● 学校教育法施行令第8条に基づく就学に関する事務の適正化等について(学校選択制) 平成20年3月31日 19文科初企第1388号
19文科初企第1388号 平成20年3月31日
各都道府県・政令指定都市教育委員会 宛
文部科学省初等中等教育局長(金森越哉)
学校教育法施行令第8条に基づく就学に関する事務の適正化等について
小学校又は中学校が2校以上ある市町村の教育委員会における就学予定者が就学すべき学校の指定等については、昨年3月30日付けで初等中等教育局長から通知を発出するなど、適切な取扱いをお願いしているところですが、昨年6月に「規制改革推進のための3か年計画」が閣議決定(別紙3参照)されるとともに、昨年12月に「規制改革推進のための第2次答申」に示された「具体的施策」を最大限尊重し、所要の施策に速やかに取り組むことが閣議決定(別紙4、別紙5参照)されています。
ついては、就学に関する事務について、特に下記事項に留意の上、引き続き、適正に行われるようお願いします。
各都道府県教育委員会においては、域内の市町村教育委員会に対して、このことを周知するとともに、就学に関する事務の適正化が図られるよう更に指導の徹底をお願いします。
記
1 就学に関する制度の十分な理解に立った制度の運用について
近年、就学に関する事務については、以下にあるように、数次にわたり学校教育法施行規則の改正が行われるとともに、文部科学省から通知が発出されているところである。
就学事務を担当する者にあっては、別紙1の「入学時の就学事務の主な流れ」や以下の通知等を参考にしつつ、最近の制度改正の趣旨及び内容や制度の全体像を十分理解して事務を適正に行うこと。
(参照通知等 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-sentaku/index.htm)
@ 学校教育法施行規則の一部を改正する省令について(平成15年3月31日文部科学省初等中等教育局長通知)
A 学校教育法施行規則の一部を改正する省令等及び学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(平成18年3月30日文部科学省初等中等教育局長通知)
B 学校教育法施行令第8条に基づく就学校の変更の取扱いについて(平成18年6月26日文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課事務連絡)
C学校教育法施行令第8条に基づく就学校に関する事務の適正化等について(平成19年3月30日文部科学省初等中等教育局長通知)
2 就学校の変更を相当と認める場合の要件及び手続の公表について
就学校の変更については、学校教育法施行令第8条において、「市町村の教育委員会は、…相当と認めるときは、保護者の申立により、その指定した小学校又は中学校を変更することができる」と規定されるとともに、同施行規則第33条において、「市町村の教育委員会は、学校教育法施行令第8条の規定により、その指定した小学校又は中学校を変更することができる場合の要件及び手続に関し必要な事項を定め、これを公表するものとする」と規定されている。
これらの規定は、域内に2校以上の小学校又は中学校を設置している全ての市町村教育委員会に適用されるものであり、該当の市町村教育委員会においては、就学校の変更に係る要件及び手続を制定し公表する法的義務が課せられている。
市町村教育委員会は法令にのっとって事務を執行すべきであり、当該要件及び手続を制定せず又は公表していない市町村教育委員会にあっては、ただちに就学校の変更に係る要件及び手続を定め公表すること。
また、都道府県教育委員会は域内の市町村教育委員会の事務が法令にのっとって適正に行われるよう厳正に指導を行うこと。
なお、就学校の変更に関する手続としては、申立を行おうとする保護者の便に供するよう変更の申立先、申立の際に必要となる添付書類、受付期間、受け付けた申立に対する回答の期限を定めて公表することが望ましいこと。
これらの要件及び手続に関しては、行政手続法第5条及び第6条に規定する審査基準及び標準処理期間の定めが適用されることにも留意すること。
3 就学校の変更を相当と認める具体的な事由について
学校教育法施行令第8条の規定に基づき就学校の変更が認められてよい事由として、文部科学省としては、累次の通知において「いじめへの対応、通学の利便性などの地理的な理由、部活動等学校独自の活動等」を示してきているところである。
具体的にどのような事由について就学校の指定の変更が認められるかは、地域や学校の実情等に応じて、最終的には各市町村教育委員会が判断するものであるが、別紙6にあるような事由を具体的に定めて運用している教育委員会も見られるところである。
各市町村教育委員会が、就学校の変更に係る要件を定めるに当たっては、これらの例も参考にされたいこと。
4 学年途中における就学校の変更について
学年途中において保護者が就学校の変更を求めた場合においても、市町村の教育委員会は、相当と認めるときは、就学校の変更を適切に行うこと。
5 いじめへの適切な対応について
いじめへの対応について、市町村の教育委員会においては、新入学時であるか学年の途中であるかにかかわらず、保護者から自発的に就学校の変更の申立があるなど深刻ないじめ等への対応については、今後とも、いじめられている児童生徒等の立場に立って適切に対応すべきこと。
6 就学校指定通知における保護者の申立ができる旨の明示について
入学予定者に対して行われる就学指定通知(学校教育法施行令第5条第2項)において、その指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示すこととされている(学校教育法施行規則第32条第2項)。
就学指定通知の中に上記事項が示されていない市町村の教育委員会においては、今後の当該通知において就学校の指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示すこと。
また、就学校の指定に係る通知において、就学校の指定の変更についての保護者の申立ができる旨を示す際には、就学校の変更の要件及び手続に関する事項についても併せて示すことが望ましいこと。
7 就学に関する事務・制度の趣旨の保護者への徹底について
市町村の教育委員会においては、就学校の変更を相当と認める具体的な事由の内容や考え方など、この制度の趣旨が保護者に対して確実に周知されるよう努めること。
------------------------------------------------------------
別紙1
入学時の就学事務の主な流れ
あらかじめ就学校の変更の要件及び手続を定めて公表
(学校教育法施行規則第33条) ※
↓
就学校の指定
(学校教育法施行令集5条第2項)
|
| 指定通知には、就学校の変更ができることを明示
| (学校教育法施行規則第32条第2項)
↓
保護者から就学校の変更の申立
(学校教育法施行令第8条)
↓
必要に応じて指定を変更
(学校教育法施行令第8条)
↓
入 学
学校選択制を導入している場合は、あらかじめ学校選択制の手続を定めて公表
(学校教育法施行規則第32条第1項)
------------------------------------------------------------
別紙6
就学校指定変更に係る要件の定め方等について
1 要件の位置づけ
就学校指定の変更に係る要件の位置づけについては、教育委員会規則で定める場合、要綱等の形式で教育委員会が決定する場合、教育委員会の委任を受けた教育長が決定する場合などがある。
2 具体的な定め方
就学校指定の変更については、文部科学省が変更が認められてよい事由として示している「いじめへの対応、通学の利便性などの地理的な理由、部活動等学校独自の活動」に関し、具体的に変更が認められ得る事由を次のように定めている例がみられる。
なお、要件を定める場合には、保護者による申立の手続きも併せて定めるのが通例である。
いじめ等への対応
例1 いじめ等学校生活の状況から指定校への就学が困難と認められる場合
例2 学校の十分な指導にもかかわらず、いじめ等により児童・生徒の心身の安全が脅かされるような深刻な悩みを持っている場合
通学の利便性などの地理的な理由
例1 指定された学校よりも隣接校の方が、通学距離が短い場合(通学距離は通学路を基準に計測する。)
例2 自宅から学校までの徒歩で安全に通学できる経路の最短距離が、小学校ではキロメートル以上、中学校ではキロメートル以上あって、指定された学校より近い学校がある場合
部活動等学校独自の活動
例1 就学すべき学校に希望する部活動がない場合
例2 転校することとなる学校に従前の学校で取り組んでいた「部活動」がないが、継続して取り組みたい場合
Copyright© 執筆者,大阪教育法研究会