活用するとともに、視聴覚教材の利用、説話、劇化などの諸方法を併用して、その効果を高めるよう配慮することが望ましい。
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会