● 教育職員免許法の一部を改正する法律等の公布について(免許状の弾力化) 平成10年6月25日 文教教第234号



文教教第二三四号 平成一〇年六月二五日
各都道府県知事・各都道府県・指定都市教育委員会・各国公私立大学長・各国立短期大学部学長・各指定教員養成機関の長・国立特殊教育総合研究所長あて
文部事務次官通知


    教育職員免許法の一部を改正する法律等の公布について


 このたび、別添のとおり、「教育職員免許法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が、平成一〇年六月一〇日法律第九八号をもって公布され、平成一〇年七月一日から施行されることとなりました。また、これに伴い、「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」(以下「改正規則」という。)が平成一〇年六月二五日文部省令第二八号をもって公布され、平成一〇年七月一日から施行されることとなりました。
 今回の改正の趣旨、要点及び留意事項は、左記のとおりですので、各位におかれては、これを踏まえ、適切な事務処理をお願いします。
 なお、各都道府県・指定都市教育委員会にあっては、貴管下の関係者に対して、今回の改正の趣旨を徹底されるように願います。

          記

I 改正の趣旨等

 今回の改正の趣旨は、教育職員養成審議会の答申を受けて、教員の資質の保持と向上を図るため、普通免許状の授与を受けるために大学等において修得することを必要とする単位数を改めるとともに、学校教育における社会人の一層の活用の促進を図るため、特別免許状を授与することができる教科及び教員免許状を有しない者を非常勤の講師に充てることができる事項の範囲を拡大する等、大学における教員養成の改善及び免許制度の弾力化等を図るものであること。

II 改正の要点

一 各相当学校の教員の免許状を有しない非常勤の講師について

@ 免許状を有しない者を非常勤の講師に充てることができる事項について、小学校における国語、社会、算数、理科、生活及びクラブ活動並びに盲学校、聾学校又は養護学校における国語等の各教科及び特殊の教科等の領域の一部に係る事項を新たに加えるとともに、その手続きを授与権者の許可から授与権者への届出に改めること。(改正法による改正後の教育職員免許法(昭和二四年法律第一四七号。以下「新法」という。)第三条の二及び四条並びに改正規則による改正後の教育職員免許法施行規則(昭和二九年文部省令第二六号。以下「新規則」という。)第六五条の八関係)

A 免許法第三条の二第二項に規定する届出について定めること。(新規則第六五条の九関係)

二 特別免許状を授与することができる教科について、小学校における国語、社会、算数、理科及び生活並びに盲学校、聾学校又は養護学校における特殊の教科以外の教科を新たに加えるとともに、特別免許状の有効期間を三年以上一〇年以内から五年以上一〇年以内に改めること。(新法第四条、第九条及び附則第一九項関係)

三 盲学校、聾学校又は養護学校において、精神薄弱者に対し特殊の教科以外の教科の教授又は実習を担任する教諭又は講師は、盲学校、聾学校又は養護学校の教諭の普通免許状のほか、小学校、中学校、高等学校及び幼稚園(以下「小学校等」という。)のいずれかの学校の教諭の普通免許状を有する者であれば足りることとすること。(新法第一七条の三関係)

四 養護教諭の免許状を有し三年以上の勤務経験がある者で、現に養護教諭として勤務しているものは、当分の間、その勤務する学校において保健の教科の領域に係る事項の教授を担任する教諭又は講師となることができることとすること。(新法附則第一八項及び新規則附則第三三項関係)

五 新法別表第一及び別表第二に規定する、普通免許状の授与を受けるために大学において修得することを要する科目の単位数を改めるとともに、これに伴い、以下の科目の単位の修得方法を改めること。(新法別表第一及び別表第二関係)

@ 新法別表第一に規定する小学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第二条関係)

A 新法別表第一に規定する中学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第三条関係)

B 新法別表第一に規定する高等学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第四条関係)

C 新法別表第一に規定する幼稚園教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教科に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第五条関係)

D 新法別表第一に規定する小学校等の教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教職に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第六条関係)

E 新法別表第一に規定する小学校等の教諭の一種免許状又は二種免許状の授与を受ける場合の教科又は教職に関する科目の単位の修得方法を定めること。(新規則第六条の二関係)

F 新法別表第一に規定する盲学校、聾学校又は養護学校の教諭の普通免許状の授与を受ける場合の特殊教育に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第七条関係)

G 新法別表第二に規定する養護教諭の普通免許状の授与を受ける場合の養護に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第九条関係)

H 新法別表第二に規定する養護教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教職に関する科目の単位の修得方法を改めること。(新規則第一〇条関係)

I 新法別表第二に規定する養護教諭の一種免許状又は二種免許状の授与を受ける場合の養護又は教職に関する科目の単位の修得方法を定めること。(新規則第一〇条の二関係)

J 小学校、中学校、幼稚園、盲学校、聾学校若しくは養護学校の教諭の二種免許状又は養護教諭の二種免許状を有する者等が新法別表第一又は別表第二の規定によりそれぞれの一種免許状の授与を受ける場合の単位の修得方法を定めること。(新規則第一〇の三条関係)

K 大学に入学した者が入学する前の大学において修得した単位のうち、大学設置基準(昭和三一年文部省令第二八号)第三〇条第一項又は短期大学設置基準(昭和五〇年文部省令第二一号)第一六条第一項の規定により当該大学において修得したものとみなされるものについては、当該大学が有する認定課程に係る普通免許状の授与を受けるための科目の単位に含めることができることとすること。(新規則第一〇条の四第一項関係)

L 他の大学で修得した科目の単位のうち、大学設置基準第二八条又は短期大学設置基準第一四条の規定により当該大学において修得したものとみなされるものについては、当該大学が有する認定課程に係る普通免許状の授与を受けるための科目の単位に含めることができることとすること。(新規則第一〇条の四第二項関係)

M 新法別表第一備考第四号に規定する文部省令で定める科目の単位に、外国語コミュニケーション二単位及び情報機器の操作二単位を加えること。(新規則第六六条の五関係)

N 新法別表第一備考第五号ロの規定により免許状の授与の所要資格を得させるための教科に関する科目として適当であると認める科目の単位に含めることができる短期大学の専攻科等の単位数を改めること。(新規則第六六条の六関係)

六 新法別表第三に規定する、普通免許状の授与を受けるために大学等において修得することを要する科目の単位数を改めること。

@ 新法別表第三に規定する、小学校等の普通免許状の授与を受ける場合の単位の修得方法を改めること。(新規則第一一条関係)

A 新法別表第三の規定により小学校等の普通免許状の授与を受けようとする者が、同表備考第五号の規定により一〇単位の修得単位をもって足りる場合における単位の修得方法を改めること。(新規則第一三条関係)

B 新法別表第三の規定により小学校等の一種免許状の授与を受ける場合に含めることができる文部大臣が別に定める短期大学の専攻科の単位の限度を改めること。(新規則第一四条の二関係)

七 新法別表第四に規定する他の教科の普通免許状の授与を受けるために修得することを要する科目の単位数を改めるとともに、新法第一六条の四に規定する免許状を有する者が第六条別表第四の規定により高等学校の普通免許状の授与を受ける場合に修得したものとみなす単位数を改めること。(新法別表第四及び新規則第一五条関係)

八 新法別表第六に規定する、養護教諭の普通免許状の授与を受ける場合の単位の修得方法を改めるとともに、一種免許状の授与を受ける場合に含めることができる文部大臣が別に定める短期大学の専攻科の単位の限度を改めること。(新規則第一七条及び第一七条の二関係)

九 一種免許状の授与の基礎資格について、学士の学位を有することには文部大臣がこれと同等以上の資格を有すると認めた場合を含むものとし、学校教育法施行規則(昭和二二年文部省令第一一号)第七〇条第一項第四号の規定により大学院等への入学に関し大学を卒業した者と同等以上と認められる場合とすること。(新法別表第一備考第二号の二及び別表第五備考第一号の二並びに新規則第六六条の三及び第六八条の二関係)

一〇 高等学校教諭以外の教諭の一種免許状の授与を受けるために修得することを必要とする科目の単位は、学位規則(昭和二八年文部省令第九号)第六条の規定により学位授与機構が定める要件を満たす短期大学の専攻科においても修得することができることとすること。(新法別表第一備考第八号及び別表第二備考第四号並びに新規則第二二条の二関係)

一一 新法別表第一備考第五号の規定による認定課程に関する規定を改めること。

@ 免許法別表第一備考第五号ロの規定により課程の認定を受けようとする大学が提出する書類等について改めること。(新規則第二一条関係)

A 免許法別表第一備考第八号の規定による短期大学の専攻科で文部大臣が指定するものが開設する科目について定めるとともに、課程の認定を受ける大学が開設する科目に、大学設置基準第二八条第一項又は短期大学設置基準第一四条による他の大学の授業科として開設される教職に関する科目を、その単位数の三割を超えない範囲で含むことができることとすること。(新規則第二二条関係)

一二 施行期日に関する事項

@ 改正法及び改正規則は、平成一〇年七月一日から施行すること。(改正法附則第一項及び改正規則附則第一項関係)

A 改正法施行の際、現に改正前の教育職員免許法(以下「旧法」という。)第三条第二項ただし書の規定による許可を受けている者については、平成一〇年七月一日に、新法第三条の二第二項の規定による届出をしたものとみなすこと。(改正法附則第二項関係)

B 改正法施行の際、現に旧法第五条第二項の規定により特別免許状の授与を受けている者の当該特別免許状の有効期間については、新法第九条第二項の規定にかかわらず、従前の例によること。(改正法附則第三項関係)

C 新法の施行後も、旧法別表第一備考第五号イに基づく課程の認定、旧法別表第一備考第三号の規定による教員養成機関の指定及び旧法第五条第一項の規定による養護教諭養成機関の指定(以下「旧法による課程認定等」という。)は、旧法による課程認定等として引き続き効力を有すること。(改正法附則第四項関係)

D 文部大臣は、新法の施行後も平成一一年三月三一日までは、旧法による課程認定等を行うことができること。これにより、大学は、平成一〇年七月一日以降も、例えば平成一一年度の新入生を対象とした旧法による課程の認定を、平成一〇年度中に受けることができること。(改正法附則第五項関係)

E 平成一二年度前に入学した者については、旧法別表第一又は別表第二に規定する最低修得単位数を適用することができること。この場合の単位の修得方法は、改正規則の施行後もなお従前の例によること。従って、平成一二年度以降の入学生については、例外なく新法に規定する最低修得単位数が適用されること。(改正法附則第六項及び改正規則附則第七項関係)

F 新法別表第一又は別表第二の規定により普通免許状の授与を受ける場合における、旧法による認定課程において修得した教科に関する科目、特殊教育に関する科目、養護に関する科目、教科又は教職に関する科目及び養護又は教職に関する科目の単位の読替に関する規定を定めたこと。(改正規則附則第二項、第三項、第四項、第五項及び第六項関係)

G 改正法施行の際、現に旧法別表第一の規定により専修免許状の課程認定を有する大学の課程は、新法別表第一の規定による専修免許状の課程認定を受けたものとみなすこと。(改正規則附則第一〇項関係)

H 新法別表第三又は別表第六に規定する、普通免許状の授与を受けるために取得することが必要な単位の修得方法について、施行規則第一一条、第一三条、第一四条の二、第一七条又は第一七条の二改正規定は、平成一二年四月一日から適用すること。(改正規則附則第八項関係)

I 新法別表第四に規定する、普通免許状の授与を受けるために取得することが必要な最低修得単位数については、平成一二年四月一日から適用すること。(改正法附則第七項及び改正規則附則第九項関係)

J この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によること。(改正法附則第八項関係)

III 留意事項

一 養護教諭が保健の授業を担任する教諭又は講師となることについて

@ 新法附則第一八項の新設により、養護教諭の免許状を有し、三年以上養護教諭として勤務経験を有する者で、現に養護教諭として勤務している者は、その勤務する学校において「保健」の教科の領域に係る事項の教授を担任する教諭又は講師となることができることとなるが、養護教諭が教諭又は講師を兼ねるか否かについては、各学校の状況を踏まえ、任命権者又は雇用者において、教員の配置や生徒指導の実状等に応じ、教育指導上の観点から個別に判断されるべき事柄であり、本来の保健室の機能がおろそかになるような事態を招くことのないよう、留意する必要があること。

A 養護教諭が年間の教育計画に基づき、組織的・継続的に、保健の領域に係る事項のうち一定のまとまった単元の教授を担任する場合にあっては、当該養護教諭を教諭又は講師として兼ねさせる発令が必要となること。

B 新法附則第一八項は、養護教諭の免許状を有する者について、「保健」の教科の領域に係る事項の教授を担任する場合に限り「教諭又は講師」となることができるとするものであり、新法附則第二項の適用はないこと。

二 新法別表第一又は別表第二に規定する小学校等の教諭又は養護教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教職に関する科目の単位の修得方法について

@ 新規則第六条第一項の表及び第一〇条の表に掲げる教職に関する科目に係る授業科目の名称については、その内容が明らかになるように配慮しつつ、各大学において適切に定めるとともに、大学は、当該大学における授業科目と同表に掲げる教職に関する科目及び各科目に含めることが必要な事項との対応について、免許状の授与の申請がなされる際に授与権者に対して文書で示すこと。

A 新法別表第一に規定する中学校教諭の普通免許状の授与を受ける場合の教育実習及び別表第二に規定する養護教諭の一種免許状の授与を受ける場合の養護実習の単位数を引き上げたことについて、教育実習を行う学生の円滑な受入の確保については、とりわけ都道府県・市町村教育委員会及び各学校の関係者に協力を願いたいこと。

B 普通免許状の授与を受けるための所要資格について、大学は、当該学生が新法あるいは旧法いずれの規定の適用により免許状の授与を受けるかについて、免許状の授与の申請がなされる際に授与権者に対して文書で示すこと。

C 新規則第六条第一項の表及び第一〇条の表に掲げる教職に関する科目については、教員養成を目的としない学科等においても、内容に応じ、当該学科等の卒業に係る科目として開設されているものを充てても差し支えないこととすること。これに伴い、「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(平成三年六月二〇日文教教第一二三号教育助成局長通知)記III一については、これを廃止すること。

なお、卒業に係る科目として開設されているものを教職に関する科目に充てるに際しては、教職の専門性の維持の観点から、その適切な水準の確保を図る必要があること。

三 新法の施行に伴い、現在小学校等の教諭の一種免許状若しくは二種免許状又は養護教諭の一種免許状若しくは二種免許状の認定課程を有している大学、文部大臣の指定を受けている養護教諭養成機関及び文部大臣の指定を受けている教員養成機関については、新たに新法による課程の認定又は文部大臣の指定を受ける必要があること。この場合の手続き等については、別途各大学、養護教諭養成機関及び教員養成機関に通知する予定であること。


(別紙)

○ 教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令の公布について(平成三年六月二〇日 文教教第一二三号 各都道府県・指定都市教育委員会、各都道府県知事、各国公私立大学長、各指定教員養成機関の長、国立特殊教育総合研究所宛 文部省教育助成局長)

III 留意事項

一 大学の学則で授業科目の区分を存続させる場合には、教職の専門性の維持の観点から、教科に関する科目又は教職に関する科目を従来の一般教育科目等で代替することは認めないものであること。

別添 略




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