● 学校教育及び社会教育における奉仕活動・体験活動の推進について 平成14年3月28日 社援発第0328001号
社援発第0328001号 平成14年3月28日
各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長 宛
厚生労働省 社会・援護局長
学校教育及び社会教育における奉仕活動・体験活動の推進について(通知)
昨年7月に学校教育法及び社会教育法が改正され、小学校、中学校、高等学校等において児童生徒の社会奉仕体験活動等の充実に努めるとともに関係団体、関係機関との連携に十分に配慮するものとされ、また、教育委員会の事務として、青少年に社会奉仕体験活動等の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関する事務が明記されたところである。この改正は、青少年が社会性や思いやりの心など豊かな人間性を育む上で発達段階等に応じて社会奉仕体験活動等の様々な体験活動を行うことが有意義であることから、学校内外を通じた奉仕活動・体験活動の充実を行うことを目的とするものである。
奉仕活動・体験活動の対象分野は、環境・自然保護や農林水産業、まちづくり、芸術・文化など多岐にわたるが、社会福祉の分野もその対象として期待されているものである。奉仕活動・体験活動を通じて社会福祉施設等と学校教育や社会教育の場との連携を図ることは重要であり、また、活動を通じて福祉に対する理解が深まることは社会福祉の増進にとっても有意義であることから、社会福祉施設等がその業務に支障のない範囲で協力していくことは望ましいことである。
このような学校内外を通じた青少年の活動など奉仕活動・体験活動の推進に向けた体制整備のために文部科学省において必要な予算措置等がなされているところであるが、その推進にあたっては、福祉担当部局におかれても、下記に留意しつつ、教育委員会及び私立学校所管部局と緊密な連携を図り、円滑な実施について格段のご配慮をお願いしたい。併せて、貴管内市町村(指定都市及び中核市を除く。)及び関係者への周知徹底を図られたい。
なお、本通知については、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として発出するものである。
記
1.社会福祉分野における奉仕活動・体験活動の実施に当たっての留意事項を別紙1にとりまとめたので参考とされたいこと。その中でも特に、「事前協議の実施」、「役割分担の明確化」、「安全の確保及び事故等への対応」について留意されたいこと。
2.奉仕活動・体験活動の例を別紙2にとりまとめたので活動内容の設定のための参考とされたいこと。なお、この活動例は例示でありすべての活動を網羅したものではなく、また、実際の奉仕活動・体験活動の内容については学校、社会教育関係者と社会福祉施設等との協議によって決定されるものであることに留意されたいこと。
3.奉仕活動・体験活動の推進に当たって、貴管内市町村教育委員会から当該市町村社会福祉協議会のボランティアセンターに対して要請があった場合には、当該社会福祉協議会ボランティアセンターの実情に応じ可能な範囲で協力を図るよう指導されたいこと。
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(別紙1)
社会福祉施設等における奉仕活動・体験活動の実施上の留意事項
社会福祉施設等における奉仕活動・体験活動は、その趣旨を踏まえつつ、施設等の本来業務に支障のない範囲でその協力に基づいて適切に実施することが基本である。また、社会福祉施設は生活の場であり、プライバシーや安全面への配慮が特に重要であることから、以下の事項について十分留意する必要がある。
1.事前協議の実施
社会福祉施設等と学校、社会教育関係者とは、奉仕活動・体験活動が児童生徒等の発達段階等に応じた適切で有意義な内容となるよう十分な事前協議を行うこと。
2.役割分担の明確化
社会福祉施設等における奉仕活動・体験活動の実施にあたっては、安全確保を含め、社会福祉施設と学校、社会教育関係者との役割分担を明らかにするとともに、保険の活用など事故等が発生した場合に備えること。
3.教職員の理解の促進
奉仕活動・体験活動を適切かつ効果的に行うためには、児童生徒等の指導を行う教職員等が社会福祉施設等に対する理解を深めることが重要であることから、社会福祉施設等においても必要な協力をされたいこと。
4.児童生徒等への事前指導の実施
学校、社会教育関係者は、児童生徒等が社会福祉施設等での奉仕活動・体験活動の目的や意義を十分に理解できるよう事前に十分な指導や研修を行うこととされており、社会福祉施設等においても必要な協力をされたいこと。
5.児童生徒等への適切な指導
奉仕活動・体験活動の実施に当たっては、学校、社会教育関係者は、児童生徒等の引率や健康管理など教職員等が適切な指導を行うよう配慮することとされており、その円滑な実施のため社会福祉施設等においても必要な協力をされたいこと。
6.安全の確保及び事故等への対応
社会福祉施設等と学校、社会教育関係者は、事故の防止や感染症の予防など安全面に十分な配慮を行うとともに、万一事故等が発生した場合に適切な対応がとれる体制を整えること。
7.費用の負担
奉仕活動・体験活動の実施に伴い発生する費用の負担については、実費(資料代、昼食代等)負担を原則としつつ、学校、社会教育関係者と社会福祉施設等との間で十分に協議すること。
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