● 義務教育諸学校における学校評価ガイドライン 平成18年3月27日 文部科学省
義務教育諸学校における学校評価ガイドライン
平成18年3月27日
文部科学省
はじめに
○ 学校評価は、それぞれの学校が、自らの教育活動その他の学校運営について自律的・継続的に改善を行っていくために必要なものである。また、学校が保護者や地域住民に対して説明責任を果たし、保護者、地域住民などが情報や課題を教職員と共有しながら学校運営に参画しその改善を進めていく上で重要である。
○ このような考えのもと、平成14年4月に施行された小学校設置基準等において、各学校は自己評価の実施とその結果の公表に努めることとされた。また、保護者等に対する情報提供について、積極的に行うこととされたところである。
○ その後、文部科学省は、学校評価の充実のため、平成14年度から平成16年度まで、「学校の評価システムの確立に関する調査研究」を全都道府県・政令指定都市に委嘱して実施した。その中で各地方公共団体では、特色ある学校評価の指針、ガイドライン、手引き書等が策定されるなど、学校評価制度の導入が進められてきた。その一方で、学校によって実施内容が不十分である、あるいは評価結果の公表が進んでいないといった課題も見られるところである。
○ また、平成17年6月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」において、「義務教育について、学校の外部評価の実施と結果の公表のためのガイドラインを平成17年度中に策定する」こととされた。また、中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」(平成17年10月)においても、「今後、更に学校評価を充実していくためには、学校・地方自治体の参考に資するよう大綱的な学校評価ガイドラインを策定することが必要」との指摘がなされた。
○ 本ガイドラインは、以上の経緯を踏まえて、主に市区町村立の義務教育諸学校(小学校、中学校(中等教育学校前期課程を含む)、盲・聾・養護学校の小・中学部)を対象に作成したものである。その他の学校(国立学校や私立学校、都道府県立学校)については、設置者に関する部分や地域住民との関係等について、あてはまらない記述もあるので、適宜、取捨選択又は読み替えて活用して頂きたい。
○ 本ガイドラインは、既に各都道府県・政令指定都市が策定している学校評価の指針、ガイドライン、手引き書等を参照し、多くの地域で共通する考え方や、先進的な考え方で他の地域でも実践し得るものを集約したものである。本ガイドラインでは、学校運営の自律的・継続的な改善・充実と地域住民・保護者の学校運営への参画を促進するとともに、学校の設置者等が学校に対する支援や条件整備等の改善を行うことにより、全国的に一定水準の教育の質を保証しその向上を図る観点から、目安になると考えられる事項を記述している。
○ 本ガイドラインは、学校評価が必ずこれに沿って実施されなければならないことを示す性質のものではない。各学校や設置者は、それぞれの状況等に応じて進めてきた学校評価の取組の中に、本ガイドラインに示された内容を適宜取り込むこと等により、学校評価の質的な改善を図って頂きたい。また、現在の学校評価の取組状況に応じ、ガイドラインに示された内容を段階的に導入するなど、無理のない方法で取り組んで頂きたい。
○ 文部科学省では、各学校が行う学校評価の状況等を踏まえ、本ガイドラインがより良いものとなるよう継続的に見直すこととしたい。本ガイドラインの今後の改定に向けて、関係者の皆様からの積極的な提言等を期待するところである。
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目次
1.学校評価の目的
2.学校評価の方法
(1)自己評価
@ 目標設定
A 自己評価の実施と学校運営の改善
B 自己評価書の作成
(2)外部評価
@ 外部評価委員会
A 外部評価の実施
B 外部評価書の作成
(3)評価結果の説明・公表、設置者への提出及び設置者等による支援や条件整備等の改善
@ 自己評価の結果の説明・公表、設置者への提出
A 外部評価の結果の説明・公表、設置者への提出
B 設置者等による支援や条件整備等の改善
3.評価の項目、指標の例
@ 教育課程・学習指導
A 生徒指導
B 進路指導
C 安全管理
D 保健管理
E 特別支援教育
F 組織運営
G 研修
H 保護者、地域住民との連携
I 施設・設備
<付録> 参考文献及び資料等
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1.学校評価の目的
○ 平成17年10月に、中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」がとりまとめられた。そこに示されている義務教育の構造改革の基本的な方向は、
・ 義務教育の目標設定とその実現のための基盤整備について国が責任を果たすこと
・ 義務教育の実施過程を担う市区町村や学校の権限と責任を拡大し、自主性・自律性を強化すること
・ 義務教育の成果を検証する仕組みを国の責任で整備し、教育の質が保証される教育システムへの転換を図ることである。学校評価は、教育の成果の検証のための主要な手段となると考える。
○ 中教審答申に示された方向性に従って、学校や地方公共団体の自主性・自律性を強化していく場合、それぞれの学校や地方公共団体の取組の成果を評価していくことは、学校教育の質に対する保護者・国民の関心の高まりに応えるため、ますます重要となる。また、教育の質を保証するため、設置者等が学校に対して必要な支援や条件整備等を行うために学校評価を活用することも必要となる。
○ このようなことから、学校評価は、以下の3つを目的として実施することと整理する。
@ 各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、目指すべき成果やそれに向けた取組について目標を設定し、その達成状況を把握・整理し、取組の適切さを検証することにより、組織的・継続的に改善すること。
A 各学校が、自己評価及び外部評価の実施とその結果の説明・公表により、保護者、地域住民から自らの教育活動その他の学校運営に対する理解と参画を得て、信頼される開かれた学校づくりを進めること。
B 各学校の設置者等が、学校評価の結果に応じて、学校に対する支援や条件整備等の必要な措置を講じることにより、一定水準の教育の質を保証し、その向上を図ること。
○ 学校評価は、限られた時間や人員を、必要度・緊急度の高い活動や教育効果の高い活動に集中するといった、学校の教育活動の精選・重点化を進める上で重要な役割を果たすものである。
○ また、学校評価は、教職員や保護者、地域住民などが学校運営についての意見交換を行うことを通じて、相互理解を深めることに大きな意義があり、学校評価の取組を通じて、保護者・地域住民の学校運営への参画を促進し、開かれた学校づくりを進めていくことが重要である。
○ なお、学校評価では、評価書(評価結果をとりまとめた文書)の作成自体が目的化するといった「評価のための評価」であったり、指標の数値を高めることのみを志向して教育活動の内容が決められるようなことがないよう留意する必要がある。
<教員評価との関係>
○ 一般に、教員評価では、各学校の目標等をもとに、教員一人一人が目標設定を行い、その目標の達成度を評価する目標管理型の評価制度を目指すものが多い。各学校の目標設定を出発点とする点で、このような教員評価は学校評価と共通している。
○ しかしながら、教員評価が適切な人事管理や個々の教員の職能の開発を目的とし、その結果は公表になじまないものであるのに対し、学校評価では、組織的活動としての学校運営の改善を目的とし、その結果を公表し、説明責任を果たすこととしているため、両者は、その目的が大きく異なる。
2.学校評価の方法
○ 本ガイドラインでは、学校評価を以下の3つの要素から構成している。
(1) 各学校が自ら行う評価及び学校運営の改善【自己評価】
(2) 評価委員会等の外部評価者が行う評価及び学校運営の改善【外部評価】
(3) 評価結果の説明・公表、設置者への提出及び設置者等による支援や条件整備等の改善
○ 自己評価は、校長のリーダーシップの下で、当該学校の全教職員が参加し、予め設定した目標や具体的計画に照らして、自らの取組について評価を行うものである。また、児童生徒や保護者、地域住民に対するアンケートは、これまで外部評価ととらえてきたが、これらは、学校の自己評価のために必要な情報収集の一環ととらえることが適当である。
○ 外部評価は、学校の自己評価結果を、学校評議員、PTA役員(保護者)、地域住民等の外部評価者が評価する方法を基本として行うものである。
○ 自己評価及び外部評価の結果は、保護者や地域住民等に対して説明するとともに、学校のホームページに掲載することなどにより、広く公表する。また、設置者に提出する。
○ 設置者は、学校評価の結果等を参考にして、学校に対する支援や条件整備等を改善する。また、設置者は、各学校の評価の適切さについても必要な指導・助言を行う。
○ 上記の3つの要素は、必ずしも段階を追って行われなければならないものではなく、2つ以上の要素を併せ持つ取組を同時に行うこともあり得る。例えば、教職員と保護者・地域住民が1つの組織を設けて自己評価と外部評価を同時に行うことや、外部評価結果の設置者への報告にかえて外部評価者に設置者の職員を加えることなどが考えられる。
(1) 自己評価
@ 目標設定
○ 学校が、教育活動その他の学校運営について、目標(Plan)-実行(Do)-評価(Check)-改善(Action)というPDCAサイクルに基づき、継続的に改善していくためには、目標を適切に設定することが重要である。このため、各学校は、学校全体の教育目標とともに、目指すべき成果やそれに向けた取組に関する中期と単年度の目標を具体的に設定する。また、その達成状況や達成に向けた取組の状況を把握するための指標を設定する。
○ 目標や指標の設定に当たっては、学校運営の自律的な改善と地域住民・保護者の学校運営への参画を促進するとともに、全国的に一定水準の教育の質を保証しその向上を図る観点から、各学校は、後述する「3.評価の項目、指標の例」を参考に、各学校の状況に応じて取捨選択して設定する。
○ 本ガイドラインでは、「指標」を「物事の見当をつけるためのめじるし」という広い意味で用いている。このため、後述する「3.評価の項目、指標の例」では、目標の達成状況を把握するためのものだけでなく、達成に向けた取組の状況を把握するための指標も含まれている。また、数値によって定量的に示すことのできない指標も含まれている。
○ 各学校が策定する教育課程、指導計画、学校保健計画、学校安全計画、研修計画、運営方針等の各種具体的な計画や、校務分掌、校内組織は、上記の目標の達成を目指した内容とする。また、目標や計画及びその達成に向けた方策は、校長のリーダーシップの下で全教職員の間で共有し、目標達成に向けた意識を醸成するようにする。
○ 各学校が、目標を設定する場合には、次の点に留意する。
・ 前年度に作成した自己評価書や外部評価書に示されている改善方策等を、当該年度の目標設定に反映させる。
・ 児童生徒、保護者、地域住民に対するアンケート、保護者や地域住民との懇談会などを活用しつつ、学校の長所や課題を把握した上で、目標を設定する。
・ 目標は、できるだけ重点化し、総花的な目標の設定は避ける。
・ 目標は、設置者等の学校教育に関する方針も踏まえたものとし、必要に応じて、設置者が目標設定に関する支援を行う。
A 自己評価の実施と学校運営の改善
<継続的な情報・資料の収集・整理>
○ 目標の達成状況を検証し、その原因分析等を行うためには、成功事例、失敗事例など具体的な事実を重視する必要がある。また、教育の成果を客観的な情報・資料で示す仕組みを構築することも重要である。
○ このため、各学校は、例えば、次のような情報・資料を日常的・組織的に収集・整理し、教職員間で共有するとともに、校内における目標の達成状況の把握や原因分析等に活用することが望ましい。
@ 法令上、作成等が義務づけられている資料
【例】
・ 指導要録、出席簿、健康診断票
A 児童生徒の状況に関する情報等
【例】
・ 授業時間ごとの出欠や遅刻等の状況
・ あいさつ、掃除、給食、委員会活動等、学校における生活態度
・ 児童生徒からの意見、要望等
・ 生活環境
B 保護者、地域住民等からの意見や要望等
【例】
・ 保護者、地域住民、PTAなどからの問い合わせ、意見、要望等
C 教職員に関する情報等
【例】
・ 教職員の研修受講状況
・ 教職員の現在及びこれまでの校務分掌
○ なお、個人情報保護のため、情報・資料の管理を徹底する。
<評価の実施と学校運営の改善>
○ 自己評価は、校長のリーダーシップの下、全教職員が参加して組織的に取り組むことが重要である。また、必要に応じて、評価委員会など、学校評価を中心となって実施するための組織を校内に設けることも考えられる。
○ 各学校は、収集した事例や予め設定した指標を用いて、目標の達成状況や達成に向けた取組の状況を把握・整理する。その整理結果をもとに、各学校での教育活動その他の学校運営に関する取組が適切かどうかを検証し、その改善方策を検討する。
○ 目標の達成状況の把握・整理と取組の適切さの検証は、各学校・地方公共団体の事情に応じて、教育活動の区切りとなる適切な時期に行う。また、中間的な評価を実施し、その結果を設置者に伝えることにより、必要な支援・援助を求めることも考えられる。
○ なお、普段の教育活動の中で課題等が見つかった場合、評価の実施時期にとらわれず、すみやかに改善に取り組むことが望ましい。
○ 学校の教育活動等の成果は、学校の取組だけではなく、児童生徒や家庭、地域の状況にも影響されるものであり、目標が未達成という事実のみをもって、取組が不十分であると判断できるわけではないことに留意する必要がある。
○ また、特定の指標だけに着目したり、指標の数値の向上を目指したりする中で、目標から外れた学校運営や改善方策の立案が行われることのないよう注意する必要がある。
○ 目標の達成状況の把握・整理と取組の適切さの検証では、児童生徒、保護者、地域住民から寄せられた具体的な意見や要望、児童生徒による授業評価を含む、児童生徒、保護者、地域住民に対するアンケートの結果を活用する。なお、アンケート等の実施に当たっては、匿名性の担保に配慮する。
○ 取組の適切さの検証では、目標の達成状況と、目標達成に向けた取組との間の因果関係の把握に努めるものとする。
○ また、設定した目標や各種具体的計画そのものが適切であったかどうかについても、検証の対象とすることが必要である。
B 自己評価書の作成
○ 各学校は、評価結果を自己評価書にとりまとめる。
○ 自己評価書には、各種具体的な目標・計画等、目標の達成状況及び取組の状況、取組の適切さの検証結果に加え、改善方策などについて、簡潔かつ明瞭に記述する。各学校で作成している年度末の反省資料等を、自己評価書を作成する際に有効に活用することも考えられる。
○ 各学校は、児童生徒の個人情報保護や安全確保に留意して、自己評価書に記述して公表する情報・資料と、非公表扱いとする情報・資料を区分する。
(2) 外部評価
○ 外部評価は、自己評価の客観性を高めるとともに、教職員と地域住民・保護者が学校運営の現状と課題について共通理解を持ち協力することにより、教育活動その他の学校運営の改善が適切に行われるようにすることを目的として実施する。
@ 外部評価委員会
○ 設置者は、各学校ごと又は同一地域内の複数の学校ごとに、外部評価者によって構成される委員会等(以下、「外部評価委員会」という。)を設置する。
○ 外部評価委員会にかえて、学校評議員や学校運営協議会等の既存の保護者、地域住民等による組織を活用して外部評価を行うことも考えられる。
○ 外部評価委員としては、学校評議員、PTA役員(保護者)、地域住民等が考えられる。外部評価の客観性や専門性を高めるため、大学の研究者や他校の教職員等、学校教育について専門的な知識や経験を持つ者の参加を求めることも考えられる。
○ また、接続する他段階の学校の教職員から評価を受けること、例えば、中学校が小学校や高等学校の教職員から評価を受けることも有効である。さらに、大学との連携により、専門的な助言を受けることも有効であると考える。
○ 外部評価委員への就任を依頼する際には、学校訪問や外部評価書の作成、守秘義務など、どのような負担等が生じるかを説明し、あらかじめ各委員の理解を得ることが必要である。
A外部評価の実施
○ 各学校は、外部評価の実施に先立って、下記の事項をはじめとする教育活動その他の学校運営の状況について、外部評価委員会に説明する。
・ 各学校の中期と単年度の具体的目標及び各種具体的計画
・ 各学校の自己評価結果及び改善方策
・ その他外部評価の実施に必要と考えられる資料
○ 外部評価委員会は、必要に応じ、学校訪問や教職員、児童生徒、保護者から意見聴取を行う。具体的には、授業参観、教職員及び児童生徒との対話、校外活動の参観、職員会議の参観等の機会を設けること等が考えられる。
○ 外部評価委員会は、
・ 学校の自己評価が適切に行われたかどうか
・ 教育活動その他の学校運営の改善に向けた取組が適切かどうかを検証する。
○ 外部評価では、外部評価委員会と学校との間での十分な意見交換や対話を通じて、お互いの理解を深めるよう努力することが重要である。
B外部評価書の作成
○ 外部評価委員会は、評価結果を外部評価書にとりまとめる。
○ 外部評価書には、目標の達成状況や取組の状況、取組の適切さの検証結果、教育活動その他の学校運営の改善に関する意見などについて、簡潔かつ明瞭に記述する。
○ 外部評価委員会は、児童生徒の個人情報保護や安全確保に留意して、外部評価書に記述して公表する情報・資料と、非公表扱いとする情報・資料を区分する。
(3) 評価結果の説明・公表、設置者への提出及び設置者等による支援や条件整備等の改善
@ 自己評価の結果の説明・公表、設置者への提出
○ 各学校は、自己評価書の内容を、保護者を対象とした説明会や学校便り、地域広報誌への掲載などの方法により、保護者、地域住民に説明する。各学校は、自己評価書の説明を契機として、保護者、地域住民と継続的な対話を図り、教育の改善に向けた具体的な交流・協力活動を行うことが重要である。
○ また、自己評価書を学校のホームページに掲載するなどの方法により、広く一般市民に公表する。
<自己評価書の設置者への提出>
○ 各学校は、自己評価書を設置者に提出する。
○ 自己評価書を提出する際には、自己評価を行う際に利用した、児童生徒、保護者、地域住民からの意見や要望、児童生徒、保護者、地域住民に対するアンケートの結果などの具体の情報・資料を含める。
<積極的な情報提供>
○ 各学校は、説明責任を果たすとともに、保護者や地域住民等と情報や課題を共有するために、教育活動その他の学校運営の状況について、保護者や地域住民等に対し積極的に情報を提供することが求められる。
○ 学校が提供すべき情報としては、例えば、下記のものが考えられる。
@ 目標及び計画
【例】
・ 学校教育目標
・ (1)で設定した中期と単年度の具体的目標
・ 教育課程、指導計画、学校保健計画、学校安全計画、研修計画、運営方針等の各種具体的計画
A 学校の概要
【例】
・ 学校長名、住所、電話番号、周辺案内図、通学区域(校区)、Eメールアドレス、ホームページアドレス
・ 学級数、児童生徒数
・ 学校の特色
・ 校則
・ 学校施設・設備、校舎面積
・ 学校行事の内容
・ 児童会・生徒会活動の内容
・ 部活動の内容
・ 教職員の担当学年、担当教科、校務分掌、授業の持ち時間数、所持免許状の種類
・ 校内研修の内容
B 学習指導
【例】
・ 授業時数、時間割、総合的な学習の時間の内容
・ 教科書、主な補助教材
C 児童生徒
【例】
・ 児童生徒の出席率
・ 生徒指導上の諸問題及びそれに対する学校の対処や指導の状況等の実態
・ 学校選択における入学者の決定方法等の詳細
・ 転入、転出児童生徒数
・ 児童生徒の進路の状況
D 安全管理・保健管理
【例】
・ 保健安全、防犯対策、防災対策に関する情報
・ 健康診断、心のケアの体制整備に関する情報
E 経理
【例】
・ 学校の予算執行状況
・ 公金や学校徴収金の管理の状況
F 保護者や地域住民等との連携
【例】
・ 学校評議員、学校運営協議会等の設置状況
・ PTAの情報
・ 家庭・地域や他の学校との連携
・ 学校開放の状況
・ 学校支援ボランティアの導入状況
G 学校評価に関する情報
【例】
・ 学校の自己評価書、外部評価書(保護者等に対するアンケートの結果、学校の課題、改善方策等を含む)
○ 情報提供の方法及び内容は、児童生徒、保護者、地域住民など、情報提供の対象に応じて工夫するとともに、広く一般市民が必要な情報を得られるようにすることが必要である。
○ 特に、学校のホームページは、
・ 誰もが比較的容易にアクセスできることから、その学校への転校を検討している保護者など、幅広い人々に対して情報を提供することが可能となる
・ 大量の情報を一度に提供できることから、人々の多様な関心に対応することができる
といった特徴があり、積極的に利用することが望ましい。
○ 地域に信頼される開かれた学校づくりを進める上で、各学校は、児童生徒や保護者、地域住民に対する調査などを通じて、保護者や地域住民が求める情報の内容を把握し、それに応じ情報を提供することが必要である。
<情報提供に当たっての留意事項>
○ 自己評価書や学校運営に関する情報を公表・提供する際には、児童生徒の個人情報の保護に留意する必要がある。小規模校においては、特に留意することが必要である。
○ 学校で問題が起きた場合、正確な情報提供がなされない中で、風評によって学校が信頼を失う恐れもあることから、このような場合には、学校の状況についての正確な情報提供を行うことによって、保護者や地域住民の信頼を得ることが期待される。
○ 帰宅時間、通学路等に関する詳細な情報の提供については、児童生徒等の安全を確保するため、方法、内容及び提供範囲に注意を払うことが必要である。
○ 学校の序列化や過度の競争といった弊害が生じないよう、設置者においては情報提供の方法について十分に配慮する必要がある。例えば、設置者が、各学校の状況や特殊性を考慮せずに、学力調査の結果等をもとに学校の単純な順位付けを行うようなことは、望ましくない。
A 外部評価の結果の説明・公表、設置者への提出
○ 外部評価委員会は、外部評価書を学校に提出する。各学校は、外部評価の結果を受けた対応をとりまとめる。
○ 各学校は、外部評価書と学校の対応をとりまとめた文書を設置者に提出するとともに、保護者を対象とした説明会や学校便り、地域広報誌への掲載などの方法により、保護者、地域住民に説明する。また、外部評価書を学校のホームページに掲載するなどの方法により、広く一般市民に公表する。
○ 学校が外部評価書を公表する際は、自己評価と同様の事項に留意する。
B 設置者等による支援や条件整備等の改善
<設置者による学校に対する支援や条件整備等の改善>
○ 設置者は、各学校の自己評価書、外部評価書、学校訪問や校長に対する意見聴取等により、各学校の教育活動その他の学校運営の状況を把握し、それらをもとに、学校に対する支援や条件整備等の改善を行う。なお、設置者は、承認・届出を要する事項の見直しや学校の裁量により執行できる予算の措置など、学校の自主性・自律性を高めるようにすることが重要である。
○ 設置者は、学校評価の結果等を踏まえ、下記の事項について、現状を把握し改善を行う。
・ 学校運営に関する教育委員会への承認・届出の状況
・ 学校の裁量により執行できる予算の措置状況
・ 指導主事等による学校運営に関する専門的事項の指導
・ 教職員の配置、服務監督、研修の実施状況
○ また、設置者は、学校からの要請、全国的な標準等を踏まえて、下記の事項について、現状を把握し改善を行う。
・ 教材の整備状況(教材関係予算措置状況の調査結果等)
・ 学校施設の整備状況等(耐震化、アスベスト対策等)
・ 学校図書館の整備状況(学校図書館図書標準との比較等)
・ 学校教育の情報化の状況(学校教育の情報化に関する実態調査結果等)
・ 学校施設・設備の安全・維持管理の状況
<学校の自己評価に対する指導・助言>
○ 設置者は、各学校から提出された自己評価書をもとに、特に学習指導など専門性が要求される事項について、各学校の自己評価が適切に行われたかどうか、学校運営の改善に向けた取組が適切かどうかを検証し、学校運営の改善に向けた指導・助言を行う。
○ 設置者は、上記の指導・助言の実施に当たって、必要に応じ、学校訪問や教職員、児童生徒、保護者、地域住民、外部評価委員等に対する意見聴取を行う。
<都道府県教育委員会等の対応>
○ 都道府県教育委員会が、県費負担教職員の定数・配置・給与等を適正に管理し改善することができるよう、設置者である市区町村の教育委員会が、学校評価の結果及び改善状況についての情報を都道府県教育委員会に適切に伝えることが必要である。
○ 都道府県教育委員会は、設置者からの報告を受けて、必要に応じ、教職員の配置、研修の実施、指導主事等の派遣などの措置を講じる。
○ 各学校において自己評価や外部評価が適切に行われるためには、評価に携わる者が評価について一定の知識を持つことが不可欠である。このため、各都道府県(政令指定都市)の教育委員会が、設置者と連携しながら、学校評価の実施にあたり、各学校で中心となる教職員の研修や、外部評価者の知識の向上を目的とした研修を行うことが必要である。
3.評価の項目、指標の例
○ 学校運営の自律的・継続的な改善・充実と保護者・地域住民の学校運営への参画を促進するとともに、全国的に一定水準の教育の質を保証しその向上を図る観点から、評価項目と指標の参考例として次の〜を示す。各学校は、その事情に応じて項目を取捨選択し、それぞれの特色に応じた独自の項目を追加するなどして、目標や指標を設定することが望ましい。また、設置者が、地域の実情に応じ、設置する学校で共通して取り上げるべき項目や指標を設定することも考えられる。
○ 例示する指標には、児童生徒の学力や心、体の状況、教員がいかに指導したか、学校の組織や運営など、様々なものが含まれているが、これらの指標は、目標の達成状況を把握するための指標(成果指標)と、達成に向けた取組の状況を把握するための指標(取組指標)に大別できる。教育の目標は子どもの知・徳・体の成長であることから、中でも児童生徒の状況に関する成果指標をできるだけ重視することが望まれる。しかし、成果指標だけで学校運営全体を評価することは困難であるため、適宜、取組指標を活用するとともに、特定の指標によって一面的に学校運営が評価されることのないよう、これらの指標を適切に組み合わせることが必要である。また、指標の数値にのみとらわれることのないよう、数値によって定量的に示すことのできない指標にも焦点をあてることが大切である。
@ 教育課程・学習指導
○ 本項目では、各学校における教育目標を踏まえた指導目標、指導内容の組織及び授業時数の配当といった教育課程の編成と各教科等の学習指導が学習指導要領等に基づき適切に実施されたかを評価することとし、具体的な評価対象は、学習指導要領に位置づけられた全ての教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間とする。
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 指導目標、指導計画、授業時数などの教育課程の編成・実施の状況
・ 児童生徒の観点別学習状況の評価及び評定の結果
・ 学力調査等の結果
・ 運動や体力に関する調査の結果
・ 児童生徒による授業評価の結果
・ 説明、板書、発問など、各教員の授業の実施方法
・ 視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の整備と活用状況
・ 体験的な学習や問題解決的な学習、児童生徒の興味・関心を生かした自主的、自発的な学習の促進状況
・ 個に応じた指導の充実状況(個別指導やグループ別指導、学習内容の習熟の程度に応じた指導、児童生徒の興味・関心等に応じた課題学習、補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導、教師の協力的な指導等)
・ 授業や教材の開発における外部人材の活用状況
・ 地域の自然や文化財、伝統行事などの教育資源の活用状況
・ 学校図書館の計画的利用及び読書活動の状況
・ 観点別学習状況の評価及び評定の客観性、信頼性の確保状況
・ 授業研究の実施状況
○ また、食育、人権教育、環境教育については、それぞれ食育基本法、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律、及びそれらに基づいて策定された計画等の趣旨を踏まえて、各学校での指導計画の策定、指導、評価等がなされることが重要である。
○ なお、各学校の事情等に応じて、部活動の状況についても、評価を行うことが考えられる。
A 生徒指導
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 生徒指導体制の整備状況
・ 豊かな人間関係づくりや規範意識の向上等に向けた指導の状況
・ 教育相談体制の整備状況
・ 非行防止教室の実施状況
・ 家庭・地域社会・関係機関等との連携状況
・ 問題行動等の状況及びそれへの対応状況
・ 児童生徒を対象とした生活習慣に関する調査の結果
B 進路指導
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 進路指導体制の整備状況
・ 勤労観・職業観を身につけさせるなど、主体的に進路選択する能力・態度を育成するための指導の状況
・ 生徒の個人的資料の活用方法、進路情報の収集及び活用方法、生徒の能力・適性等の発見、開発の方法
・ 職場体験の実施状況
・ 進路相談の実施状況
・ 進路指導に必要な施設設備(進路相談室、進路資料室)の整備状況
・ 家庭・地域社会・関係機関等との連携状況
C 安全管理
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 学校安全計画等の作成・実施状況(安全管理体制の整備状況を含む)
・ 危機管理マニュアル等の作成・活用状況
・ 教職員及び子どもの安全対応能力の向上を図るための取組状況
・ 安全点検の実施状況(通学路の安全点検を含む)
・ 家庭や地域の関係機関・団体との連携状況
・ 学校防災計画の作成・実施状況(災害発生時の応急対応体制の整備状況、避難(防災)訓練の実施状況等)
D 保健管理
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 学校保健計画等の作成・実施状況(学校環境衛生の管理状況を含む)
・ 健康診断(事前指導・事後措置を含む)の実施状況
・ 心のケアの体制の整備状況や健康相談活動、薬物乱用防止教室の実施状況
・ 日常の健康観察や疾病予防、子どもの自己健康管理能力向上のための取組の状況
・ 家庭や地域の保健関係機関(保健所、医療機関等)との連携状況
○ また、各学校の事情等に応じて、学校給食の衛生管理の状況などについても、評価を行うことが考えられる。
E 特別支援教育
○ 本項目では、障害のある児童生徒に対する適切な指導及び必要な支援がなされたかを評価する。
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 校内支援体制の整備状況(校内委員会、特別支援教育コーディネーター、校内研修等)
・ 交流及び共同学習の実施状況(特殊学級の児童生徒が通常の学級で学ぶ機会の確保の状況等)
・ 個別の指導計画及び教育支援計画の作成状況
・ 医療、福祉等の関係機関との連携状況
F 組織運営
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 学校の明確な運営・責任体制の整備状況(校務分掌の状況、主任等を活用した校務処理体制の整備状況等)
・ 服務監督の状況(職務専念義務免除の承認による研修の状況、教職員の勤務時間の把握等)
・ 学級経営の状況
・ 経理の状況
・ 学校事故への対応状況
・ 情報管理の状況(公文書の作成・収集・保管、個人情報の保護等)
G 研修
○ 本項目では、校長のリーダーシップの下、日常の教育活動・学校運営を通じて校長、教頭、他の教職員が、職務の遂行に必要な助言、協力を日常的に行うなどの学校運営を行うとともに、各学校や地域の具体的な教育課題に即した校内研修の充実を図るなど、学校における研修体制が整備されているかを評価する。
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 校内における研修の実施体制の整備状況
・ 校内研修の課題の設定状況
・ 校内・校外研修の実施状況(研究授業、教材研究・指導方法に関する研究等)
H 保護者、地域住民等との連携
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 学校評議員やPTAとの懇談の実施状況や学校運営協議会の運営状況
・ PTA、地域団体との連絡の充実状況
・ 学校開放などの実施状況
・ 学校運営への保護者、地域住民の参画及び協力の状況
・ 情報提供の実施状況
・ 教育相談体制の整備状況
・ 幼小連携、小中連携、中高連携など学校間の円滑な接続に関する工夫の状況
・ 保護者、地域住民から寄せられた具体的な意見や要望
・ 保護者、地域住民に対するアンケートの結果
I 施設・設備
○ 評価指標として、次のような例が考えられる。
・ 施設・設備の効果的な活用状況(余裕教室、特別教室等の有効活用)
・ 施設・設備の点検等の実施状況(安全・維持管理のための点検等の実施)
・ 学習・生活環境の充実のための取組状況
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付録
参考文献及び資料等
1.学校評価の目的
○ 小学校設置基準、中学校設置基準
○ 小学校設置基準及び中学校設置基準の制定等について(平成14年3月28日、文部科学事務次官通知)
○ 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005(平成17年6月閣議決定)
○ 中央教育審議会答申「新しい時代の義務教育を創造する」(平成17年10月)
2.学校評価の方法
(3) 評価結果の説明・公表、設置者への提出及び設置者等による支援や条件整備等の改善
B設置者等による支援や条件整備等の改善
○ 小学校・中学校における教材関係予算措置状況の調査結果について(平成17年11月、文部科学省初等中等教育局財務課長通知)
○ 学校施設の整備
・ 小学校施設整備指針(平成15年8月、文部科学省)
・ 中学校施設整備指針(平成15年8月、文部科学省)
・ 盲学校、聾学校及び養護学校施設整備指針(平成11年4月、文部省)
○ 学校施設の耐震化
・ 公立小中学校施設の耐震改修状況調査(文部科学省調査)
・ 耐震化の推進など今後の学校施設整備の在り方について(平成17年3月、学校施設整備指針策定に関する調査研究協力者会議)
・ 学校施設耐震化推進指針(平成15年7月、文部科学省)
・ 学校施設の非構造部材等の耐震点検に関する調査研究報告書(平成14年3月、文部科学省)
○ 学校施設におけるアスベスト対策
・ 学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査(文部科学省調査)
・ アスベスト対策に関する留意事項(平成17年11月、文部科学省)
・ 「学校施設等のアスベスト(石綿)対策についてQ&A」(平成17年9月、文部科学省)
○ 学校図書館の現状に関する調査(文部科学省調査)
○ 学校における教育の情報化の実態等に関する調査(文部科学省調査)
3.評価の項目、指標の例
@学習指導
○ 教育課程審議会答申「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」(平成12年12月)
○ 小学校学習指導要領(平成10年12月告示、15年12月一部改正)
中学校学習指導要領(平成10年12月告示、15年12月一部改正)
盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部学習指導要領(平成11年3月告示、15年12月一部改正)
○ 評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料(小学校・中学校)
(平成14年2月、国立教育政策研究所教育課程研究センター)
○ 学習評価の工夫改善に関する調査研究(平成16年3月、国立教育政策研究所)
A生徒指導
○ 生徒指導上の諸問題の現状調査(文部科学省調査)
○ 児童生徒の問題行動対策重点プログラム(最終まとめ)(平成16年10月5日初等中等教育局児童生徒課長通知)
○ 少年の問題行動等への対応のための総合的な取組の推進について(平成13年4月13日初等中等教育局長、生涯学習政策局長、スポーツ・青少年局長通知)
○ 児童生徒の問題行動等への対応の在り方に関する点検について(平成15年7月22日、初等中等教育局長通知)
○ 心の健康と生活習慣に関する指導(平成15年3月、文部科学省スポーツ・青少年局)
B進路指導
○ キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議(報告書)(平成16年1月28日、文部科学省初等中等教育局)
C安全管理
○ 学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル(平成14年12月、文部科学省)
○ 学校安全のための方策の再点検等について-安全・安心な学校づくりのための文部科学省プロジェクトチーム第一次報告-(平成17年3月)
○ 「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」(平成17年12月)
E特別支援教育
○ 中央教育審議会答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」(平成17年12月8日)
G研修
○ 教育職員養成審議会第3次答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について」(平成11年12月10日)
I施設・設備
○ 「みんなの学校をながく・よく使い続けるアイデア-既存学校施設の有効活用に向けて-」(平成17年3月、文部科学省)
○ 「安全で快適な学校施設を維持するために」(平成13年3月、文部科学省)
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会