● 児童生徒の非行の防止について 昭和55年11月25日 文初中第306号
文初中第三〇六号 昭和五五年一一月二五日
各都道府県教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学長あて
文部省初等中等教育局長・文部省社会教育局長通知
児童生徒の非行の防止について
最近児童生徒の非行が依然として増加する傾向にあり、社会的に問題とされる事件が発生していることは誠に遺憾であります。警察庁の調査によると、その特徴として低年齢層の非行の増加率が高いこと、暴走族少年による事件が増加していること、中学生による校内暴力事件が増加していることなどが指摘されています(別添資料参照)。
ついては、児童生徒の非行の防止について、さきに昭和五三年三月七日付け文初中第一三八号「児童生徒の問題行動の防止について」などをもつて御指導をお願いしているところでありますが、更に左記の事項に留意の上、貴管下の関係機関に周知徹底を図り、児童生徒の非行の防止について一層の御指導をお願いします。
記
一 児童生徒が学校教育に不適応を生じて問題行動に走ることがないよう、学校教育活動を適切に行うため十分配慮する必要がある。
(一) 児童生徒に対する指導内容を精選し、指導方法の改善を図り、児童生徒が指導内容について十分理解し、興味・関心をもつて意欲的に取り組むことができるようにすること。また、学校教育活動のあらゆる機会を通じて、児童生徒の個性や能力に応じた指導を行い、その一層の伸長が図られるようにすること。
(二) 組織的、計画的に進路指導を行うとともに、進路相談を重視し、将来に対する目的意識を明確にもつて生徒自らが的確に進路の選択を行うことができるようにすること。
二 児童生徒に対する理解を深め、全教師が一体となつて生徒指導に取り組むことが必要である。
(一) 教師は児童生徒との接触を密にし、児童生徒一人一人について理解を深め、好ましい人間関係が育成されるように努めること。
(二) 全教師が生徒指導の重要性を一層自覚するとともに、教師の間に生徒指導に対する取組方が異なつては児童生徒の問題行動に適切に対応することができないので、全教師が協力する体制を整え、一体となつて積極的に生徒指導に取り組むこと。
また、児童生徒の行動や態度に平素と異なるようなことが見られる場合には、教師は、学級・ホームルーム担任、学年主任、生徒指導主事等との間の連絡を密にし、適切な指導を行うなど問題を早期に解決するようにすること。
(三) 学校は生徒指導に当たる方針を明確にし、これが児童生徒に十分理解されるように努めるとともに、ささいな暴力行為等についても、これを看過することなく、きぜんたる態度をもつて生徒指導に当たること。
三 学校は家庭や地域社会の関係機関等と十分連携をとつて取り組むことが必要である。
(一) 学校は平素より家庭と連絡を密にし、あらゆる機会を生かして学校の指導方針について理解を求めるとともに、生徒の日常の行動についての情報を交換するなどして、学校と家庭とが協力して児童生徒の育成に努めること。
(二) 学校は近隣の学校、地域社会における関係機関・団体と常に密接な連絡をとり、非行の動向や対策などについて情報の交換などを行い、児童生徒の問題行動の把握に努めること。また、児童生徒の非行の防止については、必要に応じて関係機関との連携・協力の下に一体となつてこれに取り組むようにすること。
別添
少年非行の現状(警察庁調査) 略
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会