● 学校教育法等の一部を改正する法律等の施行について(大学制度改革) 平成11年9月14日 文高大第226号



文高大第226号 平成11年9月14日
各国公私立大学長、放送大学長、大学を設置する各地方公共団体の長、
大学を設置する各学校法人の理事長、放送大学学園理事長あて
文部事務次官 佐藤禎一


    学校教育法等の一部を改正する法律等の施行について(通知)


 このたび、別添1のとおり「学校教育法等の一部を改正する法律」(平成11年法律第55号。以下「改正法」という。)が、さきの第145回国会において成立し、平成11年5月28日に公布され、改正法附則第1項により平成12年4月1日から施行されることになりました。
 また、別添2から別添7のとおり、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」(平成11年文部省令第37号)、「学校教育法等の一部を改正する法律附則第二項の規定に基づき同法による改正後の学校教育法第五十五条の三の規定を適用しない者を定める省令」(平成11年文部省令第38号)、「国立学校設置法施行規則の一部を改正する省令」(平成11年文部省令第39号)、「大学設置基準の一部を改正する省令」(平成11年文部省令第40号)、「大学通信教育設置基準の一部を改正する省令」(平成11年文部省令第41号)及び「大学院設置基準の一部を改正する省令」(平成11年文部省令第42号)が、平成11年9月14日に公布され、いずれも同日から施行(改正法に関係する改正事項は改正法の施行の日(平成12年4月1日)に施行)されました。さらに、大学院設置基準の一部改正に関連し、別添8から別添10のとおり平成11年文部省告示第175号、同176号及び同177号が平成11年9月14日に告示され、同日から適用されることになりました。
 21世紀に向けての大きな転換期にある今日、大学が、学問の進展や社会の要請に適切に対応しつつ不断に改革を進めて教育研究の活性化を図り、知的活動の分野において社会に貢献していくことは、我が国の未来を築く上で極めて重要な課題であります。各大学におかれては、かねてから大学改革を進めていただいているところでありますが、法改正をはじめとする今回の制度改正を踏まえ、一層積極的な取組をお願いするものであります。
 改正法等の概要及び留意点は下記のとおりですので、それぞれ関係のある事項について十分御留意の上、その運用に当たって遺憾のないようお取り計らいください。

          記

第一 学校教育法等の一部を改正する法律について

1 学校教育法の一部改正について

(1) 3年以上の在学で大学の卒業を認める制度の創設(学校教育法第55条の3関係)
 @ 大学が多様な学習ニーズに対応できるよう、改正法の施行の日以後に大学に入学し3年以上在学した学生が、卒業の要件として当該大学の定める単位を優秀な成績で修得したと認める場合には、各大学の判断により、大学の卒業を認めることができることとしたこと(学校教育法第55条の3)。
 なお、学校教育法第55条第1項ただし書の規定により修業年限が4年を超える学部に在学する学生にあっては、第55条の3の規定に基づく卒業(以下「早期卒業」という。)に要する在学期間は4年とするものであること(学校教育法施行規則第68条の4)。
 A 大学が早期卒業の認定を行うに当たっては、次の要件を満たす必要があること(学校教育法施行規則第68条の3)。
(ア) 大学が、学修の成果に係る評価の基準その他の早期卒業の認定の基準を定め、それを公表していること(同条第1号)。
(イ) 大学が、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について学生が一年間又は一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定め、適切に運用していること(同条第2号)。
(ウ) 学生が卒業の要件として修得すべき単位を修得し、かつ、当該単位を優秀な成績をもって修得したと認められること(同条第3号)。
(エ) 学生が早期卒業を希望していること(同条第4号)。
 B この措置は、学生の能力、適性に応じた教育を行いその成果を適切に評価していく観点から設けられた例外的な措置であることに留意すること。また、早期卒業を希望する学生に対する適切な学習指導の実施等の十分な教育的配慮、責任ある授業運営や適切な成績評価の実施、早期卒業の運用の状況の公表などに配意し、安易な運用により大学教育の質の低下を招かないよう早期卒業の適正な運用の確保に努められたいこと。
 C 医学、歯学、獣医学及び薬学を履修する課程に在学する学生は早期卒業の認定の対象とならないものであること(学校教育法第55条の3及び学校教育法施行規則第68条の3)。
 D Aで示した要件を満たす大学に3年以上在学した者に準ずるものを、当該要件を満たす大学から当該要件を満たす他の大学へ転学、再入学又は学士入学した者としたこと(学校教育法施行規則第68条の5)。したがって、短期大学、高等専門学校及び専修学校専門課程から大学に編入学した学生は早期卒業の認定の対象とはならないものであること。
 E 改正法の施行の日前から引き続き大学に在学する学生は早期卒業の認定の対象とならないものであること(改正法附則第2項)。
 また、同一大学へ再入学若しくは学士入学した者又は他大学に転学、再入学若しくは学士入学した者であって、当該転学、再入学又は学士入学の前の在学期間に改正法の施行の日前の期間が含まれているものについても、同様に、早期卒業の認定の対象とはならないものとしたこと(学校教育法等の一部を改正する法律附則第二項の規定に基づき同法による改正後の学校教育法第五十五条の三の規定を適用しない者を定める省令)。

(2) 学部長の設置等(学校教育法第58条及び第68条の3関係)
 学部長を学部運営の責任者として法律上明確に位置付けるため、その設置及び所掌事務について規定するとともに(第58条)、名誉教授の称号の授与に関する規定について所要の整理を行った(第68条の3)ものであること。

(3) 大学院研究科の制度上の位置付けの明確化及び大学院の組織編制の柔軟化(学校教育法第66条及び第87条の2関係)
 @ 研究科を学部と同様に大学に置くこととするとともに、研究科の数については特に原則、例外の別を設けないこととしたこと(学校教育法第66条)。
 A それぞれの大学において教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては、研究科の設置に代えて、研究科以外の教育研究上の基本となる組織(以下「研究科以外の基本組織」という。)を置き得ることとしたこと(学校教育法第66条ただし書)。
 B 研究科以外の基本組織は、次の要件を具備する必要があること(大学院設置基準第7条の2第1項)。
(ア) 教育研究上適当な規模内容を有すること(同項第1号)。
(イ) 教育研究上必要な学部に相当する規模の教員組織その他諸条件を備えること(同項第2号)。
(ウ) 教育研究を適切に遂行するためにふさわしい運営の仕組みを有すること(同項第3号)。
 C 研究科以外の基本組織を置く場合の当該組織に関する法令上の取扱いについては、別段の定めのない限り、法令に「研究科」と規定されている場合(学校教育法、私立学校法等)には、これに含まれるものであること(学校教育法第87条の2)。
 D 研究科以外の基本組織に係る教員の配置の基準は、研究科の基準に準ずるものとすること(大学院設置基準第7条の2第2項)。
 大学院設置基準の適用に当たっては、同基準第2章及び教員の配置の基準を定める第9条を除き、「研究科」には研究科以外の基本組織を、「専攻」には研究科以外の基本組織を置く場合における相当の組織を含むものとしたこと(大学院設置基準第7条の2第3項)。
 E 研究科以外の基本組織には、学科目制及び講座制を設けないことができることとするとともに、その場合において、当該研究科以外の基本組織の教育研究上主要と認められる分野については、それぞれの分野を担当する専任の教授又は助教授を置くものとすること(大学院設置基準第8条の2)。
 F 研究科以外の基本組織を設置する場合には、研究科と同様、公私立大学にあっては文部大臣の認可を受け(学校教育法第4条)、国立大学にあっては、国立学校設置法その他の関係法令に当該組織について所要の規定を設ける必要があること。
 G 学校教育法第66条の改正及び大学院設置基準の改正のうち研究科以外の基本組織に関する事項は改正法の施行の日(平成12年4月1日)に施行するものであるが、平成12年度に設置しようとする研究科以外の基本組織の設置認可に係る審査に当たっては、これらの改正規定の適用があるものとすること(大学院設置基準の一部を改正する省令附則第1項及び第3項関係)。
 また、平成12年度に設置しようとする研究科以外の基本組織の設置認可の申請については、特に平成11年10月31日を期限として申請受付を行うものであること(同附則第4項)。その詳細については、別途通知する予定であること。

2 国立学校設置法の一部改正について

(1) 運営諮問会議の設置(国立学校設置法第7条の2関係)
 @ すべての国立大学に、学長の諮問機関として、運営諮問会議が設置されるものであること(国立学校設置法第7条の2第1項)。
 A 運営諮問会議は、委員若干人で組織し、その委員は、当該国立大学の職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、学長の申出を受けて文部大臣が任命するものであること(国立学校設置法第7条の2第2項)。
 委員の任期は2年とするとともに委員は非常勤とすること(国立学校設置法施行規則第20条の6)。
 B 運営諮問会議は、
(ア) 大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画(大学の将来計画)に関する重要事項
(イ) 大学の教育研究活動等の状況について当該大学が行う評価(自己評価)に関する重要事項
(ウ) その他大学の運営に関する重要事項
について、学外有識者の立場から審議を行い、必要に応じて助言・勧告を行うものであること(国立学校設置法第7条の2第1項及び第3項)。
 C 運営諮問会議は、改正法の施行の日(平成12年4月1日)にすべての国立大学において設置されていることが必要であり、各国立大学においては、設置に向けた準備を進められたいこと。

(2) 評議会の設置(国立学校設置法第7条の3関係)
 @ 「国立大学の評議会に関する暫定措置を定める規則」(昭和28年文部省令第11号、以下「暫定規則」という。)は改正法の施行の日に廃止され(国立学校設置法施行規則の一部を改正する省令附則第2項)、改正法の施行に伴い、
(ア) 数個の学部を置く国立大学
(イ) 一個の学部に加え、独立研究科(教育公務員特例法施行令第一条の規定に基づき大学院に置かれる研究科の長を定める省令(昭和50年文部省令第12号)で規定する研究科長が置かれる研究科(国立学校設置法施行規則第8条の3に定めるものを除く。)をいう。以下同じ。)又は附置研究所を置く国立大学
に、評議会が置かれるものであること(国立学校設置法第7条の3第1項)。
 A 評議会は、学長、独立研究科の長、教養部長、附置研究所長(以下「基本的構成員という。)のほか、教育公務員特例法(昭和24年法律第1号)第2条第3項に規定する部局長のうち、これらの基本的構成員で構成する会議の議を経て学長が定める者をもって構成するものであること(国立学校設置法第7条の3第2項並びに国立学校設置法施行規則第20条の7第1項及び第2項)。
 また、評議会が定めるところにより、
(ア) 学部、独立研究科、教養部及び附置研究所のうち評議会が定めるものごとに当該組織から選出される教授
(イ) 評議会の議に基づいて学長が指名する教員
を評議員に加えることができるものであること(国立学校設置法第7条の3第3項)。
 各国立大学においては、大学運営の機動性と責任制を確保するという観点から、適切な規模と構成を設定するよう配慮されたいこと。
 B 基本的構成員については改めて任命行為を要しないが、基本的構成員を除く評議員は、学長の申出に基づいて文部大臣が任命するものであること(国立学校設置法第7条の3第4項)。
 C 評議会は従来と同様大学運営に関する重要事項について審議する機関であって、次の事項を審議するとともに教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行うものであること(国立学校設置法第7条の3第5項)。
(ア) 大学の将来計画に関する事項
(イ) 学則その他重要な規則の制定又は改廃に関する事項
(ウ) 大学の予算の見積りの方針に関する事項
(エ) 学部、学科その他の重要な組織の設置又は廃止及び学生の定員に関する事項
(オ) 教員人事の方針に関する事項
(カ) 大学の教育課程の編成に関する方針に係る事項
(キ) 学生の厚生及び補導に関する事項
(ク) 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する方針及び学位の授与に関する方針に係る事項
(ケ) 自己評価に関する事項
(コ) その他大学の運営に関する重要事項
 C 学長は評議会の議長として会議を主宰するものであること(国立学校設置法第7条の3第6項及び第7項)。主宰とは、合議制の機関において、会議の招集、議事の整理、会議の進行、議案の発議等、その会議の運行について必要な一切の措置をとる権限を有するものであること。
 D Aの(ア)(イ)の評議員の任期は2と年するとともに、評議員は非常勤とすること(国立学校設置法施行規則第20条の7第3項及び第4項)。
 E 評議会の定足数及び多数決に関し、
(ア) 評議会は、半数以上で大学の定める割合以上の評議員が出席しなければ議事を開き、議決することができないこと、
(イ) 評議会の議事は、出席した評議員の過半数をもって決し、可否同数のときは議長の決すること
などが規定されたことに留意されたいこと(国立学校設置法施行規則第20条の7第5項及び第6項)。
 F 各国立大学においては、改正法の施行に伴う評議会の設置に向けた準備を進められたいこと。

(4) 教授会の設置(国立学校設置法第7条の4関係)
 @ 教授会は、学部、独立研究科、教養部、附置研究所に置くものとすること(国立学校設置法第7条の4第1項)。
 また、独立研究科以外の研究科及び国立学校設置法第13条の規定に基づき置かれる組織(国立学校設置法施行規則に定める全国共同利用施設、学内共同教育研究施設等)であって専任の教授を置くものには各国立大学の定めるところにより教授会を置くことができることとしたこと(国立学校設置法第7条の4第2項)。
 これらの組織に教授会を置かない場合にあってはこれらの組織に置かれる専任の教授は、学部、独立研究科、教養部、附置研究所のうち大学が定めるものに置かれる教授会に所属するものであること(国立学校設置法第7条の4第3項)。
 なお、従前から国立大学の全国共同利用施設や学内共同教育研究施設等においては、当該組織の教授以外の職員を加えた運営委員会や管理委員会といった審議機関が置かれている例が見られるが、今後ともこのような組織運営の在り方が可能であることを省令上明確にしたこと(国立学校設置法施行規則第20条の9)。
 A 教授会は、
(ア) 学部又は研究科の教育課程の編成に関する事項
(イ) 学生の入学、卒業又は課程の修了その他その在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項
(ウ) その他当該教授会を置く組織の教育又は研究に関する重要事項
について審議するとともに、教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行うものとしたこと(国立学校設置法第7条の4第4項)。
 なお、「その他当該教授会を置く組織の教育又は研究に関する重要事項」(同項第3号)とは、同項第1号及び第2項に準ずる重要な事項に限られること。
 B 評議会の審議事項とされている大学運営に関する重要事項であっても、教授会を置く組織の教育又は研究に関する重要事項に該当するものについては当該教授会において審議を行うことが可能であること。
 C 評議会を置かない国立大学にあっては、教授会が国立学校設置法第7条の3第5項各号(第6号及び第8号を除く。)に掲げる事項を審議するものであること(国立学校設置法第7条の4第5項)。
 D 教授会を置く組織の長(学部長、研究科長等)は教授会の議長として会議を主宰するものであること(国立学校設置法第7条の4第6項及び第7項)。主宰の意味は、(2)Cと同様であること。
また、評議会の定足数及び多数決に関する規定が教授会にも準用され(国立学校設置法施行規則第20条の8)、
(ア) 教授会は、半数以上で大学の定める割合以上の教授会の構成員が出席しなければ議事を開き、議決することができないこと、
(イ) 教授会の議事は、出席した教授会の構成員の過半数をもって決し、可否同数のときは議長が決すること
などが規定されたことに留意されたいこと。
 E 国立短期大学に教授会を置き(国立学校設置法第7条の5第1項)、短期大学の教育課程の編成に関する事項、学生の入学、卒業その他その在籍に関する事項、その他短期大学の教育及び研究に関する重要事項及び国立学校設置法第7条の3第5項各号(第6号及び第8号を除く。)に掲げる事項を審議するとともに、教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行うものであること。また、教授会に議長を置き学長をもって充て、議長は教授会を主宰するものであること(国立学校設置法第7条の5第2項及び第3項)。

(5) 運営諮問会議等の議事手続等(国立学校設置法第7条の6関係)
 (2)@、(3)E、(4)Dなどのとおり、運営諮問会議、評議会及び教授会の議事の手続その他これらの組織に関し必要な事項が定められたこと(国立学校設置法施行規則第20条の6ないし第20条の10)。

(6) 国立大学等の運営の基準(国立学校設置法第7条の7関係)
 各大学が学内各機関の適切な役割分担のもとで、全学的な見地から一体的な運営を行い、その機能を総合的に発揮する必要があることから、国立大学及び国立短期大学の運営の基準について定めたこと(国立学校設置法第7条の7)。

(7) 教育研究等の状況の公表(国立学校設置法第7条の8関係)
 国立大学及び国立短期大学は、教育課程その他教育及び研究の状況並びに運営諮問会議の審議その他組織及び運営に関する状況を、刊行物への掲載その他広く周知を図ることができる方法によって公表しなければならないこととされたこと(第7条の8及び国立学校設置法施行規則第20条の12)。
 各国立大学及び国立短期大学にあっては、例えば、大学の将来計画や自己評価に関する情報、大学への入学や学習機会に関する情報、卒業生の進路に関する情報、評議会や教授会の審議状況、財務状況に関する情報等について、国民の適切な理解を得るために、積極的な公表に取り組まれたいこと。

(8) 筑波大学の組織(国立学校設置法第2章の2関係)
 評議会及び教授会について筑波大学に関する特例を設けるなど、所要の規定の整理を行ったこと(国立学校設置法第7条の10、改正前の国立学校設置法施行規則第20条の11及び第20条の12の規定の削除並びに改正後の第20条の13ないし第20条の18)。
 なお、同様の観点から国立大学及び国立短期大学に置かれる参与について規定した改正前の国立学校設置法施行規則第29条の5及び第30条の2の2を削除したものであること。

(9) 学長補佐体制その他(国立学校設置法施行規則第20条の11等関係)
 @ 国立大学及び国立短期大学は、副学長、事務局長その他の職員による学長を補佐する体制の整備に努めなければならないこととされたこと(国立学校設置法施行規則第20条の11)。
 A 暫定規則第1条第2項の規定に基づき当該大学の事情により評議会を置いている一個の学部のみを置く国立大学に、国立学校設置法第7条の3第5項各号(第6号及び第8号を除く。)に掲げる事項を審議するため、運営評議会を置くこととし、運営評議会の委員は学長の申出に基づいて文部大臣が任命することとしたこと(国立学校設置法施行規則第20条の10)。
 B 国立大学の学部に附属される学校の校長(幼稚園にあっては園長)に充てることができる者に、当該学部の教育研究に関係する国立学校設置法第13条の規定に基づき置かれる組織(全国共同利用施設、学内共同教育研究施設等)の教授を加えたこと(国立学校設置法施行規則第25条第1項)。

3 教育公務員特例法等の一部改正について

(1) 教員の採用等の選考における学部長等の役割の明確化(教育公務員特例法第4条第6項関係)
 国公立大学の教員の採用等の選考は教授会の議に基づき学長が行うものであるが、当該教授会を置く組織の長(学部長、研究科長等)は、当該大学の教員人事の方針を踏まえ、その選考に関し、教授会に対して意見を述べることができることとされたこと(教育公務員特例法第4条第6項)。

(2) 学長、教員等の採用等の選考等に係る所要の規定の整理(改正後の教育公務員特例法第2章等関係)
 教育公務員特例法における学長、教員等の採用等の選考等の権限に関し、暫定的に読み替えてきた「大学管理機関」の規定を整理するとともに(改正前の第25条の規定の削除及び改正後の教育公務員特例法第2章)、国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法(昭和57年法律第89号)及び大学の教員等の任期に関する法律(平成9年法律第82号)についても同様の整理を行ったものであること(改正法附則第3項及び第4項)。

4 施行期日

 学校教育法等の一部を改正する法律は平成12年4月1日から施行するものであること(学校教育法等の一部を改正する法律附則第1項)。


第二 大学設置基準の一部を改正する省令について

1 自己点検・評価
 大学は、大学における教育研究活動等の状況についての自己点検及び評価を行い、その結果を公表するものとしたこと(第2条第1項)。
 また、大学は、自己点検及び評価の結果について当該大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならないこととしたこと(同条第3項)。

2 情報の積極的提供
大学は、当該大学における教育研究活動等の状況について、刊行物への掲載その他広く周知を図ることができる方法によって、積極的に情報を提供するものとしたこと(第2条の2)。

3 教育内容等の改善のための組織的な取組
 大学は、当該大学の授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究の実施に努めなければならないこととしたこと(第25条の2)。

4 学生の履修科目登録単位数の上限設定
 大学は、学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するよう、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、学生が一年間又は一学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるよう努めなければならないこととしたこと(第27条の2第1項)。また、大学はその定めるところにより、所定の単位を優れた成績をもって修得した者については、次年度又は次学期に、履修科目として登録することができる単位数の上限を超えて履修科目の登録を認めることができるものであること(同条第2項)。
 この規定は、1単位の授業科目は45時間の学修を要する教育内容をもって構成することを標準とするという大学設置基準における単位制度の趣旨に沿った十分な学習量を個々の授業において確保することにより、単位制度の実質化を図る趣旨から設けられたものであること。

5 施行期日等
 大学設置基準の一部を改正する省令は公布の日から施行するものであること(大学設置基準の一部を改正する省令附則第1項)。ただし、平成12年度を開設年度とする大学、学部及び学科の設置認可を受けようとする場合の審査については、なお従前の例によるものであること(同第2項)。


第三 大学通信教育設置基準の一部を改正する省令について

1 自己点検・評価
 大学は、通信教育に関し、大学設置基準第2条の定めるところにより自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するものとしたこと(第1条の2第1項)。
 また、大学は、通信教育に関し、自己点検及び評価の結果について当該大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならないこととしたこと(同条第2項)。

2 施行期日等
 大学通信教育設置基準の一部を改正する省令は公布の日から施行するものであること(大学通信教育設置基準の一部を改正する省令附則第1項)。ただし、この省令の施行の際現にされている認可の申請に係る審査については、なお従前の例によるものであること(同第2項)。


第四 大学院設置基準の一部を改正する省令について

1 自己点検・評価
 大学院は、大学院における教育研究活動等の状況についての自己点検及び評価を行い、その結果を公表するものとすることとしたこと(第1条の2第1項)。
 また、大学院は、自己点検及び評価の結果について、当該大学の職員以外の者による検証を行うよう努めなければならないこととしたこと(同条第3項)。

2 修士課程の標準修業年限
(1) 教育研究上必要があると認められる場合には、2年を超える標準修業年限を定めることができるものとしたこと(第3条第2項)。
(2) 主として実務の経験を有する者に対して教育を行う場合であって、教育研究上の必要があり、かつ昼間と併せて夜間その他特定の時間又は時期において授業又は研究指導を行う等の適切な方法により教育上支障を生じないときは、1年以上2年未満の標準修業年限を定めることができるものとしたこと(第3条第3項)。
(3) これにより、各大学においては学則の変更により、研究科、専攻又は履修上のコースを単位として、2年を超える標準修業年限又は1年以上2年未満の標準修業年限の修士課程を設けることが可能となるが、特に、1年以上2年未満の標準修業年限の修士課程については、修士の学位に相応しい水準の確保に留意されたいこと。
(4) これらの2年以外の標準修業年限を定めた研究科、専攻又は履修上のコースに在学する学生についても、優れた業績を上げた者については大学院に1年以上在学すれば修士課程を修了することが可能であること(第16条)。また、修業年限を1年以上2年未満とした修士課程を修了した者の博士課程の修了の要件は、修士課程における在学期間に3年を加えた期間以上在学することとすること(第17条第2項)。

3 教員組織
(1) これまで大学院設置基準第9条により専攻ごとに置くべき研究指導を行う教員の数は「大学院設置審査基準要項」(昭和49年9月27日大学設置審議会大学設置分科会決定)により定められてきたところであるが、今回、文部大臣が別に定めることとされ(第9条)、これを受けて平成11年文部省告示第175号が告示されたものであること。なお、今回の改正により研究指導を行う教員数の配置の基準に実質的な変更はないものであること。
(2) 研究科の基礎となる学部の学科の数を専攻の数とみなして算出される一個の専攻当たりの学生の入学定員が、専門分野ごとに平成11年文部省告示第176号により定められた数以上の場合には、一定規模数を超える部分について当該一定規模数ごとに一人の大学院専任の教員(大学設置基準第13条に定める専任教員の数に算入できない第9条に規定する教員)を置くものとしたこと(第9条の2)。
 これは、研究科が、その基礎となる学部との関係において、専攻ごとに大学設置基準別表第一に定める標準的な規模の学部・学科が担うことができる研究科・専攻の規模を超えるような場合には、一定数の大学院専任の教員の配置を求め、大学院における教育研究の充実を図ることとしたものであること。
 なお、今回の規定により措置される教員は、大学設置基準第13条に定める専任教員の数には算入できないが、学部の授業を担当することは可能であること。

4 高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を専ら養うことを目的とする修士課程
(1) 大学院には、高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を専ら養うことを目的として、特に必要と認められる専攻分野について実践的な教育を行う修士課程を置くことができることとしたこと(第31条第1項)。
 また、同項に規定する修士課程を置く大学院は、当該修士課程に関し、専門大学院と称することができることとしたこと(同条第2項)。
(2) 専門大学院の修士課程については、特定分野における高度専門職業人養成の必要性から大学院設置基準上教員組織や教育課程などにおいて特に充実することを求めていることから、当該修士課程の研究科の設置は文部大臣の認可を、専攻の設置は文部大臣と協議を、それぞれの手続に従い行う必要があること。
(3) 国際的にも指導的な役割を担う高度専門職業人養成の機能を充実・強化するという専門大学院の趣旨にかんがみ、特に必要と認められる分野としては、例えば、経営管理、法律実務、ファイナンス、国際開発・協力、公共政策、公衆衛生などが考えられるところであること。なお、法律実務の分野の専門大学院の設置については、大学院の修了と資格制度との関係で、現在行われている法曹養成制度の改革等の検討を踏まえて対応することとしていること。
(4) 第31条第1項に規定する修士課程は、前期2年及び後期3年の課程に区分した博士課程の前期2年の課程として置くことができることとしていること(第31条第3項)。なお、高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を専ら養うことを目的として、特に必要と認められる専攻分野について実践的な教育を行う博士課程に関しては、その在り方について今後検討することとしていること。
 第3条第3項(1年以上2年未満の標準修業年限の修士課程)は専門大学院の修士課程には適用しないこととすること(第31条第4項)。
(5) 専門大学院には、専攻ごとに、大学院専任の教員(大学設置基準第13条に定める専任教員の数に算入できない第9条第1号に規定する教員)を平成11年文部省告示第177号に定めるところにより置く必要があること(第32条第1項)。
 国際的に通用する質の高い教育を実施し特定分野における高度専門職業人養成を行うため、専門大学院に配置される教員数は通常の研究科の倍を要することとすること(同告示)。
 また、専門大学院に配置される教員の相当数は、専攻分野における実務の経験を有する者となるよう配慮しなければならないこと(第32条第2項)。
(6) 専門大学院は、その教育上の目的を達成するために専攻分野に応じ必要な授業科目を開設し、体系的に教育課程を編成するものとすること(第33条第1項)。また、専門大学院は、その目的を達成し得る実践的な教育を行うよう専攻分野に応じ、事例研究(ケーススタディ)、討論(ディベート)、現地調査(フィールドワーク)その他の適切な方法により授業を行うなど適切に配慮しなければならないこと(同条第2項)。
(7) 専門大学院の専攻分野、教員組織、教育課程並びに専用の施設及び設備その他諸条件は、当該専門大学院の目的に応じた教育を実施する上で十分と認められるものとすること(第34条)。
(8) 専門大学院の修士課程の修了要件については、その目的にかんがみ授業科目の履修による教育を重視し充実する観点から、特定の課題についての研究の成果の審査を原則とし、修士論文の審査に代えることができることとすること(第35条)。
(9) 専門大学院については、その目的に応じた教育水準の維持・向上を積極的に図る観点から、第1条の2に規定するもののほか、当該専門大学院を置く大学の職員以外の者による評価を行い、大学の職員以外の者には、当該専門大学院の専攻分野に係る高度の専門性を要する職業等に従事し専門大学院に関し広くかつ高い識見を有する者を加えるものとすること(第36条)。
(10) 専門大学院は、学則等において専門大学院であることを規定するなど、自らが専門大学院であることを対外的に明らかにすることが必要であること。また、専門大学院の修士課程の修了者に授与される修士については、修士(「専攻分野」)と表記する際の専攻分野の名称について各大学において工夫されたいこと。
(11) 平成12年度に設置しようとする専門大学院の設置認可等の申請については、特に平成11年10月31日を期限に申請受付を行うものであること(附則第4項)。その詳細については、別途通知する予定であること。
(12) なお、その修士課程において高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養う教育を行っていると認められる研究科があって、第33条及び第34条に規定する要件を現に満たすものが専門大学院の設置認可を受ける場合にあっては、平成16年度までの間に限り、第32条第1項の規定にかかわらず、大学設置基準第13条に定める専任教員の数に算入される教員をもって専門大学院の教員の一部とすることができるものであること(附則第5項)。

5 施行期日等
 大学院設置基準の一部を改正する省令は公布の日から施行するものであること。ただし、研究科以外の基本組織に関する規定は、改正法の施行の日(平成12年4月1日)から施行するものであること(附則第1項)。ただし、この省令の施行の際現にされている認可の申請に係る審査については、なお従前の例によるものであること(附則第2項)。


【本件担当】 大学課大学改革推進室



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