● 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う文部省関係政令の整備等に関する政令について 平成12年2月23日 文教地第249号
文教地第二四九号 平成一二年二月二三日
各都道府県教育委員会、各都道府県知事、各指定都市教育委員会、各指定都市市長、各国立大学長、国立久里浜養護学校長あて
文部省教育助成局長通知
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の
施行に伴う文部省関係政令の整備等に関する政令について
「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成一一年法律第八七号)(以下「地方分権一括法」という。)が、平成一一年七月一六日に公布され、平成一二年四月一日から施行されることとなっています。この地方分権一括法により、文部省関係では、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三一年法律第一六二号)(以下「地教行法」という。)をはじめ二一本の法律が改正されました。
これを踏まえ、文部省関係政令について、地方分権一括法の施行に伴う所要の規定の整備等を行うため、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う文部省関係政令の整備等に関する政令」(平成一二年政令第四二号)が、平成一二年二月一六日に公布されました。
その概要は左記のとおりですので、十分に御了知の上、適切な事務処理をお願い申し上げます。また、都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれましては、市町村教育委員会、所管又は所轄の学校その他の教育機関等及び学校法人に対して周知を図るとともに、適切な事務処理が図られるよう御配慮願います。
なお、関係省令の改正につきましては、追ってこれを行い、別途通知する予定ですので、予め御承知下さいますようお願いいたします。
記
一 趣旨及び概要
本政令は、地方分権一括法の施行に伴い、青年学級振興法施行令の廃止を含めて地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令等あわせて二〇本の文部省関係政令について、所要の規定の整備等を行ったものであること。
その概要は、以下のとおりであること。(別添の表を参照)
(一) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令の改正
(二) 文化財保護法施行令の改正
(三) 学校教育法施行令の改正
(四) 前記以外の政令改正
@事務の区分に関する規定の整備
事務の区分に関する規定を設けて、「地方分権推進計画」(平成一〇年五月閣議決定)を踏まえ、各政令で定める地方公共団体の事務のうち法定受託事務とするものについて、その旨を規定すること。
A補助金等に関する事務に関する規定の整備
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和三〇年法律第一七九号)(以下「補助金適化法」という。)の改正を踏まえ、交付申請・決定や経由等の補助金等に関する事務について、同法に対する「特別の定め」(第四条)に該当しない規定を削除する等の規定の整備を行うこと。(これらの規定の削除に伴い、改正後は、これらの補助金等に関する事務は同法第二六条に基づく都道府県の法定受託事務となる。)
B省令からの事務の引き上げ
従来省令で定めていた地方公共団体の事務について、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二条第二項の規定により、法律又は政令で定める必要があることから、これらのうち必要なものについて政令で定めるため規定を整備すること。
C地方公共団体に対する関与に関する規定の整備
「地方分権推進計画」を踏まえ、地方公共団体に対する関与について、規定を廃止又は整備すること。
Dその他の規定の整備等
2 各政令改正の主な内容
(一) 青年学級振興法施行令(昭和二八年政令第二〇三号)
【その他の規定の整備等】
○ 青年学級振興法(昭和二八年法律第二一一号)の廃止に伴い、政令を廃止すること。
(二) 私立学校法施行令(昭和二五年政令第三一号)
【省令からの事務の引き上げ】
@ 私立学校法施行規則(昭和二五年文部省令第一二号)第一三条に規定されていた学校法人が登記を行った場合等の都道府県知事への届出について政令で規定すること。(第一条関係)
【事務の区分に関する規定の整備】
A 「地方分権推進計画」を踏まえ、上記の事務を含め文部大臣に対する申請経由事務等の都道府県が処理する学校法人に関する事務を法定受託事務とすること。(第六条関係)
(三) 産業教育振興法施行令(昭和二七年政令第四〇五号)
【補助金等に関する事務に関する規定の整備】
○ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第五条第二項(負担金負担申請書等の経由事務を規定)
・第六条(負担金等の交付事務を規定)
・第九条(負担金等の交付の要否等の通知等の経由事務を規定)
・第一〇条第二項(負担金等に係る事業の実施状況の調査等を規定)
(四) 学校教育法施行令(昭和二八年政令第三四〇号)
(別紙一)
(五) 公立学校施設災害復旧費国庫負担法施行令(昭和二八年政令第三七三号)
【その他の規定の整備等】
○ 地教行法第二条の改正により都道府県の加入する組合に教育委員会を置くことができることとされたことに伴い、規定を整備すること。(第七条関係)
(六) へき地教育振興法施行令(昭和二九年政令第二一〇号)
【補助金等に関する事務に関する規定の整備】
@ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第一二条(補助金の額の算定、交付等に関する事務を規定)
・第一四条(補助金交付申請書等の経由事務を規定)
A 「必要な意見を附する事務」に関する規定を削除すること。(第一二条第一号関係)
【地方公共団体に対する関与に関する規定の整備】
B 「地方分権推進計画」を踏まえ、補助事業に係る文部大臣の地方公共団体に対する指示に関する規定を削除すること。(第八条関係)
(七) 学校給食法施行令(昭和二九年政令第二一二号)
【補助金等に関する事務に関する規定の整備】
@ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第八条(補助金の交付及びその返還に関する事務を規定)
・第一一条(補助金の申請書等の経由事務を規定)
・第一二条第二項(補助金に係る事業の実施状況の調査等を規定)
【事務の区分に関する規定の整備】
A 「地方分権推進計画」を踏まえ、要保護・準要保護児童生徒の学校給食費補助の限度額の算出の基礎となる児童生徒数の各市町村への配分等の事務を法定受託事務とすること。(第六条の二第四項関係)
【その他の規定の整備等】
B 学校給食の開設及び廃止の届出に関する事務が都道府県の自治事務として整理されることに伴い、規定を整備することなど。(第一条関係)
(八) 理科教育振興法施行令(昭和二九年政令第三一一号)
【補助金等に関する事務の整理】
@ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第三条(補助金の申請書及び交付決定通知の経由事務を規定)
・第四条(補助金の交付、返還等に関する申請書等の審査等を規定)
A 「必要な資料及び意見を附する事務」に関する規定を削除すること。(第四条関係)
(九) 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法施行令(昭和二九年政令第三一二号)
【補助金等に関する事務に関する規定の整備】
@ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第五条(補助金の申請書及び交付決定通知の経由事務を規定)
・第六条(補助金の交付、返還等に関する申請書等の審査等を規定)
A 「必要な資料及び意見を付する事務」に関する規定を削除すること。(第六条関係)
(一〇) 学校図書館法施行令(昭和二九年政令第三一三号)
【補助金等に関する事務に関する規定の整備】
@ 補助金適化法の「特別の定め」に該当しない以下の規定を削除し、これらの補助金等に関する事務は補助金適化法に基づき行うこととすること。
・第九条第一項(負担金交付申請書等の経由事務を規定)
・第九条第二項(負担金交付決定通知の経由事務を規定)
・第一〇条(負担金の交付、返還等に関する事務を規定)
A 「必要な資料及び意見を付する事務」に関する規定を削除すること。(第一〇条第一号関係)
(一一) 就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律施行令(昭和三一年政令第八七号)
【事務の区分に関する規定の整備】
○ 「地方分権推進計画」を踏まえ、都道府県が処理する補助の限度額算出の基礎となる児童生徒数の各市町村に対する配分等の事務を法定受託事務とすること。(第六条第二項関係)
(一二) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令(昭和三一年政令第二二一号)
(別紙二)
(一三) 学校保健法施行令(昭和三三年政令第一七四号)
【事務の区分に関する規定の整備】
○ 「地方分権推進計画」を踏まえ、要保護・準要保護児童生徒の医療費補助の限度額の算出の基礎となる児童生徒数の各市町村への配分等の事務を法定受託事務とすること。(第九条第四項関係)
(一四) 義務教育諸学校施設費国庫負担法施行令(昭和三三年政令第一八九号)
【省令からの事務の引き上げ】
@ 義務教育諸学校施設費国庫負担法施行規則(昭和三三年文部省令第二一号)第一条に規定されていた都道府県の教育委員会が処理する認定の申請に係る経由事務を政令で規定すること。(第一条の二関係)
【事務の区分に関する規定の整備】
A 「地方分権推進計画」を踏まえ、前記の経由事務(認定申請書に必要な意見を付する事務を除く)を法定受託事務とすること。(第一条の二関係)
【その他の規定の整備等】
B 地教行法第二条の改正により都道府県の加入する組合に教育委員会を置くことができることとされたことに伴い、規定を整備することなど。(第一一条関係)
(一五) 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和三九年政令第一四号)
【事務の区分に関する規定の整備】
@ 「地方分権推進計画」を踏まえ、都道府県及び市町村が処理する教科用図書の無償給付及び給与に関する事務を法定受託事務とすること。(第一六条関係)
【その他の規定の整備等】
A 教科用図書の無償給付及び給与の実施状況についての文部大臣による都道府県教育委員会に対する関与に関する規定について、文言を整理すること。(第六条第二項関係)
B 地教行法第二条の改正により都道府県の加入する組合に教育委員会を置くことができることとされたことに伴い、規定を整備すること。(第九条第一号関係)
(一六) 著作権法施行令(昭和四五年政令第三三五号)
【その他の規定の整備等】
○ 機関委任事務制度の廃止に伴う信託法(大正一一年法律第六二号)第七四条の改正に伴い、規定を整備すること。(第四二条関係)
(一七) 沖縄の復帰に伴う文部省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和四七年政令第一〇六号)
【その他の規定の整備等】
○ 青年学級振興法の廃止に伴い、関係規定を削除すること。(第二五条関係)
(一八) 文化財保護法施行令(昭和五〇年政令第二六七号)
(別紙三)
(一九) 文部省組織令(昭和五九年政令第二二七号)
【その他の規定の整備等】
○ 文部省設置法(昭和二四年法律第一四六号)の改正に伴い、以下の関係規定の整理を行うこと。
・ 都道府県及び指定都市の教育長の任命承認制度の廃止による文部省設置法第五条第七号の削除に伴い、関係規定を削除すること。(第九条第二号及び第三七条第二号関係)
・ 機関委任事務制度の廃止に伴い、地方公共団体とその執行機関を並列に規定している規定を整備すること。(第一四条第一項第一号、第六八条第一号、第九一条第一号及び第一〇六条第一号関係)
・ 学校教育法第一〇六条の改正による文部省設置法附則第六項の削除に伴い、関係規定を削除すること。(第一四条第三項関係)
・ 青年学級振興法の廃止に伴い、関係規定を削除すること。(第二五条の六第九号関係)
・ 措置要求制度の廃止による文部省設置法第六条第一一号の廃止に伴い、関係規定を削除すること。(第六八条第二号及び第一〇六条第二号関係)
・ 機関委任事務制度の廃止に伴い、文化財保護法の規定による権限の委任に関する事務に関する規定を削除すること。(第一〇二条第三号関係)
(二〇) 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律施行令(平成二年政令第一九四号)
【その他の規定の整備等】
○ 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律(平成二年法律第七一号)第五条の改正に伴い、技術的修正を行うこと。(第二条及び第三条関係)
(別紙一) 学校教育法施行令の改正の概要
一 地方分権一括法による学校教育法(昭和二二年法律第二六号)第四条、第四五条第三項及び第八二条の九の改正に伴い、学校教育法施行令において所要の規定の整備を行うこと。
【その他の規定の整備等】
○第二三条関係
@ 学校教育法第四条の改正に伴う柱書の規定の整備
A 学校教育法第四五条第三項の改正に伴う第九号の規定の整備
○第二四条関係
第二三条第九号の改正に伴う規定の整備
○第二四条の二関係
広域の通信制の課程に係る文部大臣への届出事項から学校の位置の変更を削除すること
○第二四条の三関係
学校教育法第八二条の九の改正に伴う柱書の規定の整備
二 学校教育法施行規則(昭和二二年文部省令第一一号)に規定されている私立学校に係る届出等の規定を政令において規定するとともに、それに伴う規定の整備を行うこと。
【省令からの事務の引上げ】
○第二七条の二関係
@ 学校教育法施行規則第二条第一項に規定されている私立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園に係る届出について規定すること
A 学校教育法施行規則第二条第二項に規定されている広域の通信制の課程を置く私立の高等学校の名称及び位置の変更に係る報告について規定すること
○第二七条の三関係
学校教育法施行規則第七八条において私立の各種学校に準用する第二条に規定されている私立の各種学校に係る届出について規定すること。なお、これまで届出事項とされていた経費及び維持方法の変更は、今回の改正により削除すること
【その他の規定の整備等】
○第二六条関係
@ 広域の通信制の課程を置く公立の高等学校の名称及び位置の変更に係る報告について規定すること
A 第四項及び第二七条の二の新設に伴う規定の整備
○第二八条関係
第二六条第四項及び第二七条の二の新設に伴う規定の整備
三 技能教育施設の指定等に関する規則(昭和三七年文部省令第八号)に規定されている技能教育のための施設の指定及び指定の解除の公示並びに連帯措置に係る科目の指定及び公示に関する事務等の地方公共団体が処理する事務を政令において規定するとともに、それに伴う規定の整備を行うこと。
【省令からの事務の引上げ】
○第三三条の二関係
@ 技能教育施設の指定等に関する規則第六条第一項に規定されている連携措置に係る科目の指定を規定すること
A 連携科目等の指定について規定を整備すること
○第三三条の三関係
@ 技能教育施設の指定等に関する規則第四条に規定されている施設の指定の公示及び第六条第一項に規定されている連携措置に係る科目の公示を規定すること
A 名称、所在地、連携科目等を公示するよう規定を整備すること
○第三四条関係
@第二項
i 技能教育施設の指定等に関する規則第六条第二項に規定されている連携措置に係る科目の追加の申請を規定すること
ii 連携科目等の追加、変更及び廃止の申請について規定を整備すること
A第三項
i 技能教育施設の指定等に関する規則第六条第一項に規定されている連携措置に係る科目の追加の指定等の公示を規定すること
ii 技能教育のための施設の名称又は所在地の変更並びに連携科目等の指定、指定の変更及び指定の解除の公示について規定を整備すること
○第三六条関係
技能教育施設の指定等に関する規則第四条に規定されている技能教育のための施設の指定の解除の公示を規定すること
【その他の規定の整備等】
○第三二条関係
第三三条の二並びに第三四条第二項及び第三項の新設に伴う規定の整備
○第三五条関係
技能教育のための施設の廃止の届出があった場合に、その旨を公示する旨の規定を整備すること
○第三九条関係
今回の改正に伴う中等教育学校の後期課程への準用に係る規定の整備
(別紙二) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令の改正の概要
一 都道府県が加入する組合に教育委員会を設置できることとしたこと(地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「法」という。)第二条)に伴う改正
○ 組合を構成する地方公共団体に市町村だけでなく都道府県も加わったことから、組合に関する規定の「市町村」を「地方公共団体」と改めること。(第一一条、第一二条及び第一五条関係)
○ 都道府県が加入する組合の規約変更等の許可は自治大臣が行うが、教育事務を処理する組合(教育組合)については、その許可の前に文部大臣の意見を聴くこととすること。(第一一条関係)
○ 都道府県が加入する教育組合を解散しようとするときは、自治大臣に届出を行うほか、文部大臣にも届出を行うこととすること。(第一三条関係)
○ 教育組合の委員の要件としての長の被選挙権に関する読替規定及びそれに係る事務を処理する選挙管理委員会(以下「選管」という。)に関する規定について規定の整備を行うこと。(第一四条関係)
・ 長を公選としない一部事務組合及び広域連合については、長の被選挙権が存在しないことから、委員の要件としての長の被選挙権を構成地方公共団体の長の被選挙権とすること。(第一項)
・ 長を公選としない一部事務組合については、選管が置かれないことから、長の被選挙権の有無等の決定等の事務は、構成地方公共団体の選管のうち規約で定めるものが処理するものとすること。(第二項)
○ 教育組合の委員の解職請求の手続に関する地教行法並びに地方自治法及び地方自治法施行令の規定の読替規定について規定の整備を行うこと。(第一四条の二関係)
・ 請求権者を、一部事務組合又は広域連合の場合、構成地方公共団体の長の選挙権者(広域連合の場合はその区域内に住所を有する者に限る。)とすること。(第一項)
・ 署名に関する異議申出に対する市町村の選管の決定に不服があるときは、選管を置く一部事務組合又は広域連合にあっては当該組合の選管に、選管を置かない一部事務組合にあっては地方裁判所に、審査を申し立てることとすること。(第二項及び第三項)
・ 署名に係る期限の取扱い等については、複数の地方公共団体で構成されることから組合を都道府県とみなすこととし、また、指定都市に関する特例を準用しないこととすること。(第四項及び第五項)
○ 教育組合について、都道府県又は指定都市が加入又は脱退したことにより、その県費負担教職員等の任命権者が変更した場合のその処分の効力を継続させるための経過措置を設けること。(第一六条及び第一六条の二関係)
@ 市町村のみの組合(以下「市町村組合」という。)に都道府県又は指定都市が加入した場合、県費負担教職員であった者の任命権が都道府県から組合に移ることから、加入前の都道府県の処分を組合の処分とみなすこと。(第一六条第一項)
A 市町村組合に都道府県が加入した場合、県費負担教職員であった者の処分に関する条例の制定権が都道府県から組合に移ることから、その処分の基準が変わり得るため、加入前の事案について組合が処分を行うときは、従前の例により行うこととすること。(同条第二項)
B 都道府県が脱退して市町村組合となった場合、県費負担教職員となった者の任命権が組合から都道府県に移ることから、脱退前の組合の処分を都道府県の処分とみなすこと。(同条第三項)
C 都道府県が脱退して市町村組合となった場合、県費負担教職員となった者の処分に関する条例の制定権が組合から都道府県に移ることから、その処分の基準が変わり得るため、脱退前の事案について都道府県が処分を行うときは、従前の例により行うこととすること。(同条第四項)
D 指定都市が脱退して市町村組合となった場合、県費負担教職員の任命権が組合から都道府県に移ることから、脱退前の組合の処分を都道府県の処分とみなすこと。(同条第五項)
二 都道府県及び指定都市の教育委員会の委員の定数を六人に増員できることとしたこと(法第三条)に伴う改正
○ 委員の定数を六人とする組合から都道府県又は指定都市が脱退した場合、暫定的に委員の定数を引き続き六人とすることができる特例を設けること。(第一三条の三関係)
○ 組合の設置後最初の委員の任期に関する規定について委員の定数を六人とする場合(都道府県又は指定都市が加入する組合に限る。)に関する規定を追加すること。(第一七条関係)
三 その他の法改正に伴う改正
(一) 教育委員会の委員の解職請求の議会付議の結果を自治大臣及び文部大臣又は都道府県知事及び都道府県教育委員会に報告する義務を廃止したこと(法第八条)に伴い、地方自治法施行令第九八条第二項の規定の改正を踏まえ、委員の解職請求の手続に関する同令の規定の読替規定について規定の整備を行うこと。(第三条関係)
(二) 教育長と任命承認制度を廃止するとともに、都道府県及び指定都市の教育長を市町村の教育長と同様に教育委員会の委員のうちから任命することとしたこと(法第一六条及び第五八条等)に伴い、指定都市とその他の市の教育長の任命方法が同じとなったことから、指定都市の指定があった場合の教育長の経過措置に関する規定を削除すること。(旧第二三条関係)
(三) 中核市の県費負担教職員の研修は当該中核市が行うこととしたこと(法第五九条)に伴い、県費負担教職員に対して地方公務員法の規定を適用する場合の同法の読替規定について規定の整備を行うこと。(第七条関係)
なお、第七条の規定による地方公務員法の読替に関連して、以下の点について留意する必要があること。
今回の法改正により、法第二六条第三項及び第四項の事務の委任等、第二七条の指揮監督権が廃止された。これに代わり、新たに「条例による事務処理の特例」制度が設けられた(法第五五条)ところであり、この制度については、市町村に対する指揮監督権は認められていない。このため、今後は、県費負担教職員の任命権自体を都道府県教育委員会からその指揮監督権の及ばない市町村教育委員会に委任すること(すなわち市町村教育委員会が任命権者となること)はできないものであると解される。したがって、地方公務員法を県費負担教職員に適用する場合、市町村立中等教育学校の県費負担教職員に係る場合を除き、読み替えられた後の同法の規定中の「任命権者の属する地方公共団体」に市町村は含まれず、その人事委員会(又は公平委員会)に市町村の人事委員会(又は公平委員会)は含まれないものである。
四 事務の区分に関する規定の整備を行う改正
○ 「地方分権推進計画」を踏まえ、組合の規約変更等の許可を行う場合に都道府県知事が行う都道府県教育委員会への意見聴取の事務(第一一条)及び広域計画の通知があった場合の都道府県知事が行う都道府県教育委員会への通知の事務(第一三条の二)を法定受託事務とすること。(第二五条関係)
五 その他の規定の整備等を行う改正
(一) 委員の定数を五人から三人に減員する場合、暫定的に委員の定数を四人とすることができる特例を設けること。(第一条関係)
(二) 法の改正及び前記の政令改正に伴い、関係規定について所要の整備を行うこと。(第一三条の二、第一八条、第一九条、第二三条及び第二四条関係)
(別紙三) 文化財保護法施行令の改正案の概要
一 文化庁長官の権限委譲の内容及びその委譲先
(一) 文化財保護法第九九条第一項の規定により、都道府県又は市の教育委員会に委譲する文化庁長官の権限に属する事務について、委譲する内容及び委譲先を規定すること。(第五条関係)(◎は法定受託事務、○は自治事務)
@ 都道府県の教育委員会に委譲する事務
◎ 国庫補助金又は負担金を交付した場合の重要文化財等の管理等の指揮監督(第五条第一項第一号)
◎ 文化庁長官が許可した重要文化財又は史跡名勝天然記念物の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為(以下「現状変更等」という。)の停止命令(第五条第一項第二号)
◎ 重要文化財等の所有者等による公開の停止命令(公開に係る重要文化財等が当該都道府県の区域内に存するもののみである場合に限る。)(第五条第一項第三号)
◎ 文化庁長官が許可した重要文化財の所有者等以外の者による公開の停止命令(第五条第一項第四号)
○ 調査のための発掘及び国の機関等が行う土木工事等のための発掘等に関する埋蔵文化財関係の事務(第五条第一項第五号)
A 都道府県又は指定都市の教育委員会に委譲する事務(指定都市の教育委員会に委譲されるのは、指定都市の区域内における土地の発掘又は遺跡の発見に係るもの)
○ 民間事業者等が行う土木工事等のための発掘等に関する埋蔵文化財関係の事務(第五条第二項)
B 都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会に委譲する事務(指定都市又は中核市の教育委員会に委譲されるのは、指定都市又は中核市の区域内において行われるもの等に係るもの)
◎ 金属、石又は土で作られた重要文化財の型取りなどの重要文化財の現状変更等の許可及びその取消し、当該許可に係る停止命令並びに調査(第五条第三項第一号及び第三号)
○ 重要文化財の所有者等以外の者による公開の許可及びその取消し、並びに当該許可に係る停止命令(公開に係る重要文化財が公開地である都道府県又は指定都市若しくは中核市の区域内に存するもののみである場合に限る。)(第五条第三項第二号)
C 都道府県又は市の教育委員会に委譲する事務(市の教育委員会に委譲されるのは、市の区域内において行われるもの等に係るもの)
◎ 三月以内の期間を限って設置される小規模建築物の新築、増築、改築又は除却などの史跡名勝天然記念物の現状変更等の許可及びその取消し、当該許可に係る停止命令並びに調査等(第五条第四項第一号イからリまで(イからヘまでは史跡名勝天然記念物に共通する事項、トからリまでは天然記念物に関する事項)及び第二号)
◎ 史跡名勝天然記念物の管理のための計画を定めた都道府県又は市の教育委員会が申出をし、現状変更等の態様、頻度その他の状況を勘案して文化庁長官が指定する区域における現状変更等の許可及びその取消し、当該許可に係る停止命令並びに調査等(第五条第四項第一号ヌ及び第二号)
(二) 埋蔵文化財関係事務に関する文化庁長官の権限留保
我が国にとって歴史上又は学術上の価値が特に高い埋蔵文化財について、その保護上特に必要があると認めるときは、都道府県又は指定都市の教育委員会に委譲する埋蔵文化財関係の事務のうち、届出・通知の受理を除くものについて、文化庁長官が自ら行うことを妨げないこととすること。(第五条第一項ただし書及び第二項ただし書関係)
二 法第四八条の規定により出品されたものの管理
法第四八条(法第五六条の一六で準用)の規定による文化庁長官の命令・勧告に基づき出品された重要文化財又は重要有形民俗文化財の管理の事務を当該出品に係る公開が行われる都道府県又は指定都市若しくは中核市の教育委員会が行うこととする場合には、文化庁長官は、あらかじめ当該教育委員会の同意を求めることとすること。(第六条関係)
三 事務の区分に関する規定の整備
「地方分権推進計画」を踏まえ、前記一(一)中の「◎」印を付した事務を法定受託事務とすること。(第七条関係)
(別添) 主な改正事項
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
1 青年学級振興法施行令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
2 私立学校法施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上 ○
権限委譲
関与
3 産業教育振興法施行令
法定指定
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与
4 学校教育法施行令
法定指定
補助金等
省令引上 ○
権限委譲
関与
5 公立学校施設災害復旧費国庫負担法施行令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
6 へき地教育振興法施行令
法定指定
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与 ○
7 学校給食法施行令
法定指定 ○
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与
8 理科教育振興法施行令
法定指定
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与
9 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法施行令
法定指定
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与
10 学校図書館法施行令
法定指定
補助金等 ○
省令引上
権限委譲
関与
11 就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
12 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
13 学校保健法施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
14 義務教育諸学校施設費国庫負担法施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上 ○
権限委譲
関与
15 義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
16 著作権法施行令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
17 沖縄の復帰に伴う文部省関係法令の適用の特別措置等に関する政令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
18 文化財保護法施行令
法定指定 ○
補助金等
省令引上
権限委譲 ○
関与 ○
19 文部省組織令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
20 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律施行令
法定指定
補助金等
省令引上
権限委譲
関与
合計
法定指定 8
補助金等 6
省令引上 3
権限委譲 1
関与 2
(注)
法定指定:法定受託事務を規定するもの
補助金等:補助金等に関する事務を整理し関係規定を整備するもの
省令引上:省令で規定している事務を政令で規定するもの
権限委譲:国の権限を地方公共団体に委譲するもの
関与:地方公共団体に対する関与の規定を整備又は廃止するもの
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