● 認定こども園に関する国の指針(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第1項第4号及び同条第2項第3号の規定に基づき、文部科学大臣と厚生労働大臣とが協議して定める施設の設備及び運営に関する基準) 平成18年8月4日 文部科学省告示第1号
文部科学省・厚生労働省 告示第一号
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第三条第一項第四号及び同条第二項第三号の規定に基づき、文部科学大臣と厚生労働大臣とが協議して定める施設の設備及び運営に関する基準を次のように定め、平成十八年十月一日から施行する。
平成十八年八月四日
文部科学大臣 小坂 憲次
厚生労働大臣 川崎 二郎
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律
第三条第一項第四号及び同条第二項第三号の規定に基づき、文部科学大臣
と厚生労働大臣とが協議して定める施設の設備及び運営に関する基準
目次
第一 趣旨
第二 職員配置
第三 職員資格
第四 施設設備
第五 教育及び保育の内容
第六 保育者の資質向上等
第七 子育て支援
第八 管理運営等
第一 趣旨
就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(以下「法」という。)は、幼稚園及び保育所等のうち、就学前の子どもに対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援を総合的に提供する機能を備える施設を認定こども園として認定する仕組みを設けるものである。
この認定こども園については、地域の実情に応じた選択が可能となるよう、次の一から四までに掲げる類型を認めるものである。
一 幼保連携型認定こども園
幼稚園及び保育所のそれぞれの用に供される建物及びその附属設備が一体的に設置されている施設であって、次のいずれかに該当するものをいう。
1 当該施設を構成する保育所において、満三歳以上の子どもに対し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第七十八条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行い、かつ、当該保育を実施するに当たり当該施設を構成する幼稚園との緊密な連携協力体制が確保されていること。
2 当該施設を構成する保育所に入所していた子どもを引き続き当該施設を構成する幼稚園に入園させて一貫した教育及び保育を行うこと。
二 幼稚園型認定こども園
次のいずれかに該当する施設をいう。
1 幼稚園教育要領(平成十年文部省告示第百七十四号)に従って編成された教育課程に基づく教育を行うほか、当該教育のための時間の終了後、在籍している子どものうち児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する幼児に該当する者に対する保育を行う幼稚園
2 幼稚園及び認可外保育施設(児童福祉法第五十九条第一項に規定する施設のうち同法第三十九条第一項に規定する業務を目的とするものをいう。以下同じ。)のそれぞれの用に供される建物及びその附属設備が一体的に設置されている施設であって、次のいずれかに該当するもの
イ 当該施設を構成する認可外保育施設において、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第七十八条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行い、かつ、当該保育を実施するに当たり当該施設を構成する幼稚園との緊密な連携協力体制が確保されていること。
ロ 当該施設を構成する認可外保育施設に入所していた子どもを引き続き当該施設を構成する幼稚園に入園させて一貫した教育及び保育を行うこと。
三 保育所型認定こども園
児童福祉法第三十九条第一項に規定する幼児に対する保育を行うほか、当該幼児以外の満三歳以上の子どもを保育し、かつ、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第七十八条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行う保育所
四 地方裁量型認定こども園
児童福祉法第三十九条第一項に規定する幼児に対する保育を行うほか、当該幼児以外の満三歳以上の子どもを保育し、かつ、満三歳以上の子どもに対し学校教育法第七十八条各号に掲げる目標が達成されるよう保育を行う認可外保育施設
このように多様な類型の認定こども園を認めると同時に、いずれの類型の認定こども園においても、子どもの健やかな育ちを中心に置き、認定こども園に求められる機能の質を確保する必要がある。このため、法においては、認定こども園の認定の基準について、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議して定める基準を参酌して都道府県の条例で定めることとしたものである。
なお、都道府県においてこの認定こども園の認定基準を定めるに際しては、保育行政において指定都市及び中核市が果たしている役割にかんがみ、その意向に配慮すべきである。
第二 職員配置
一 認定こども園には、満一歳に満たない子どもおおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない子どもおおむね六人につき一人以上、満三歳以上の子どものうち幼稚園と同様に一日に四時間程度利用するもの(以下「短時間利用児」という。)おおむね三十五人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない子どものうち保育所と同様に一日に八時間程度利用するもの(以下「長時間利用児」という。)おおむね二十人につき一人以上、満四歳以上の子どものうち長時間利用児おおむね三十人につき一人以上の保育に従事する者を置かなければならない。ただし、常時二人を下回ってはならない。
二 満三歳以上の子どもについては、短時間利用児及び長時間利用児に共通の四時間程度の利用時間(以下「共通利用時間」という。)については、満三歳以上の子どもについて学級を編制し、各学級ごとに少なくとも一人の職員(以下「学級担任」という。)に担当させなければならない。この場合において、一学級の子どもの数は三十五人以下を原則とする。
第三 職員資格
一 第二の一により認定こども園に置くものとされる職員のうち満三歳に満たない子どもの保育に従事する者は、保育士の資格を有する者でなければならない。
二 第二の一により認定こども園に置くものとされる職員のうち満三歳以上の子どもの保育に従事する者は、幼稚園の教員免許状及び保育士の資格を併有する者であることが望ましいが、幼稚園の教員免許状及び保育士の資格を併有しない場合においては、そのいずれかを有する者でなければならない。
三 二の規定にかかわらず、学級担任は、幼稚園の教員免許状を有する者でなければならない。ただし、保育所型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって学級担任を幼稚園の教員免許状を有する者とすることが困難であるときは、保育士の資格を有する者であって、その意欲、適性及び能力等を考慮して適当と認められるものを、その者が幼稚園の教員免許状の取得に向けた努力を行っている場合に限り、学級担任とすることができる。
四 二の規定にかかわらず、満三歳以上の子どものうち長時間利用児の保育に従事する者は、保育士の資格を有する者でなければならない。ただし、幼稚園型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって当該長時間利用児の保育に従事する者を保育士の資格を有する者とすることが困難であるときは、幼稚園の教員免許状を有する者であって、その意欲、適性及び能力等を考慮して適当と認められるものを、その者が保育士の資格の取得に向けた努力を行っている場合に限り、当該長時間利用児の保育に従事する者とすることができる。
五 認定こども園の長は、教育及び保育並びに子育て支援を提供する機能を総合的に発揮させるよう管理・運営を行う能力を有しなければならない。
第四 施設設備
一 法第三条第二項の幼稚園及び保育所等については、それぞれの用に供される建物及びその附属設備(以下「建物等」という。)が同一の敷地内又は隣接する敷地内にあることが望ましいが、建物等が同一の敷地内又は隣接する敷地内にない場合においては、次の1及び2に掲げる要件を満たさなければならない。
1 子どもに対する教育及び保育の適切な提供が可能であること。
2 子どもの移動時の安全が確保されていること。
二 認定こども園の園舎の面積(満三歳に満たない子どもの保育を行う場合にあっては、満二歳以上満三歳に満たない子どもの保育の用に供する保育室、遊戯室その他の施設設備の面積及び満二歳に満たない子どもの保育の用に供する乳児室、ほふく室その他の施設設備の面積を除く。)は、次の表に掲げる基準を満たさなければならない。ただし、既存施設が幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって、四本文(満二歳に満たない子どもの保育を行う場合にあっては四本文及び八)に規定する基準を満たすときは、この限りでない。
学級数 面積
1学級 180平方メートル
2学級以上 320+100×(学級数−2)平方メートル
三 認定こども園には、保育室又は遊戯室、屋外遊戯場及び調理室を設けなければならない。
四 三の保育室又は遊戯室の面積は、満二歳以上の子ども一人につき一・九八平方メートル以上でなければならない。ただし、満三歳以上の子どもについては、既存施設が幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって、その園舎の面積(満三歳に満たない子どもの保育を行う場合にあっては、満二歳以上満三歳に満たない子どもの保育の用に供する保育室、遊戯室その他の施設設備の面積及び満二歳に満たない子どもの保育の用に供する乳児室、ほふく室その他の施設設備の面積を除く。)が二本文に規定する基準を満たすときは、この限りでない。
五 三の屋外遊戯場の面積は、次の1及び2に掲げる基準を満たさなければならない。ただし、既存施設が幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって、1の基準を満たすときは、2の基準を満たすことを要しない。また、既存施設が幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園又は地方裁量型認定こども園の認定を受ける場合であって、2の基準を満たすときは、1の基準を満たすことを要しない。
1 満二歳以上の子ども一人につき三・三平方メートル以上であること。
2 次の表に掲げる面積に満二歳以上満三歳に満たない子どもについて1により算定した面積を加えた面積以上であること。
学級数 面積
2学級以下 330+30×(学級数−1)平方メートル
3学級以上 400+80×(学級数−3)平方メートル
六 幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園又は地方裁量型認定こども園にあっては、屋外遊戯場を次の1から4までに掲げる要件を満たす当該認定こども園の付近にある適当な場所に代えることができる。
1 子どもが安全に利用できる場所であること。
2 利用時間を日常的に確保できる場所であること。
3 子どもに対する教育及び保育の適切な提供が可能な場所であること。
4 五による屋外遊戯場の面積を満たす場所であること。
七 幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園又は地方裁量型認定こども園にあっては、次の1から5までに掲げる要件を満たす場合に限り、当該認定こども園の満三歳以上の子どもに対する食事の提供について、当該認定こども園外で調理し搬入する方法により行うことができる。この場合において、当該認定こども園は、当該食事の提供について当該方法によることとしてもなお当該認定こども園において行うことが必要な調理のための加熱、保存等の調理機能を有する設備を備えるものとする。
1 子どもに対する食事の提供の責任が当該認定こども園にあり、その管理者が、衛生面や栄養面等業務上必要な注意を果たし得るような体制及び調理業務を受託する者との契約内容が確保されていること。
2 当該認定こども園又は他の施設、保健所、市町村等に配置されている栄養士により、献立等について栄養の観点からの指導が受けられる体制にある等、栄養士による必要な配慮が行われること。
3 受託業者については、認定こども園における給食の趣旨を十分に認識し、衛生面、栄養面等、調理業務を適切に遂行できる能力を有する者とすること。
4 子どもの年齢及び発達の段階並びに健康状態に応じた食事の提供や、アレルギー、アトピー等への配慮、必要な栄養素量の給与など、子どもの食事の内容、回数及び時機に適切に応じることができること。
5 食を通じた子どもの健全育成を図る観点から、子どもの発育・発達の過程に応じて食に関し配慮すべき事項を定めた食育に関する計画に基づき食事を提供するよう努めること。
八 認定こども園において満二歳に満たない子どもの保育を行う場合には、三により置くものとされる施設に加え、乳児室又はほふく室を設けなければならない。この場合において、乳児室の面積は満二歳に満たない子ども一人につき一・六五平方メートル以上、ほふく室の面積は満二歳に満たない子ども一人につき三・三平方メートル以上でなければならない。
第五 教育及び保育の内容
認定こども園における教育及び保育の内容は、幼稚園教育要領及び平成十一年十月二十九日児発第七百九十九号厚生省児童家庭局長通知「保育所保育指針について」に定める保育所保育指針(以下単に「保育所保育指針」という。)に基づかなければならない。また、子どもの一日の生活のリズムや集団生活の経験年数が異なること等の認定こども園に固有の事情に配慮したものでなければならない。
一 教育及び保育の基本及び目標
認定こども園における教育及び保育は、0歳から就学前のすべての子どもを対象とし、一人一人の子どもの発達の過程に即した援助の一貫性や生活の連続性を重視しつつ、満三歳以上の子どもに対する学校教育法第七十八条各号に掲げる目標の達成に向けた教育の提供と、家庭において養育されることが困難な子どもに対する保育の提供という二つの機能が一体として展開されなければならない。
このため、認定こども園は、次の1から6までに掲げる幼稚園教育要領及び保育所保育指針の目標が達成されるように教育及び保育を提供しなければならない。
1 十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を適切に 満たし、生命の保持及び情緒の安定を図るようにすること。
2 健康、安全で幸福な生活のための基本的な生活習慣や態度を育て、健全な心身の基礎を培う ようにすること。
3 人とのかかわりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとと もに、自立と協同の態度及び道徳性の芽生えを培うようにすること。
4 自然などの身近な事象への興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生え を培うようにすること。
5 日常生活の中で、言葉への興味や関心を育て、喜んで話したり、聞いたりする態度や豊かな 言葉の感覚を養うようにすること。
6 多様な体験を通して豊かな感性を育て、創造性を豊かにするようにすること。
認定こども園は、この教育及び保育の目標を達成するため、子どもの発達の状況等に応じ、より具体化した教育及び保育のねらい及び内容を定め、子どもの主体的な活動を促し、乳幼児期にふさわしい生活が展開されるように環境を構成し、子どもが発達に必要な体験を得られるようにしなければならない。
二 認定こども園に固有の事情として配慮すべき内容
一に掲げる認定こども園における教育及び保育の基本及び目標に加え、認定こども園における教育及び保育は、次の1から4までに掲げる認定こども園に固有の事情として配慮すべき内容を含むものでなければならない。
1 当該認定こども園の利用を始めた年齢の相違により集団生活の経験年数が異なる子どもがいることに配慮する等、0歳から就学前までの一貫した教育及び保育を子どもの発達の連続性を考慮して展開していくこと。
2 子どもの一日の生活の連続性及びリズムの多様性に配慮するとともに、保護者の就労状況等の生活スタイルを反映した子どもの利用時間及び登園日数の相違を踏まえ、一人一人の子どもの状況に応じ、教育及び保育の内容について工夫を行うこと。
3 共通利用時間において、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行う教育活動の充実を図ること。
4 保護者及び地域の子育て力を高める観点に立って子育て支援事業を実施すること。
三 教育及び保育の計画並びに指導計画
認定こども園における教育及び保育については、二に掲げる認定こども園に固有の事情として配慮すべき内容を踏まえつつ、園として目指すべき目標・理念や運営の方針を明確にしなければならない。
また、認定こども園においては、教育及び保育を一体的に提供するため、次の1から4までに掲げる点に留意して、幼稚園における教育課程及び保育所における保育計画の双方の性格を併せ持つ教育及び保育に関する全体的な計画を編成するとともに、年、学期、月、週、日々の指導計画を作成し、教育及び保育を適切に展開しなければならない。
1 短時間利用児と長時間利用児がいるため、指導計画の作成に当たり、子どもの一日の生活時間に配慮し、活動と休息、緊張感と解放感等の調和を図ること。
2 共通利用時間における教育及び保育の「ねらい及び内容」については、幼稚園教育要領及び保育所保育指針に基づき実施し、指導計画に定めた具体的なねらいを達成すること。
3 家庭や地域において異年齢の子どもとかかわる機会が減少していることを踏まえ、満三歳以上の子どもについては、同一学年の子どもで編制される学級による集団活動とともに、満三歳に満たない子どもを含む異年齢の子どもによる活動を、認定こども園それぞれの工夫で、子どもの発達の状況の相違にも配慮しつつ適切に組み合わせていくことが望ましいこと
4 受験等を目的とした単なる知識や特別な技能の早期獲得のみを目指すような、いわゆる早期教育となることのないように配慮すること。
四 環境の構成
認定こども園における園舎、保育室、屋外遊戯場、遊具、教材等の環境の構成に当たっては、次の1から4までに掲げる点に留意しなければならない。
1 満三歳に満たない子どもを含む就学前までの様々な年齢の子どもが利用するため、子どもの発達の特性を踏まえ、満三歳に満たない子どもについては特に健康、安全や発達の確保を十分に図るとともに、満三歳以上の子どもについては集団による活動の充実、異年齢の子どもによる交流等が図られるよう工夫すること。
2 利用時間が異なる多様な子どもがいることから、地域・家庭・認定こども園における生活の連続性の観点から、子どもの生活が安定するよう一日の生活のリズムを整えるよう工夫すること。特に満三歳に満たない子どもについては睡眠時間等の個人差に配慮するとともに、満三歳以上の子どもについては集中して遊ぶ場と家庭的な雰囲気の中でくつろぐ場との適切な調和等の工夫を行うこと。
3 共通利用時間については、子ども一人一人の行動の理解と予測に基づき計画的に環境を構成するとともに、集団とのかかわりの中で、自己を発揮し、子ども同士の学びあいが深まり広がるように子どもの教育及び保育に従事する者のかかわりを工夫すること。
4 子どもの教育及び保育に従事する者が子どもにとって重要な環境となっていることを念頭に置き、子どもとその教育及び保育に従事する者の信頼関係を十分に築き、子どもとともによりよい教育及び保育の環境を創造すること。
五 日々の教育及び保育の指導における留意点
認定こども園における日々の教育及び保育の指導に際しては、次の1から8までに掲げる点に留意しなければならない。
1 0歳から就学前までの子どもの発達の連続性を十分理解した上で、生活や遊びを通して総合的な指導を行うこと。
2 子どもの発達の個人差、施設の利用を始めた年齢の相違等による集団生活の経験年数の差、家庭環境の相違等を踏まえ、一人一人の子どもの発達の特性や課題に十分留意すること。特に満三歳に満たない子どもについては、大人への依存度が極めて高い等の特性があることから、個別的な対応を図ること。また、子どもの集団生活への円滑な接続について、家庭との連携協力を図る等十分留意すること。
3 一日の生活のリズムや利用時間が異なる子どもが一つの施設で過ごすことを踏まえ、子どもに不安や動揺を与えないようにする等の配慮を行うこと。
4 共通利用時間においては、同年代の子どもとの集団生活の中で遊びを中心とする子どもの主体的な活動を通して発達を促す経験が得られるように、環境の構成、子どもの教育及び保育に従事する者の指導等を工夫すること。
5 乳幼児期の食事は、子どもの健やかな発育・発達に欠かせない重要なものであることから、望ましい食習慣の定着を促すとともに、子ども一人一人の状態に応じた摂取法や摂取量のほか、食物アレルギー等への適切な対応に配慮すること。また、楽しく食べる経験や食に関する様々な体験活動等を通じて、食事をすることへの興味・関心を高め、健全な食生活を実践する力の基礎を培う食育の取り組みを行うこと。さらに、利用時間の相違により食事を摂る子どもと摂らない子どもがいることにも配慮すること。
6 午睡は生活のリズムを構成する重要な要素であり、安心して眠ることのできる環境を確保するとともに、利用時間に相違があることや、睡眠時間は子どもの発達の状況や個人によって差があることから、一律とならないよう配慮すること。
7 子どもの健康状態、発達の状況、家庭環境等から特別に配慮を要する子どもについて、一人一人の状況を的確に把握し、専門機関との連携を含め、適切な環境の下で健やかな発達が図られるよう留意すること。
8 家庭との連携においては、子どもの心身の健全な発達を図るために、日々の子どもの状況を的確に把握するとともに、家庭と認定こども園とで日常の子どもの様子を適切に伝え合い、十分な説明に努める等、日常的な連携を図ること。その際、職員間の連絡・協力体制を築き、家庭からの信頼を得られるようにすること。
また、教育及び保育活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育て力の向上に寄与するだけでなく、地域社会における家庭や住民の子育て力の向上及び子育て経験の継承につながることから、これを促すこと。その際、保護者の生活スタイルが異なることを踏まえ、すべての保護者の相互理解が深まるように配慮すること。
六 小学校教育との連携
認定こども園は、次の1から3までに掲げる点に留意して、小学校教育との連携を図らなければならない。
1 子どもの発達や学びの連続性を確保する観点から、小学校教育への円滑な接続に向けた教育及び保育の内容の工夫を図り、連携を通じた質の向上を図ること。
2 小学校教育との連携・接続においては、地域の小学校等との交流活動や合同の研修の実施等を通じ、認定こども園の子どもと小学校等の児童及び認定こども園と小学校等の職員同士の交流を積極的に進めること。
3 すべての子どもについて指導要録の抄本・写し等の子どもの育ちを支えるための資料の送付により連携する等、教育委員会、小学校等との積極的な情報の共有と相互理解を深めること。
第六 保育者の資質向上等
認定こども園は、次の一から五までに掲げる点に留意して、子どもの教育及び保育に従事する者の資質向上等を図らなければならない。
一 子どもの教育及び保育に従事する者の資質は教育及び保育の要であり、自らその向上に努めることが重要であること。
二 教育及び保育の質の確保・向上を図るためには日々の指導計画の作成や教材準備、研修等が重要であり、これらに必要な時間について、午睡の時間や休業日の活用、非常勤職員の配置等、様々な工夫を行うこと。
三 幼稚園の教員免許状を有する者と保育士資格を有する者との相互理解を図ること。
四 認定こども園においては、教育及び保育に加え、保護者の子育て力の向上につながるような子育て支援事業等多様な業務が展開されるため、認定こども園の長も含め、職員に対する当該認定こども園の内外の研修の幅を広げること。
その際、認定こども園の内外での適切な研修計画を作成・実施するとともに、当該認定こども園の内外での研修の機会を確保できるよう、勤務体制の組み立て等に配慮すること。
五 認定こども園の長には、認定こども園を一つの園として多様な機能を一体的に発揮させる能力や地域の人材及び資源を活用していく調整能力が求められるため、こうした能力を向上させること。
第七 子育て支援
認定こども園における子育て支援事業については、次の一から三までに掲げる点に留意して実施されなければならない。
一 単に保護者の育児を代わって行うのではなく、教育及び保育に関する専門性を十分に活用し、子育て相談や親子の集いの場の提供等の保護者への支援を通して保護者自身の子育て力の向上を積極的に支援すること。また、子育て世帯からの相談を待つだけでなく、認定こども園から地域の子育て世帯に対して働きかけていくような取組も有意義であること。
二 子育て支援事業としては、子育て相談や親子の集いの場の提供、家庭における養育が一時的に困難となった子どもに対する保育の提供等多様な事業が考えられるが、例えば子育て相談や親子の集う場を週三日以上開設する等保護者が利用を希望するときに利用可能な体制を確保すること。
三 子どもの教育及び保育に従事する者が研修等により子育て支援に必要な能力を涵養し、その専門性と資質を向上させていくとともに、地域の子育てを支援するボランティア、NPO、専門機関等と連携する等様々な地域の人材や社会資源を活かしていくこと。
第八 管理運営等
一 認定こども園は、多様な機能を一体的に提供するため、一人の認定こども園の長を置き、すべての職員の協力を得ながら一体的な管理運営を行わなければならない。この場合、幼保連携型認定こども園及び幼稚園型認定こども園のうち第一の二の2に掲げるものにおいては、幼稚園及び保育所又は認可外保育施設の施設長とは別に認定こども園の長を置くこと又はこれらの施設長のいずれかが認定こども園の長を兼ねることが考えられる。
二 認定こども園における保育に欠ける子どもに対する保育時間は、一日につき八時間を原則とし、子どもの保護者の労働時間その他の家庭の状況等を考慮して認定こども園の長が定めなければならない。
認定こども園の開園日数及び開園時間は、保育に欠ける子どもに対する保育を適切に提供できるよう、保護者の就労の状況等の地域の実情に応じて定めなければならない。
三 認定こども園は、保護者が多様な施設を適切に選択できるよう、情報開示に努めなければならない。
四 認定こども園は、児童虐待防止の観点から特別の支援を要する家庭、ひとり親家庭又は低所得家庭の子どもや、障害のある子どもなど特別な配慮が必要な子どもの利用が排除されることのないよう、入園する子どもの選考を公正に行わなければならない。
また、認定こども園は、地方公共団体との連携を図り、こうした子どもの受入れに適切に配慮しなければならない。
五 認定こども園は、耐震、防災、防犯等子どもの健康及び安全を確保する体制を整えなければならない。
また、認定こども園において事故等が発生した場合の補償を円滑に行うことができるよう、適切な保険や共済制度への加入を通じて、補償の体制を整えなければならない。
六 認定こども園は、自己評価、外部評価等において子どもの視点に立った評価を行い、その結果の公表等を通じて教育及び保育の質の向上に努めなければならない。
(初等中等教育局幼児教育課幼保連携推進室)
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会