● 天皇陛下崩御に際しての弔意奉表について 昭和64年1月7日 国総第7号



国総第七号 昭和六四年一月七日
各国立学校長・各国立大学共同利用機関長・大学入試センター所長・各公私立大学長・放送大学長・各公私立高等専門学校長・文部省各施設等機関長・日本ユネスコ国内委員会長・日本学士院長・文化庁各施設等機関長・日本芸術院長・各都道府県教育委員会・各都道府県知事あて
文部事務次官通知


    天皇陛下崩御に際しての弔意奉表について


 天皇陛下の崩御に際しての弔意奉表については、昭和六四年一月七日別添のとおり閣議決定されるとともに、内閣総理大臣謹話及び文部大臣謹話が出されました。
 ついては、貴機関及び貴管下の学校その他の施設等機関においても左記の方法により哀悼の意を表することが適当と思われますのでよろしくご配慮をお願いします。
 なお、都道府県教育委員会にあっては、管下の教育委員会に対しよろしく周知方お願いします。

          記

一 崩御当日を含め六日間、弔旗(半旗掲揚の慣行のあるところでは半旗)を掲揚するとともに、公の行事、儀式その他の行事等であって、歌舞音曲を伴うものは、これを差し控えること。これらの行事等を実施する場合においても、弔意表明及び適切な運営について十分配慮すること。

二 このほか、崩御当日又は学校の始業日等適当な日において、適切な方法により弔意の表明を行うものとすること。この場合、小学校、中学校、高等学校、特殊教育諸学校及び幼稚園においては、例えば、教職員、児童生徒等が一堂に会して黙祷を行うこと、児童生徒等に対し講話等を行うこと、これらに伴い授業を行わないこととすること等その方法につき実情に応じ適切なものとなるよう配慮すること。大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校においても、弔意表明の方法につき実情に応じ適切なものとなるよう配慮すること。

三 また、貴管下の学校その他の施設等機関以外の関係団体についても、崩御当日を含め二日間前記一と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を要望すること。



◎ 別添

一 天皇陛下崩御に際しての弔意奉表について
(昭和六四年一月七日閣議決定)

二 内閣総理大臣謹話

三 文部大臣謹話

◎ 参考資料

・ 大喪中ノ国旗掲揚ノ件(大正元年七月三〇日閣令第一号)


別添一

天皇陛下崩御に際しての弔意奉表について
(昭和六四年一月七日)
(閣議決定)

 天皇陛下崩御に際して、哀悼の意を表するため、各省庁においては、左記の措置をとるものとする。

     記

一 崩御当日を含め六日間、弔旗を掲揚すること及び公の行事、儀式その他の行事等であつて、歌舞音曲を伴うものについては、これを差し控えること。

二 地方公共団体に対しても、崩御当日を含め六日間、前項と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を要望すること。

三 地方公共団体以外の公署、会社、その他一般においても、崩御当日を含め二日間、第一項と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を要望すること。


別添二

内閣総理大臣謹話

 大行天皇崩御の悲報に接し、誠に哀痛の極みであります。御快癒への切なる願いもむなしく、申し上げるべきことばもありません。
 天皇皇后両陛下、皇太后陛下を始め皇族各殿下、御近親の方々のお悲しみはいかばかりかと、お察しするに余りあります。
 大行天皇におかせられましては、御年二十歳で摂政に御就任、御年二十五歳で皇位を御継承になり、その御在位は六十二年の長きにわたらせられました。顧みれば、昭和の時代は、世界的な大恐慌に始まり、悲しむべき大戦の惨禍、混乱と窮乏極まりなき廃墟からの復興と真の独立、比類なき経済の成長と国際国家への発展と、正に激動の時代でありました。
 この間、大行天皇には、世界の平和と国民の幸福とをひたすら御祈念され、日々実践躬行してこられました。お心ならずも勃発した先の大戦において、戦禍に苦しむ国民の姿を見るに忍びずとの御決意から、御一身を顧りみることなく戦争終結の御英断を下されたのでありますが、このことは、戦後全国各地を御巡幸になり、廃墟にあつてなす術を知らなかつた国民を慰め、祖国復興の勇気を奮い立たせて下さつたお姿とともに、今なお国民の心に深く刻み込まれております。
 爾来、我が国は、日本国憲法の下、平和と民主主義の実現を目指し、国民のたゆまぬ努力によつて目ざましい発展を遂げ、国際社会において重きをなすに至りました。
 これもひとえに、日本国の象徴であり、国民統合の象徴としてのその御存在があつたればこそとの感を一入強く抱くものであります。
 大行天皇の仁慈の御心、公平無私かつ真摯誠実なお姿に接して感銘を受けなかつた者はありません。その御聖徳は、永久に語り継がれ、人々の心の中に生き続けるものと確信いたします。
 新陛下におかせられましては、この清き明かき御心を継承しつつ、国民とともに歩む皇室を念願され、既に、これまでも内外各分野において種々お務めいただいているところであります。この度の御即位により、皇室と国民とを結ぶ敬愛と信頼の絆が、益々強く揺るぎないものとなるとともに、諸外国との友好親善も更に深まることを念願してやまない次第であります。
 癒す術のない悲しみを胸に、ここに、国民とともに、衷心より哀悼の意を表するものであります。


別添三

文部大臣謹話

 大行天皇の崩御の報に接し、悲しみは限りなく、ここに謹んで哀悼の誠を捧げるものであります。
 大行天皇におかれましては、六十二年の長きにわたり、平和と福祉を念願し、国民とともに歩んでこられました。昭和の御世は、正に激動の時代でありましたが、この多端の間、国民は大行天皇の常に変わらぬ温容を拝して、心のよりどころとし、励ましとやすらぎを覚えてまいりました。
 大行天皇は、教育、学術、文化、スポーツの分野にも深い御関心と御理解を寄せられ、自ら生物学の御研究を進められてすぐれた御功績をあげられるとともに、数多くの文教施設の御視察、国民体育大会や日本学士院・日本芸術院の授賞式などへの御臨席等を通じ、常に関係者に等しく温かいお励ましの御心をお示し下さつたところであります。
 文教に関係する者にとりまして特に敬愛と感謝の念の深い大行天皇の崩御に際し、重ねて心からの弔意を表したく存じますが、各学校及び各文教関係機関にあつても衷心から弔意を奉表することとしたいと存じ、その旨各機関に通知することとしております。
 その内容は、適切な方法により弔意の表明を行うこと、及び、本日を含め六日間、弔旗を掲揚するとともに、公の行事、儀式その他の行事であつて歌舞音曲を伴うものは差し控えることとし、これらの行事を実施する場合においても弔意表明及び適切な運営について十分配慮することなどであります。
 また、関係民間団体等にあつても、本日を含め二日間これらと同様の方法により哀悼の意を表するよう協力方を求めるものであります。
 ここに、教育、学術、文化、スポーツ関係者は心に一にして謹んで弔意を奉表する次第であります。

〔参考〕

大喪中ノ国旗掲揚方ノ件
(大正元年七月三十日)
(閣令第一号)

 大喪中国旗ヲ掲揚スルトキハ竿球ハ黒布ヲ以テ之ヲ蔽ヒ且旗竿ノ上部ニ黒布ヲ附スヘシ其ノ図式左ノ如シ
(図略)




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