● 子どもの読書活動の推進に関する法律の施行について 平成13年12月12日 13文科ス第369号
13文科ス第三六九号 平成一三年一二月一二日
各国公私立大学長・各国公私立高等専門学校長・国立久里浜養護学校長・国立教育政策研究所長・放送大学長・日本芸術文化振興会長・各都道府県教育委員会・各政令指定都市教育委員会・各都道府県知事・各政令指定都市市長・独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター理事長・独立行政法人国立青年の家理事長・独立行政法人国立少年自然の家理事長・独立行政法人国立女性教育会館理事長・独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長・独立行政法人教員研修センター理事長・独立行政法人国立科学博物館理事長・独立行政法人国立博物館理事長・独立行政法人国立美術館理事長・独立行政法人国立国語研究所長あて
文部科学事務次官通知
子どもの読書活動の推進に関する法律の施行について
先の第一五三回国会において、「子どもの読書活動の推進に関する法律」(以下「法」という。)が成立し、別添のとおり、平成一三年一二月一二日付けをもって、法律第一五四号として公布され、同日施行されました。
その制定の目的、内容及び留意事項は、左記のとおりですので、十分に御了知の上、子どもの読書活動の推進に向けた御理解と取組をお願いします。
各都道府県教育委員会及び都道府県知事におかれては、域内の市町村教育委員会、市町村長、所管又は所轄の学校及び学校法人、関係団体等に対しても、本法の制定の目的、内容等について御周知くださいますようお願いします。
なお、本法については、附帯決議がなされておりますので、あわせて通知します。
記
第一 目的(法第一条関係)
この法律は、子どもの読書活動の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、子どもの読書活動の推進に関する必要な事項を定めることにより、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの健やかな成長に資することを目的とするものであること。
第二 内容
1 基本理念(法第二条関係)
子ども(おおむね一八歳以下の者をいう。以下同じ。)の読書活動は、子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであることにかんがみ、すべての子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において自主的に読書活動を行うことができるよう、積極的にそのための環境の整備が推進されなければならないこと。
2 国及び地方公共団体の責務(法第三条及び第四条関係)
(一) 国は、前記一の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すること。(法第三条関係)
(二) 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、子どもの読書活動の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有すること。(法第四条関係)
3 事業者の努力(法第五条関係)
事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、子どもの読書活動が推進されるよう、子どもの健やかな成長に資する書籍等の提供に努めるものとすること。
4 保護者の役割(法第六条関係)
父母その他の保護者は、子どもの読書活動の機会の充実及び読書活動の習慣化に積極的な役割を果たすものとすること。
5 関係機関等との連携強化(法第七条関係)
国及び地方公共団体は、子どもの読書活動の推進に関する施策が円滑に実施されるよう、学校、図書館その他の関係機関及び民間団体との連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとすること。
6 子ども読書活動推進基本計画(法第八条関係)
(一) 政府は、子どもの読書活動の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(以下「子ども読書活動推進基本計画」という。)を策定しなければならないこと。(第一項関係)
(二) 政府は、子ども読書活動推進基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。(第二項関係)
(三) 前記(二)は、子ども読書活動推進基本計画の変更について準用すること。(第三項関係)
7 都道府県子ども読書活動推進計画等(法第九条関係)
(一) 都道府県は、子ども読書活動推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該都道府県における子どもの読書活動の推進に関する施策についての計画(以下「都道府県子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならないこと。(第一項関係)
(二) 市町村は、子ども読書活動推進基本計画(都道府県子ども読書活動推進計画が策定されているときは、子ども読書活動推進基本計画及び都道府県子ども読書活動推進計画)を基本とするとともに、当該市町村における子どもの読書活動の推進の状況等を踏まえ、当該市町村における子どもの読書活動の推進に関する施策についての計画(以下「市町村子ども読書活動推進計画」という。)を策定するよう努めなければならないこと。(第二項関係)
(三) 都道府県又は市町村は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画を策定したときは、これを公表しなければならないこと。(第三項関係)
(四) 前記(三)は、都道府県子ども読書活動推進計画又は市町村子ども読書活動推進計画の変更について準用すること。(第四項関係)
8 子ども読書の日(法第一〇条関係)
(一) 国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めるため、子ども読書の日を設けること。(第一項関係)
(二) 子ども読書の日は、四月二三日とすること。(第二項関係)
(三) 国及び地方公共団体は、子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならないこと。(第三項関係)
9 財政上の措置等(法第一一条関係)
国及び地方公共団体は、子どもの読書活動の推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとすること。
10 施行期日(附則関係)
この法律は、公布の日から施行すること。
第三 留意事項
1 国においては、子ども読書活動推進基本計画を策定し、子どもの読書活動の推進に関する施策を実施していくこととしているが、各地方公共団体においても、当該地域における子どもの読書活動の推進状況等の実情を踏まえ、自主的判断により、子ども読書活動推進計画を策定し、関連施策を推進するよう努められたいこと。
2 国においては、子ども読書の日の趣旨を踏まえ、それにふさわしい事業を実施することとしているが、各地方公共団体においても、当該地域の実情等に応じて、自主的判断により、その趣旨にふさわしい事業を実施するよう努められたいこと。
第四 衆議院文部科学委員会における附帯決議
政府は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
一 本法は、子どもの自主的な読書活動が推進されるよう必要な施策を講じて環境を整備していくものであり、行政が不当に干渉することのないようにすること。
二 民意を反映し、子ども読書活動推進基本計画を速やかに策定し、子どもの読書活動の推進に関する施策の確立とその具体化に努めること。
三 子どもがあらゆる機会とあらゆる場所において、本と親しみ、本を楽しむことができる環境づくりのため、学校図書館、公共図書館等の整備充実に努めること。
四 学校図書館、公共図書館等が図書を購入するに当たっては、その自主性を尊重すること。
五 子どもの健やかな成長に資する書籍等については、事業者がそれぞれの自主的判断に基づき提供に努めるようにすること。
六 国及び地方公共団体が実施する子ども読書の日の趣旨にふさわしい事業への子どもの参加については、その自主性を尊重すること。
別添〔略〕
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会