● 学校評価に係る学校教育法施行規則等の一部を改正する省令について 平成19年11月8日 19文科初第849号
19文科初第849号 平成19年11月8日
各都道府県教育委員会、各指定都市教育委員会、
各都道府県知事、各指定都市市長、
附属学校を置く各国立大学長 宛
文部科学省初等中等教育局長(金森越哉)
学校評価に係る学校教育法施行規則等の一部を改正する省令について(通知)
このたび、別添のとおり「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令(平成19年文部科学省令第34号)」が平成19年10月30日に公布され、「学校教育法等の一部を改正する法律(平成19年法律第96号)」(以下「改正法」という。)の施行の日から施行されることとなりました。
改正法による改正後の学校教育法(昭和22年法律第26号)第42条の規定により、学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることとされています。この省令は、「文部科学大臣が定めるところにより」行われる学校評価について、その実施及び公表等について定めるものです。
この省令の概要及び留意事項は下記のとおりですので、その運用に当たり遺漏のないようお取り計らい願います。
また、各都道府県教育委員会におかれては、域内の市区町村教育委員会及び所管の学校に対して、各都道府県知事におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対して、国立大学長におかれては、その管下の学校に対して、この省令の制定及び趣旨について周知を図るとともに、必要な指導等をお願い申し上げます。
記
1.規定の概要
(1)自己評価(第50条)
@ 小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、自ら評価を行い、その結果を公表するものとしたこと(第1項)。
A 小学校は、自己評価を行うに当たっては、その実情に応じ、適切な項目を設定して行うものとしたこと(第2項)。
(2)学校関係者評価(第50条の2)
小学校は、自己評価の結果を踏まえた当該小学校の児童の保護者その他の当該小学校の関係者(当該小学校の職員を除く。)による評価(以下「学校関係者評価」という。)を行い、その結果を公表するよう努めるものとしたこと。
(3)評価結果の設置者への報告(第50条の3)
小学校は、自己評価の結果及び学校関係者評価を行った場合はその結果を、当該小学校の設置者に報告するものとしたこと。
(4)その他(附則等)
@ この省令は、改正法の施行の日から施行すること。
A (1)から(3)までの規定は、幼稚園、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校において準用すること。
2.留意事項
(1)この省令に基づく学校評価の実施等に着手すべき時期
この省令は、改正法の施行の日、すなわち改正法の公布の日(平成19年6月27日)から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされている。現時点で、改正法の施行期日を定める政令は制定されていないが、各学校及び設置者においては、速やかにこの省令に基づく学校評価の実施及び公表等に向けた取組に着手するとともに、遅くとも平成20年度末までには自己評価の実施及び公表等を行うことが求められること。
(2)自己評価の実施
自己評価を実施し、その結果をとりまとめるに当たっては、評価結果及びその分析に加えて、それらを踏まえた今後の改善方策について併せて検討することが適当であること。
(3)自己評価の結果の公表
@ 自己評価の結果の公表内容については、評価結果及びその分析に加えて、それらを踏まえた今後の改善方策について併せて公表することが適当であること。
A 自己評価の結果の公表方法については、当該学校の幼児児童生徒の保護者に対して広く伝えることができる方法により行うことが求められること。その方法として、例えば、学校便りに掲載する、PTA総会等の機会に保護者に対する説明を実施する等が考えられること。
Bさらに、保護者のみならず広く地域住民等に伝えることができる方法により行うことが適当であること。その方法として、例えば、学校のホームページに掲載する、地域住民等が閲覧可能な場所に掲示する等が考えられること。
(4)学校関係者評価の実施
@ 各学校においては、この省令に基づく学校関係者評価の実施及び公表に取り組むことが求められること。また、教育委員会等の学校の設置者においては、今後すべての学校において学校関係者評価の実施及び公表に向けた取組が進められるよう十分な指導等が求められること。
A 学校関係者評価は、自己評価の結果を踏まえて行うこととされていることから、自己評価の結果について学校関係者評価において評価することが求められること。
B 学校関係者評価の評価者については、
(ア)評価者に当該学校の幼児児童生徒の保護者を含めることが適当であること。
(イ)「学校の関係者」である評価者としては、(ア)のほかに、当該学校の教職員を除き、当該学校の運営やその幼児児童生徒の育成にかかわりがある者など、当該学校と直接の関係のある者とすることが適当であること。
(ウ)(ア)及び(イ)に掲げた者のほか、必要に応じて、大学教員等の当該学校と直接の関係を有しない有識者を加えることも考えられること。
C 学校関係者評価を実施するに当たっては、例えば以下の取組を行うことにより、評価者による主体的な評価活動を促すことが求められること。
(ア)学校関係者評価を行うための体制を整備するため、委員会等を組織すること。
(イ)学校関係者評価を実施するに当たり、その評価活動の一環として、評価者による授業など教育活動等の観察や校長など教職員との意見交換を行うこと。
D保護者等を対象とするアンケートの実施のみをもって学校関係者評価を実施したとみなすことは適当ではないこと。
E学校関係者評価を実施し、その結果をとりまとめるに当たっては、評価結果及びその分析に加えて、学校においてそれらを踏まえた今後の改善方策について併せて検討することが適当であること。
(5)学校関係者評価の結果の公表
学校関係者評価の結果の公表についても、上記「(3)自己評価の結果の公表」の@からBまでの例により行うこと。
(6)学校評価の結果の学校の設置者への報告
@ 自己評価及び学校関係者評価の結果の当該学校の設置者への報告は、報告書としてとりまとめたものを学校の設置者に提出する方法により行うことが適当であること。
A 自己評価及び学校関係者評価の結果については、必ずしも別の報告書としてとりまとめる必要はないものであり、双方の結果を一つの報告書としてとりまとめることが考えられること。
B 報告書には、学校評価の結果に加えて、それらを踏まえた今後の改善方策について併せて記載することが適当であること。
(7)教育委員会規則等の改正
学校を設置する教育委員会においては、本件通知を参考にして教育委員会規則等を改正し、設置する学校における学校評価の実施及び公表並びに評価の結果の設置者への報告に関する規定を置くことが望まれること。
(8)学校評価ガイドラインの改訂
文部科学省では、改正法及びこの省令を踏まえて、平成18年3月27日に策定した「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」を改訂し、自己評価及び学校関係者評価の実施及び公表並びに評価の結果の設置者への報告について、その目安となる例を示す予定であること。
幼稚園及び高等学校についても、今後、ガイドラインを策定する予定であること。
(9)改正法を踏まえた学校教育法施行規則の改正
「学校教育法等の一部を改正する法律について」(平成19年7月31日付け19文科初第536号文部科学事務次官通知)中「第6 関係法令の整備について」の「1」に示すように、改正法を踏まえ、その施行までの間に、この省令とは別に学校教育法施行規則の一部改正が予定されていることから、この省令に規定する学校評価に係る条の条文番号の改正が予定されていること。
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参考
改正学校教育法(平成19年6月)の条文(学校評価・情報提供関係)
第42条 小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。
第43条 小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。
・これらの規定は、幼稚園(第28条)、中学校(第49条)、高等学校(第62条)、中等教育学校(第70条)、特別支援学校(第82条)、専修学校(第133条)及び各種学校(第134条第2項)に、それぞれ準用する。
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