● 学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の結果及び対策に関する留意事項について 平成17年11月29日 17文科施第273号
17文科施第273号 平成17年11月29日
各都道府県知事、各都道府県教育委員会教育長
公立学校共済組合理事長、日本私立学校振興・共済事業団理事長
各文部科学省各独立行政法人の長、各国公私立大学長
各私立高等専門学校長、各大学共同利用機関法人機構長 宛
文部科学省大臣官房長(玉井日出夫)
学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の
結果及び対策に関する留意事項について(通知)
今般、事業所等でのアスベスト被害が社会問題化していることに鑑み、子どもたちの安全対策に万全を期すために、「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査について」(平成17年7月29日付け17文科施第154号)により調査を依頼していたところです。
このたび、別紙1のとおり調査結果をとりまとめ、公表しましたので通知します。調査結果の詳細については、文部科学省のホームページに掲載しておりますので参照願います。
本結果によれば、調査が完了していない機関が見受けられます。調査が完了していない機関については、本調査の趣旨に鑑み、調査の早期完了に向けた取組みをお願いします。また、このような状況を踏まえ、本実態調査を継続しますのでご留意願います。なお、調査継続の詳細については別途連絡します。
学校施設等におけるアスベスト対策については、従来から、別記の通知等により適切な対応をお願いしてきたところです。本調査の結果等を受け、文部科学省においては、別紙2のとおり「アスベスト対策に関する留意事項」をとりまとめました。学校等の設置者におかれましては、これらを参考として、アスベスト対策により一層努めるようお願いします。
さらに、このことについて、都道府県教育委員会及び都道府県知事部局におかれましては、域内の市町村教育委員会又は所轄の学校及び学校法人等に対しても周知徹底されるようお願いします。
(本件照会先)
担当 文教施設企画部施設企画課指導第二係
電話 03-5253-4111(内線2292)
・別紙1 学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の結果及び文部科学省の対応方策について
・別紙2 アスベスト対策に関する留意事項
・学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査のデータ集 (略)
・文部科学省において直接個別に取りまとめた機関のうち、「C 損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれがあるもの」に該当のあった機関名一覧 (略)
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別記
通知文一覧
・「アスベスト(石綿)による大気汚染の未然防止について(通知)」
(昭和62年11月11日付け62国施指第4号)
・「吹き付けアスベスト(石綿)粉じん飛散防止処理技術等に関する参考資料の送付について(通知)」
(昭和63年7月9日付け63国施指第4号)
・「学校施設等におけるアスベスト(石綿)対策について」
(平成15年10月31日付け事務連絡)
・「学校施設等におけるアスベスト(石綿)対策について」
(平成17年3月7日付け事務連絡)
・「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査について(依頼)」
(平成17年7月29日付け17文科施第154号)
・「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の中間報告の結果及び当面の対応について(通知)」
(平成17年9月29日付け17文科施第213号)
(大臣官房文教施設企画部施設企画課)
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別紙1
平成17年11月29日 文部科学省
学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の
結果及び文部科学省の対応方策について
T.趣旨
「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査について(依頼)」(平成17年7月29日付け通知)の調査結果及びその結果を踏まえた対応方策について公表
U.対象機関
国公私立学校、公立社会教育施設、公立社会体育施設、公立文化施設、所管独立行政法人、認可法人、特殊法人等
V.調査対象建材
平成8年度以前にしゅん功(改修工事も含む)した建築物に使用されている、吹き付けアスベスト、吹き付けロックウール、吹き付けひる石等
W.調査結果(別紙参照)
@)調査対象機関全体
【主な調査結果】
1.11月15日までに都道府県教育委員会等から回答を受け、取りまとめた結果、調査完了機関数は137,217で、調査全体の機関数151,439に対し、調査完了率90.6%である。
2.このうち、
(調査完了機関に対する率)
@ 吹き付け石綿等の室等を保有する機関 6,271 機関 (4.6 %)
A @のうち、措置済み状態にある室等を保有する機関 3,404 機関 (2.5 %)
B @のうち、石綿等の粉じんの飛散により、
ばく露のおそれのない室等を保有する機関 2,943 機関 (2.1 %)
C @のうち、石綿等の粉じんの飛散により、
ばく露のおそれのある室等を保有する機関 771 機関 (0.6 %)
(なお、それぞれの調査項目に重複する機関があるため、ABCの機関数の合計と@の機関数とは一致しない。)
である。
3.石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれのある室等を保有する機関に対しては、9月29日付けの中間報告の通知においても「直ちに石綿等の除去を行うなど法令に基、づき適切な措置を講じること」として指導しているところである。
4.なお、Cに計上された室等を保有する機関の対策及び公表状況については、下記のと
おりである。
C 771 機関の状況
(対策状況)
使用禁止・立入制限 693 機関
応急対策を実施済み 78 機関
計771 機関
(公表状況)
既に機関名等を公表 475 機関
近日中に機関名等を公表予定 271 機関
機械室等で入室制限をかけている室のため未公表 25 機関
計771 機関
A)調査対象機関全体のうち『公立学校施設』について
【主な調査結果】
1.11月15日までに都道府県教育委員会から回答を受け、取りまとめた結果、調査完了学校数は36,123で、調査全体の公立幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特殊教育諸学校43,595校に対し、調査完了率82.9%である。
2.このうち、
(調査完了校に対する率)
@ 吹き付け石綿等の室等を保有する学校 2,560 校 (7.1 %)
A @のうち、措置済み状態にある室等を保有する学校 1,161 校 (3.2 %)
B @のうち、石綿等の粉じんの飛散により、
ばく露のおそれのない室等を保有する学校 1,430 校 (4.0 %)
C @のうち、石綿等の粉じんの飛散により、
ばく露のおそれのある室等を保有する学校 303 校 (0.8 %)
(なお、それぞれの調査項目に重複する学校があるため、ABCの学校数の合計と@の学校数とは一致しない。)
である。
3.なお、Cに計上された室等を保有する学校の対策及び公表状況については、下記のとおりである。
C 303 校の状況
(対策状況)
使用禁止・立入制限 262 校
応急対策を実施済み 41 校
計303 校
(公表状況)
既に機関名等を公表 246 校
近日中に機関名等を公表予定 57 校
計303 校
X.調査結果を踏まえた文部科学省の対応方策
1)学校等の設置者が速やかにアスベスト対策を行えるよう、アスベスト対策工事に必要な措置について関係当局と協議中
2)アスベスト対策に関する通知の発出
・調査が完了していない機関に対し、調査の早期完了について指導するとともに、本実態調査を継続的に実施
・アスベスト対策に関する留意事項」の周知「
3)適切なアスベスト対策を周知するための研修会を継続的に実施
4)対策の実施状況等について、フォローアップ調査を実施
(問合せ先)
文部科学省大臣官房文教施設企画部施設企画課
課長 岡誠一
企画調整官 山崎雅男
専門官 宮浦祐一
電話 03-5253-4111(2292)
学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査の結果報告 (略)
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アスベスト対策に関する留意事項
文部科学省においては「学校施設等における吹き付けアスベスト使用実態調査」の、結果等を受け、この「アスベスト対策に関する留意事項」を取りまとめました。学校等の設置者におかれましては、これを参考として、アスベスト対策により一層努めるようお願いします。
1.損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれのあるもの(「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査表」のCに分類されるもの)の取扱いについて
損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれのあるものが確認された場合、まず、ばく露しないように部屋等を立ち入り禁止にすることなどが必要である。また、併せて、関係部局と連携しつつホームページ等での公表や関係者への説明を行う。
そのうえで、吹き付けアスベスト等の劣化、損傷の状態、当該施設の利用状況、代替施設の確保の可能性、対策工事の実施時期及び維持管理体制等を総合的に勘案して、関係部局と連携しつつ「除去」、「封じ込め」、「囲い込み」などの適切な工法を選択し対策工事を実施する。この場合、「除去」が粉じんの飛散防止の方法として、もっとも効果的であり、損傷、劣化の程度の高いもの、基層材との接着力が低下しているもの、振動や漏水のあるところに使われているもの等については、「除去」を選択する。
2.損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれがないもの(「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査表」のBに分類される)の取扱いについて
損傷、劣化等による石綿等の粉じんの飛散により、ばく露のおそれがないものの場合であっても、児童、生徒及び学生等のボール遊びや、経年による劣化、損傷等によりアスベスト層が破損すると、石綿等の粉じんが飛散するおそれがあるなど、将来的に飛散する可能性がないとはいえない。このため、最終的に吹き付けアスベスト等が除去されるまでの間、児童、生徒、学生、教職員及び保護者等にそのことを周知するとともに、吹き付け材の表面の状態及び使用状況等の点検・維持管理を行う。
また、安全・安心な環境の確保に万全を期すという観点から、維持管理を行った上で、運営面にできるだけ支障をきたさないよう考慮して、計画的に除去を行うなどの対策を講じる。
3.既に措置済状態にあるもの(「学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査表」のAに分類されるもの)の取扱いについて
既に「封じ込め」又は「囲い込み」により措置されているため、直ちに石綿等の粉じんが飛散することはないと考えられるが、将来的に飛散する可能性がないとはいえないため、最終的に吹き付けアスベスト等が除去されるまでの間、封じ込め面の状態や囲い込み材の状態等について点検・維持管理を行う。
また、安全・安心な環境の確保に万全を期すという観点から、改修工事等が行われる場合に併せて除去することも検討する。
4.アスベストに関する関係書類等の保存について
アスベストに関する関係書類は、学校等の設置者が適切なアスベスト管理を行うために必要な資料であるため保存管理を徹底する。
また、文部科学省においては、アスベスト対策の実施状況のフォローアップを行うこととしているため、今回調査の関係書類は保存しておく。
5.アスベストに関する情報の公表について
アスベストに関する情報の公表については、ホームページ等の活用を検討する。また、児童、生徒、学生、教職員及び保護者等への説明は、吹き付けアスベスト等の存在とその状態、立入禁止等の措置状況及び今後の対応方針等について、できる限り速やかに、かつ、きめ細やかに行う。
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会