● 日本育英会法等の施行について 昭和59年8月7日 文高学第243号



文高学第二四三号 昭和五九年八月七日
各国公私立大学長・各国公私立高等専門学校長・各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて
文部事務次官通知


    日本育英会法等の施行について


 このたび、別添のとおり、日本育英会法(昭和五九年法律第六四号。以下「法」という。)及び日本育英会法施行令(昭和五九年政令第二五三号)が、それぞれ昭和五九年八月七日に公布、施行されました。また、同日に、日本育英会が学資の貸与を行う場合の認定の基準及び方法に関する省令(昭和五九年文部省令第四〇号)、日本育英会の業務方法書に記載すべき事項を定める省令(昭和五九年文部省令第四一号)、日本育英会が行う学資金回収業務の方法に関する省令(昭和五九年文部省令第四二号)、日本育英会の財務及び会計に関する省令(昭和五九年文部省令第四三号)、日本育英会が専修学校に在学する者に対し学資の貸与を行う場合の当該者の在学する専修学校の課程を定める省令(昭和五九年文部省令第四四号)及び日本育英会の第一種学資金の返還を免除される職を置く研究所等の指定に関する省令(昭和五九年文部省令第四五号)が、それぞれ公布、施行されました。
 これらの法律等の概要は、左記のとおりでありますから、事務処理に遺漏のないよう願います。
 なお、昭和三九年度より実施されてきた教育特別奨学生制度については、今回の制度改正に伴い、昭和五九年度より廃止されることになりましたので申し添えます。

          記

一 改正の趣旨

 最近における高等教育の普及状況等にかんがみ、従前の一般貸与と特別貸与を一本化して無利子貸与制度を整備し、新たに有利子貸与制度を創設する等日本育英会(以下「育英会」という。)の学資貸与制度を整備改善するほか、育英会の組織、財務等の全般にわたる規定の整備等と法文の平明化を図るため、日本育英会法の全部を改正することとしたものであること。

二 育英会の目的

 育英会は、優れた学生及び生徒であつて経済的理由により修学に困難があるものに対し、学資の貸与等を行うことにより、国家及び社会に有為な人材の育成に資するとともに、教育の機会均等に寄与することを目的とすること(法第一条)。

三 育英会の業務

(一) 育英会は、その目的を達成するため、次の業務を行うこと(法第二一条第一項)。
(一) 学資の貸与
(二) 学資の貸与を受ける学生及び生徒の補導
(三) 修学上必要な施設の設置及び経営
(四) 前三号の業務に附帯する業務

(二) 育英会は、文部大臣の認可を受けて、前記の業務のほか、その目的を達成するため必要な業務を行うことができること(法第二一条第二項)。

四 学資の貸与

(一) 学資として貸与する資金は、無利息の学資金(以下「第一種学資金」という。)及び利息付きの学資金(以下「第二種学資金」という。)とすること(法第二二条第一項)。

(二) 第一種学資金は、特に優れた学生及び生徒であつて経済的理由により著しく修学に困難があるものと認定された者に対して貸与するものとすること。第二種学資金は、大学に在学する優れた学生及び生徒であつて経済的理由により修学に困難があるものと認定された者に対して貸与するものとすること。第一種学資金の貸与を受ける者のうち、その貸与を受けることによつても、なおその修学を維持することが困難であると認定された者に対しては、第一種学資金に併せて第二種学資金を貸与することができること(法第二二条第二項、第三項、第五項)。

五 返還免除制度

 無利子貸与制度の一本化に伴い、特別貸与返還免除制度を廃止するとともに、有利子貸与制度については、死亡・心身障害返還免除制度のみを設けること(法第二三条第三項、第二四条)。

六 育英会の組織・機構

(一) 役員

 育英会に役員として、会長一人、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内を置くこと(法第八条、第九条)。

(二) 評議員会

 育英会に評議員会を置き、一五人以内の評議員で組織すること。評議員会は、会長の諮問に応じ、育英会の業務の運営に関する重要事項について審議し、また育英会の業務の運営につき、会長に対して意見を述べることができること(法第一九条、第二〇条)。

七 財務及び会計

 育英会は、事業計画、予算、借入金について文部大臣の認可を要すること(法第二八条、第三二条)。育英会は、文部大臣の認可を受けて、日本育英会債券を発行できること(法第三二条)。

八 その他

 新制度は、大学院生及び昭和五九年度の入学者から適用することとし、二年生以上については、従前の例によること(法附則第六条)。


別添 略




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