● 公立小・中・高等学校における特別活動の実施状況に関する調査について 昭和60年8月28日 文初小第162号
文初小第一六二号
昭和六〇年八月二八日
各都道府県・各指定都市教育委員会教育長あて
文部省初等中等教育局長(高石邦男)通知
公立小・中・高等学校における特別活動の実施状況に関する調査について
標記のことについては、昭和六〇年四月二六日付け文初小第一六二号をもつて照会したところでありますが、このたび、別添のとおり調査結果をとりまとめましたので、お知らせします。
改めて述べるまでもなく、特別活動は、望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達を図り、個性を伸長するとともに、集団の一員としての自覚を深めることなどを目ざすものであり、児童生徒の人間形成上極めて重要な役割を果しているものであります。
このような特別活動の重要性にかんがみ、今回の調査結果から、次の諸点について改善を図る必要があると考えますので、今後、この点に十分配慮の上、管下の小・中・高等学校に対する御指導をお願いします。
(一) 全体計画について
特別活動の全体計画を作成していない学校があるので、速やかに作成すること。
(二) クラブ活動について
クラブ活動を実施していない学校、あるいは、実施していてもその時間数が少ないものなどが見られるので、これを是正すること。
(三) 学校行事について
ア 入学式及び卒業式において、国旗の掲揚や国家の斉唱を行わない学校があるので、その適切な取り扱いについて徹底すること。
イ 修学旅行及び集団宿泊指導(訓練)については、多くの学校で実施されているところであるが、その計画及び実施に当たつては、それぞれのねらいについて十分検討した上で、目的地、内容、日程等を工夫し、教育的効果を高めるよう努めること。
(四) 学級指導及びホームルームについて
学級指導及びホームルームにおける指導については、児童生徒の実態に即し、生徒指導、道徳教育等との関連を図る面においてまだ不十分と思われるので、その指導上の課題を十分把握し、他の領域における指導との関連に配慮するよう努めること。
なお、特別活動を一層充実するためには、学校の創意を生かすとともに、日ごろから教師による全校的な協力体制の確立に努める必要があることに留意し、今後の御指導に当たられるようお願いします。
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別添
公立小・中・高等学校における特別活動の実施状況に関する調査結果の概要
○ 調査時期 昭和六〇年五月
○ 調査対象 公立小・中・高等学校(全日制)の全校 約三九、〇〇〇校
一 特別活動の計画について
(一) 昭和六〇年度における特別活動の全体計画を作成している学校は、小学校の七六・二パーセント、中学校の七三・四パーセント、高等学校の八二・三パーセントである。そのうち、全体計画について全教師の共通理解が得られていると回答したのは、小学校の六八・四パーセント、中学校の五八・七パーセント、高等学校の七一・三パーセントである。
(二) 昭和六〇年度において、学級会活動に充てることとしている年間授業時数は、小学校で三五単位時間以上(六四・〇パーセント)中学校で一五〜一九単位時間(三八・〇パーセント)とする学校が最も多い。また、学級指導(ホームルーム)に充てることとしている年間授業時数は、小学校で一五〜一九単位時間(三〇・三パーセント)、中学校で二〇〜二四単位時間(三五・三パーセント)、高等学校で三五単位時間以上(七五・五パーセント)とする学校が最も多い。
クラブ活動については、小・中・高等学校いずれも年間三五単位時間以上の授業時数を充てている学校(小七六・四パーセント、中八四・四パーセント、高六五・六パーセント)が最も多い。
(いずれも、小学校は第五学年、中・高等学校は第二学年の場合)
二 特別活動の実施について
(一) 昭和五九年度においてクラブ活動を実施した学校は、小学校の九九・二パーセント、中学校の九八・〇パーセント、高等学校の九八・二パーセントである。これを実施学年についてみると、小学校の八三・六パーセントが第四学年以上を、中学校の九九・五パーセント、高等学校の九六・八パーセントが全学年を対象として行つている。
(二) 昭和五九年度において部活動を実施した学校は、小学校の四五・二パーセント、中学校の九九・五パーセント、高等学校の九九・八パーセントである。これを参加の形態についてみると、小学校では「特定の学年についてのみ全員参加」(四四・二パーセント)、中学校では「原則として全員参加」(六一・九パーセント)、高等学校では「希望者のみ参加」(五七・五パーセント)とするものが最も多い。
(三) 昭和五九年度一年間において学校行事に充てた授業時数は、平均して小学校で九〇・七単位時間、中学校で一〇三・八単位時間、高等学校で一一九・四単位時間である。
(四) 昭和五九年度の卒業式において、国旗を掲揚した学校は、小学校の九二・五パーセント、中学校の九一・二パーセント、高等学校の八一・六パーセントであり、国歌を斉唱したのは、小学校の七二・八パーセント、中学校の六八・〇パーセント、高等学校の五三・三パーセントである。
(五) 昭和六〇年度の入学式において、国旗を掲揚した学校は、小学校の八九・九パーセント、中学校の九〇・二パーセント、高等学校の八一・三パーセントであり、国歌を斉唱したのは、小学校の四六・四パーセント、中学校の六二・三パーセント、高等学校の四九・〇パーセントである。
(六) 昭和五九年度において日曜日又は祝日を含めた日に行事を実施した学校は、学芸会(文化祭)については、小学校の三〇・四パーセント、中学校の三一・三パーセント、高等学校の五九・九パーセントであり、運動会(体育祭)については、小学校の九一・四パーセント、中学校の五八・二パーセント、高等学校の一七・九パーセントである。
(七) 昭和五九年度において修学旅行を実施した学校は、小学校の八四・七パーセント、中学校の九六・五パーセント、高等学校の八九・三パーセントである。これを実施学年についてみると、小学校は第六学年(九七・六パーセント)、中学校は第三学年(八〇・八パーセント)、高等学校は第二学年(九三・八パーセント)が最も多く、宿泊日数についてみると、小学校は一泊(八六・三パーセント)、中学校は二泊(六一・四パーセント)、高等学校は四泊(四六・五パーセント)のものが最も多い。また、目的地の選定に当たつて、「社会見学」に重点を置いた学校は、小学校の九六・二パーセント、中学校の九三・二パーセント、高等学校の七八・二パーセントで最も多い。
(八) 昭和五九年度において集団宿泊指導(訓練)を実施した学校は、小学校の八〇・三パーセント、中学校の七八・〇パーセント、高等学校の六七・二パーセントである。これを実施回数についてみると、小・中・高等学校いずれも一回が最も多く、総宿泊日数についてみると、小・中・高等学校いずれも一〜二泊が最も多い。
(九) 昭和五九年度において地震を想定した避難訓練を一回以上実施した学校は、小学校の八四・七パーセント、中学校の七三・六パーセント、高等学校の五七・八パーセントである。
(一〇) 昭和五九年度において実施した勤労、生産的行事の内容は、小・中・高等学校いずれも「学校内の環境整備や美化に関する活動を中心とする行事」(小八八・八パーセント、中九二・七パーセント、高九三・一パーセント)が最も多く、次いで、小学校では「飼育、栽培に関する活動を中心とする行事」(六三・九パーセント)、中・高等学校では、「地域社会に対する奉仕活動を中心とする行事」(中三九・九パーセント、高三七・八パーセント」となつている。(複数回答)
(一一) 昭和五九年度、小学校の学級指導のうち保健・安全、学校給食などに関する指導以外で最も重点を置いた内容は、「基本的生活習慣の形成に関すること」(七四・七パーセント)が最も多く、次いで「いじめ、仲間はずれを防止するなど友人関係の育成に関すること」(一二・九パーセント)となつている。
(一二) 昭和五九年度、中学校の学級指導における指導で最も重点を置いた内容は、「個人及び集団の一員としての在り方に関すること」(六八・〇パーセント)が最も多く、次いで「学業生活の充実に関すること」(一七・二パーセント)となつている。
(一三) 昭和五九年度、高等学校のホームルームにおける指導で最も重点を置いた内容は、「集団生活の充実に関すること」(三二・三パーセント)が最も多く、次いで「進路の適切な選択決定に関すること」(二四・三パーセント)となつている。
(一四) 昭和五九年度、学級指導(ホームルーム)及び学校行事において行つた健康や安全に関する指導の内容は、小・中・高等学校いずれも「交通安全」(小九七・〇パーセント、中九五・〇パーセント、高九七・五パーセント)が最も多く、次いで、小学校では「性に関する指導」(四五・九パーセント)、中・高等学校では、「喫煙防止」(中五七・七パーセント、高七八・八パーセント)となつている。(複数回答)
(一五) 昭和五九年度における特別活動は学校全体として充実していたと回答した学校は、小学校で二九・〇パーセント、中学校で二七・八パーセント、高等学校で二四・四パーセントであるが、おおむね充実していたと回答したものを含めると、小学校は九四・九パーセント、中学校は九二・九パーセント、高等学校は九二・八パーセントとなる。
三 その他
(一) 今後最も重点的に指導したい特別活動の内容は、小・中学校いずれも「学級指導」(小三二・九パーセント、中三九・四パーセント)が最も多く、次いで、小学校では「学級会活動」(三一・〇パーセント)、中学校では「生徒会活動」(二七・七パーセント)となつている。
また、高等学校では「ホームルーム」(六三・五パーセント)が最も多く、次いで「生徒会活動」(一六・八パーセント)となつている。
(様式 略)
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